きまぐれな日々

このところ、産経新聞の花岡信昭記者がネットで話題になっている。沖縄で起きた米兵による女子中学生暴行事件や、イージス艦が漁船を沈めた事件に関して、暴言を書き散らしたからだ。

私にとっては、産経新聞の記者がめちゃくちゃな記事を書くのは当然至極のことで、特に驚くにはあたらないので、これまで花岡批判には深入りしなかったのだが、同様にかなり遅れてから花岡の愚論をまとめた 「たんぽぽのなみだ〜運営日記」 の記事がよくまとまっているので、これにリンクを張っておく。

「たんぽぽのなみだ〜運営日誌」より 「花岡信昭」
http://taraxacum.seesaa.net/article/88940836.html

最初はあまり興味のわかなかった花岡だが、思考パターンに面白い傾向があることがわかってきたので、ちょっと興味を持って、Wikipediaを調べてみた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E5%B2%A1%E4%BF%A1%E6%98%AD

まず、下記の記述に爆笑してしまった。

2006年には「モーニング娘。」が日本語を壊したとのコラムをホームページにアップした。また「歌もダンスも下手だ」と記述していたため、ファンから「よく調べもせず断定的にイメージだけで攻撃している」と強い反感を買い、ホームページが炎上し現在閉鎖されている。(ドメイン自体はアフィリエイト業者に買われ、現在はSPAMサイトとして稼動している。)

HPに不用意なことを書いて炎上し、ドメインが買われてSPAMサイトと化しているとは!!!
日経BPのコラムで、「常識的判断と沈着冷静な報道スタンス」が必要だとご高説を垂れておられる大記者の行状とは信じられない。

さらに驚いたのは、一昨年月刊 「WiLL」 に、社民党の土井たか子元党首について、「土井氏は知る人ぞ知ることではあるが、本名『李高順』、半島出身とされる」と書いて、昨年土井氏が出版社を提訴したのだが、その記事を書いたのが花岡だったことだ。

この提訴の件は、朝日新聞のサイトで報じられて知ったのだが、「きまぐれな日々」で取り上げるつもりだったのが、機を逸して記事にし損ねた思い出がある。だが、現在ではリンクの切れている当該の朝日新聞記事を、「kojitakenの日記」 に記録しておいた(下記URL)。但しそれには、「WiLL」の記事が花岡の手になるものだったことは記載されていない。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20070425/1177520853

だから、このヨタ記事をまさか自称「全国紙」の元政治部長さまが書いていたとは、想像もつかなかったのである。だが、Wikipediaには花岡が書いたと書かれているし、ネット検索で他の情報に当たってみても、間違いなく花岡が書いたもののようだ。

つまり、花岡は情報の裏を取るという、私のような門外漢でも知っているジャーナリストのイロハさえ実行しておらず、あやふやな伝聞をあたかも事実であるかのように書き散らす、そこらのネット右翼と同じような人間だということだ。

私は安倍晋三について、ネット右翼が政治家をやっているような男だなあと前々から思っていたが、同様に花岡信昭はネット右翼が「全国紙」の政治部長を務め、今また同じ社に舞い戻って「客員編集委員」になったような人物なのだ。こんな人物が新聞記事を書いているとは。この世の現実とは信じたくない思いだ。実体が何もなく、空虚そのものの産経新聞社という会社がこの世に存在していることに、背筋が凍りつく今日この頃である。


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岩国市長選の投票が締め切られた直後に起きた沖縄での米兵による女子中学生暴行事件には、選挙結果と合わせて、どうにもやり切れなさを感じる。ここまでされて、なおアメリカに隷属して生きなければならない日本とはいったい何なんだろうか。

さて、2月2日付エントリで、朝日・日経・読売の大手新聞三社が始めた共同運営サイト「新s あらたにす」を批判したが、私が気になるのは、これら以外のジャーナリズムだ。朝日・日経・読売及びその系列放送局を除くと、毎日新聞、TBS系の放送局、共同通信及び地方紙、NHK、それに右派のフジサンケイグループなどが思い浮かぶ。

朝日・日経・読売の三社連合は、「言論の戦い」を標榜しているが、いずれも新自由主義に傾斜していると私は考えている。これに対し、NHKは昨年末に放送された「ワーキングプアIII」などの優れた番組で、新自由主義に警鐘を鳴らした。手前味噌だが、「ワーキングプアIII」を検索語にしてGoogle検索をかけると、当ブログが5番目に検索された。但し、「I」を3つ並べた「III」の代わりに、機種依存文字であるローマ数字を検索語に用いると引っかからない。かつては、ローマ数字の全角文字は、Macなどでは読めないから使うなと言われたものだが、現在ではどうなのだろうか。

しかし、頑張っていたNHKも、安倍晋三の息のかかった新会長の就任によって、今後もこれまでのような報道ができるかは大いに疑問だ。私はこのことが非常に気になる。

もう一つ気になるのが毎日新聞だ。「あらたにす」発足前後から、リベラル色を失いつつある朝日新聞に対し、このところ毎日新聞の思い切った主張が目立つように思う。

この新聞社は、社内に右翼から左翼まで幅広い意見が存在するのだが、ことに大阪府知事選関係では、大阪社会部などによる思い切った橋下知事批判の記事がよく載る。

2月9日付の大阪本社版に載った記事「発信箱:テレビと新知事=松井宏員」(下記URL)には、4件の「はてなブックマーク」がついている。最初のブックマークをつけたのは私だが。
http://mainichi.jp/kansai/osakaprefelection/news/20080209ddn002070007000c.html

発信箱:テレビと新知事=松井宏員

 最近、テレビ局のプロデューサーの話を聞く機会があった。やっぱりそういうことか、とうなずいたのは、ワイドショーなどのコメンテーターについてだ。

 「政府擁護の人が多いのは、政府・与党からの批判を恐れているから。東京では番組がチェックされている。バランスを取ったように見せかけるため、政府に批判的な人も入れるが、論戦に負けそうな人を選んでいる」

 6日、大阪府知事に就任した橋下徹氏が、タレント弁護士として数多くの番組に引っ張りだこだったわけが、ここにある。番組でのかつての発言を問われて、「話芸だった」と釈明した橋下氏の言葉は、コメンテーターが言論人ではなく、「電波芸人」であることを図らずも示した。

 就任前から物議をかもす発言を連発した新知事もさりながら、気になるのはテレビ局のスタンスだ。当選が決まった夜、収録済みで未放映だったレギュラー番組を早速流した局や、選挙戦の模様などを交えて、手腕が未知数の新知事をヒーロー扱いする特集を組んだ局もあった。

 3日のテレビ欄(関西地区)には、「橋下知事」の名前が躍る番組が五つもあった。いずれもバラエティー系。旬の人だから視聴率が取れるのだろうが、テレビが応援団と化したかのようだ。

