きまぐれな日々

昨日のエントリで紹介した、辺野古の平良夏芽牧師殺人未遂事件の件に関して、平良牧師から緊急声明が出されたので、昨日の記事に追記した。詳しくはリンク先をご参照いただきたいが、当該の写真は、バルブを閉めた時のものではなく、これを「証拠写真」として使用しないでほしい、とのことだ。

バルブを閉めたダイバーを責めるより、ダイバーをそういう行為に追い込んだ権力に矛先を向けよというのが平良牧師の声明の主旨だ。毎度のことながら、その精神の高潔さに感服する。

なお、本件について、昨日のエントリのコメント欄でご指摘いただいた美爾依(みにー)さん(「カナダde日本語」 管理人)にお礼を申し上げる。

さて、平良牧師と対極に位置する人間が安倍晋三であることはいうまでもない。マスコミは、「安倍首相の人柄を評価する」人が減っている、と書くが、記事をよく読むと60%から50%に減ったとかそんな数字だ。安倍内閣の支持率は、読売新聞などのおかしな調査を除いて30%を下回っているが、「安倍さんは人柄はよさそうだけど、能力がねえ」などと考えている人が結構いるということなのだろう。

だが、冗談ではない。安倍は、昨日も書いたように人の命の重さを解さない人間だ。また、どうやらどんなに与党が大敗しても首相を辞めるつもりはないらしく、権力の座に恋々として、政権にしがみつこうとしている。こんな男のどこが「人柄が良い」のか。安倍の言動がさらに自民党の票を減らしていると私は思う。そして、安倍はもはや正常な判断力を失っているように見える。

正常な判断力を失っているのは安倍だけではない。「安倍続投論」をこぞって打ち出し、「自民党が負けたら北朝鮮を利するだけ」などと、2ちゃんねるにタムロするネット右翼並みの宣伝をする自民党首脳陣やそれに同調する産経新聞。年金問題は「社保庁の自爆テロ」などという陰謀論を垂れ流し、2ちゃんねらーにまでバカにされる田原総一朗や岸井成格などの御用ジャーナリスト。恥も外聞もなく「比例は公明」を叫ぶ自民党の候補者。みんなおかしくなってしまっている。

ちなみに、自民党の候補者が「比例は公明」というのは、自民党支持者に呼びかけていると見せかけて、実はそうではない。公明党支持者の歓心を買うのが真の目的である。

実際には、自民党支持者には結構創価学会アレルギーが強いので、そうそうは公明党に流れないし、流れても公明党の議席を1つ増やすか増やさないかの程度の影響しかない。逆に、公明党支持者が選挙区で自民党の候補者に投票すれば、自民党の議席は数議席増える可能性がある。

だから、自公連立というのは、winwinの関係というよりは、自民党が公明党を食いものにしているという色合いの方が強いのである。

こんな、国民を馬鹿にした与党を倒すためには、とにかく投票に行くしかない。いくらマスコミが自民大敗の選挙予想をしても、有権者が投票所に足を運ばなければ、それは現実のものとはならない。

一昨日のTBSテレビで、期日前投票のやり方を紹介していたが、今回の選挙では期日前投票する人が増えていると報じられている。しかし、これは選挙に関心がある人が期日前投票をするようになっただけで、必ずしも参院選の投票率が上がることを意味しないという説もある。例の「亥年現象」で弱るのは組織票だから、投票率が下がっても与党有利とはいえないとの指摘もあるが、投票率が上がった場合与党が不利になることは間違いない。

いくら、「どんなに負けても退陣しない」と言い張ったところで、前の国会で強行採決を重ね、激しい与野党対立を招いた安倍政権が、参院の勢力が与野党逆転になったあとも政権を維持できるはずがない。民主党からの一本釣りを予想する声もあるが、いったい誰がわざわざ泥船に乗り移ろうとするだろうか。一本釣りどころか、自民党の方が先に分裂する可能性が高い。安倍晋三総裁のもとで総選挙を戦ったところで、敗北は目に見えているからだ。

もうこんな内閣に用はない。自民党は、もはや歴史的役割を終えた政党だ。そのことをはっきりさせるためにも、選挙には必ず投票し、与党を惨敗に追い込みたいものだ。

なお、期日前投票については、下記サイトなどをご参照いただきたい。
http://seiji.yahoo.co.jp/specialfeature/sangiin2007/guide.html


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参院選前最後の日曜日であるとともに、本来参院選の投票日であったはずの7月22日になった。

読売新聞、朝日新聞に続いて、日経新聞、毎日新聞、共同通信がそれぞれ参院選予想をまとめたようだ。選挙区ごとの詳細な情勢分析は、明日以降の新聞紙面に発表され、週の後半には、読売や朝日が中盤以降の情勢をアップデートした記事を載せるものと思われる。

だが、おそらく選挙戦の流れはほぼ決まっており、自民党の敗北、民主党の勝利になることは確実だ。ただ、自民党の負けの度合いについては、なお予断を許さない。予想より議席減の程度が少ない場合、間違いなく安倍晋三が政権に居座り、与党の悪政が続いてしまう。

公明党については、朝日新聞のみが大幅議席減を予想しているが、共同や毎日は微減程度としている。公明党の議席をどれだけ減らせるかは、投票率にかかっている。

くどいようだが、当ブログは期日前投票を強くおすすめする。東京などでは、今日は予想最高気温が28度の曇天だそうで、期日前投票にお出かけるになるのに適した気候ではないかと思う。

さて、当ブログ管理人は地方在住なので、どうしても地方の目から中央を見ることになる。かつて、長年にわたって関東や関西などの大都市圏に住んでいたこともあるので、大都市の視点も十分承知しているのだが、現状はどう考えてもコイズミ以来の地方切り捨て政策の弊害が出ているとしかいいようがない。

