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きまぐれな日々

今日(2月2日)、かねてからイーホームズの藤田東吾社長が指摘していた、アパグループが建設中のホテル「アパガーデンパレス成田」5棟のうち1棟の耐震強度が不足していることを、千葉県が明らかにした。下記の毎日新聞の記事を参照いただきたい。

『アパグループ:マンション強度不足で千葉県が是正要求』(毎日新聞 2007年2月2日)

なお、リンクが切れている場合は、「kojitakenの日記」にコピペしておいたので、そちらを参照願いたい。

さて、このところ注目されるのは、アパグループの耐震偽装事件をめぐって、安倍晋三首相の非公然後援会とされる「安晋会」(あんしんかい)について、週刊誌が報道し始めるようになってきたことだ。

従来、「安晋会」を取り上げてきた週刊誌は、「週刊ポスト」がほとんど唯一だった。同誌は、昨年2月10日号で、ライブドア事件に絡んで変死を遂げたエイチ・エス証券の野口英昭さんが「安晋会」の理事だったことを暴いたほか、同9月29日号では、アパ物件に、ヒューザーのマンション同様の耐震偽装が指摘されながらオトガメなしになっているのは、元谷会長が「安晋会」の副会長を務めているからではないか、という記事を掲載した。
同誌のこの記事は、発表当時は黙殺され、どのメディアも後追いしなかったが、発表のおよそ1か月後、イーホームズ藤田社長がアパ物件の耐震偽装を告発したのである。

しかし、それでもこの「週刊ポスト」の記事は無視されていたので、当ブログの10月24日付の記事 『週刊ポストが取り上げていた「アパ壷三」の疑惑』で取り上げたところ、この記事は、当ブログとしては異例のアクセス数を記録した。

もちろん、当ブログが先頭を切ったわけでもなんでもなく、「安晋会」の疑惑など、ネットでは昨年のヒューザー物件の耐震偽装問題やライブドア事件の頃からよく知られていた。しかし、それにもかかわらず、活字メディアでは「週刊ポスト」以外ほとんど触れない状況がずっと続いてきた。

しかし、状況が少しずつ変わり始めている。今週発売された「週刊朝日」(2007年2月9日号)と「週刊文春」(2007年2月8日号)が、アパと「安晋会」の関係を取り上げている。

とはいえ、「週刊文春」の方は、どちらかというと安倍晋三をかばうような記事だった。
「週刊朝日」の方はもう少しマシな記事で、1ページを使ってアパホテルの耐震偽装事件を報じている。まず、アパホテルの耐震偽装が発覚し、元谷夫妻が自身の偽装への関与を否定したことを紹介したあと、こう書いている。

  今回の偽装が発覚したのは、民間検査機関だった「イーホームズ」が昨年3月、アパグループの千葉県と埼玉県のマンション3棟について「建築確認の内容に疑義がある」と両県に通報したことがきっかけだった。その後、水落光男・1級建築士が構造計算書の数値を差し替えていたことが判明。国土交通省は水落建築士が関与した42物件のサンプル調査を各自治体に要請し、今回、ホテル2棟の耐震偽装が確認された。
  だが、イーホームズの藤田東吾氏はこう指摘する。
  「昨年3月にアパの取締役がイーホームズに来て、隠蔽を要請した。元谷代表が知らなかったわけがないと思いますね」
  国会で耐震偽装問題を追及してきた民主党の馬淵澄夫衆院議員も、記者会見をテレビで見て驚いたという。
  「私が元谷代表から聞いた話と食い違うんですよ」
  実は馬淵議員は昨年6月7日、衆院国土交通委員会で、先のマンションの耐震偽装を指摘した。ところがその4日前、元谷代表から突然、東京・赤坂の本社に呼び出されたというのだ。
  「そのときも元谷代表は、 『これは偽装ではない』と言っていた。でも、『構造計算の数値を差し替えて修正するのは慣習だ』という話もしていたんです」

(「週刊朝日」 2007年2月9日号掲載記事 『アパホテル耐震偽装発覚で蒸し返される安倍首相との"仲"』より)

ここで注目されるのは、この記事がイーホームズ藤田社長の言い分を取り上げていることだ。ネットでは当たり前のことだが、ようやく週刊誌も追いつき始めた。しかし、同じ会社が発行している「朝日新聞」には、藤田社長の言い分は掲載されない。

