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きまぐれな日々

アメリカの大統領選挙は、予想通りバラク・オバマの圧勝だった。230年を超えるアメリカ合衆国の歴史において、初めて、混血とはいえ黒人の血を引く大統領が誕生することになる。2008年11月4日は、歴史的な日になった。

当ブログで初めてオバマを取り上げたのは、昨年2月7日付の「次期大統領は初の女性か黒人か?」である。毎日新聞に載ったオバマの記事を紹介し、感想をつけ加えただけのたわいもない記事だったが、当時まだブログで「バラク・オバマ」を取り上げる人は少なかったので、公開後しばらくは、「バラク・オバマ」を検索語にしてブログを来訪される方がしばしばあった。現在では、この検索語に当ブログごときがつけ入る隙などないことは言うまでもない(笑)。

朝日新聞に、「私には夢がある」から45年、という記事が出ているが、記事で紹介されている1963年のキング牧師の伝説的な演説は、TBSの「NEWS23」でも映像が流れたが、私はリアルタイムでは知らない。1968年のキング牧師暗殺や、それに先立つ3年前のマルコムXの暗殺も、朝日新聞の花形記者だった本多勝一のルポルタージュや雑文集(『貧困なる精神』など)で知ったのではなかったかと思う。私が物心ついたときのアメリカの大統領はニクソンで、そのニクたらしい名前のせいか、子供心に嫌っていたが、のちにウォーターゲート事件が発覚して、本物の犯罪者であることを知った時には、アメリカの大統領というのはこんなに悪いやつなのかと驚いたものだ。

しかし、新自由主義の時代が幕を下ろそうとしている今振り返ってみると、リチャード・ニクソンの悪はそんな生易しいものではなかった。ニクソンというと、ジョージ・ウォーカー・ブッシュと並んでアメリカ史上もっとも支持率の低かった大統領として知られるが、それもそのはず、この2人は史上稀に見る極悪の犯罪者大統領といっても過言ではない。

アメリカ・シカゴ学派の経済学者、ミルトン・フリードマンとチリの独裁者、アウグスト・ピノチェトがともに一昨年(2006年)に死去した時に書かれた、ブログ『代替案』の2006年2月16日付エントリ「ラテンアメリカとフリードマン: 神話の捏造」および同年12月19日付エントリ「ピノチェト死す」経由の孫引きだが、1973年にアジェンデ政権を倒したチリの軍事クーデターをアメリカがどのように支援したかについて、2003年にアメリカの情報公開によって明らかになった。それによると、CIAのたくらんだクーデター計画にはチリ軍部さえ反対しており、CIAに逆らったチリ国軍のシュナイダー司令官は、CIAによって1970年に暗殺された。そして、チリのクーデター1973年9月11日(!)に起こされたのだが、マネタリストの経済学者フリードマンは、このクーデターに深く関与し、革命後のチリに手下の学者連中を送り込んで新自由主義の実験を開始した。これが多大な成果をあげたという「歴史の捏造」が行われ、前記『代替案』のエントリを読むと、朝日新聞や毎日新聞も捏造された歴史観に沿った記事を書いていた。両紙は、コイズミ政権時代においては、右派の読売新聞や産経新聞以上に熱心にコイズミ・竹中の「構造カイカク」を支持していたからそれも当然だろう。実際には、新自由主義者たちの政策はチリにとんでもない格差社会を現出させて、失業率は1973年から1983年の間に実に4.3%から22%に増大し、ついにはアメリカの傀儡として出発したピノチェト自身がフリードマンの手下どもを追い出し、ケインジアンの政策を採用してチリの経済を立て直した。

一般には、アメリカの新自由主義の開祖はロナルド・レーガンとされているが、実は先駆者がリチャード・ニクソンであって、そのブレーンがフリードマンだった。ニクソンとフリードマンは、歴史上稀に見る悪質な犯罪者というしかないと思うが、フリードマンは1976年にノーベル経済学賞を受賞し、その2年前のフリードリヒ・ハイエクの同賞受賞と合わせて、新自由主義が主流になるのちの流れを決定づけた。

その影響がいかに広範にわたったかは、日本でも保守本流とされる大平正芳が「小さな政府」を標榜し(保守系学者・公文俊平の「大平正芳の時代認識」参照)、それは大平の直系・加藤紘一に引き継がれていることからも伺われる。最終的に日本で新自由主義の大実験を行って、70年代のチリ同様惨憺たる結果を引き起こしたのはコイズミと竹中平蔵だが、彼らが登場する以前に、保守本流の大平や加藤らが道を誤った責任も、今後歴史の審判を受けなければならないだろう。大平は故人だが、幸いにも加藤は健在で、現在でも一定の影響力を持つ政治家だ。加藤は、右翼は先の戦争の総括、左翼は社会主義の総括をそれぞれしなければならないと著書で主張したが、加藤自身も「保守本流」の経済政策を総括しなければならないのではなかろうか。