今朝、TBSテレビの「時事放談」を見ていたら、加藤紘一(自民党代議士)が興味深い指摘をしていた。

今、マスコミでは年金問題が騒がれ、大問題になっているが、山形の加藤事務所には年金問題の苦情など全然来ないのだそうだ。加藤と別の地方の自民党議員に聞いても同様だという。地方では会社を移って年金記録がわからなくなっている人は比較的少なく、地方で会社を移る人は自分で年金記録について調べているのが普通だからだろう、と加藤は推測していた。

それならなぜ地方で自民党が凋落し、多くの一人区で自民党候補が落選の危機にさらされているのかというと、それは過去5、6年の政府の「地方切り捨て政策」への怒りからきている、というのが加藤の主張だ。

加藤は、オリックス会長の宮内義彦(竹中平蔵の盟友)が、北海道の人口なんて自然にほっとけば200?300万人程度になる、と言っていたことを指摘し、そんな考え方が正しいと思うか、と問いかけていた。また、加藤とともに番組に出演していた堺屋太一は、1980年からの四半世紀で、首都経済の全国経済に占める比重が上がった先進国は日本だけだと指摘し、コイズミ政権以来、実は官僚の力が強まり、中央集権が進んだのだと主張した。

このような地方切り捨て政策が行き着いた先が、地方の保守の崩壊なのである。

一昨日から今日未明にかけて、さとうしゅういちさんの 「広島瀬戸内新聞ブログ版」 から多くの記事のトラックバックをいただいた。「JanJan」 の記者でもあるさとうさんは、広島や山口など中国地方の選挙区で野党候補者を熱心に応援し、毎日数本の記事を 「安倍晋三TBP」 にTBされている。当ブログにTBいただいた記事を以下に紹介するので、中国地方在住の方に限らず、是非ご参照いただきたいと思う。


『「命落とすな自民党落とせ!」』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49030574.html

『メシが食えないお役人多数放置……これが「公務員制度改革」か?』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49060263.html

『教育費削減の自民党諸君の大罪』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49061258.html

『マッチポンプ政党・公明党にお灸をすえよう!』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49061806.html

『何が再チャレンジだ!』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49062666.html

『命落とすな自民落とせ!・連合広島幹部は思い上がり改めてください!』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49053152.html

『岩国基地問題関連情報』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49063965.html

『総理のお膝元・山口でも自民落選のチャンス大!』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/49063896.html


中国地方のうち、広島・岡山・山口は、公示前には、広島が民主・自民1議席ずつで決まり、岡山は自民の片山虎之助候補で決まり、山口は自民の林芳正候補が磐石だろうといわれていた。

それが今では、岡山の情勢はまったくわからなくなった。しかしなお、広島は自民・民主1議席ずつと見込まれており、山口は自民が「優勢」とはいわぬまでも「優位」に立っているようだ(共同通信による。共同は、「優勢」と「優位」を使い分けていて、「優勢」の方がより差が大きいようだ)。

とはいえ、公示前と比較して、自民党が支持を失っていることは明らかだろう。今後の終盤戦の戦いによっては、まだまだ逆転は可能だと思う。岡山のみならず、広島や山口でも自民党を蹴落とすためには、一人区では勝てそうな候補に、二人区では野党でナンバー2の候補に、という「戦略的投票行動」をとる方法も考えられる。もちろん、比例区では好きな政党なり候補者に投票すれば良い。

最後の追い込みで、与党の惨敗を実現させたいものである。


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7月12日の第21回参議院議員通常選挙の公示以来、当ブログでは特定党派や候補への投票を呼びかける記事は公開していない。といいながら、特定党派の候補を落選させようという記事を毎日のように公開していることは、皆さまよくご存知の通りである(笑)。

しかし、下記「JanJan」の記事が指摘するように、今回の参院選では、公示後も各党のホームページが更新されており、インターネットによる選挙活動は、実質的に解禁された形になっている。
http://www.janjan.jp/government/0707/0707179253/1.php

そこで、当ブログでも特定党派や候補への投票を呼びかけることにする、というわけではない。当ブログは、あくまでも安倍晋三を倒すことを目標としており、今回の参院選にあたっても、安倍へのダメージを最大にする方法を追求し続けている。管理人は反自民系無党派層に属する人間なのである。

参院選で、与党を惨敗に追い込むポイントは2つある。「必ず投票し、投票率を上げる」ことと、「戦略的投票行動をとる」ことだ。

朝日新聞の参院選情勢調査で、公明党の議席予測を、10議席(6?13議席)としている。公示前には公明党の議席予測は、どこでも判で押したように「13議席」となっていたが、いまやこれが上限となり、下限は、ナント選挙区1議席、比例区5議席の計6議席となっている。

これは、朝日新聞が今回の参院選の高投票率を予想しているか、公明党の支持者(多くが創価学会員)のうち、今回党の方針に疑問を持つ人が増えて、選挙活動が不活発になっているか、おそらくその両方だろうと思う。いずれにしても、公明党の体質を徹底的に嫌っている当ブログとしては、公明党 「6議席」 というのは夢のような数字である。

もちろん、公明党も今後巻き返しを図るだろう。統一地方選と参院選が重なる年は参院選の投票率が下がるという 「亥年現象」 (故石川真澄・朝日新聞編集委員の指摘)もいわれる。しかし、「亥年現象」というのは、活動家たちが統一地方選で疲れて、参院選での活動が不活発になるところから生じるとされていて、浮動票よりむしろ組織票が減るところから投票率が下がるという話で、亥年に行われる参院選はむしろ与党の敗北に終わることが多いとされている。実際、1971年と95年の参院選では、与党は敗れている。83年参院選では自民党が勝利したが、同年末に行われた総選挙では自民党が敗北した。

