きまぐれな日々

長野での聖火リレーが終わった。

朝日新聞は、「騒然長野聖火リレー 投げ込み・乱入など6人逮捕」と伝えている(下記URL)。
http://www.asahi.com/national/update/0426/TKY200804260001.html

私はこの聖火リレーのニュースについて、映像を全然見ていないので、このリレーがどのように評価されているのかよくわからない。だが、今回の北京五輪をめぐる世論には、釈然としないものが残る。

思い出すのは、1980年のモスクワ五輪と1988年のソウル五輪だ。

モスクワ五輪は、前年の79年末に起きたソ連のアフガン侵攻をアメリカのカーター大統領が非難して五輪参加ボイコットを表明、これに日本の大平正芳首相も同調して日本も参加をボイコットした。

これに対して、朝日新聞を筆頭とするマスコミは、「五輪と政治とは別だ」として五輪ボイコットを批判した。毎日新聞は、朝日ほど立場を鮮明にはしなかったもののやはり五輪ボイコットには批判的だったが、その前年あたりから政府寄りの言論を展開するようになった読売新聞は、五輪ボイコットを支持した。

世論はというと、柔道の山下泰裕の涙の訴えに同情が集まり、五輪に参加すべきだという声が多かったように思う。個人的には、瀬古利彦のマラソンを見たかった。あの年の瀬古なら、きっと金メダルを獲得していたと思う。その後84年のロサンゼルス五輪と88年のソウル五輪で瀬古は惨敗し、五輪のメダルとは結局無縁だった。

28年前と今回を比較すると、今回はアメリカ政府も日本政府も北京五輪のボイコットなど露ほども考えていないのに、なぜか国際世論、さらにそれに引きずられて日本の国内世論も五輪に否定的な傾向が目立つようになった。

28年前のカーターと大平は、いずれもハト派の政治家だった。但し、カーター大統領も大平首相も、十分な成果を挙げた政治家とはいえなかった。一方、現在はアメリカがイラクやアフガンに理不尽な戦争を仕掛けたブッシュであり、日本は首相こそ比較的穏健な福田康夫だが、ちょっと前までのコイズミ−安倍と続いたエキセントリックな内閣の悪影響を受けた政権である。その日米両政府は北京五輪を無事終わらせたいのに、世論が五輪に否定的な雰囲気だということに、かなり強い違和感を覚える。

断っておくが当ブログは、3月18日付のエントリ "チベット騒乱の報道を受けて、中国について思うこと" で立場を明確にしたように、今回のチベット暴動の問題に関しては、中国政府に対して批判的だ。だが、その一方で、4月4日付エントリ "チベット問題に関する左右の浅薄な主張は国益を損ねる" では、「(左右の)イデオロギーより国益を優先せよ」と主張した。ブログ管理人は現実主義者なのである。

私の目から見ると、普段左派的主張を開陳している人まで、「そもそも中国で五輪が行われること自体が間違っていた」などと主張するのを見ていると、首を傾げてしまう。私の感覚からすれば、そんな論法が通用するなら、イラクやアフガンその他で悪逆非道の行ないをしてきた世界最大のテロ国家・アメリカで五輪を行うことを真っ先に否定しなければならないはずだと思うからだ。

まあこんな言い方だと話が紛糾するだけかもしれないから、ソウル五輪の例を持ち出すことにしよう。ソウル五輪の開催は、1981年に決まった。この時ソウルに敗れたのが名古屋である。この五輪選考の前年(1980年)には、「光州事件」があった。軍事クーデターで政権を握った全斗煥の政府が光州市民を大虐殺した事件だ。1989年6月4日に中国で起きた「天安門事件」に比すべき事件だったと思う。

「オーマイニュース」でも、韓国人記者が "ソウル五輪の亡霊が「チベット暴動」に蘇った"(3月20日)という記事で、20年前の韓国と今年の中国の類似性を指摘している(下記URL)。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080318/22249