「週刊朝日」の記事は、「安晋会」にも下記のように触れている。

  派手な帽子姿の芙美子社長が笑みを浮かべ、「私が社長です」のキャッチコピーが躍る広告は話題を呼んだ。テレビ番組には「セレブ」として登場したこともある。事実、いまやアパグループの企業は14社を数えるまでに成長し、元谷代表は04年分の長者番付で全国32位に躍り出た。
  「6年ほど前、港区の元谷夫妻の豪邸でパーティーが聞かれた。森喜朗元首相や馳浩衆院議員、石川県議など100人ほどが集まっていた」(参加者の一人)
  政治家との交流も盛んな元谷夫妻だが、注目は安倍首相との関係だろう。
  元谷代表は安倍首相の親睦会「安晋会」の副会長を務め、元谷夫妻の自宅で開かれた「ワインの会」には安倍首相も官房長官時代に参加していた。
  そんな関係が思わぬ波紋を呼んだ。前出のマンションの耐震偽装が発覚したにもかかわらず、まったく"おとがめなし"なのは、安倍首相と元谷夫妻の関係が背後にあるのではないか??と週刊ポストが報じたのだ(06年9月29日号)。
(前掲誌より)

なんのことはない。「週刊ポスト」が疑惑を報じている、と書いただけの記事だ。前述の当ブログの昨年10月24日付記事をパクったのではないかと思ったくらいだ(笑)。

とはいえ、前述の「週刊文春」の安倍をかばった記事ともども、「安晋会」の名が、ようやく「週刊ポスト」以外の週刊誌に出たことだけでも進歩と考えたい。
これまで、現職の首相に対する批判がマスメディアのタブーになるという異常な言論状況だったのが、いまや安倍を批判する方がトレンドになりつつあり、明らかに状況は変わってきた。
ここは、「安晋会」のタブーが破られ、「安晋会」についての報道が解禁されつつあることを、素直に喜びたい。

なお、この記事を書いている最中、NHKテレビでも「アパガーデンパレス成田」の耐震偽装が報道されたが、もちろん「安晋会」とのつながりなど報道されようはずもなかった。しかし、かなり大きな扱いだったので、今後アパの耐震偽装の追及が活発化し、森喜朗や安倍晋三にも疑惑の目が向けられる可能性がますます強まってきた。

相次ぐ閣僚の不用意な発言といい、アパ耐震偽装問題といい、安倍内閣はいよいよ追い詰められてきたといえるだろう。


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今日(1月25日)、アパグループの耐震偽装がついにマスコミで報道された。以下、毎日新聞の記事「耐震偽造:京都の2ホテルで発覚 市が使用禁止勧告」から引用する。

耐震偽造:京都の2ホテルで発覚 市が使用禁止勧告

 京都市は25日、京都市下京区にある「アパヴィラホテル京都駅前」(10階建て、139室)と「アパホテル京都駅堀川通」(地上11階地下1階、515室)の二つのホテルで耐震強度の偽装が発覚した、と発表した。市は同日、建築主の「アパマンション」(本社・東京都)に対し、ホテルの使用を禁止し、速やかに改修工事を行うよう求める是正勧告書を通知した。使用禁止の勧告は極めてまれという。

 市などによると、両ホテルは「田村水落設計」(本社・富山市)が設計を担当。建築確認申請書の構造図と意匠図に不整合があるほか、同書と工事施工にかかる構造関係図書に相違があり、耐震強度が最も弱いところで基準値の71?79%しかなかった。

 田村水落設計は毎日新聞の取材に「京都市の計算が間違っており、こちらの強度計算したものは正しいと思っている」と話している。

 ホテルを運営する「アパグループ」(本社・東京都)の平野吉洋・総務部長は「連絡があるまで偽装は知らなかった。現在、新規の予約はお断りしている」と話している。

毎日新聞 2007年1月25日 11時56分 (最終更新時間 1月25日 15時07分)


この事件に関しては、今日は何も言うまい。その代わり、当ブログで過去に耐震偽装事件について取り上げた記事を挙げておく。


『都市再生機構は姉歯以上のデタラメ』 (2006年4月22日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-3.html