 新知事に対する身内意識が潜んではいまいか。今後もテレビ出演は続けるという新知事だが、失政をおかした時、テレビはあくまで応援団でいるのか、それとも昨年のボクシングの亀田一家のように、手のひらを返してバッシングに走るのだろうか。(社会部)

毎日新聞 2008年2月9日 大阪朝刊

いたって常識的な橋下批判だが、大阪発行のスポーツ紙にはこの常識は通用しない。毎日新聞の系列スポーツ紙である「スポーツニッポン」を含む大阪の全スポーツ紙は、府知事選の最中、強力な橋下徹の宣伝媒体と化していた(当地でもそれらは読めるので、私はよく知っている)。そんな大阪のマスコミ状況を念頭に置くと、この毎日新聞の記事は言うべきことをガツンと言ってくれた痛快なものなのだ。橋下徹が東京局制作の番組を含むテレビの売れっ子なのは、橋下の主張が政府寄りだからだ、とはっきり指摘している。

それにしてもひどかったのは大阪のスポーツ紙で、その橋下への肩入れぶりは異常の一語に尽きた。彼らは、普段は阪神タイガースの提灯持ち記事を書くのを生業としているが、最近、憎たらしいネット右翼に、妙に阪神ファンが多いことが気になる。

毎日新聞の大阪府知事選報道の話題に戻ると、2月6日付の「記者の目」で、やはり大阪社会部の犬飼直幸記者による橋下批判記事が掲載されていると聞いた。それで、ネット検索してみたら、既にリンク切れだったが、「まいまいクラブ」で読むことができる。
https://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/weblog_eye103/index.php?date=20080206

「ワイドショー型で知事選圧勝」と題されたこの記事で、犬飼記者は橋下が政策や政党色を隠して、イメージ戦略だけで選挙に勝ったことを批判している。

これに34件のコメントがついているが、見たところ過半数が犬飼記者の記事を右から批判したものであって、これが府知事選で橋下を圧勝させた大阪人の感覚なのかと思ってしまう。

ともあれ、毎日新聞には、「あらたにす何するものぞ」との気概で頑張ってほしいものだ。


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1月31日、朝日新聞・日本経済新聞・読売新聞が共同で運営する日経・朝日・読売インターネット事業組合は、ニュースサイトの「新s あらたにす」を開設した。
http://allatanys.jp/

月間400万PVを目指しているそうだが、3新聞社が運営しているウェブサイトへのリンクが張ってあるだけのものだ。私はブックマークする気にさえならなかった。

私にとっては、全国の地方紙と共同通信によるサイト 「47news」
http://www.47news.jp/

や、毎日新聞のサイト
http://mainichi.jp/

のほうが、よほど有用だ。朝日新聞が日経や読売と共同運営のサイトを始めると発表したのは昨年だが、それ以来朝日は主張に新自由主義色を強め、政治思想的にも従来のリベラル色が薄まってきたように思う。

たとえば、大阪府知事選で橋下徹が当選したことを受けての社説で、毎日新聞は過去に橋下が行った極右的発言を指摘したが、朝日新聞はこれをスルーした。
毎日新聞 1月28日付社説 「大阪府知事選 タレント知事で終わるな」
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080128ddm005070150000c.html
(以下一部引用)

 橋下氏も官僚出身ではない点は共通しているが、知事になって、一体何をやりたいのか。選挙戦を通して一番肝心なそこが明確に伝わらなかった。
 タレント時代には、核武装を主張したり、山口県光市の母子殺害事件で被告弁護団の懲戒請求を呼び掛けるなどの過激な発言が批判を浴びた。それを指摘されて「あれは話芸」と弁明したことも記憶に新しい。
 テレビ番組受けする発言で耳目を引くやり方は、知事としては通用しない。タレントではなく、どんな知事を目指すのか、直ちにその行動が問われることを肝に銘じなければならない。

朝日新聞 1月29日付社説 「大阪府知事―言葉は重いぞ、橋下さん」
http://www.asahi.com/paper/editorial20080129.html#syasetu2
(以下一部引用)

 橋下氏の心配なところは、言葉の軽さだ。知事選への立候補が報道されたとき「2万%ない」と否定しておきながら、すぐに前言を翻した。
 当選後には、二重行政の解消などの公約実現を「かなりハードにやる」と述べた。今度は「あれは話芸だった」ではすまされない。知事の言葉の重みを肝に銘じ、新風を吹き込んでほしい。

両者を比較してみたらわかるように、朝日の社説は橋下の「言葉の軽さ」は批判しているが、その内容は批判していない。

もちろん、朝日にも良いところがあって、2月1日付の社説 「教育再生会議―安倍氏と共に去りぬ」 で、
 安倍氏が熱心だった徳育の教科化は、最終報告の提言にも盛り込まれている。だが、文科省も中央教育審議会も消極的で、見送られる公算が大きい。
 時の政権の影が色濃ければ、その行く末も政権とともにあるものだろう。福田政権になって、文科省や官邸はすっと距離を取り始めた。これに対し、委員からは不満や恨み言が聞かれた。
 しかし、どうだろう。提言そのものに力があれば、旗振り役の安倍氏が去っても、その提言は世論の支持を得たのではないか。結局、提言には見るべきものがなかったということだろう。
と、歯切れよく前首相・安倍晋三が主導した教育再生会議をネガティブに総括しているのは評価できる。ただ、本当は教育再生会議には、「見るべきものがなかった」どころか、きわめて危険な方向性を持っており、それを批判してほしかったのだが、今の朝日にはそこまで期待できない。しかし、この件を取り上げていない毎日新聞よりは評価できる。

本当は、朝日と日経・読売なんかの比較ではなく、リベラル寄りとされる朝日・毎日・中日(東京)の3紙の社説を比較して、いずれの主張にもっとも見るべきものがあるかと比較したいところだ。現状では、中日>>毎日>朝日の順番だと思う。昨年2月、朝日新聞はしきりに民主党の菅直人に東京都知事選出馬を促していたが、もしあの時菅氏が出馬していたら、民主党左派は壊滅的打撃を受け、参院選での民主党大勝もなかったのではなかろうか。

朝日新聞は、「あらたにす」を宣伝する1月31日付の社説 「あらたにす発足―言論の戦いを見てほしい」 で、
 現代の新聞の主張にも、驚くほど違っていることが少なくない。例えば、読売は自ら改憲案をつくって憲法改正の旗を振るが、朝日は現行憲法、特に9条を活用することを基本と考えている。イラク戦争、靖国問題などでも、多くの新聞がさまざまな論を張ってきた。
 比べて読めば、それぞれの主張が立体的に浮かび上がる。どちらに説得力があるかは読者が判断する。
と主張するが、こと経済政策に関しては、この3紙はいずれも新自由主義推進の立場に立つ。中でも、朝日は日経と主張の先鋭性を競い合っており、この点に関しては読売は比較的穏健だ。残念ながら毎日新聞も読売に近く、新自由主義推進の立場をとる。朝日・毎日は、「改革」のポジティブな語感に未だに引きずられているように、私には見える。読売・産経が政治思想面から、朝日・毎日・日経が経済思想面からコイズミを支持したのが、日本を「ぶっ壊した」コイズミ内閣を5年半も持たせてしまった原因だと私は考えている。