当時、「光州事件」にもかかわらず韓国は五輪開催権を得たし、日本もボイコットしなかった。ソウル五輪では男子柔道などで韓国人選手と日本人選手の対戦となると地元韓国のすさまじい応援が湧き上がって日本の選手が次々と雰囲気に呑まれて敗れ、唯一95キロ超級の斎藤仁だけが意地を見せて金メダルを獲得したのを覚えている。この頃から日本の保守も韓国を批判するようになったのかもしれない。しかし、当時はソウル五輪批判の声が高まることはなかった。むしろ、当時印象に残っているのはソウル五輪の時期に昭和天皇が重体になったことで、100m背泳ぎの鈴木大地が金メダルを取った日には昭和天皇の大量下血が報じられ、Xデーになって五輪放送が休止したりしないかとヒヤヒヤしたものだ。世間一般でも、昭和天皇の病状のニュースよりソウル五輪をしっかり放送しろ、という声の方が強かった。

その韓国と中国はどう違うのか。北京は、1993年の五輪選考で、シドニーに惜敗したが、それは人権問題を問われた影響だったとされている。おそらく1989年の天安門事件も影響していただろう。そして、天安門から12年を経た2001年の選考で、ようやく五輪開催権を獲得した。

「平和の祭典」などというのはまやかしだろうと私も思う。五輪はすっかり商業主義に染まっているし、何より中国自体が世界でももっとも過激な新自由主義国家だ。だが、五輪なんてどうせその程度のものなのだから、中国で五輪が行われて何が悪いのだろうか。ついつい私などはそう思ってしまう。

むしろ、前記「オーマイニュース」の記事も指摘するように、五輪閉幕後に中国がどう動くかを十分監視しなければならない。だが、たとえば右翼などは、中国が国威発揚を賭けた北京五輪を妨害することばかり考えていて、人権問題などそのダシに使っているだけだ。

五輪は五輪でやらせておけば良いじゃないか。それが日本の国益にもかなうはずだ。昔ほど熱心に五輪を見る気がなくなった私だが、それでも4年に1度の夏季五輪はテレビ放送で楽しみたいと思う。


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ひさびさに安倍晋三を正面切って批判した一昨日のエントリで、共同通信が発表した10大ニュースについて触れたが、実は、国内ニュースの10位が今年4月の伊藤一長・長崎市長の射殺事件だったことに引っかかっていた。このニュースがこんなに下位で良いのだろうかと思ったのである。

私は、言論の自由を脅かすテロに対しては敏感なほうで、昨年、加藤紘一の実家が放火された時に、これを笑いものにした稲田朋美や、なかなかテロ糾弾のコメントを出さなかった時の首相コイズミおよび官房長官・安倍晋三を厳しく批判した。「稲田朋美」を検索語にしてGoogle検索をかけると、当ブログが上位で表示される。当ブログが稲田について詳しく述べたのは、下記エントリである。
"嘘つきが「教育改革」を進め、テロ肯定者が「伝統と創造の会」を主宰している"
(2006年11月23日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-184.html

伊藤一長・長崎市長の射殺事件の衝撃は、当然ながら加藤紘一邸放火事件よりさらに大きく、4月18日のエントリでは、いち早くテロに対して抗議した加藤紘一のメッセージを紹介するとともに、テロ批判の言葉が口をついて出てこなかった当時の首相・安倍晋三を批判した。

4月19日のエントリでも安倍を批判したが、その頃、伊藤市長を射殺した犯人が属していた「水心会」という山口組系の暴力団が「安晋会」と関係があるのではないかという情報を得た。それを紹介した4月20日のエントリ「きっこの日記」 からリンクを張っていただき、1日のブログのアクセス数が1万件を突破した。これには大いに感激したものだ。それにしても、耐震強度偽装事件、ライブドア事件に絡んだ野口英昭・エイチエス証券副社長の自殺に続いて伊藤一長長崎市長の射殺事件でも「安晋会」の名前が出てくるとは、いったいどういうことなのだろう。言論の自由を脅かすテロと戦うどころか、その逆方向のベクトルを持つ話ではないか。

その4月20日のエントリで紹介した、原田奈翁雄さんの評論を再掲したい。オリジナルは、4月20日付の「四国新聞」に掲載された(他の地方紙にも載っていたかもしれない)。