前回の亥年にあたる1995年選挙では、自民党(46議席)よりむしろ同党と連立を組んでいた社会党(16議席)が惨敗を喫した。社会党は、その6年前の89年「消費税選挙」で46議席の大勝を収めたが、それを生かせず、逆に衰退の一途をたどってしまったのだった。

今回も、自民党よりむしろ同党と連立を組んでいる公明党の衰退を特徴づける選挙になると私は予想している。なんだかんだいって、読売新聞系・産経新聞系の御用マスコミや田原総一朗・岸井成格・みのもんたら御用キャスターらを味方につけている自民党は侮れない。読売新聞などは、ついに安倍内閣の支持率が上がったという報道を始めたが、内閣支持率の調査結果など、実際に数字を改変せずとも、設問のたて方一つでいくらでも変えられるものだ。

この新聞のなりふりかまわない報道姿勢については、プロ野球ファンの方なら2004年の球界再編時におけるプロ野球労組ストライキの時に、3日連続で労組を非難する社説を掲載したことを覚えておられる方も多いだろう。この新聞は、基本的に渡邉恒雄(ナベツネ)が独裁する全体主義的媒体であり、渡邉は安倍を熱心に支持しているから、これから投票日までに数々の卑劣な記事を掲載してくるだろう。

いずれにしても、いま一部で予想されている自民党の40議席割れは、楽観的に過ぎると私は思っている。野党は、こんな予想が出ているからといって、決して気を緩めてはならない。最悪の場合、朝日の自民党獲得予想の上限である47議席だってあり得ると考えている。

とはいえ、マスコミの与党擁護も、公明党にまでは手が回らない。いま民意は、基本的に自公与党に強烈に反発している。今回の選挙は公明党の党勢を衰退させる、大きなチャンスなのだ。

私は、実態としては政教分離が全くなされていない公明党の国政への影響力は、限りなくゼロに近くなるくらい弱めなければならないと思っている。そのために絶対にとらなければならない行動は、とにかく投票所に足を運ぶことだ。投票率を上げないと、公明党の議席を減らすことはできない。

この参院選は、本来なら明日、7月22日に投開票が行われるはずだった。それを与党が1週間遅らせたのは、年金問題や「政治とカネ」の問題を有権者から忘れさせるとともに、夏休みの酷暑の時期なら投票率が下がるだろうというコンタンがあることは、あまりにも明白だろう。

当ブログでは、皆さまに「期日前投票」を推奨しており、管理人も既に実行している。選挙はがきと運転免許証などの身分を示すものを持参して、市町村役場などの期日前投票所に行けば、簡単な宣誓書が渡される(実際には免許証の提示などは求められない場合が多いと思う)。期日前投票を行う理由を、宣誓書にあげられている選択肢から選んで、住所、氏名などを記入すれば、期日前投票を行うことができる。このように、手続きはいたって簡単である。なお、丸川珠代は当然ながら選挙はがきを受け取っておらず、手ぶらで期日前投票所に出かけていって大恥をかいたというワケだ(笑)。

「きっこの日記」 のきっこさんも、22日に投票すると宣言しているが、皆さまにも、九州南部や沖縄を除いてまだ梅雨が明けず、猛暑になっていない今のうちに、期日前投票制度を利用して投票を済ませてしまうことを強くおすすめする次第である。

なお、この記事では詳しく触れなかった「戦略的投票行動」に関しては、下記の当ブログ過去ログをご参照いただきたい。

『「AbEnd」のための参院選投票パターン』
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-377.html

『参院選民主党候補の憲法問題に対する認識』
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-393.html

『小沢一郎の覚悟と一人区でのおすすめ投票パターン』
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-394.html

『自民党獲得議席を極小化せよ?二人区以上のおすすめ投票パターン』
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-396.html


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参議院選挙の投票日である7月29日に用事ができてしまいそうなので、昨日、台風4号の暴風雨を突いて期日前投票を済ませてきた。

この台風は、各地に被害をもたらしている。被災者の方には心からお見舞い申し上げるとともに、台風の進路に当たる地域の皆さまには、十分に警戒していただきたいと思う。

三連休をとられていて行楽の予定に影響の出た方も多いと思うが、レジャーの予定を参院選投票日の29日に振り替える方や、もともと29日に予定の入っておられる方には、是非期日前投票をおすすめする。

昨日、「安倍晋三TBP」にトラックバックされた「きまぐれ手記」さん(弊ブログとは無関係ですw)に、期日前投票の案内が出ていて、お住まいの市区町村名を入力すると、選挙管理委員会のページに飛んで案内が表示されるようになっているので、期日前投票所を確認するのに利用されてはいかがだろうか(ただ、ためしに私の住む県の自治体名をいくつか入力してみたところ、中には他県の選挙管理委員会のページが表示される例もあった)。多くの場合は市区町村の役所で、土曜・日曜・祝日であっても投票できると思う。

そもそも、29日の投票日は、もともとは22日投票のはずだったのが、参院選で劣勢が予想されている連立与党の都合で国会の会期が12日間延長されたために1週間延ばされたものだ。29日になると夏休みに入っている人も多く、投票率が下がって、組織票の多い公明党を含む連立与党に有利になると計算したものにほかならない。だから、国民の側としても29日を行楽などにあてて、猛暑の時期になる前に早めに期日前投票をする権利があると思うし、当ブログとしてもこれを強くおすすめする次第だ。投票はがきを持って、期日前投票所に行けば、宣誓書に必要事項を記入するだけで簡単に期日前投票ができる。早々と有権者の権利を行使しておけば、気分がスッキリすること請け合いだ。