本家のアメリカでも、前の民主党大統領のビル・クリントンは1993年の就任演説で「大きな政府の時代は終わった」と宣言した(11月6日付朝日新聞1面掲載の同社アメリカ総局長・加藤洋一氏の記事による)。そして実際、ビル・クリントンはいやらしい新自由主義政策をとって日本にグローバリズム(実体はアメリカニズム)を押しつけてきて、日本はこれにずいぶん苦しめられた。私が米民主党の大統領選候補者争いでヒラリー・クリントンよりもオバマを応援したのは、このビル・クリントンの悪印象によるところが相当に大きい。

新自由主義の時代は、ニクソンが先鞭をつけ、レーガンの登場によって本格的に始まり、ブッシュJrの時代で終わったと言って良いと思う。この40年間は、必ずや後世の歴史家によってネガティブに評価されることになるだろう。この時代において、アメリカでは金融業にばかりかまけて製造業が没落し、それとともに中産階級が下層化した。後を追って新自由主義化した日本でも、同様の現象が起き始めているが、幸いにも製造業はまだ没落の兆しが見える程度で、今からならまだアメリカよりはかなり早く立ち直ることができると思う。

そして、没落するアメリカを立て直すべく期待を一身に集めて登場したのがバラク・オバマだ。

選挙戦においては、オバマはずいぶん幸運に恵まれた。民主党内の候補者争いではヒラリー・クリントンと争ったが、正直政策面では、国民皆保険制度に関する主張など、クリントンの方が先進的と思われる部分も多かった。しかし、当初から最有力と見られていたクリントンは、保守層から"hard left"(極左)だと非難され、保守層の機嫌をとるために軸足を中道に移していた。そこで空白になったリベラルのポジションを、オバマがしっかり押さえた。これが民主党の候補者争いにおけるオバマの勝因になった。ジョン・マケインも、もともと共和党左派で、"underdog"(負け犬)などと言われていたのだが、共和党の候補者争いの早い段階において右派のルドルフ・ジュリアーニが選挙戦略を誤って早々と脱落する幸運に恵まれた。そこで、弱点とする保守層の支持を獲得するべく、サラ・ペイリンを副大統領候補に起用して保守層の機嫌をとろうとしたのだが、ペイリンの化けの皮があっという間に剥がれてしまったところにリーマン・ショックが起き、経済を重視する中道の人たちは一斉にオバマに流れた。それで、今回の大統領選はオバマの圧勝になったわけだ。「負け犬マケインの負け因はペイリンだった」といえるかもしれないが、英語の"underdog"というのは、侮蔑語として用いられる日本語の「負け犬」とは違って、社会的弱者という意味合いがあって「判官びいき」を呼ぶポジティブな意味合いが強いとのことだから、前記のダジャレはあまり適切ではないだろう。

もっとも、得票率だけからいえば、昨夜のTBS「NEWS23」が報じたところによると、オバマ52%に対してマケイン47%(残り1%はラルフ・ネーダーその他の候補者の得票)だった。白人男性に限ればマケイン支持の方がかなり多かったそうだから、まだまだ人種問題の壁もあるし、経済政策でもこれまでの新自由主義が結構根強い支持を得ているようだ。

アメリカ民主党とのパイプをほとんどの政治家が持たない日本でも、愚かにも大統領選投票日直前まで「マケイン大逆転待望論」なるものがあったそうだ。しかし、世界の大部分は上記のアメリカや日本の「抵抗勢力」(笑)とは意見が全く異なり、オバマの勝利と犯罪政治家・ブッシュの政権が終わりを告げることを歓迎していることが報じられている。朝日新聞は、オバマの父方の故郷であるケニアの政府が、オバマの当選を祝って6日を祝日にすると伝えた。

確かに、オバマの政治家としての手腕は未知数だ。アメリカが直面している未曾有の経済危機を乗り越えるのは容易ではないし、個人的にはオバマがこれまで主張してきたアフガニスタンへの介入を強める主張を方向転換しなければアメリカは立ち直れないと思う。読売新聞はオバマの「テロとの戦い」重視の路線に期待しているようだが、アフガンにいつまでもかかわりあっていられる余裕などアメリカにはないはずだ。

だが、それよりも何よりも、今回の大統領選ではオバマが勝つことに何よりの意義があった。報道でも指摘されているように、オバマの当選が時代の要請だったと思う。アメリカに滞在した経験のある、黄色人種のアジア人である私としても、人種のるつぼではありながら支配層は白人が占めているアメリカの社会を、ほんの一部ではあるが目で見て肌で感じた感覚を持っているから、黒人やヒスパニック、それにアジア系のアメリカ国民が、いや世界中の人たちが熱狂する気持ちは、かなりの程度わかる。