テレビや経済雑誌(「週刊東洋経済」 1月12日号の北欧特集=1月10日付エントリ参照)などでは、新自由主義を批判し、社会民主主義に光を当てる報道が現れ始めているのに、新聞が未だに「カイカク」マンセー一本槍というのは、健全な言論状況とはいえない。社内における言論の自由度が大きいといわれる毎日新聞あたりには、新自由主義支持の記事が混ざっていてもかまわないから、鋭く新自由主義を批判する記事も現れてほしいものだと思う。

とにかく、より多様な言論が戦いを繰り広げるようになってほしいものだ。その意味では、リベラル・平和系といわれるブログが馴れ合って、互いの批判を許さないような「空気」を作ったりしている状況は、言語道断だといえる。


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テレビ朝日の「サンデープロジェクト」で、先週に引き続き「限界集落」の特集が放送された。
これに関しては、先週TBをいただいた 「大津留公彦のブログ2」 から、今回もTBをいただいており、その記事がとてもよくまとまっているので、是非皆さまにも下記URLをクリックしてご参照いただきたい。
http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/2_3122.html

今回は、都市部でも「限界集落化」が見られる例として、東京の多摩ニュータウンが取り上げられ、大阪の千里ニュータウンも引き合いに出されていた。
そこでネットで調べてみたら、「多摩ニュータウンタイムズ」 の2001年11月1日付の記事で、多摩ニュータウンの衰退が次のように指摘されていた。
http://www.tamatimes.co.jp/article/date/2001/11

三十周年を迎えた多摩、稲城両市

 多摩市も稲城市も今日市政三十周年を迎えた。
 両市の三十年間は多摩ニュータウンの開発に明け暮れしてきたが、これから安定期を迎えようとしている。
 ところが高度成長期をすぎて景気の低迷するなかで税収の落ち込みも激しく、やがて二、三年後には赤字財政になることは火を見るより明らかな状況にある。にもかかわらずその対応に着手した様子は見られない。このままでは市民の負担増は避けられない。そうなれば住民は物言わず他市に出ていってしまうだろう。住民が居なくなる街に将来の希望はない。生活援助を受ける人や老人は残るが税収をもたらす稼ぎ人の若者は出て行き街は衰退していくだろう。
 多摩ニュータウンがいま衰退に向かっていることは住民のだれしもが感じているところである。
 多摩ニュータウンを東西に走る京王相模原線は昨年特急電車を廃止し、もう一つはこの街からデパートが撤退したことである。
 多摩ニュータウンから特急電車が消えたのは、この街が衰退していることを物語っている。百貨店の撤退もただ単に商業施設が無くなったという事だ けの問題ではない。百貨店を取り巻く様々な市民文化が消えてしまったことになる。
 その外にも多くの撤退局面も見受けられる。行政も厳しい社会情勢を住民に知らせ住民を甘えさせてはならない。地域のことや隣近所のことは住民同士お互い助け合って解決し行政ばかりに頼るな。行政も住民への負担を軽減するために最大の力を注ぐべきである。そのために議会は税金の使い道を徹底してチェックし、少しの無駄使いでも見逃してはならない。
 同時に地域の活性化を図る上で現在東京都や都市基盤整備公団の抱えている未利用地活用の如何によってはニュータウン再生の原動力ともなる。関係各市はこの未利用地を施行者が撤退の置き土産として自治体に権限を委譲させるべきである。永い間にわたり維持してきた旧地主から法律によって強制的に買い上げたもので、その目的を達する事の出来なかった用地は地元住民に還元すべきが筋であろう。この事を三十年の節目に当たって要望する。

(「多摩ニュータウンタイムズ」 2001年11月1日付記事)


2001年の時点で京王線の特急が停まらなくなり、デパートが撤退したのだそうだが、この記事が書かれてから6年、ニュータウンの衰退はさらに進んでいるはずだ。「ニュータウン 衰退」を検索語にしてネット検索をかけると、確かに多摩と千里のニュータウンについて書かれたものばかりが引っかかる。商店街にはシャッターが下りた店が多く閑散としている。90年に大店法の運用の規制が緩和されて以来、地方都市でよく見られるようになった光景が、多摩ニュータウンでも見られる。

番組では、「平成の大合併」によって独自の町作りをやめてしまって町が衰退した例なども取り上げられていた。

また、「限界自治体」とされて先週の番組でも取り上げられていた高知県大豊町で、路線バスの廃止に伴ってお年寄りが町の中心に行くのにタクシーを使わざるを得なくなり、このままでは受給されている年金では生活が苦しいと訴えていたのが印象に残った。しかし、路線バスなど公共交通機関の縮小は、何も限界自治体に限った話ではなく、地方都市では普通に見られる現象である。私はかつて関西や関東の大都市圏に長く住んでいたことがあるが、これは都市の住民にはあまり知られていない問題だろう。地方都市においては、「車なしでは生活できない」と言われるのが普通だ。いきおい、高齢者が運転を続けることになり、これによる交通事故も多発している。日本の地方部では、年々お年寄りが生活しにくくなってきているのである。

さて、同じテレビ朝日系で午後2時からは「ザ・スクープ・スペシャル」が放送された。今回は、消えた年金問題と、「きっこの日記」の読者にはおなじみの高知県白バイ隊員事故死事件の「冤罪裁判」が取り上げられた。後者は、当ブログ管理人の地元放送局・瀬戸内海放送(岡山・香川エリアのテレビ朝日系放送局)が精力的に報道していながら、ブログ管理人は「きっこの日記」によってこの件を知ったという体たらくだった。その後、瀬戸内海放送のウェブサイトや同局の夕方のニュースを見るようになったので内容は承知していたが、全国的にはさほど知られていないかもしれないこの件が、全国放送で紹介された意義は大きい。事件や裁判の詳細については、下記リンク先をご参照いただきたい。

「きっこの日記」より

  「またまた警察のデッチアゲ!」 (10月22日)

  「続・またまた警察のデッチアゲ!」 (10月27日)

  「続々・またまた警察のデッチアゲ!」 (10月29日)

  「高知の冤罪事件」 (10月31日)