90年1月、本島市長は右翼の銃撃を受けて重傷を負った。
 事件は大きな衝撃だった。なんとか一命を、と祈った。だが、言論の自由とテロはせめぎ合いである。言論を守るためには、暴力と不断の対決を続けていくしかない。
 それから17年、いくつものテロが重なり、事態はさらに悪化しているといえる。それは、この間、日本国憲法第九条を立法、行政、司法が破り続けてきた事実と並行している。
 被爆の町の首長に対する度重なるテロ。私たちはどこかでいまだに暴力の効用を信じ、認めているのではないだろうか。米国は9・11テロに対して最大の暴力である戦争をもって応え、当時の日本の小泉首相は進んでそれを支持、自衛隊の派遣にまで至ったのである。
 戦争を容認する社会は暴力を容認している。そして、戦争を発動し得る者は政治権力以外には決してない。世界中の政府が交戦権を持つ限り、この地上からテロリズムを絶つことはできない。憲法九条だけが軍備の保有、政府の交戦権を認めず、戦争根絶の具体的な道を明確に示している。

(2007年4月20日付「四国新聞」より)

アメリカの「テロとの戦い」に対する批判は、この文章で十分ではないかと私は思う。今年9月9日のエントリで、私は、9・11の時に「アメリカはテロをやられても仕方のない国だ」という感想を持ったと書いた。なんでアメリカを批判するのに「9・11自作自演説」なんかを持ち出さなければならないのか、それが私には理解できない。それまでにアメリカがやってきた行ないを知っていれば、怪しげな自作自演説なんかを持ち出さなくとも十分アメリカを批判できるはずだ。

あまりにバカバカしいので、9・11の話題に深入りするつもりはないが、ちょっとだけ指摘しておくと、自作自演説を唱えているひとりのコンノケンイチ(今野健一)なる人物は、疑似科学をわめくトンデモの中でも、とりわけ程度が低いことで有名である。また、先日、社説で「9・11自作自演説」を取り上げたという「滋賀報知新聞」はまともな県紙ではない。滋賀には代表的な県紙が存在せず、京都新聞や中日新聞がその代替となっている。

こんな陰謀論なんかにかかわるのは時間のムダとしかいいようがないが、そんな極楽トンボの議論をやっているうちに、パキスタンでベナジル・ブット元首相がテロの銃弾に倒れた。

10月にブット氏が帰国を強行した直後に爆弾テロに狙われて多数の死者が出た。この時、いずれブット氏本人が凶弾に倒れなければよいがと思ったし、姪のファティマ・ブット氏の批判(下記URL)にも説得力を感じた。
http://www.afpbb.com/article/politics/2301938/2269126

だが、これもブット元首相が生きていればこその批判だ。テロは、すべてを無に帰してしまう。実質的にこの惨劇を招いたのは、ブットとムシャラフを連携させようとしていたアメリカだと言っても間違いではないだろう。

年末にはよく衝撃的な指導者の死がある。1989年のルーマニア・チャウシェスク大統領(12月25日)、それに昨年のサダム・フセイン(12月31日)。だが、彼らの場合はまだ独裁者の処刑だった。サダムの場合は、アメリカによる私刑の色が濃かったけれど。

それに対し、今回はテロである。それでなくとも暗い年末の気分を、さらに滅入らせる事件だった。パキスタンは核保有国であるだけに、アメリカによってもたらされた不安定が恨めしい。


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柏崎原発で起きた、放射性物質を含んだ冷却水漏洩や火災などのトラブルは、どう考えても大ニュースだと思うのだが、マスコミの報道ぶりはやけに鈍感だ。安倍晋三首相が被災地を訪れたなどというのはどうでも良いニュースだ。安倍はすぐトンボ帰りして、被災者の訪問が選挙向けのパフォーマンスに過ぎなかったことを露呈した。他の政党も似たり寄ったりかもしれないが、たとえばやはり現地を訪れた民主党の鳩山幹事長がテレビに大写しされることはほとんどなかったのだから、震災報道の一部が自民党の選挙活動への協力になったことは否めない。

さて、柏崎市の会田洋市長は18日、東京電力の勝俣恒久社長らを市役所に呼んで、柏崎刈羽原発の地盤に痛みが見つかったとして消防法に基づいて同原発に緊急停止命令を出した。

この命令について、「広島瀬戸内新聞ブログ版」は、下記のように伝えている。


柏崎市長は、柏崎刈羽原発の使用停止命令を出しました。

消防法に基づくもの。こんなことができるのです。

第12条の3 
市町村長等は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者に対し、当該製造所、貯蔵所若しくは取扱所の使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