「報道ステーション」で寺島実郎がジミー・カーターを引き合いに出していたが、私も長かった大統領選レースの終わり頃、しきりにカーターを思い出していた。日本でも好感をもって迎えられる大統領は、カーター以来になるだろう。「大きな政府」路線をとった最後のアメリカ大統領だったカーターは、やはり時代の流れには抗することができず、その業績の評価は芳しくないが、オバマに対しては時代の流れはフォローの方向だ。不安も多々あるが、期待を込めて来年誕生するバラク・オバマ大統領を見ていきたいと思う。


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大いなる時代の転換点に、いま立っている。つくづくそう思う今日この頃、アメリカ大統領選に3週間先立って行われたカナダの下院選挙では、保守党が党勢を伸ばしたものの、過半数には届かなかった。

このカナダ総選挙については、『日本deカナダ史』が詳しく、10月10日頃に一時自由党が巻き返したものの、その後再び保守党がリードを広げて逃げ切ったようだ。同ブログは、10月13日付エントリで、自由党の政権奪回の可能性を報じる共同通信の報道を「飛ばし記事」と批判し、「政権交代の可能性は万に一つもありません」と断言していたが、その通りになった。カナダの下院の任期は、「前回総選挙から4回目の10月」までとのことで、最大4年で日本とほぼ同じだが、期限が「10月」に区切られているところが違う。

カナダのスティーヴン・ハーパー首相は、要するにアメリカ大統領選でバラク・オバマの当選が濃厚になってきたので、その前に選挙を行って保守党の単独過半数を確保し、思うような政治をしたかったのではないかと想像するのだが、アメリカ発の世界金融危機に邪魔された格好だ。

そのアメリカの大統領選まであと20日。カーター大統領以来、28年ぶりに「大きな政府」を指向するオバマ大統領が誕生するかが注目の的だが、アメリカでは「経済が危なくなると民主党」という伝統があり、これは1929年以来の大恐慌を、1933年に大統領に就任したルーズベルトがニューディール政策によって解決した歴史に学んでいるものだろう。

1976年の大統領選で勝ったジミー・カーターは、しかしながら不運な大統領だった。当時、既に新自由主義が勃興していたこともあって、本来志向する政策とは逆方向の航空自由化政策をとってしまい、これに失敗した。また、任期中にイラン革命(1979年)が起き、テヘランのアメリカ大使館占拠では、人質救出作戦に失敗した。これらのため、1980年の大統領選で共和党のロナルド・レーガンに大敗し、アメリカは本格的な新自由主義の時代に入っていった。1993年から8年間のビル・クリントン民主党政権も、グローバリズムを強烈に日本に押しつけた新自由主義政権であって、私はこのクリントン政権に対して非常に悪い印象を持っている。だから、ヒラリー・クリントンとバラク・オバマの指名争いでは、オバマに肩入れしていた。国民皆保険制度の政策など、ヒラリーに分のある主張もあって、稀に見る接戦になったのも理解はできるけれど、日本人としての私の持つナショナリズムが、過去に日本を苦しめたビル・クリントンの悪印象を拭う邪魔をした。

そんなわけで、やっと本格的に新自由主義を脱し、中産階級の再建に乗り出すオバマ政権ができるのが楽しみなのだが、15日(日本時間16日)に最後のテレビ討論会が行われるとのことだ。だが、よほどのことがない限りオバマの勝利は動かないと予想されている。

1976年にカーターが大統領選で勝った翌月に行われた日本の総選挙では、自民党が過半数ギリギリまで議席を減らして大敗し、同じく大敗した共産党を除く野党が議席を伸ばした。特に、自民党から分裂して結成された新自由クラブが躍進して17議席を獲得した。今回の大統領選も、間違いなく日本の総選挙に影響を与える。麻生太郎は、臨時国会の冒頭解散をすべきだった。「週刊文春」が自民党大敗の予想を出したが、「週刊ポスト」は逆に、民主党の内部調査では自公が過半数を制し、民主党は敗北すると書いていた。これは、記事を飛ばし読みした限りでは、「飛ばし記事」の印象を受けたものではあるが、小選挙区制においては、少しの民意の揺らぎが選挙結果に大きく左右するということだろう。だから、麻生が賭けに出る価値は十分あった。11月2日投票であれば、私は自民と民主は五分五分だったと思う。平沼赳夫グループは、伯仲の状況になれば必ず麻生自民党につくから(福田自民党にはつかなかったかもしれないが)、自民党の政権維持の可能性の方がやや高かったかもしれない。アメリカ大統領選でオバマが勝ったあととなると、同じ「民主党」だし、「チェンジ」が合言葉となり、確実に民主党の票を上乗せする効果が生まれる。NHKテレビなどで報じられた11月30日投票日でも、自民党はかなり苦しいが、それより遅くなればなるほど、ますます自民党勝利の可能性は小さくなっていくだろう。

昨日(15日)は、ネット仲間に教えられて、TBSテレビの新番組「水曜ノンフィクション」の第1回、2時間に拡大された番組枠のアメリカ特集を見た。

司会は関口宏で、コメンテーターには寺島実郎や堤未果らが出ており、TBSの番組にはつきものの岸井成格は出ていなかった。この顔ぶれから想像がつくように、新自由主義に批判的な内容だった。