テレビ朝日ウェブサイトより

  「ザ・スクープ・スペシャル」

番組キャスターの鳥越俊太郎さんは、刑事裁判には「疑わしきは罰せず」という原則があり、バスが停止していたことを指し示す多くの証言などがある以上、被告を有罪にしてはいけないはずだと指摘していたが、その通りだと思う。上記テレビ朝日のサイトに、明日(12月10日)には動画が配信されるとのことだから、番組を見逃した方は、是非テレビ朝日のサイトにアクセスしてご覧いただきたいと思う。


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今日こそは防衛利権の闇について取り上げようと思っていたら、いきなり山田洋行元専務の宮崎元伸容疑者(69)が東京地検特捜部に業務上横領容疑で逮捕されてしまった。

新聞も一面トップで報じていることでもあり、雑誌記者が先週行った取材に基づく雑誌記事を紹介するのは今日は見送ることにする。この件は当然守屋武昌の逮捕に進展するだろうし、検察はその先にいる久間章生や額賀福志郎も射程にとらえているかもしれない。ただ一つだけ指摘しておきたいのは、防衛利権は従来旧竹下派の利権だったのを、コイズミが守屋武昌を使って防衛利権から竹下派をシャットアウトしようとしていたことだ。だから津島派の石破茂は守屋をかくも敵視するし、守屋がコイズミ人脈だからこそ福田康夫も守屋を切り捨てようとしているのではないかと思う。そして、ほとんどあり得ないとは思うが、この件が大疑獄事件に発展してコイズミの逮捕にまで至れば、日本の政治は大きく変わるだろう。残念ながら、安倍晋三にはあまりつながらないと思う。また、コイズミと親密なはずの小池百合子が守屋とドンパチやったのは、たぶん石破茂あたりにそそのかされたもので、小池としては得点をあげるつもりがとんだ藪蛇だったのではなかったか。

ロッキード事件での田中角栄逮捕は、三木武夫が首相だったからこそ実現した。田中の逮捕や起訴がアメリカの陰謀だったという俗説は立花隆に否定されているが、三木らの政治的思惑なくしては実現しなかったことも確かだ。今回も、福田康夫の腹一つで捜査の展開は大きく変わってくると思う。

それにしても、宮崎元伸の逮捕によって、宮崎を証人喚問することができなくなってしまったなあと思っていたところに、「きっこの日記」 が、「強欲ジジイの茶番劇」と題する記事の末尾で、
つまり、今回の茶番劇は、ナベツネっていう、たった1人の強欲ジジイの書いたシナリオに与党と野党が振り回されてたってことで、あたし的には、今すぐに、ナベツネを国会で証人喚問して欲しいと思う今日この頃なのだ。
と書いた。また、ナベツネらの「大連立」の策謀がどうしても腹に据えかねる当ブログ管理人は、裏ブログ 「kojitakenの日記」 に、
日本をダメにしようとしているのが中曽根康弘、渡邉恒雄、森喜朗の「老害三兄弟」であることなど、いまや誰でも知っている。
と書いた。

すると、宮城ヤスヒロさんのブログ 「なごなぐ雑記」 に、ありがたくもこのフレーズに反応していただき、「老害3兄弟」 という傑作なエントリが掲載された。

老害三兄弟

これは、宮城さん作成の画像だが、爆笑してしまった。私も誰かに替え歌を作ってほしいと思う。菅直人はシブ〜イ顔をするだろうけど(笑)。

それはともかく、きっこさんや宮城さん同様、私も宮崎元伸の代わりにナベツネを国会で証人喚問して欲しいと思う今日この頃なのだ。


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数日前、舛添要一厚労相が、民主党の長妻昭議員による舛添氏批判を放送したTBSの情報番組「ピンポン!」が「公平な放送を明記した放送法に違反している」と騒いでいたが、舛添の主張は噴飯ものである。

たとえば今回の参院選前のテレビは、やたらと安倍晋三首相の単独インタビューを放送したが、「ピンポン!」が放送法違反なら、田原総一朗が司会をやっているテレビ朝日の「サンデープロジェクト」も当然、放送法違反になる。安倍のやろうとしたことは、大衆を煽動したヒトラーとなんら変わりがない。ただ、あまりに安倍が独善的なバカだったから大衆の支持を得られなかっただけの話だ。

このところ、ホワイトカラー・エグゼンプション法を「家族団らん法」と言い換えようとしたり、与党が検討している高齢者医療費の負担増凍結に難色を示すなど、ネコをかぶってきた舛添が徐々に正体を現しつつあるが、その舛添は、一瞬だけ「安倍改造内閣の支持率を10%上げた男」と呼ばれたことがある。悪相の舛添がどうして、といぶかしく思っていたのだが、ある番組を見てその謎が解けた。

みのもんたの「朝ズバッ!」(TBS)である。

司会のみのもんたが安倍晋三の応援団長役を果たしていたことは、皆さまよくご存知の通りだ。安倍は、12日に辞任表明したあと、泣きながら携帯電話でみのもんたと話したと言われている。最終的にはフジ産経の世論調査でも支持率が20%にまで下がってしまった安倍を、民意に背いてひたすら庇い続けたみのの「朝ズバッ!」こそ、いの一番に「放送法違反」で摘発され、番組中止の処分を受けるべきだと私は思うが、その「朝ズバッ!」が舛添を「正義の味方」のごとく持ち上げていた。つまり、「内閣支持率を10%押し上げた」のは、みのもんたらに簡単に影響される「B層」だったのだ。

みのの一方的なスタンスは、安倍や舛添に対してだけではない。山口県光市母子殺害事件の報道では、みのは一方的に「極刑あるのみ」と声を張り上げていた。当ブログは、8月22日のエントリ「言論が一方向に振れる時 〜 山口県光市母子殺人事件をめぐって」で、この事件をめぐる報道が厳罰主義一方に傾き、死刑制度の是非以前に、検察側の主張する事実関係に怪しいところがあるのに、それさえまともに取り上げないマスコミ報道を批判したが、先頭を切って一方的な報道をしているのがみのの「朝ズバッ!」なのだ。この事件の報道では、情けないことにテレビ朝日の「報道ステーション」に出演している朝日新聞編集委員の加藤千洋までもが、一方的に被害者親族の本村洋さんの主張に寄り添ったスタンスを示していて、カウンターの意見を全然報じないありさまなのだが、これが必ずしも民意を反映しているわけではない。

前記の当ブログ記事は、マスコミ報道に対するカウンターなのだが、この記事に対し、先日来、「カナダde日本語」 の記事 「山口県・光市母子殺人事件: 世論が変わるとき」 経由で350件以上のアクセスを記録している。同ブログは昨日(9月21日)、6,344件のアクセスを記録しているが、アクセス数を押し上げたのは上記の記事だったと推測される。そこからリンクを張られている当ブログにもかなりのアクセスが流れてきた形だ。これは、広島高裁で行われた同事件の差し戻し控訴審の報道によって、この事件への関心が改めて喚起されたためであることはいうまでもない。