さて、公示日翌日の13日のエントリで、『「アベシンゾー審判選挙」がスタートした』 と書いたが、「週刊金曜日」 (7月13日号)を読んでいたら、北海道大学教授の山口二郎氏が今回の参院選の真の争点について的確に指摘した文章が掲載されていた。これを紹介したい。


「戦後レジームからの脱却」のねじれた構図

 今回の参議院選挙の最大の争点は、年金問題ではなく、安倍政権の存在であるべきだ。年金問題は一つの政策テーマでしかない。安倍政権が統治能力を持っているならば、具体論はどうあれ、年金問題の解決の道筋をつけることはできるであろう。しかし、この政権が統治能力を持っていないならば、政策をいくら議論してもそれを実行できないのであるから、議論は無意味である。

 政権の統治能力を測るためには、指導者の思想や理念がもっとも重要な尺度になる。安倍晋三首相は憲法改正を軸とする「戦後レジームからの脱却」を自らの最大公約として打ち出している。したがって安倍の言う「戦後レジーム」の意味を問うことこそ、この選挙の最重要争点ということになる。

(中略) 安倍が唱える「戦後レジームからの脱却」は、憲法や戦後民主主義を否定し、戦前に回帰することを目指すものである。

 安倍の側近議員が米『ワシントン・ポスト』紙に「従軍慰安婦」に対する日本政府の公的関与はなかったという国辱的な意見広告を出したことなどもそれを裏書きする。他方、久間の原爆正当化発言は、まさにアメリカの歴史観そのものであり、戦後レジームを日本に押しつけた勝者の見方である。この二つの相容れない要素がなぜ自民党という一つの政党の中で併存しているのか。私には、この矛盾こそ現在の自民党の本質を物語っているように思える。

 安倍政治は、いわば時間軸に沿って、過去にさかのぼる方向と、未来に下る方向で戦後レジームを引き裂こうとしている。過去にさかのぼるとは、戦前の日本の侵略や圧制を正当化するという意味である。歴史問題や教育問題に関する安倍政治の姿勢は、この方向である。未来に下るとは、戦後政治の中で自民党政権自身が築いてきた平和国家としての原則や縛りを取り払い、アメリカの軍事戦略の完全な下請けになるための態勢を整備するという意味である。

(中略) 「戦後レジームからの脱却」の本当の意味は、防衛、安全保障の領域で戦後憲法の下でかろうじて日本が主体性、独自性を確保してきた原則を廃棄する点にある。安倍首相が設置した「有識者懇談会」が進めようとしている集団的自衛権の解禁も、ポスト戦後の軍事戦略の露払いである。安倍自身が高度な戦略を持っているとは思えない。むしろ、あれもこれもと手を広げるうちに、矛盾を抱え込んでしまったと見るべきであろう。

 このように整理すれば、今回の選挙の最大の争点が、戦後的なる価値を肯定するのか、否定するのかの点にあることが見えてくるはずである。まさに、この選挙は1960年の安保闘争以来の歴史的意味を持つ選択の機会である。憲法問題が年金問題の陰に隠れたとはいえ、与党が勝てば必ず戦後レジームの破壊を加速するに違いない。国民の政治的判断力が問われているのである。

(「週刊金曜日」 2007年7月13日号より)


まさに論旨明快、読んですっきり腑に落ちる文章だ。

今回、私が「戦略的投票行動」を提唱したのも、この選挙の持つ意味がきわめて重大であると考えたからである。

「戦略的投票行動」を否定するのであれば、それによらず安倍らが狙う「戦後レジームからの脱却」を阻止する戦略を示すべきだろう。それができないのであれば、どんなに理念が崇高であっても、結果として安倍らを助けることにしかならないと思う今日この頃なのである。


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日頃は、「きまぐれな日々」をご愛顧いただき、どうもありがとうございます。

さて、本日(7月12日)、第21回参議院議員通常選挙の公示日を迎えました。当ブログでは選挙期間中、特定の党派および候補者への投票を呼びかける記事を新たに公開はいたしません。

当ブログはコメントとトラックバックを承認制にしております。選挙期間中も閉鎖はいたしませんが、特定の党派または候補者への応援の要素が含まれていると管理人が判断したコメントやトラックバックは、たとえその内容に管理人が賛同できるものであっても、承認はいたしませんので、ご理解とご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

 「きまぐれな日々」 管理人  kojitaken拝
これが、当ブログとして参院選公示前の最後のエントリになる。明日(7月12日)からは、具体的な政党名や候補者名をあげて投票を呼びかけることはできなくなるので、これが最後のチャンスだ。

7月7日のエントリで、山口選挙区では自民党の林芳正氏が強く、「磐石」と見られているという共同通信の調査結果を紹介したところ、同選挙区から民主党公認で立候補を予定されている戸倉多香子さんから下記のようなコメントをいただいた。


(前略)
私は、実際に山口で活動して、首相のお膝元でもわからなくなってきた、と思っています。地元紙でもそのような報道に変わってきました。ぜひ、応援をお願いします。

(とくらさんのコメント)


安倍晋三のお膝元の山口で戸倉さんが当選されれば、今回の参院選の帰趨を決定づけるどころか、その後の政治の流れに大きな影響を与える。その意味からも当ブログも戸倉さんの健闘を期待し、応援していることはもちろんである。この間の記事は、新聞記事(7月6日の「四国新聞」)を要約したものだったが、その後、赤城徳彦農水相の事務所費の問題などで安倍内閣がさらに信任を失い、山口をはじめ全国で自民党離れが起こっていると思いたい。四国でも、自民党の全敗もあり得ると予想されている。