最初にキューバ危機当時の映像が流されたあと、10年前にカストロがアメリカの金融資本主義がいずれ暴走して大爆発すると予言したシーンが紹介されたが、カストロならずとも、97年のアジア通貨危機や98年のロシア財政危機、ヘッジファンドLTCMの破綻などを覚えている者なら、当時同じ予想をしていた人が多かったことを思い出すだろう。

今朝もNYダウの暴落が報じられているが、私などは逆に、よく今の今までアメリカが持ったものだと、その方が驚きだ。経済失政だけではなく、ブッシュは、アフガニスタンやイラクに派兵するでたらめをやった。ブッシュだけでなく、それを全面的にサポートしたブレアやコイズミの罪は、限りなく重い。

日本も格差社会がずいぶんひどくなったが、本家本元のアメリカはやはりスケールが違う。上位400人の金持ちの資産は、下から1億5千万人分の資産と等しいと紹介されていたが、単純に平均計算しても、400人の富豪は一般人の37万倍の金持ちだということになる。そして、貧困層は国民の12.5%だが、白人に限っては10.3%、黒人では24.3%と、人種差別問題も相変わらず残っている(数値は前記TBSの番組による)。最近よく知られるようになったように、医療制度もきわめて貧困で、医療費は高く医療格差はすさまじい。日本でいえば憲法25条が全く守られていない状態に当たる。何しろ、患者を平気で見殺しにしたり病院から路上に放り出す国、それがアメリカなのだ。そして、日本をそんなアメリカのような国にしようとしたのが「コイズミカイカク」だった。

この番組で特筆すべきは、戦争と貧困の関係を指摘したことだ。「落ちこぼれゼロ(No Child Left Behind)法案」という名のブッシュの教育改革法案が2002年に米議会を通過し施行されたが、この法律によって実施されるようになった全国学力テストの結果の個人情報が軍に横流しされ、軍隊のスカウトに悪用されている実態を、番組は伝えていた。要は、家庭が貧しく成績の良くない生徒に軍隊がアタックをかけるのである。

これはひとごとではない。教育カイカクは、マーガレット・サッチャーが先鞭をつけ、それがアメリカや日本に影響を与えたものであり、日本でも安倍晋三や平沼赳夫、それに先日国交相を事実上首になった中山成彬らは、ことのほか教育カイカクに熱心だ。日本でも、全国学力テストが昨年から実施されているが、実施を決定したコイズミ内閣で文科相を務めていたのが中山だった。

そして、自衛隊が貧困層の若者にスカウトをかけているのも周知の通りで、湯浅誠さんの「もやい」にも自衛隊の募集担当者が積極的なアプローチをかけてくることを、8月13日付「kojitakenの日記」で紹介した。リンク先では、湯浅さんの著書からの引用もしているが、湯浅さんが指摘しているように、憲法第9条(戦争の放棄)と憲法第25条(生存権)は、切り離して論じることはできない。軍隊は、必ず貧困層に狙いをつけてくる。それは、昔も今も変わらない。

憲法9条と25条を切り離して論じることができないことの裏返しになるが、ネオコン(新保守主義)とネオリベ(新自由主義)も切り離して論じることはできない。国家主義偏重の極右と経済効率偏重の新自由主義者は、時に鋭く対立はするけれども、それは同一党派内の路線闘争に過ぎない。そして、ブッシュ政権は、いうまでもなくネオコンにしてネオリベであり、アメリカの中産階級をやせ細らせ、恐ろしいまでの格差社会を現出させた。この番組の終わりの方で、金融機関の救済に怒るアメリカ人たちが映し出されたが、怒って当然ではある。だが、「産業の血液」といわれる金融が不全になると、経済自体が死んでしまうので、公的資金の注入はどうしても避けられない。

しかし、とにもかくにも、アメリカはオバマを次期大統領に選んで、社会の再建に踏み出そうとすると思う。過去の歴史においては、日本はアメリカより一足早く大恐慌から脱出しながら、1931年の満州事変や1933年の国際連盟脱退など、外交・軍事面で次々と誤りを犯していって、1945年までの十五年戦争という愚行に至った。

麻生太郎や安倍晋三には同じ危険な匂いがする。彼らは、反中反韓だが、今後の世界情勢によっては反米にも舵を切りかねない(但し、麻生太郎は安倍晋三ほどの馬鹿ではないとは思う)。平沼赳夫に至っては、すでに反米に舵を切っており、平沼一派が政権に加わった場合、今以上に危険な政権ができる可能性がある。小沢一郎の国連至上主義にも問題は多いし、ISAFへの自衛隊派遣など論外だが、それでも反中反韓反米よりはマシだ。こんな究極の選択を迫られるとは不愉快千万ではあるけれど、ここまでどうしようもなくなった政治をよくしていくためには、気の遠くなるような長い道を一歩一歩進んでいくしかないだろう。