2 第11条の5第4項及び第5項の規定は、前項の規定による命令について準用する

自治体も現行法の枠内でも、住民を守るためにできることはあるということを改めて実感したニュースです。

「異例」ではありますが、しかし、間違いなく「合法」です。そして、50件もトラブルがあったというなら、なおさらです。

むしろ、停止させないで何か起きたら、最近なら「不作為」で、住民から訴訟を提起されてもおかしくないのではないか、とも思います。

(「瀬戸内新聞ブログ版」〜『柏崎刈羽原発に使用停止命令・市長「安全性確認できず」』 より)


この使用停止命令に対する現地の反応が報道されている。以下は「四国新聞」からの引用だが、共同通信の配信記事と思われる。


 「客は東電の見学ツアーや工事作業者などほとんど原子力関係。停止命令は必要だけど、ずっと続いたら仕事がなくなる‥‥」。原発近くにある料理店の経営者は苦しい胸の内を明かす。
 施設で働く東電や関連企業の社員のうち2市村に約3800人が住む。柏崎刈羽原発をめぐっては2002年に修理記録改ざんなどのトラブル隠しが発覚。04年の中越地震では地元自治体との連絡体制の不備が問題化し、今回は火災と放射性物質の検出。住民の不信感はピークに達している。
 それでも地元と東電との関係が保たれているのは、電源開発促進税法などに基づく交付金制度の存在も大きい。
 断水で公共施設に給水を受けに来た男性(42)は、原発直下に断層がある可能性が出ていることについて「確かに地元を潤わせてくれるが、事故で最初に被ばくするのは住民。危険な場所にあるならしっかり耐震補強を」と話す。
 刈羽村の場合、交付金は06年度で約7億円に上り、歳入全体の約17.4%を占める。小中学校を建て、村内にケーブルテレビ網を設置‥‥。原発は人口わずか5千人の村を確実に潤している。
 原発施設内の緑化事業を請け負う会社の男性従業員は「この地域は原発の恩恵を受けている。原発の危険性は承知のうえで仕事をしている。(停止命令は)どうとも思わない。騒ぐ話じゃない」と落ち着いた様子。
 そんな村の実情を原発反対派の宮崎孝司柏崎市議(63)が説明する。「住民も不安を感じているが、多くが原発関連で働き、原発に依存していることは否定できず、矛盾を抱えている」

(「四国新聞」 2007年7月19日付紙面より)


おそらく「原発城下町」といわれるところには、どこも似たような事情があるのだと思う。

これに対し、行政や司法の対応はどうかというと、これが露骨に電力会社寄りの姿勢を示し続けているのである。

同じく四国新聞の記事(共同通信の配信と思われる)から引用する。


 「危険性を過小に評価していたことが証明された」と指摘するのは京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)。東京電力は「想定外の地震の規模」と強調するが、地震の強さを示す加速度は柏崎刈羽原発1号機で最大で680ガルに上った。この値は耐震設計値273ガルの約2.5倍だった。
 政府は2004年の新潟県中越地震の後、柏崎刈羽原発に大きな影響を及ぼす断層は存在しないとする答弁書を提示し、東京地裁も05年、原発設置反対の住民が主張した断層の存在を「地震の原因にならない」と判断。国、裁判所、東電が危険性を見逃した形だ。その背景として今中助教は「耐震設計にできるだけ費用を掛けたくないのが電力会社側の論理」と経済性優先の姿勢を指摘する。
 「原子力資料情報室」の西尾漠共同代表も、電力会社が地層や地盤などを自ら調査し、安全性を判断する現状を批判。「電力会社に任せていては、危険は見つけられない。すべての原発を止めて調査すべきだ」と話す。
 柏崎刈羽原発の心臓部はどうなっているのか。今中助教は「放射性ヨウ素が大気中に放出されており、炉心内部にある燃料棒の破損が想定される。配管のひびや、制御系回りのトラブルが発見される恐れもある」と分析している。

(「四国新聞」 2007年7月19日付紙面より)


以上に見たように、まだ新聞は多少なりとも原発問題を論じる姿勢を見せているが、反応がいたって鈍いと思うのがテレビである。たとえば、地震当日の16日夜、「報道ステーション」(テレビ朝日)と「NEWS23」(TBS)を見たのだが、特に「NEWS23」では原発トラブルについてほとんど報じなかった。