もちろん、一部で噂されている拉致被害者の電撃帰国によって「B層」が安倍支持になだれを打ち、一転して四国の自民党全勝をはじめとして、自民党が勝利を収めるなどということもあるのかもしれないが、そんなタイミングでそんなことが起きたら、日朝の指導者たちが仲よしこよしだということを証明するようなものだ。万一そうなったら、憲法九条は改変されるわ、一握りの指導者層を除いて国民は窮乏するわで、日本が北朝鮮そのものになってしまうだろうから、潔く北朝鮮と合併して、国家神道と統一協会を二つながら国教とする「神の国」にでもなるしかなかろう。もちろん、そのあかつきには私は海外への移住を真剣に検討することにする(笑)。

さて、一昨日のエントリで「一人区のおすすめ投票パターン」について書いたので、今日は「二人区以上のおすすめ投票パターン」を書きたい。

二人区では、自民党と民主党で2議席が事実上確定しているところも多いが、目標はあくまで自民党候補を当選させないことだから、民主党候補が多くの票を獲得したところで、自民党候補が2位で当選してしまえば何の意味もない。そこで、2番目に多くの得票が見込まれる野党候補(ネオコン候補は除く)への投票がおすすめだ。「広島瀬戸内新聞ブログ版」のさとうしゅういちさんが、河野美代子さんへの投票を呼びかけているのがその具体的な実践例である。

三人区以上になると、民主党が候補者を二人立てているところもあるが、三人区以上の都道府県ともなると、民主党のネオコン候補の比率も上がってくるので、政策をより重視したい。都市部の民主党ネオコン候補は、ある意味自民党以上に危険だ。基本的には、ネオコン候補でない限り、野党候補の得票を分散させて自民党候補の獲得議席を減らすという考え方に変わりはない。憲法問題に関する民主党候補のスタンスについては、毎日新聞のアンケート結果を当ブログで表にまとめたので、ご参照いただければ幸いである。

『参院選民主党候補の憲法問題に対する認識』
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-393.html

三人区以上で絶対落としたい候補の筆頭は、五人区の東京選挙区で自民党から立候補予定の丸川珠代氏である。丸川は、かつて金子勝との共著 「ダマされるな!?目からウロコの政治経済学」 で、コイズミ自民党をさんざんこき下ろしておきながら、あっさり転向して、あっという間に核武装論者になってしまった(前記毎日新聞アンケートへの回答)。そして、小池百合子同様、兵庫県出身の関西人でありながら、ノコノコ東京選挙区に現れて「B層票」を獲得しようとしている。江戸っ子がこんな筋の通らない「関西の恥」を当選させるとは思いたくないし、それこそ「ダマされるな!」と言いたいのだが、あの石原慎太郎を当選させた、「B層人口密度」ではおそらく全国一の東京だから何が起きるかわからない。東京にお住まいの皆さまには、支持する候補を全力で支援していただきたいと強くお願いする。

重ねて書くが、比例区は社民党、共産党、9条ネットのいずれかがおすすめであるが、どうしても民主党に投票したい場合は、政党名ではなく候補者名を書いて、ネオコン候補を落選させてほしい。今回、民主党のマニフェストで一番気に入らないのは、衆議院の比例代表区定員を80議席削減するといっていることだ。私は、衆議院の選挙制度自体を、より民意を忠実に反映する「小選挙区比例代表併用制」に変えるべきだと思っているが、民主党の公約はこれに逆行するものであり、とうてい容認できない。だから、これまでの記事より強く、「比例区は社民、共産、9条ネットのいずれか」を推奨する。個人的には、社民党の上原公子氏の健闘に期待している。

当ブログの参院選おすすめ投票パターンの記事は、これで打ち止めだ。明日からは、反自公・反安倍に焦点を絞った記事に戻ることにしたい。


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昨日(7月8日)、フジテレビの「報道2001」を見ていたら、小沢一郎が「参院選の結果、野党で過半数を取れなかったら、私が政界にいる意味がない」と、党首を辞任するだけではなく、政界から引退することをほのめかす発言を行った。今朝のNHKニュースなどを見ていると、この小沢発言が与野党で波紋を広げているという。

私などから見たら、実によく理解できる発言で、小沢は現時点で与党を過半数割れに追い込むことに関しては自信を持っているのだと思う。しかし、過去にも投票日直前に情勢が変化したこともある。自民党の宣伝も活発化するだろう。そして、もし与党が過半数を守った場合、先の国会でもいやというほど見せつけられた安倍晋三の数の力に頼った強引な政治手法はさらに加速し、日本という国自体が崩壊してしまう。そんなことになったら、野党第一党の党首である小沢一郎の責任はきわめて重く、代表辞任くらいで償えるものではない。だから、小沢が「負けたら政界から退く」というのは、当然の覚悟であり、野党第一党の党首にはそのくらいの真剣さを持っていてもらわなければ困るのである。

対照的に、野党第一党よりはるかに責任の重い総理大臣は、その職責の重みを感じているようには全く見えないが、そんなやつであることはもうずっと前からわかりきっていることだ。少々過半数割れしたくらいの結果だと、安倍晋三は、国民新党や民主党からの離反議員を引き込んで、数合わせで政権を維持しようとするに決まっているから、ここは与党を惨敗に追い込まなければならない。

自民党を惨敗に追い込めるかどうかは、地方の一人区にかかっている。昨日、2001年と2004年の参院選および2005年の総選挙の各党獲得議席を見直してみて、01年と05年の自民党の圧勝ぶりに呆れるとともに、04年には東北などで民主党が接戦を制するケースが多く見られたことを再確認した。

しかし、東北よりももっと自民党が強い四国では、04年でさえ自民党の3勝1敗だった。今回は、その四国でも激戦になっており、04年以上に自民党への逆風が強いことがわかる。年金問題はそれほど切実だということであり、地方の保守層は大きく揺らいでいる。