『都市再生機構のマンションはやはり「姉歯」よりひどかった』 (2006年6月2日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-43.html

『メディアはやはりアベのものなのか?』 (2006年10月19日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-157.html

『週刊ポストが取り上げていた「アパ壷三」の疑惑』 (2006年10月24日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-160.html

『ついに朝日新聞がアパ物件について報じたぞ!』 (2006年11月2日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-166.html

『下関の闇はどこまで深いのか?ヒューザーと原弘産と「安晋会」と』 (2006年12月14日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-199.html

『藤田東吾さんが語るマスメディアの無恥』 (2006年12月22日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-207.html

『阪神・淡路大震災を「耐震偽装隠し」に利用したこともある自民党政権』 (2007年1月22日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-232.html


この件がついにマスコミ報道されることとなったのは、まことに感慨深い。今後、追及が進むことを願うばかりである。


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本屋でふと見かけた「サイゾー」の2007年1月号の表紙に、『イーホームズ社長告発! <耐震偽装の真犯人>』と赤文字で書かれていたので、この雑誌を買った。「サイゾー」を買ったのは、西山太吉・元毎日新聞記者と岡留安則さんの対談が載った2006年7月号以来である(この対談は、同誌2006年10月号別冊「噂の闘論外伝 岡留安則 vs 12人の論客」に収録されており、それも買った)。

記事は、「サイゾー」編集部の七瀬恭一郎記者から藤田社長へのインタビューの形式をとっている。

ネットでは非常に有名なことだが、耐震偽装強度偽装事件に絡んで国から確認検査機関の指定を取り消された「イーホームズ」の藤田東吾社長は、有罪判決を受けた10月18日に司法記者クラブで会見し、あくまでも責任は改竄が容易にできる国土交通省認定の「構造計算プログラム」の不備にあると主張するとともに、「アパ」グループの耐震偽装問題を告発した。

「アパ」グループの疑惑については、当ブログの記事『週刊ポストが取り上げていた「アパ壷三」の疑惑』でも指摘したように、今年9月29日号の「週刊ポスト」も取り上げていた既報の疑惑であったにもかかわらず、マスメディアは藤田さんの告発を無視した。私は「アパ」グループが金沢から興ったと知った瞬間、マスコミがスルーした理由は想像がついたのだが、確証がないからブログには書かなかった。しかし、さすがに「きっこの日記」は、12月3日付の記事『ツチノコ軍団VSガマガエル軍団』で、はっきり以下のように指摘している。

‥‥そんなワケで、アパグループやタムラ設計や田村水落設計について、藤田社長が1ヶ月半も告発を続けてるのに、マスコミがいっさいスルーしてんのは、こいつらのバックに控えてる森喜朗を頂点とした売国奴ガマガエル軍団に頭が上がんないからだ。そして、その売国奴ガマガエル軍団のイチの子分のアベシンゾーなんかに直訴したって、どうせ門前払いを食らうのは、藤田社長は最初から分かってたワケだ。だけど、藤田社長は、この国がどれほど腐りきってるかってことを全国民に見せるために、あえて自分がピエロになって、総理官邸まで出向いたってワケだ。
(「きっこの日記」 2006年12月3日『ツチノコ軍団VSガマガエル軍団』より)

そう、金沢は森喜朗の地元なのだ。私が昨年3月に金沢を訪れた時、金沢駅前再開発の記念式典が行われていたが、乗り合わせたタクシーの運転手と会話していたら、話題が森喜朗に及んだ。地元の運転手だから森を崇拝していると思いきや、皮肉たっぷりに利権政治家・森喜朗をこき下ろしていたので痛快だった記憶がある。

しかし、森喜朗政権時代、マスメディアは森をさんざんにこき下ろしていたはずだが、それからわずか6年で、マスコミが「森喜朗を頂点とした売国奴ガマガエル軍団」に頭が上がらなくなるとは、「物言えば唇寒し」のとんでもない時代になってしまったものだ。