もちろん、一方でこの事件に関してひところ厳罰論を唱えて連日大量のアクセスを得た「リベラル系」の有名ブログがあり、同ブログの過去ログが、この事件の報道があるたび、前記「カナダde日本語」どころではない大量のアクセスを集めているのも事実だ。カウンターの言論は、まだまだ少数派でしかない。しかし、マスメディアの報道ほど民意は一方的なものではないと思う。

私は、少数派の意見が顧みられない状態は、民主主義の「死」を招くと考えている。だから、安倍内閣末期のように自分の意見が多数派にある時より、少数派にある時の主張の方により力を入れたいと思う。油断をしていたら、すぐマスコミが世論を一方的に染め上げてしまうからだ。一例が、テロ特措法で認められている海上自衛隊の給油活動に関する報道である。国連決議に給油活動への「謝意」を盛り込ませる工作をしたのは外務省であり、安倍晋三である。安倍が8日にブッシュ米大統領に会った時、ブッシュに泣きついて懇願し、ご主人に最後の恭順の意を示したことが反映されたものなのだ。この明らかな「やらせ」をもとに政府自民党はテロ特措法延長に反対する民主党を批判し、産経・読売両紙や多くのテレビ番組はそれに同調している。しかし、ロシアが決議案採択を棄権するなど、これは決して世界各国の意見が一致を見たものではない。

当ブログはこの件に関しては、アメリカが率先して声高に叫んでいる「テロとの戦い」自体に正当性はないという立場に立っていて、たとえ世界各国の意見が一致したとしても洋上給油には反対なのだが、各国の意見の一致さえ見ていないのだから、前文にほんのちょっとだけ給油活動への「謝意」を盛り込んだ今回の国連決議は「日本政府主導の茶番劇」であるとしか言いようがないだろう。

だが、こんな当たり前の指摘でさえ、マスコミ報道では「少数派」であり、マスコミによって誘導された世論は、徐々に給油活動賛成へと傾きつつある。長年にわたる読売新聞などのキャンペーンによって「憲法改定賛成」の意見が増えていったのも、マスコミによる世論誘導があったからだが、それと同じメカニズムだ。

私は、世論を一色にする傾向があるのがマスメディアの特質であり、それに対して個人が自由に発言できるブログにおいては、できるだけ思ったまま、感じたまま、考えたままのことを記事にして、マスメディアが圧殺しがちな多様性を確保したいものだと日々考えている。


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まもなく「9・11」だが、6年前のテロはアメリカの自作自演だったという説がある。

その真偽のほどはさだかではないし、率直にいってあまり信用していないが、そもそも私は、6年前の「9・11」テロの時すでに「アメリカはテロをやられても仕方のない国だ」という感想を持っていた。クリントン前大統領は、1998年にモニカ・ルインスキーさんとの「不適切な関係」のスキャンダルが報じられて支持率が下がると、アフガニスタンやスーダンに爆撃を行ったが、このニュースを聞いて、「クリントンは自分のスキャンダルから国民の目をそらすために、他国の国民を殺すのか」と呆れたものだ。しかし、アメリカ人の多くはこの軍事行動を支持し、クリントンの支持率は持ち直した。これがアメリカ人の国民性である。

さらに呆れたことには、現在、このクリントンの爆撃は、アメリカでは「アルカイダへの先制攻撃だった」として評価する向きもあるのだという。馬鹿を言ってはいけない。アメリカによるたび重なるテロがあったから、2001年にアメリカは報復を受けたのではないかというのが私の見方である。

そう、ノーム・チョムスキーが言うように、アメリカこそ世界最大のテロ国家であると私は考えている。

だから、たとえアフガン向けであろうがテロ特措法の延長に私は反対なのだが、9月2日のエントリでも触れたように、9月1日未明のテレビ朝日「朝まで生テレビ」で、江田憲司議員(無所属)が、テロ特措法で認められた海上自衛隊の給油活動の85%が実はイラク戦争向けであったことを暴露した。アフガン戦争(日本以外の国ではこう呼ぶらしい)には議論がいろいろあるが、イラク戦争になると、これはアメリカが勝手に始めて勝手に泥沼にはまった、大義なき戦争であることに議論の余地はない。

これは、当然与野党の論戦の対象になると思った。事実、9月2日の同じテレビ局・同じ司会者の「サンデープロジェクト」はこの問題を取り上げ、司会の田原総一朗は自民党の石原伸晃政調会長に問い質した。石原は、初めて聞く話だと言って議論から逃げた。

ところが、その1週間後の今週、フジテレビの「報道2001」ばかりか、「サンプロ」までもこの件を頬かむりした。なぜこんな報道姿勢がまかり通るのだろうか。

いや、この件ばかりではない。当ブログでは書くタイミングを逸したためこれまであまり取り上げてこなかったが、佐藤正久参院議員の「駆けつけ警護」発言問題や、勝手に防衛官僚が人事権に容喙しようとした守屋武昌事務次官の問題など、文民統制を危うくするような重大事が相次いでいるというのに、これに対するマスコミの批判は際立って甘い。特に佐藤議員の発言については、報道量自体が少な過ぎる。

これでは、いくら安倍晋三内閣が「脳死状態」に陥ったといっても、亡国の流れは全然止まっていないと言わざるを得ない。

防衛問題だけではない。経済政策についての議論も不活発だ。年金問題も大事かもしれないが、竹中平蔵・中川秀直流の「上げ潮政策」か与謝野馨流の「緊縮財政路線」か、はたまた企業や高額所得者優遇を止めて再分配を重んじる政策に戻すかなど、論点はいくらでもあるはずだ。それなのに、マスコミ、特にテレビの報道は再分配政策に「バラマキ」とのレッテルを貼って「小さな政府」という呪文を唱え続けるなど、「コイズミカイカクマンセー」路線で思考停止に陥ってしまっている。

相変わらずマスコミには全く期待できない。国民一人一人のレベルで(ブログもその一つの手段だが)、野党の尻を叩いていくしかなさそうだ。


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私は子供の頃に漫画「巨人の星」を読んで育った世代だ。
この漫画で、「偉人」として名前が出てくるのが、読売新聞の社主だった正力松太郎だ。いや、漫画の世界に限らず、現実のプロ野球球団・読売ジャイアンツ(通称・巨人)が芳しくない事件(湯口投手の急死や江川事件など)を起こすたびに、「大正力」を引き合いに出して巨人が批判されたものだ。プロ野球には「正力松太郎賞」というのがあり、これは読売新聞が勝手に作ったものなのだが、プロ野球界にもっとも貢献した人が選ばれ、「プロ野球界でもっとも栄誉ある賞」ということになっている。