少なくとも、「歴史に学べない民族」の汚名だけは着たくないものである。


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ロイターによると、

米民主党の大統領候補指名争いは3日、オバマ上院議員が指名に必要な代議員数を獲得し、対立候補のクリントン上院議員を退けて勝利した。米国の主要政党の代表として黒人候補が大統領選に臨むのは史上初めて。

とのことだ。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-32090620080604

バラク・オバマ氏がはじめて民主党の党大会で「黒人のアメリカや白人のアメリカ、ラティーノのアメリカ、アジア系のアメリカがあるわけではなく、ただアメリカ合衆国があるだけだ」と演説して脚光を浴びたのは2004年のことだ。ブログ 「Beyond Words」 がこの時の演説を和訳している(下記URL)ので、興味のおありの方は参照されたい。
http://d.hatena.ne.jp/krhghs/20080421/p1

この演説から4年、当ブログが昨年2月7日のエントリ "次期米大統領は初の女性か黒人か?" で初めてオバマ氏を取り上げてから1年4か月、ついにオバマ氏が民主党候補者になったのだが、昨年記事を書いたときにはここまでたどり着く可能性は2割くらいかなと思っていた。正直、ヒラリー・クリントン氏に勝つとは予想していなかったのである。だが、米民主党員はクリントンと比較してもよりリベラルなオバマを選んだ。それだけアメリカを変えなければならないという思いが強いせいなのだろうと思う。

長引いた選挙戦が災いして、今年初め頃はオバマ、クリントンどちらが勝とうとも大統領選は民主党が圧倒的に有利と見られていた状況が変わり、現段階では五分五分とされている。感情的になったクリントン支持者の中には、「大統領選では共和党のマケイン氏に投票する」と公言している人たちもいるし、仮にクリントン氏が勝っていたら、オバマ支持者に同様のことを口にする人たちが出てきただろう。しかし、民主党候補が確定した今後は、再びオバマ氏がマケイン氏との差を広げていくのではないかと私は予想している。

そうなると、またぞろ日本のマスコミが「オバマ発の恐慌」とか言い出すのだろう。自民党政権は、特にコイズミ以降米ブッシュ政権の言いなりというより、ブッシュの狂ったような戦争路線を利用して、日本を「戦争のできる国」にするための既成事実を着々と積み重ねていった。オバマが勝ってアメリカが政策を転換した場合でも、自公政府がマスコミなども利用して事実上煽ってきた反中反韓の流れは、一朝一夕には止められないだろうから、日本は国際的に孤立する恐れも出てくる。さんざん北朝鮮を見下してきたこの国が、北朝鮮と同じような立場に追い込まれる恐れもある。

小沢民主党も、平沼赳夫ごときとの連携を模索しているようではどうしようもない。何度も何度も書くが、平沼が5月11日のフジテレビ「報道2001」で吼えた反中プロパガンダは、実にひどかった。特に、パンダの「ランラン」(笑)が謀殺されたという説を紹介するにいたっては笑止千万だった。

つい最近になって知ったのだが、この下品なパンダ謀殺説の言いだしっぺは勝谷誠彦らしい。勝谷が5月7日のTBSラジオでパンダ謀殺説を流し、5月9日には産経新聞が藤原正彦の「リンリンの死んだタイミングが良すぎることが不可解だ」というコメントを報じ、5月11日に平沼赳夫がフジテレビでしゃべったという流れだ。勝谷誠彦、藤原正彦、平沼赳夫の三人を、当ブログは「バカのトライアングル」と名づけたい。こんな下品な人たちが国士気取りだなんて噴飯ものだし、そんなやつとの連携を検討している民主党も大バカだと思う。

当ブログの平沼批判には賛同されない読者が多いのだが、反中感情を煽り、ゴリゴリの改憲指向にして復古主義者である平沼一派と民主党の連携は、当ブログは間違っても支持しない。私にとっては、譲ってはいけない一線を完全に超えるものだ。小沢・平沼連立政権では日本は変われない。平沼が政権に加わるくらいなら、現在の福田政権が続いたほうがまだマシだと思う今日この頃なのである。


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注目の米大統領選候補者指名レースのヤマ場、「スーパーチューズデー」は、共和党が負け因子、もといマケイン氏が大きく前進する一方、民主党はヒラリー・クリントン氏が8州、バラク・オバマ氏が13州を制した。勝利を収めた州の数ではオバマ氏が勝るが、クリントン氏はニューヨークおよびカリフォルニアの大票田を制し、数の上ではなお優位に立っている。しかし両者の決着はつかず今後に持ち越しとなった。