こんなことでは、いざ大事故が起きるまで問題が先送りにされてしまうのではないかと思う。

例によって、7月17日の「きっこの日記」(「原発事故は人災です」)が、現地の方やその親族の方からのメールを掲載しているので必読だ。

いつの間にか、事実を知るにはマスコミ情報だけでは不十分で、ブログなどのインターネット情報に頼らなければならなくなってしまった。


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28日、宮沢喜一元首相が老衰で死去した。87歳だった。

2000年以降、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三と続く、知性のかけらもない総理大臣たちとは対照的に、高い知性を持った政治家だった。

外交政策は自民党の政治家の中でももっとも「ハト派」色の強い人で、憲法改定には慎重だった。共同通信の榊原元広記者が書いた評伝記事(地方紙各紙に掲載)によると、記者たちにも「戦争をしちゃいけません」と口癖のように言い、記者が「なぜですか」と聞くと、難しいことは言わず、「負けることがあるでしょう。負ける戦争をしてはいけません」と答えたそうだ。

しかし、首相在任中に国連平和維持活動(PKO)協力法を成立させた。大平正芳内閣(1978〜80年)にもいえることだが、現実の政治では、外圧や党内タカ派との妥協を重ねて、力強さに欠けた面があったかもしれない。大平正芳氏とはそりが合わなかったとされる宮沢氏だが、政治理念が高く評価される割には、政権担当時の成果に乏しいといわざるを得ないところは共通している。得意だったはずの経済政策でも、これといった成果があったかどうかは疑問で、宮沢内閣(1991〜93年)のバブル終息時の政策が「失われた10年」につながったと評する人もいる(その当否は、浅学の私には判断できない)。

1988年のリクルート事件にも絡んだ。宮沢といい大平直系の加藤紘一といい、宏池会の政治家がしばしば金銭スキャンダルに絡むのは、もったいない話だと思う。朝日新聞編集委員だった故石川真澄氏は、リクルート事件に宮沢氏が関与しているのが明らかになった時、「ここでつまずいたのは惜しいという気持ちを抑えきれない」と書き、そういう新聞記者のスタンスが、ジェラルド・カーティス氏に『日本の新聞は「保守本流」に対して、ひとつの安心感に似た意識があるんじゃない?』とからかわれた原因かもしれない、としている。

石川氏は、加藤紘一氏が金銭スキャンダルに見舞われたとき、以下のように書いた。


 保守本流の「宏池会」は、ある時期まで、鉄鋼、電力、銀行、商社など「筋のいい」財界から直接の見返りを求めない資金を供給され、1950年代はじめの造船疑獄以後はスキャンダルでつまずくことはあるまいといわれた。その意味でも「エリート」派閥であった。ところが宮沢氏のリクルート以来、カネでつまずいてばかりである。加藤氏はそのことに気づかなかったのだろうか。
 そもそも派閥の親分がカネを集めるなどして「百年兵を養い」、首相への階段をよじ登るなどという自民党戦国史の古典を、氏素性の良かった人々がなぞっていったこと自体がひどいアナクロで、理解を絶している。小泉氏の朋友である加藤氏にそれがどうして見えなかったのか。時代は加藤流から小泉流へと大きく動いていたのである。

(「世界」 2002年6月号、「戦争体験は無力なのか」=岩波書店、2005年=に収録)


とはいえ、「クリーンなタカ」よりは「ダーティーなハト」の方がよっぽどましだろう。コイズミが「クリーン」といえるかどうかにも強い疑問があるが、安倍晋三に至っては、明らかに「ダーティーなタカ」であり、「火炎瓶事件」が裁判で争われていることから明らかなように、安倍は、暴力団とのかかわりも問われている人物だ。防衛政策では憲法九条改定志向の超タカ派、外交政策では国辱的な対米隷属路線、経済政策では格差を拡大し、国民を困窮させる新自由主義という最低最悪の政策を推進している上に、スキャンダルまみれでもある戦後最悪の政治家に対する審判選挙を1か月後に控えたこの時期に、「保守本流」の大物政治家が亡くなったことに、ある種の感慨を禁じ得ない。来月の参院選は、「戦後民主主義」の「弔い合戦」でもあると思う。

ともあれ、宮沢喜一元首相のご冥福をお祈りしたい。


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さるルートから、防衛庁の「省」昇格法案についての池田香代子さんのメッセージが、「転送・転載歓迎」との但し書きつきで流れてきたので、以下に転載する。