しかし、現実の正力松太郎はトンでもない人物だった。

そもそも、この正力はA級戦犯である。いや、起訴はされなかったから安倍晋三首相の母方の祖父である岸信介同様、「A級戦犯のなり損ね」という方が適切かもしれない。しかし、起訴されなかった裏には何かあったのではないかと勘繰りたくなる。

そして、岸と正力にはそれを裏づける事実があった。すなわち、A級戦犯としての起訴を免れた岸と正力は、ともにCIAから金をもらってアメリカの意向に沿って行動していたのである。正力に関しては、最近早稲田大学教授の有馬哲夫が米国国立公文書館によって公開された外交機密文書に基づいた著書 『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』 (新潮社、2006年)によってこれを明らかにして話題になった。

とんだ売国奴が日本のマスメディアを牛耳っていたものだが、正力の罪はこれにとどまらない。

今日、9月1日は「防災の日」だが、これはいうまでもなく1923年(大正12年)9月1日に起きた、日本史上最悪の震災であった関東大震災にちなんで制定されたものである。

この震災で、読売新聞の社屋も半壊した。これに乗じて、大阪発祥の朝日新聞と毎日新聞が拡販攻勢をかけたこともあり、あっという間に読売新聞の経営は傾いた。

その読売新聞を震災の翌年、1924年に買収したのが、元警視庁警務部長の正力松太郎だった。読売を乗っ取った正力は、それまで「進歩的」と言われていた読売の社論を一変させ、大きく右に舵を切った。

実は正力は、読売を買収する前の震災直後に、万死に値する大罪を犯している。関東大震災の際、混乱する被災地に「朝鮮人が来襲し、暴動を起こしている」というデマが流布し、パニックに陥った東京市民が朝鮮人を虐殺したことはよく知られているが、正力は意図的にこのデマをばら撒いた張本人だったとされているのだ。

ロシア革命(1918年)でソビエト連邦が成立した直後であり、時の日本政府が社会主義者や朝鮮人を弾圧しようとしていた時代背景があった。権力側には、震災を奇貨として弾圧を推し進めようという意図があったのだ。当然のごとく、正力が社長になった読売新聞は、翼賛メディアとして戦争推進に積極的に協力した。

こんな人物が、岸信介同様、A級戦犯容疑者として逮捕されながら起訴を免れ、CIAから金をもらってアメリカのために行動していたのだからひどいものである。戦後正力が設立した日本テレビは、開局当時はプロレス中継、のちには「天覧試合」(長島茂雄のホームランで知られる1959年の巨人−阪神戦)などで人気を高めたプロ野球中継で日本テレビは視聴率を稼ぐとともに親会社の読売新聞の部数拡大に大きく寄与した。正力の没後、1977年に読売新聞の部数は朝日新聞を抜き、さらにはソ連共産党機関紙の「プラウダ」をも抜いて、発行部数世界一の新聞にのし上がった。その読売新聞社内にあって、プロ野球人気を苦々しく思っていたのが、やり手の政治記者・渡邉恒雄(ナベツネ)だった。

戦後正力は、読売新聞の社主ではあったが、社長職には戻らず、おそらく読売新聞の編集には介入しなかった。読売新聞の論調は、正力が読売を買収する前のように、リベラル色の強いものに戻ったが、朝日新聞のように保守系の論客から「左寄り」と批判されることは少なく、毎日新聞に近かった。1972年の沖縄返還をめぐる日米の密約を暴いた西山太吉記者が逮捕された「西山事件」で体制批判を強めた毎日新聞が、権力の返り討ち(下半身スキャンダルへの問題のすり替え)に遭って部数を落とした時、派手に毎日から読者を奪って伸びたのが読売だった。その頃、「新聞はどれをとっても似たような紙面だ」と言われていたものだ。

その読売が、再び社論を一変させ、右に大きく舵を切ったのは、1979年にナベツネが論説委員長に就任して以来だ。それまでのナベツネは、読売社会部からにらまれて政治部長就任を阻まれ、アメリカに飛ばされるなど辛酸をなめた。当時、読売社会部では「ナベツネが政治部長になると読売が児玉誉士夫に乗っ取られてしまう」と言われていた。そして、その児玉が絡んだ1976年のロッキード事件では、ナベツネが盟友の中曽根康弘ともども、金銭を受け取った疑惑まで取りざたされた。田中角栄元首相逮捕30周年に当たる昨年7月27日に公開した当ブログの記事 「ナベツネと靖国と安倍晋三と(その5)」 でも紹介したが、当時について魚住昭さんは下記のように書いている。


ロッキード社の「秘密代理人」児玉誉士夫の周辺を調べていくと、あちこちから渡邉の名が出てきた。3月には、鉱山経営者の緒方克行が渡邉と児玉の癒着を暴露した「権力の陰謀」も出版された。疑惑の「政府高官」として中曽根の名が一部で取りざたされたこともあって、渡邉を「編集高官」と揶揄する者まで現れた。

(魚住昭 『渡邉恒雄 メディアと権力』 =講談社、2000年=第9章「社会部帝国主義を打倒せよ」より)


そんなナベツネがようやく1979年に読売新聞の社論を左右できる論説委員長の座に着くや、それまでリベラル系の社論を担っていた論説委員たちを次々と追放し、代わって「イエスマン」で周囲を固め、読売新聞社内の「言論の自由」は失われていった。

ナベツネは憲法改定を目指して30年近くも走り続けたが、その路線には矛盾が目立ち始めた。たとえば、なぜ靖国神社には反対なのに教育基本法や憲法の改定には賛成なのか。そして、プロ野球界では徹底した自由競争を唱え、ドラフトの逆指名制やフリーエージェント制を導入させたのに、なぜ米メジャーリーグへの選手移籍を妨害しようとするのか。また、読売新聞の社論である反「市場原理主義」(反新自由主義)とは矛盾しないのか。

ナベツネは右派ではあっても、対米隷属の岸信介の系列ではなく、中曽根康弘と近い人間だ。中曽根は、岸の系列よりは自主独立の傾向が強い。親米であり、新自由主義的政策を日本で最初に導入したのは中曽根内閣だったが、政権担当時はバランス感覚も持っていて、当初不人気だったのに5年間政権を維持し、自民党政治の絶頂期を築いた。私は中曽根の業績に対してはネガティブな人間で、バブル経済についても、後始末に失敗した宮沢喜一よりも、原因を作った中曽根康弘の方により重い責任があると考えている。しかし、良し悪しは別として、中曽根の能力は認めざるを得ないし、彼は、政治的信念を持って政権を運営した最後の自民党政治家だったかもしれないとも思う。