これは、共和党にとってはいやな展開だろう。クリントン・オバマ両氏の争いが熾烈になればなるほど、共和党候補の存在感が薄れていくからだ。

当ブログはオバマ氏支持を表明しているが、今日はその立場を離れて、15年前の思い出話から始めたい。

15年前、私はアメリカ・カリフォルニア州に滞在していた。アメリカのTVニュースは、英語がよく聞きとれないので、半分も理解できなかったが、当時話題になっていたニュースを思い出してみた。

2000年の五輪開催が、北京とシドニーの熾烈な争いの末、シドニーに決定したこと。ロシアで保守派とエリツィンが衝突し、「ホワイトハウス」(ロシア語では「ベールイ・ドーム」)に立てこもった保守派を、エリツィンの指令を受けた政府軍が攻撃したこと。カリフォルニアで大規模な山火事があり、飛んできた灰が車に付着していたことなどを覚えている。当時のことを思い出そうと、「カリフォルニア 山火事 1993」という検索語でGoogle検索をかけたところ、なんと「カナダde日本語」 の下記記事が筆頭で引っかかった。
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-642.html

これは、昨年のカリフォルニアの山火事の記事だが、例年秋になるとカリフォルニアではよく山火事が起きるようだ。カナダで思い出したが、1993年のメジャーリーグベースボールのワールドシリーズで、トロント・ブルージェイズが2連覇を達成したのだった。この年、カリフォルニアではサンフランシスコ・ジャイアンツが頑張っていて、昨年薬物疑惑で悪名を轟かせてしまったバリー・ボンズが売り出し中だったが(私はこのアメリカ滞在時にボンズの名前を覚えた)、ジャイアンツは同じカリフォルニアのロサンジェルス・ドジャースにシーズン最終戦で敗れて、地区優勝をアトランタ・ブレーブス(東部のチームなのに、なぜか当時西地区に所属していた)に譲ったのだった。

それから、アメリカではおなじみの、銃の乱射事件などもニュースになっていた。しかし、私がアメリカ滞在中、もっともTVニュースに登場する頻度が高かったのが、ビル・クリントン大統領が初年度に掲げた「医療保険改革」だった。クリントンが「医療保険改革問題特別専門委員会」の委員長に任命したのが、妻のヒラリー・クリントンだった。アメリカの電波メディアは連日、このクリントン医療改革構想を大々的に報じていた。

しかし、Wikipediaの 「ヒラリー・クリントン」 の記述を借りると、「アメリカ医療保険制度の抜本的改革となりかねないこの計画は、保険会社や製薬会社、中小企業などによる大規模な反対活動にあい、民主党多数議会をもってしても支持を得ることができず、結局翌1994年に廃案となってしまった」。

Wikipediaには、上記の記述に続いて、「これに勢いを得た共和党は、クリントン政権の政策を「急進的なリベラル改革」と位置づけて攻撃、同年の中間選挙では大幅に議席を伸ばして両院で多数となり、行政府と立法府のねじれ現象が生じることになった」とある。当時は新自由主義が勢いを増していた時期だった。もともとリベラルだったビル・クリントンだが、保守化を強める世論に迎合して、徐々にリベラル色を薄めていくことになる。クリントン政権は、経済政策では新自由主義をとった。

今回の大統領選でも、ヒラリー・クリントンは保守層の票を獲得しようと、中道のスタンスをとろうとしたところ、バラク・オバマが「チェンジ(変革)」を合言葉に、よりリベラル色の強い主張を打ち出して国民の支持を獲得し始めた。ヒラリーも、負けじと「本当にチェンジが可能なのは私の方だ」と主張し、現在はオバマとクリントンが「変革」を競う形になっている。7年前の日本で、コイズミ自民党と鳩山民主党が「カイカク」を競う主張をしていたのを思い出すが、当時の日本の二大政党が新自由主義化を競っていたのに対し、今回の米大統領選の民主党有力候補2人は、社会保障を強化し、中産階級を再建する方向性で「変革」を競っている。ヒラリー・クリントンは昨年9月に「国民皆保険を目指す」とした医療制度改革案を発表している。
http://www.asahi.com/international/update/0918/TKY200709180187.html?ref=rss

もちろん日本ではとっくの昔から国民皆保険で、アメリカなんかよりずっと先進的なのだが、コイズミらが進めてきた新自由主義カイカクによって、このすぐれた制度は危機に瀕している。アメリカは、金持ちでなければ十分な医療を受けることができず、関岡英之の言い回しを借りれば、病気にかかることは「人生の破局」を意味する。そんな新自由主義の国を変えようとしているのがバラク・オバマであり、クリントンもオバマと「変革」を競おうとしている。少し古いが、ネット検索で見つかった毎日新聞の1月15日付社説を紹介しておく。

"米大統領選 「チェンジ」の叫びが聞こえる" (毎日新聞 2008年1月15日付社説)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/2008/01/20080115ddm005070030000c.html