******転送・転載歓迎*********

―このまま通していいの?「防衛庁を省に移行する法案」―
   
衆議院安全保障委員会で審議中の「防衛庁「省」昇格法案」。

あまり注目を集めていませんが、じつは改憲にストレートに結びつく、重大な内容の法案です。

この法案は、一口でいうと
「防衛庁を『省』に格上げ+自衛隊海外派遣を本来任務に格上げ」
するもの。

●防衛庁を「省」に格上げ
防衛庁が「省」になると、防衛庁に防衛主任の大臣がおかれることとなり、法令制定や自衛隊の活動に関する閣議の要請、予算の要求などを、防衛大臣が直接行えるようになります。

また、いままで外務省が受け持っていた日本の安全保障外交を「防衛省」がともに担当することが、公然のものとなります。

さらに、いままで自衛隊は内閣総理大臣の指揮監督を受けて防衛庁長官が統括していましたが、この法案では防衛大臣が直接統括するようになります。自衛隊の防衛出動への歯止めがひとつ、はずれるわけです。

●自衛隊海外派遣を本来任務に格上げ
自衛隊の本来任務は、いままではあくまで「本土防衛」と「国内の災害救援」「国内の治安維持」に限られていました。「専守防衛」を建前としていたからです。

この法案で、「周辺事態への対処」「国連などの要請にもとづくPKO活動」、そして、「他国の要請にもとづく、他国の軍事行動の支援」が、自衛隊の本来任務に格上げされます。

今後、自衛隊の任務の中心がしだいに海外での活動に移っていくことになるのではないか、と心配です。

ことに、「他国の要請にもとづく、他国の軍事行動の支援」には、地理的な限定も、国連の要請といった限定もいっさいありません。

これで、イラクに行ったときのように苦しい言い訳を考える必要もなく、堂々とアメリカの要請に応じて武器を持って海外に出かけていくことができるようになるのではないでしょうか。


★民主党議員にファックスを
この法案、民主党の多くの議員が賛成しているそうです。
ですから、審議再開しだい、あっという間に通ってしまうかもしれません。

でも、多くの人が、「おかしい」と思ってると知ったら、民主党の動きは変わるでしょう。

また、民主党議員の多くは、党是にも矛盾するこの法案のおそろしさに気づいていない節があるので、ぜひとも働きかけたいところです。

どうか、民主党議員中心にファクスやメールで意見を送ってください。

ご参考までに、20日夜、「りぼんぷろじぇくと」有志から衆議院の民主党議員全員に送ったメールとファックスを以下に添えておきます。

民主党議員のファックス番号を、最後に加えています。
ぜひ、多くの声を届けてくださいますようおねがいします。
====================

  民主党議員のみなさま

党是と真っ向から矛盾するような法案を
そのまま通過させてもいいのでしょうか?

11 月 9 日衆議院安全保障委員会で審議入りした「防衛庁を省に移行する法案」(防衛庁設置法等の一部を改正する法律案)の内容に民主党の委員は概ね賛成との声が聞こえてきます。

しかし、この法案が民主党の今までの主張と大きく矛盾する内容を含むことを、どのようにお考えなのでしょうか。


1.国連と無関係に他国の軍事行動に協力してもいいのですか?

この法案は、自衛隊の海外活動を本来任務として位置づけますが、その内容に、国連と無関係の他国の軍事行動に協力することが含まれています。以下に引用した「自衛隊法の一部改正」三条に追加される第二項に紛れ込んでいる「その他の国際協力」とはアメリカなどの他国の軍事行動に対する協力をさすのではないでしょうか。

国連と無関係に他国の軍事行動に協力することを許すような法案に、国連主義を標榜する民主党が賛成するのはおかしいと思いませんか。

民主党は今までずっと「国連決議にもとづく国際平和活動」に限って自衛隊は協力すべきだと主張してきたはずです。
この法案はそれを否定するものです。


2.内閣や国会によるシビリアンコントロールを弱めてもいいのですか?