そこで自民党候補と野党候補のデッドヒートになった場合、死に票を作らないことが特に重要だ。もう何度も書いているが、公示日を迎えたあとは、もう特定政党の候補に投票を勧める記事は書かない方が良いだろうから、今のうち思って何度も書いておく。

一人区で自民党の政治に反対する人たちは、選挙区では自民党に勝てそうな候補者に投票してほしいということだ。「比例区は共産党」でも「比例区は社民党」でも「比例区は9条ネット」でもかまわない。私自身、そのいずれかの投票を行うと思う。しかし、選挙区では、必ずしも政策が有権者の主張といちばん近い候補ではなくとも、自民党を一番確実に負けに追い込む候補に投票してほしい。くどいようだが、選挙区は戦略的に候補者を選び、比例区は政党本位で自分と一番近い政策の政党を選ぶ。これが基本的な投票パターンだ。「一番知っている人だから、あの人に投票する」などという発想で、たとえば「ヤンキーセンセイ」なんかに投票してはならない。

いま、従来の保守層に影響を与えつつあるのが、「自衛隊を認めるが、憲法九条は守る」という言論で、内田樹や加藤典洋の護憲論などはその代表格だし、南原繁の思想に立脚した立花隆の主張もそれに近い。南原繁は、60年代に既に、「警察予備隊」や「保安隊」の規模の武力は保ち(つまり、自衛隊の規模は縮小する)、「今後国際警察のごときものが組織され、戦争と同質の国際的暴力行為を抑制する場合」、日本がこれに参加することを是としながらも、憲法九条を守るという立場を明言している。憲法自体は、日本人の手によって作り直されるべきだが、反動的な改憲には絶対反対で、現時点(1960年代の時点)では護憲、という立場だった(注)。もとはもっと先鋭的なタカ派だった小沢一郎の思想も、現在この立場に近づいているように私には見えるし(ただ小沢は自衛隊の規模の縮小までは考えていないと想像する)、社民党も、憲法自体は「不磨の大典」とは考えないが、憲法九条は絶対に守るという立場だ(新聞に掲載された選挙公約より)。

それにしても、60年代と今で、憲法をめぐる思潮が基本的に何も変わっていないことには驚く。大きく変わったのは国会の議席配分であり、護憲政党の議席はいまや数えるほどだ。だからこそ、多くの議席を持つ民主党の小沢一郎が、九条維持に大きく傾いていることを重視し、これを憲法九条改変阻止への流れにつなげていく戦略が求められると思うのだ。

「改憲」(実際には憲法九条の改変)を公約とする安倍晋三内閣の登場によって、憲法九条はいまや存亡の危機に瀕している。そして、はっきり書かせてもらうが、地方の一人区ではほとんどの場合、共産党の候補に投票して死に票を積み重ねるよりも、民主党の候補に投票して自民党の候補を落としたほうが、安倍の狙う改憲を阻止するために有効なのである。

とにかく、ありとあらゆる知恵を絞って、憲法九条の改変を狙う安倍自民党を惨敗に追い込まなければならない。


(注) 立花隆編 「南原繁の言葉 8月15日・憲法・学問の自由」 (東京大学出版会, 2007年) 所収の 「第九条の問題」 (1962年1月) を参考にしました。


参考記事:
「カナダde日本語」?「参院選情勢と各党獲得議席予想」
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-532.html


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「非国民通信」さんやこれお・ぷてらさん(「花・髪切と思考の浮游空間」)のブログ記事から、「インターネットを通じ、参院選への関心を高めてもらうための新企画」と銘打って毎日新聞のサイトに掲載されている「毎日ボートマッチ 『えらぼーと』」を知った。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/07saninsen/votematch/

これは、毎日新聞社が参院選の候補者に対して実施したアンケートと同じ設問を、有権者に答えてもらって、候補者達の回答と比較することによって、有権者の考えがどの政党に近いかを示すという試みだ。

設問は21項目あり、格差問題、憲法問題、教育問題、年金問題、政治とカネの問題、環境問題などについて問われる。

私もやってみたが、私の考えに最も近いのが社民党で、次いで共産党、新党日本、民主党、国民新党、公明党、自民党の順番だった。

こうした結果を知ると同時に、各候補者の回答を参照することができる。そこで、憲法問題について民主党候補がどういうスタンスを取っているかを参照してみた。

21問のうち、問6から問9までが憲法に関する質問になっている。これを下記に示す。


問6 憲法を改正すべきだと思いますか。
   1.改正すべきだ
   2.改正すべきでない

問7 憲法9条を改正すべきだと思いますか。
   1.改正すべきだ
   2.改正すべきでない

問8 憲法9条と自衛隊の関係について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。
   1.海外でも武力行使できる軍隊の保有を憲法に明記すべきだ
   2.専守防衛を前提に自衛隊の保有を憲法に明記すべきだ
   3.憲法9条を改正せず、自衛隊も現状のままでよい
   4.憲法9条を改正せず、自衛隊は縮小すべきだ

問9 現憲法下で集団的自衛権の行使は認められると思いますか。
   1.認められる
   2.認められない


これに対する選挙区の民主党候補および民主党が選挙協力している候補の回答を以下に示す。

0707_参院選民主党候補の憲法観(毎日)

注: (国)は国民新党、(無)は無所属


正直言って、選挙区には、思っていたほど民主党のネオコン候補は多くないという印象だ。6月24日の「サンデープロジェクト」で、民主党の小沢一郎代表が、憲法改定は否定しないながら、憲法9条を維持すると明言したので、その影響もあるのかもしれない。ただ、中には9条だけでなく憲法自体の改定に反対のはずなのに、自衛隊保有を憲法に明記すべきだ、と回答している矛盾した例が複数あったのには首をかしげた。党内で意見の統一がなされていないだけではなく、候補者個人個人にも迷いが感じられる。