今の政治家や言論人はそうではない。簡単にアメリカ様に操られるような人物ばかりである。一昨日のエントリでも触れたように、ナベツネは、周囲をイエスマンで固めたつもりが、いつの間にか読売新聞の全権を掌握できなくなったのではないかと私は考えている。

参院選でのあれほどの自民党惨敗にもかかわらず、安倍晋三を担いで日本のアメリカに対する隷従の度合いをますます強めようとする勢力が意外にしぶといことが、昨今の内閣支持率の上昇からもうかがわれるが、保守の政治家や言論人にも良心と勇気があるなら、安倍らと袂を分かつ行動をとってほしいものだと思う今日この頃だ。


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まず、「きっこの日記」 または 「きっこのブログ」 から 『反 「新党日本」 宣言 〜 「田中康夫」 「有田芳生」 を落選させよう!』 を読みにいらした方は、1つ前の記事(下記URL)に飛んでください。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-363.html

きっこさんにリンクを張って紹介していただいた上記の記事には批判もいただいていますが、私としてはそれを承知の上で、議論のきっかけとなってほしいという意図を込めて公開したものです。だから、きっこさんに紹介していただいたことはたいへんありがたいことでした。きっこさんには厚くお礼を申し上げます。

さて、文体を「ですます調」から「である調」に戻して、本論に入りたいと思う。今日は、マスコミでも大きく報じられている、陸上自衛隊が市民を監視していた件を取り上げる。

これは、共産党によって明らかにされたものだが、毎度のことながら共産党の情報収集能力には感服する。私は同党の排他的な体質には、かなりの疑問を持っているが、政府・与党や石原慎太郎都知事らを時に窮地に陥れる調査能力は、民主党や社民党の追随を許さないものがあり、この点については高く評価している。

今回、共産党が入手した陸上自衛隊の内部文書に関するブログ記事は、すでにかなり書かれているので、ここでは朝日新聞と毎日新聞の報道から拾って記録しておくことにする。以下の引用は、記事中から、どのような活動が監視の対象になったかを記述した部分を中心にして抜粋した。なお、この件の読売新聞の扱いは呆れるほど小さく、この新聞の体質をよく表している(笑)。

朝日新聞

『イラク派遣で陸自、反対市民の情報収集 発言など詳細に』
(2007年06月07日 00時45分)
http://www.asahi.com/national/update/0606/TKY200706060369.html

(前略)
 「反自衛隊活動」の項目には駐屯地への反対の申し入れなどを記録。民主党衆院議員(当時)が会合で述べた派遣反対の発言を取り上げ、「イラク派遣を誹謗(ひぼう)する発言」などとしている。また、朝日新聞記者が青森駐屯地正門前で隊員に取材したことにも触れている。

 もう一つの「国内勢力の反対動向」は、03年11月から04年2月までのうち6週間分と03年11月、04年1月の「総括」を含む。全国の反対運動の動きをまとめたとみられる。「駐屯地、官舎、米軍施設等に対する反対動向」「市街地等における反対動向」などが表形式で記載され、高校生が中心となって開催された反対集会も含まれる。デモの写真、件数の推移のグラフなどもある。資料で把握されている市街地での運動の数は、共産党の集計では41都道府県で290団体・個人にのぼるという。

 そのほか、イラク・サマワ入りしたジャーナリストの行動にも言及。映画監督の山田洋次氏が派遣支持の「黄色いハンカチ運動」を批判した新聞記事について、「市民レベルでの自衛隊応援・支持の動きを、有名人の名声を利用し封じ込めようとする企図があると思われる」と評している。(後略)


6月8日付社説
『情報保全隊―自衛隊は国民を監視するのか』

 自衛隊は国民を守るためにあるのか、それとも国民を監視するためにあるのか。そんな疑問すら抱きたくなるような文書の存在が明らかになった。

 「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」と「情報資料」というタイトルに、それぞれ「情報保全隊」「東北方面情報保全隊長」と印刷されている。文書は全部で166ページに及ぶ。共産党が「自衛隊関係者」から入手したとして発表した。

 久間防衛相は文書が本物であるか確認することを拒んだが、この隊がそうした調査をしたことは認めた。文書の形式やその詳細な内容から見て、自衛隊の内部文書である可能性は極めて高い。

(中略)

■「反自衛隊」のレッテル

 文書によると、調査をしたのは陸上自衛隊の情報保全隊だ。保全隊は03年にそれまでの「調査隊」を再編・強化してつくられた。陸海空の3自衛隊に置かれ、総員は約900人にのぼる。

 情報保全隊の任務は「自衛隊の機密情報の保護と漏洩(ろうえい)の防止」と説明されてきた。ところが、その組織が国民を幅広く調査の対象にしていたのだ。明らかに任務の逸脱である。

 防衛庁時代の02年、自衛隊について情報公開を請求した人々のリストをひそかに作り、内部で閲覧していたことが発覚した。官房長を更迭するなど関係者を処分したが、その教訓は無視された。

 調査の対象には共産党だけでなく、民主党や社民党も含まれている。野党全体を対象にしていたわけだ。

 04年1月に福島県郡山市で行われた自衛隊員OBの新年会で、来賓として招かれた民主党の増子輝彦衆院議員が「自衛隊のイラク派遣は憲法違反であり、派遣に反対」と述べた。保全隊はこれを取り上げ、「反自衛隊」としたうえで、「イラク派遣を誹謗(ひぼう)」と批判している。

(中略)

 報道機関を調査の対象にしていたことも見逃せない。

 たとえば、岩手県で開かれた報道各社幹部との懇親会での質問内容が、個人名を挙げて掲載されていた。自衛隊が厳しい報道管制を敷いていたイラクでの活動については、「東京新聞現地特派員」の記事や取材予定をチェックしていた。

 イラク派遣について自衛隊員や地元の人々の声を伝えた朝日新聞青森県版の取材と報道について、「反自衛隊」と記録していた。「県内も賛否様々」と題して両論を公平に伝えたこの記事が、なぜ反自衛隊なのか。

■文民統制が揺らぐ

 自衛隊は国を守る組織だが、それは自由な言論や報道ができる民主主義の国だからこそ真に守るに値する。そうした基本認識がうかがえないのは残念だ。 (後略)


毎日新聞

『自衛隊監視活動:イラク派遣反対の団体など 共産党が発表』
(2007年6月6日 21時40分、最終更新時間 6月7日 0時24分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070607k0000m010126000c.html

 報道機関については「青森駐屯地から退庁する隊員に取材を実施」などの記載がある。毎日新聞の記事については、04年2月21日の朝刊でイラクに赴く自衛隊員の安全を祈って全国に「黄色いハンカチ運動」が広がり、この動きに映画監督の山田洋次氏が異議を唱えていると報道したことに言及。「批判的な考えを表明している映画監督の回答を掲載」などと記録。登場する団体・個人数は290に上る。【日下部聡、本多健】