「有事の際、首相の判断でなく、防衛大臣の指示によって迅速に対応できる」ことが防衛庁を「省」に昇格させる意義とされますが、「迅速」は「拙速」につながる心配もあり、民主党が重視してきたシビリアンコントロールを弱めることにならないか、慎重な吟味が必要ではないでしょうか。

昨今、不祥事にまみれた防衛庁は、省に昇格させてもよいほど信頼できるのでしょうか。

イラク戦争を拙速に支持したことで、日本人が6人亡くなっています。
拙速な判断一つで多数の人命が失われることもあり得ます。

 安全保障については、手続を簡素化するより、国会の関与を含め、シビリアンコントロールを強化する仕組みが必要なのではないでしょうか。

民主党の党是に背くことのないよう、そして、国民の命が危険に晒されることにならないよう、ぜひ厳しく法案を吟味してください。


【防衛庁設置法等の一部を改正する法律案】
(自衛隊法の一部改正)
三条第一項の次に次の一項を加える。

2 自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であって、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。


我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動


国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動

2006 年 11 月 20 日

「りぼんぷろじぇくと」有志
池田香代子、伊藤美好、今村和宏、室田元美、ほか

★「りぼん・ぷろじぇくと」は、特定の政治団体、政党、宗教、思想などとは関係のない独立した個人のネットワークです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・
民主党本部FAX:03-3595-9991
最高顧問   羽田 孜さん FAX:03-3502-5080
 同     渡部恒三さん FAX:03-3502-5029
代表代行   菅直人さん FAX:03-3595-0090
幹事長    鳩山由紀夫さん FAX:03-3502-5295
政策調査会長 松本剛明さんFAX:03-3508-3214
国対委員長  高木義明さん FAX:03-3503-5757

衆議院安全防衛委員会委員
理事 笹木竜三さん FAX:03-3508-3341
理事 前田雄吉さん FAX:03-3508-2832
委員 内山晃さん  FAX:03-3508-3297
委員 神風英男さん FAX:03-3508-3827
委員 津村啓介さん FAX:03-3508-3666
委員 長島昭久さん FAX:03-3508-3294

参議院外交防衛委員会委員
理事 柳田稔さん FAX:03-5512-2232
理事 浅尾慶一郎さん  FAX:03-5512-2711
委員 犬塚直史さん  FAX:03-5512-2318
委員 喜納昌吉さん  FAX:03-5512-2407
委員 佐藤道夫さん FAX:03-5512-2531
委員 榛葉賀津也さん  FAX:03-5512-2790
委員 白眞勲さん  FAX:03-5512-2329


参議院議員の党役員
副代表 北澤俊美さん 03-3503-3889
副代表 円よりこさん 03-5512-2738
参議院議員会長 輿石東さん03-3593-6710
参議院幹事長 今泉昭さん03-5512-2607
参議院国対委員長 郡司彰さん 03-5512-2626
広報委員長 千葉景子さん03-5512-2412
両院議員総会長 田名部匡省さん03-3593-0341


その他、自分の選挙区の議員や知っている議員がいたら、以下のサイトにあるリストで調べて、その人にもぜひお願いします!
http://www.jca.apc.org/silvernet/giin_all.html

*****転送・転載ここまで*********

なお、渡部恒三議員と鳩山由紀夫議員の名前に誤変換があったので、当ブログで訂正しておいた。

池田香代子さんについては、当ブログで『池田香代子さんの「やさしいことばで日本国憲法」』というタイトルの記事で紹介したことがある。ずっとノンポリだったのだが(ヨースタイン・ゴルデルの有名な「ソフィーの世界」を翻訳された頃もそうだったはず)、急激に進むわが国の右傾化に危機感を抱くようになり、数年前から政治的発言をされるようになった方だとうかがっている。


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読売新聞のサイトから。

米国の健康食品会社が米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問で、読売新聞記者が取材源に関する証言を拒絶したことの当否が争われた裁判で、東京高裁は14日、取材源を明かすよう命じた東京地裁決定を取り消し、証言拒絶を全面的に認める決定を出した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060614it03.htm

ほっとした気持ちだ。

例によって、読売の記事を引きながら、適当に改変して書くが、今年3月に、藤下健裁判官が、取材源が公務員の場合について、「守秘義務に違反したことが疑われるような取材源について証言拒絶を認めれば、犯罪行為の隠蔽になる」として、取材源の秘匿を認めなかった、との決定を下したと知って、暗澹たる気持ちになったものだ。この馬鹿げた決定がくつがえされて、本当に良かった。