なお、比例区の方は、白状すると民主党に投票するつもりはないので(笑)、面倒だったこともあって表は作成しなかった。しかし、選挙区と比較すると比例区の方に民主党のネオコン候補は多いようだ。

毎日のアンケートには、上記の4問の他に、問12として、「核保有検討」の是非を問う設問があり、選挙区では未回答や無回答の候補者を除く民主党の全候補が「検討すべきではない」と回答している。しかし、比例区では川合孝典、玉置一弥の2候補が「国際情勢にかかわらず検討を始めるべきだ」と回答している。こういうネオコン候補を当選させないためにも、くどいようだが比例区で民主党に投票しようと思っている方には、党名ではなく候補者名で投票することをおすすめする。

なお、自民党には、この設問に対して、「今後の国際情勢に応じては検討すべきだ」と回答している議員が少なからずおり、丸川珠代氏ら数名に至っては、「国際情勢にかかわらず検討を始めるべきだ」と回答している。たぶん丸川は、安倍晋三に取り入ろうと、こんな回答をしたのだろうが、ついこの間まで反政権的な主張をしていたはずの丸川が、自民党候補の中でもウルトラ右翼に属するこんな回答をしていたことには呆れ返った。山本一太や世耕弘成でさえ、この問いには「検討すべきではない」と答えているのだ。丸川のごとき候補者は、何が何でも落選させなければならない。同じ東京選挙区の自民党候補・保坂三蔵候補は、核兵器保有の検討に反対しているので、東京の自民党支持者に良心があるのなら、せめて丸川ではなく保坂候補への投票にとどめてほしい(本当は、今回に限っては自民党への投票は止めてほしいのだが)。

毎日新聞のこの企画は、有権者の考えと各政党との「一致度」よりも、各候補者の回答をじっくり参照できることが評価できると思う。


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非拘束名簿式比例代表制に疑問を投げかけた昨日のエントリには、SOBAさんから手厳しいご批判を、さとうしゅういちさんからはご支持をいただいたが、支持のみならず建設的な批判はもちろん大歓迎である。私は、議論がなされずにムード的に付和雷同してしまう傾向が、「AbEnd」にも見られるとかねがね思っていた。これは、一昨年の「郵政総選挙」でコイズミ自民党を圧勝させたと同じ体質が、政権を批判する側にも根強く存在することに他ならない。

また、私自身は好ましくない制度だと考えているが、「非拘束名簿式」が採用されている以上は、この方式の特質を活かした選挙活動をするのは当然であるとも思う。ただ、この方式には、金の力に恵まれている権力側に人気取りを許す危険が大きいことは、忘れてはならないと思う。

さとうさんは、衆議院の選挙制度にも問題があると主張されている。実は私も同じ意見で、昨日の記事でそこまで書きたかったのだが、冗長になるのを恐れたのと、早く記事をアップしたかったので、見切り発車してしまった次第だ(笑)。

現在の小選挙区比例代表並立制は、政権交代が起きやすい制度でも民意を反映しやすい制度でもなんでもなく、過半数の支持も得ていない第一党が圧倒的な議席を獲得できる方式であることは、一昨年の「郵政総選挙」で示された通りだ。

憲法改定は昔からの自民党の悲願で、鳩山一郎の「ハトマンダー」(1956年)や田中角栄の「カクマンダー」(1973年)など、何度か小選挙区制を導入しようとした(Wikipedia 『小選挙区制』 参照)のは、憲法を改定したいがためだったが、野党のほか、マスメディアや世論の反発に会って実現しなかった。

ところが、「カクマンダー」阻止に貢献した朝日新聞などのマスメディアは、93年の「政治改革」局面では「改革派」の支持する小選挙区比例代表並立制支持に舵を切ってしまった。この時の「改革派」の代表的存在が小沢一郎で、選挙制度改革に強硬に反対していたのが小泉純一郎だった。05年の総選挙で、小沢の所属する民主党がコイズミ率いる自民党に選挙制度をいいように利用されて惨敗したのは、歴史の皮肉だ。

なお私は、さとうさんの挙げられている3つの方式(中選挙区制、都道府県別比例代表制、小選挙区比例代表併用制)のうち、ドイツ式の小選挙区比例代表併用制にもっとも惹かれるが、これは昔、単純小選挙区制、小選挙区比例代表並立制と小選挙区比例代表併用制の3つの方式の比較を政治経済の授業で習ったか、何かの本を読んで知って、いい方法じゃん、と気に入った思い出があるからという、結構いい加減な理由に基づいている(笑)。

さて、昨日の記事では2001年参院選に立候補した大仁田厚(自民)、大橋巨泉(民主)、田島陽子(社民)の3候補を例に引いた。

たまたま、今日(6月26日)の「四国新聞」に、01年参院選における3候補の得票数が出ていた。


大仁田厚(自民)  当選  460,421票
大橋巨泉(民主)  当選  412,087票
田島陽子(社民)  当選  509,567票


これに対し、04年参院選では、タレント候補の得票は下記のようになっている。


荻原健司(自民)  当選  194,854票
神取 忍(自民)  落選  123,521票
嘉納昌吉(民主)  当選  178,815票


神取(かんどり)忍って何者か私は思い出せず、ネット検索して女子プロレスラーであることを知った。選挙では落選したが、昨年、竹中平蔵の議員辞職に伴い、繰り上げ当選となった、れっきとした「センセー」である。自民党では、やはりというか、売国派閥・町村派(旧森派)に属している。

01年と04年でタレント候補の得票数がかくも違ったのは、もちろん候補者自身のインパクトの差もあるだろうが、「構造改革」の是非が争点(?)となった01年の選挙より、年金問題が争点になった04年の方が、より争点が有権者にとって切実であり、04年の選挙ではタレント候補に投票する気が起きにくかったせいではないだろうか。