よく、アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引く、などと言われるが、日本でも昨年7月の参院選の結果は、「生活重視」を掲げた民主党が支持され、改憲イデオロギーにばかり固執して経済政策ではコイズミの新自由主義を無批判に踏襲した安倍晋三率いる自民党が惨敗した。つまり、アメリカ人も日本人も「変革」を求めている。これに対し、似た言葉だが実は全く正反対の方向性を持つのが、コイズミや竹中平蔵らの「カイカク」である。「変革」は英語ではチェンジだが、「カイカク」はリフォームであり、両者は似て非なるものであることに注意しなければならない。しかし、日本での現状は、「変革」を求める民意に危機感を強める「カイカク」派がこのところ猛反撃しており、よみうりテレビ(大阪、「ウェーク・アップ!」や「たかじんのそこまで言って委員会」の制作局)やテレビ朝日などのテレビ局がこれを大々的に応援している。マスコミ、特に社員の給料が極端に高い東京や大阪の民放局がこういうスタンスをとるのは、彼らにとって新自由主義は都合が良いからだ。

当ブログは、こういう日本のマスコミの欺瞞を断固として批判し、アメリカ大統領選指名争いにおけるバラク・オバマとヒラリー・クリントン両氏が「変革」を競っている現状を歓迎するものである。
2008年は閏年で、アメリカ大統領選挙や夏季オリンピックのある年だ。
アメリカの大統領選では、8年ぶりに共和党から民主党へ政権交代があるかが注目される。昨年、フランスで親米のサルコジ政権、韓国では保守ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)政権が誕生したが、アメリカではもうだいぶ前からブッシュ政権がレーム・ダック化しており、日本でも参院選で自民党が大敗し、自民党政権の終わりが見えてきている。

韓国の政権にしても、金大中、盧武鉉の左派政権は、経済政策では新自由主義をとって国民生活を苦境に追いやった。そのあと、田中角栄の列島改造論を思わせるような政策を掲げる李明博が大統領になったが、果たしてうまくいくだろうか。あまり明るい展望は持てないように思う。

やはりもっとも注目されるのはアメリカの大統領選だろう。近年では1977?81年のカーター大統領、1993?2001年のクリントン大統領が民主党選出の大統領で、1976年にカーター氏が大統領選に勝利した時には、"Jimmy who?" などといわれて新鮮なイメージがあり、日本の新聞もカーター氏には好意的だったと記憶している。時代的には、カーター時代は日本経済の全盛期で、当時話題になった経済書は、ガルブレイスの「不確実性の時代」、ヴォーゲルの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などだった。アメリカでは、自国に都合の悪いことが起きるたびに「日本の陰謀だ」とする陰謀論が流行したという(笑)。

しかし、79年からの英サッチャー政権、81年からの米レーガン政権が取り入れた新自由主義に日本もなびいてしまったのがつまずきの元だった。私はその元凶は中曽根康弘であると考えている。しかし、日本経済は好調だったし、中曽根は現実主義者だったので、日本では新自由主義の経済政策はさほど徹底されることはなかった。しかし新自由主義思想に基づく中曽根政権の民活(民間活力の活用)路線は、バブル経済を招いた。バブルを招いた中曽根の責任も重いが、バブルの後始末の政策を誤って、徐々に新自由主義的カイカクを進めてしまった橋本・小渕両政権の罪も重かった。橋本は消費税率引き上げで不況を招き、小渕は経済よりむしろ戦後民主主義の根幹を壊す戦争志向の諸法案の成立で、日本の政治をおかしくしてしまった。その間、アメリカから日本にプレッシャーをかけ続けたのがクリントン政権だった。本来決して右派的ではないはずの米クリントン、英ブレア両政権は、結局前政権(米レーガン?ブッシュ父、英サッチャー?メージャー)の新自由主義政策を引き継ぐしかなかった。だから、ビル・クリントンに対して持っている私の印象は、ジミー・カーターに対して持っているそれとは全く異なり、早い話私はビル・クリントンが大嫌いである。

日本で無能な森喜朗政権に対する国民のストレスがたまっていた2000年、アメリカの大統領選でブッシュが勝った。当時私は、世界平和のためには好ましくないが、経済政策に関しては民主党政権の方が手強いから、アメリカがブッシュならむしろアメリカに対して巻き返せるのではないかと思ったのだが、対米隷従主義者のコイズミが日本の首相になってしまい、その読みは狂ってしまった。コイズミ政権は、日本で初の本格的新自由主義政権となって、国民生活を痛めつけたのである。せっかくアメリカがアホのブッシュなのに、日本がそれ以下のコイズミや安倍晋三ではどうしようもない。政治家の程度は民度を映す鏡というが、ブッシュを8年も大統領にしたアメリカもひどいが、世襲でないと総理大臣になれなくなってしまった、「階級政党」自民党を延命させ続ける日本はもっとひどい。それにしても、2000年の米大統領選でアル・ゴアが勝ち、年末に加藤紘一が乱心を起こさなかったなら、日本の社会は現在とは全く異なるものになっていたのではなかろうか。