 ◇解説◇ 調査活動、逸脱の疑い

 情報保全隊などが作成したとされる文書には集会の参加団体名と代表者名、さらに自衛隊を取材した記者も多くは実名で記載されていた。デモ行進などに参加した人の顔を写した写真もある。

 内部の運用基準によると、情報保全隊の調査対象となるのは▽自衛隊に対して秘密を探知しようとする▽基地施設などに対する襲撃、業務に対する妨害▽職員を不法な目的に利用するための行動−−の恐れがあるなどの場合だという。防衛省は「自衛隊に関する取材や講演はこの基準を満たしている」との見解だ。メディア関係者は「保全隊にフリーハンドを与えたような解釈だ」と批判する。

 特にデモ参加者らの同意がない写真撮影は、問題がある。最高裁は69年、警察が行う撮影が許容される場合について「犯罪が行われ、もしくは行われたのち間がなく、証拠保全の必要性、緊急性があるとき」との判断を示した。個人情報保護問題に詳しい清水勉弁護士は「写真は個人識別性が非常に高い。警察よりも必要性の低い情報保全隊による無断撮影は、肖像権や表現の自由に対する侵害の恐れがある」と指摘する。防衛省には情報保全隊による調査活動の適法性について、国民に対して十分に説明する責任がある。【臺宏士】


このニュースを知って、監視社会もここまできたか、いよいよ『できそこないの「1984年」体制」』になってきたなあ、と感じ、呆然とした。

久間防衛相らの妄言はともかくとして、防衛省幹部からも、「問題意識を持たないまま手当たり次第に市民を監視していたなら問題だ。個人情報やプライバシーに敏感な国民の感覚を無視すれば、戦前の憲兵隊と同じだと誤解されても仕方がない」 (6月7日付四国新聞)という声が聞かれる。

しかし一方で、一般の人たちから、「これのどこが問題なのか」という声が聞こえてくるのも、残念ながら事実だ。このように反論する人たちはまだこの問題に関心があるだけましで、それどころか多くの人は、これが問題であるかどうかすら考えたことがないのではないかと思われる。

つまり、人ごととしてしかとらえられない。そのようにしてファシズムの体制はできていくものなのだろう。そのうち、監視された人たちは社会的に抹殺されてしまうかもしれない。

でも、そうなったら、抹殺されずに残った人たちのうち一定の割合の人たちの中から、次のターゲットが選別されるのだ。自分の番が回ってきてから初めて気づいたって、手遅れなのである。肝心なのは、権力は、自分たちに尻尾を振っている人間だって、平気でスケープゴートにするということだ。このことに気づいている人がどれくらいいるだろうか。

人々の無関心に対抗する有効な手段はなかなかないが、あきらめずに声をあげ続けるしかあるまい。


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昨日(5月30日)はブログを更新しなかったのだが、ブログへのアクセス数は、FC2カウンタの計数値で今月最多の4220件を記録した。読者の方々には厚くお礼を申し上げたい。

実は昨日は、裏ブログの「kojitakenの日記」が、本家である当ブログを上回る4876件のアクセスを記録した。一昨日のエントリからもリンクした、故松岡利勝農水相の自殺に関する読売新聞の異常な社説をコピペして、簡単なコメントをつけただけの記事が大量アクセスを記録したので驚いたのだが、朝日新聞や毎日新聞、それに産経新聞までもが、及び腰ながらも松岡大臣の自殺に関して、安倍晋三首相の責任を問う社説を掲載したのに対し、安倍の責任を全く問わず、しまいには朝鮮総連系の団体から献金を受けた民主党議員への非難に話をすり替えた読売新聞の異様な姿勢が、多くの読者に驚きを与えたのだろうと思う。

この「kojitakenの日記」の記事には、32件の「はてなブックマーク」をいただき、それが大量アクセスの原因になったのだが、その中でこんなコメントをつけてくださった方がいた。

『読売は緑資源機構に触れたくないということがよく分かる社説。なんでこんな露骨なことするんだろうね。』

ホントに、露骨さに呆れてしまう。

とにかく、この松岡大臣の自殺の件は、あまりに気が重くなる話題なので、昨日は新しい記事を書く気も起きず、ブログのアクセス解析をぼーっと見ていた。すると、某省庁から、昨年10月7日の記事 安倍晋三の豹変にナベツネの影 へアクセスがあったのを見つけた。これは、ナベツネが安倍晋三に靖国神社への参拝を諦めさせる代わり、安倍内閣の改憲路線に全面的な協力をすることで両者が手打ちをしたのではないか、と推測する内容の記事だ。そういえばそんな記事を書いたことがあったな、この記事で予想したとおりに推移したなと思ったが、こんな予想が当たったからといってうれしくもなんともない(笑)。

読売新聞社が他の新聞社と大きく異なるところは、ナベツネのワンマン新聞だということで、基本的に社内には言論の自由はない。だから時折、世論からかけ離れたとんでもない社説が掲載される。また、ナベツネのその時々の気分によって、社論が右へ左へと大きく振れる(実際には、「極右へ中道へと振れる」と表現した方が正確だが)。

当ブログに昨日いただいたコメントで思い出したのだが、2004年のプロ野球選手会がストを打った時、3日連続で選手会を攻撃する社説を掲載し、世間を呆れさせたことがあった。

当時、読売と同じくプロ野球球団を所有する中日(東京)新聞でさえ、選手会のストに一定の同情を示していたのに対し、読売は圧倒的な世論に逆らって、社説でヒステリックな選手会非難を続けた。

その結果、読売ジャイアンツ(通称「巨人」)の人気は急激に低下し、この年10月に行われた横浜−巨人戦では、観客がわずか150人ほどしかいない試合があったほどだ(公式発表では、観客数が大幅に水増しされていた)。かつては毎日テレビで放送されていた「巨人戦」も、今では地上波でのテレビ中継のない日も珍しくない。ナベツネの独裁が、巨人からのファン離れを招いたのだ。

今回の異常な社説も、ナベツネの強い意向を反映したものであることはまず間違いない。巨人からファンが離れていったように、安倍内閣から人心が離れ、内閣支持率がますます下がっていくことも確実だと思うが、いつも他紙より高い内閣支持率を弾き出す読売は、読者をミスリードしようと情報操作をし続けるだろう。

たちの悪いことに、ナベツネは朝日新聞以下の同業他社にも強い影響力を持っているから、もう今すでにそうであるのだが、日本の新聞全体が翼賛体質を今後ますます強めていく恐れがある。

それを許さず、暗黒時代の到来を阻止するためには、何が何でも参議院選挙で与党を惨敗に追い込むしかない。
閣僚が自殺しても国民からは何のオトガメもなし、なんてことになったら、もはや日本は民主主義国家とはいえなくなってしまう。


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