それにしたって、ニュース・ソースを秘匿する権利なんて、ジャーナリズム論のイロハではないだろうか。
私は理系の人間だが、その私でさえその程度のことは知っている。こんなことは常識だ。
しかし、その「常識」さえ簡単に覆す、目を疑うような決定を、この藤下とかいう基地外裁判官は下したのだ。
なんで、こんな男に裁判官が務まるのだろうか。
当ブログのような零細サイトが書くのも何だが、反小泉のブログ同士がいがみ合うのは何とかならないかと思う。

で、決してさる有名ブログの影響を受けて論じるわけではないが、今回、政権側が奇襲攻撃までかけて共謀罪を成立させようとした裏には、アメリカからの強い圧力(というより実質的には指示)があるに違いないとは、私も思う。

それは、関岡英之の「拒否できない日本」(文春新書、2004年)を読んだことがあるからばかりではなく、数年前に栗本慎一郎の「自民党の研究」(光文社、1999年)を読み、その「終章」で栗本が恐ろしいくらい的確な、近未来についての予言をしていることを知っているからだ。

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すんでのところで、「共謀罪」の成立を、とりあえずは免れた。

それもこれも、自民党の馬鹿議員どものおかげだろう。
「民主党案では(国際組織犯罪防止)法案を批准できない」と麻生外務大臣が発言したり、「いったん民主党案で成立させておいて、あとで与党に都合の良いように改正すれば良い」などと、野党や国民を馬鹿にするようなことを公然と口にする自民党の馬鹿議員(細田博之)までいたらしいから、それらを口実にして、本音では法案を成立させたくなかった民主党は、どうにか逃げることができた。

民主党は前原時代の対案を出したままにしておくという、いわば失策を犯しながら、絶対安定多数に驕り高ぶった自民党の馬鹿どもが失策のお返しをしてくれたから、なんとか自分で自分の首を絞めずに済んだのではなかろうか。

まだ油断はできないが、とりあえずは薄氷の勝利をあげられたのではないか。だが、それは実力で勝ち取った勝利ではない。

それを肝に銘じなければ、いつまた「9・11の悪夢」が繰り返されないとも限らないだろう。

なお、私は、今回の奇襲は小泉自身がたくらんだものだと考えているが、衆院法務委員会が散会になったあと、小泉は無関心を装うコメントを発し、事実上細田博之の責任にしてしまった。

いつもながら、小泉というのは本当に無責任なやつだと思う。
小泉は、共謀罪の創設を諦めたかに見せかけて、一転して最後の最後に民主党案を丸呑みすることによる共謀罪創設をたくらんでいた。

あの小泉が、いやにあっさり諦めるんだなあ、もしかして最後の最後に奇襲をかけてくるのではないかと、内心恐れていたのだが、その恐れが現実のものになりかねない状況だ。

ネット調査では、民主党案を含めた共謀罪の創設自体に反対する意見が圧倒的に多かった。時間をかけて徐々に自民党と民主党が歩み寄るのであれば、世論の反発は必至だ。

そこで、小泉はいったん死んだフリをしておいて、最後の最後に成立させようとたくらんだのだろう。いかにも小泉の考えそうなことだ。小泉とは、なんと底の浅く、また卑劣な政治家であろうか。今回という今回ばかりは、呆れ返ってしまった。

民主党は、うっかり対案など出していたが、本音は廃案にあったはずだ。与党が民主党案を丸呑みしてくるのを、本音では一番恐れていると指摘されたのは、もうずいぶん前のことだ。

ここで法案が成立したなら、民主党は完全に死んだとしか評しようがないだろう。
いま話題の画家氏の盗作事件は、腹立たしいというよりは哀しさを感じさせる。

画家氏の名前でググると、一番上で有名小説家氏のサイトが引っかかり、画家氏が小説家氏や有名政治家と一緒に納まった写真を見ることができる。
だが、そんな虚栄は、果たして画家氏にとって幸福を感じさせるものだったか。いつ盗作が露呈するかとびくびくしながらの日々だったのではないか、と想像すると哀れを催すのである。

しかし、本当に気の毒なのは、画家氏の「作品」に感動したファンの方々だろう。
画家氏に騙されたことがわかって傷ついているであろう彼らのブログに、薄っぺらな正義感(実際のところは単なる群集心理)を振りかざした思慮の浅い輩どもによって、画家やファンを糾弾するコメントがつく。

個人的には、犯罪にあたるであろう画家の行為以上に、こうした無思慮の群集の行為に腹が立つ。

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