そう考えると、今年の選挙では、年金の給付が受けられないかもしれないという、さらに切実な問題があるので、タレント候補の得票はさらに減るのではないかと思う。自民党からの参院選立候補を半年近くも前に 「きっこの日記」 に予想されていた、「ヤンキー先生」こと義家弘介なんて、特に得票の期待できない候補だろう。

これほど政府・自民党が不人気だと、今回は非拘束名簿式比例代表制の欠点は現れにくいかもしれない。だが、与党への逆風はおそらく一時的な現象で、参院選が終わって安倍がめでたく 『the End!』 になったとしても、政界再編劇が始まったら、また状況は変わる。1989年や1998年の参院選での自民党大敗も、結局政治を変えることにはつながらなかった。ブログ言論も、参院選のあとが大事だろうと思う。おそらく、状況の変化に応じてタイムリーに声を上げていく必要が出てくるだろう。

衆議院選挙で自民党を倒すまでは、全く気が抜けない。


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周知のように、参議院選挙の比例区は、「非拘束名簿式比例代表制」である。

だが、どのような経緯でこの「非拘束名簿式」が導入されたかを覚えておられる方は、意外と少ないようだ。

1980年までは、候補者を選ぶ「全国区」だったが、1983年に「拘束名簿式比例代表制」に改められ、それが1998年まで続いた。

しかし、1998年の参院選で大敗した自民党は、2000年当時の森内閣のあまりの不人気に頭を抱えていた。同党は、このままでは2001年の参院選で与野党の議席が逆転してしまうと危機感を募らせ、2000年秋に自民・公明・保守の与党三党の賛成多数で「非拘束名簿式」に改めてしまったのである。

当然、野党はこれに反発した。たとえば、社民党は2000年10月13日付で、下記のような党声明を出している。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~sdpkitaq/hikousoku.htm


党声明(党中央)

2000年10月13日 社会民主党

 昨日の参考人質疑でも「時期尚早」、「唐突」、「異常事態」との懸念の声が大勢を占めていたにもかかわらず、本日、自公保3党は、参議院選挙制度に関する特別委員会で、非拘束名簿式の導入と議員定数の削減のための公職選挙法の一部を改正する法律案の「採択」を強行した。与党が選挙制度を自らに都合良く変更するため、国民の意見も聞かずに、与党が法案を一方的に出して、与党だけで審議して、与党だけで決めてしまうのは、議会民主主義の否定であり、戦後の選挙制度史において特筆されるべき暴挙である。

 参議院の選挙制度については、本年2月25日の各派代表者会議において「当面現行制度を維持する」ことで各党が合意していた。しかし、久世公尭・前金融再生委員長の大型ヤミ献金問題をきっかけに、与党は制度問題に疑惑をすり替え、一方的に非拘束名簿式の導入を打ち出した。しかも、非拘束名簿式自体が民意に適うものであるどころか、票の横流しによって有権者の民意を踏みにじる制度である。

 非拘束名簿式の導入は、「残酷区」・「銭酷区」といわれた旧全国区を再現するだけでなく、政党と国民との絆・結びつきを深めるという比例代表制導入で期待された理念をも否定することになる。政党自らの存在価値自体を問われかねないものにする制度改悪であり、まさに時計の針をはるか昔に戻してしまうことにほかならない。

 KSD中小企業経営者福祉事業団との関係で明るみに出た村上参議院自民党議員会長の疑惑や、久世問題にみられるように、今回の暴挙は、票と順位を金で売買する自民党の金権体質を覆い隠し、ますます政治と金との癒着を厚くさせるものである。正常化のための努力を一切拒否し、一瀉千里に採決まで持ち込んだ自公保3党の無謀な暴走をこれ以上続けさせてはならない。こうした暴走を一つ一つ許すことが日本の民主主義をますます危うくさせる。社会民主党は、自公保3党に対する、主権者である国民のみなさんの厳しい審判を期待する。


私は、この社民党の意見は正論であり、比例区は「拘束名簿式比例代表制」に戻すべきだと考えている。

2000年当時、自民党は女子マラソン指導者の小出義雄氏に声をかけるなど、さっそく「非拘束名簿式」を悪用しようとした。なぜ、シドニー五輪で優勝した高橋尚子選手に声をかけなかったかというと、高橋選手は当時被選挙権を持つ年齢に達していなかったためだろう。

結局、自民党はコイズミの異常人気によって、01年の参院選では、選挙制度のいかんにかかわらない圧勝を収めたのだが、それでも大仁田の当選など、今思い出しても苦々しい気分になる。

もちろん、制度が導入された以上は、野党も有名人で票を集めようとした。民主党は大橋巨泉、社民党は田島陽子を候補に立て、それぞれ当選した上、他の候補に票を横流しした。しかし、両氏とも任期途中で議員辞職してしまい、制度の弊害を浮き彫りにする結果になった。自民党の大仁田も、さすがに二期目に立候補する厚かましさは持ち合わせていなかったのである。

基本的に、選挙区は候補者個人に、比例区は政党に投票するというのが選挙制度の理念に沿った投票行動だろう。6月21日付の当ブログ記事 「『AbEnd』のための参院選投票パターン」 では、比例区で民主党に投票する場合は、ネオコン候補を排除するために候補者名での投票を推奨したが、これはあくまで例外であり、基本的には比例区は政党本位で投票することを推奨したい。民主党議員の篩い分けは、今後政界再編成とともに進んでいくと思う。

参議院選挙のあといずれ行われる衆議院総選挙で自公政権が倒れたあかつきには、参議院の比例区は「拘束名簿式比例代表制」に戻してほしいものである。


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