30年前にも、自民党は金権腐敗をずいぶん批判されたが、田中角栄、三木武夫、福田赳夫、大平正芳、それに(鈴木善幸をはさんで)中曽根康弘と、一通り政権の座に着いた実力者たちに世襲の政治家はいなかった。みな実力で総理の座をつかんだ。「頑張った者が報われる社会を」と安倍晋三はよく言っていたが、それはこの時代の自民党にこそ当てはまり、90年代以降の自民党には全く当てはまらない言葉だ。良くも悪くも「国民政党」だった自民党は、いつの間にか「階級政党」へと変わり果ててしまった。民主党は自民党と同じような政党だとよくいわれるが、両者のもっとも大きな違いは、民主党はまだ(支配する側の)「階級政党」にはなっていないことだろう。たとえば同じ新自由主義者でも、前原誠司は世襲政治家ではない。

それでアメリカの大統領選の話題に戻るのだが、注目のアイオワ州の党員集会で、共和党は右派のハッカビー、民主党は左派のオバマが勝った。私はもちろん大統領選では民主党の候補者に勝ってほしいが、その中でもヒラリー・クリントンではなくバラク・オバマに勝ってほしい。オバマはヒラリーよりリベラルだし、もしヒラリーが大統領になったら、1989年以来、アメリカの大統領選はブッシュ父子とクリントン夫妻によって24年間も寡占されることになってしまうからだ。これを、二大政党制ならぬ二大王朝制だ、と評する人たちもいる。

加えて、私は昨年2月にオバマに関する記事を書いたことがある。毎日新聞の報道を紹介したあと、オバマをほめて安倍晋三をけなしただけの他愛もない記事だが、「バラク・オバマ」を検索語にしてネット検索すると、上記の記事が比較的上位で引っかかるらしく、この検索語で当ブログを訪ねてくださる方がたまにおられる。そんなことも、私がヒラリーよりオバマをひいきにする理由の一つだ。

しかし何にせよ、ヒラリーとオバマには今後熾烈な候補者争いを展開してほしいと思う。両者の争いが激しくなればなるほど、大統領選で民主党候補が勝つ可能性が増す。米民主党は、新自由主義政策の見直しを志向している。その民主党の中でもオバマは最左派なので、あまりに左寄り過ぎて共和党候補に票が逃げていくと懸念する向きもある。だが、日本の政治に与える影響を考えた場合、ヒラリーよりもオバマの方がコイズミや安倍からの距離が遠い。劇的な変化を好まない日本人の背中を後押しする意味でも、オバマはインパクトが強い。

以前は、経済政策ではより日本を苦しめたのは共和党より民主党のほうだ、とずっと思ってきた。しかし、1981年にレーガンが大統領になったから82年に中曽根が民活路線を始めたのだし、2001年にブッシュJr.が大統領になったからコイズミが極端な新自由主義カイカクを始めたのである。日本の新自由主義化は、この2度の民主党から共和党への政権交代をきっかけにしている。日本政府の対米隷従は今に始まったことではないが、より日本経済に大きなダメージを与えたのは共和党政権だった。あの印象の悪いビル・クリントンの政策も、共和党政権の新自由主義を継承したからとられたのだと気づいたのは、比較的最近のことである。日常的には共和党政権の方が親日的に見えるのだが、肝心かなめの経済政策の基本については、やはり共和党政権のそれは日本経済とは相性が悪い。

アメリカが変われば日本も変わる。解散総選挙がいつになるかはわからないが、町村官房長官の更迭もできない福田康夫政権に、簡単に解散のカードが切れるとは思えない。解散は早くとも9月以降ではないかと私には思える。自民党のダメージを極小にするには、解散は早ければ早いほうが自民党にとっては好都合なのだが、それでは与党の3分の2の議席を失ってしまって手詰まりは解消できない。朝日新聞などは、元旦の社説で、衆院選で民主党が負けたら参議院での多数を振り回すなと主張していたが、早期の解散は自民党・民主党の双方にとってメリットが全くないので考えにくいのである。しかし、アメリカの大統領選の帰趨が見えてきたら、それに応じて日本がどういう針路をとればよいのか、政治家たちも方針を固め始める。そして、新自由主義指向から福祉国家指向へと転向した方が良いと判断した政治家は、かつて軍国主義者から民主主義者に転向した人たちのように、素早い変わり身を見せるだろう。

前記朝日の社説は、連立などがあってもそれは総選挙のあとにすべきだと主張している。それは正論だが、おそらくそうはなるまい。選挙をやる時には、既に新しい政権のスキームははっきりしているのだ。1993年の細川政権成立前の総選挙はそうだった。今回もおそらくそうなる。総選挙は、新しい枠組みを追認する儀式のような性格を帯びるだろうと私は予想している。日本国民の声が国政に及ぼす力は、まだまだ小さい。


[参考記事]

「カナダde日本語」 ? 「米大統領予備選: 「アメリカの底力」by冷泉彰彦」
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-724.html


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