前振りはこれくらいにして、藤田社長のインタビューから、特に興味深い部分を抜粋、紹介する。

まず、気になる藤田社長の身の危険について。

?身の危険というと、今も誰かに命を狙われているとか!?
藤田 この号が書店に並ぶ頃には、だいぶ落ち着いていると思いますが、ずっと用心してきたのは事実です。
昨年の11月に、事件にからんだ森田設計事務所代表の森田(信秀)さんが謎の自殺を遂げてからというもの、今年2月には、朝日新聞で僕と組んでいたデスクのSさんが急死。しかも、その死因が自転車に乗っているときに倒れて頭を打って死んだというんですよ。普通、大の大人が自転車で転んで死にますか? 何か外部からの圧力があるのではと、僕も怖くなりました。その直後に自殺した姉歯さんの奥さんも含め、僕の周りには、事件にかかわったために命を落としたとしか考えられない人が大勢いるんです。
(「サイゾー」 2007年1月号『マスコミによるさらなる偽装事件』より)

「サイゾー」の記事では「Sさん」となっているが、これはいうまでもなく朝日新聞の斎賀孝治デスクのことである。以前、私が「kojitakenの日記」に、『朝日新聞・斎賀デスクはなぜ死んだか』という記事を公開したところ、記事にアクセスが殺到したことがあった。
「斎賀孝治」でGoogle検索をかけると、斎賀さんへのインタビューの形式をとったasahi.comの記事が筆頭で引っかかるので、これも紹介しておく。是非リンク先を参照いただきたい。

地震に弱いビル 次々見つかる 建物の書類にうそ 耐震基準を下回る
(asahi.com 2005年12月21日更新)

さて、マスメディア批判大好きの当ブログとしては、藤田さんがマスメディアを批判した箇所をスルーするわけにはいかない。以下紹介する。

?しかし、藤田社長のせっかくの告発も、マスコミからはほとんど無視されているようですが……。
藤田 日本のマスメディアは、しょせんヒモつきですからね。広告をバンバン出しているマンション業界や不動産会社には、どこも頭が上がらないのです。インターネットでこれだけ騒がれ、海外でも外国特派員協会での会見の様子を報じたメディアがあるというのに、僕に対する取材禁止命令が出ている社もあるというのですから、腰抜けとしか言いようがありません。05年、事件が発生して間もない頃、『NEWS23』(TBS)のディレクターから、僕がきっこさんと連携して耐震偽装問題を告発していることについて「なんてことをしたんだ。せっかくうちでは藤田さんをいいイメージで取り上げてきたのに、あんな裏も取らないブラックジャーナリズムとつながったことで、これからはみんなが藤田さんをブラック(な存在)と見なしますよ」と言われたことがあります。でも僕から言わせれば、彼らマスメディアがブラックであって、自由にもの申すネット系メディアこそが21世紀のホワイトジャーナリズムだと思いますね。
?TBSに、そんな失礼なことを言われたんですか!?
藤田 まあ、テレビはどこもいい加減だとよくわかりました。昨年12月に、好きなことを話させてくれるというので『報道ステーション』(テレ朝)に出演することになったんですが、放送直前になってディレクターから、「こういう形でやることになりましたから」と紙を渡されたんです。それは小嶋さんとの対立をあおるような構成で、僕にこういうことをしゃべってほしいという台本のようなものまで書かれていました。もちろん、その場で出演はキャンセル、あんなショーのような番組なら、こちらから願い下げです。
(「サイゾー」 2007年1月号『マスコミによるさらなる偽装事件』より)

これを読んで、TBSやテレビ朝日の厚顔無恥に私が激怒したことはいうまでもない(笑)。「NEWS23」や「報道ステーション」がブラックジャーナリズム以外のなにものでもないことは、よーく理解できた。藤田社長が名前を挙げていないNHKやフジ、日本テレビは最初から御用ジャーナリズムだと誰もが知っているが、TBSやテレビ朝日もNHK以下と何ら変わりないのだ。

「サイゾー」のインタビューの最後で、藤田社長は、近いうちに「イーホームズ」の確認検査機関の指定取り消しは憲法違反であり無効であるとして、国を訴える準備を進めていると明言している。

当ブログでも、藤田社長を応援していきたいと思う。
2006.12.22 07:45 | 耐震偽装問題 | トラックバック(-) | コメント(3) | このエントリーを含むはてなブックマーク
公開されたばかりの「きっこの日記」12月13日の記事『「美しい国」は「美味しい国」?』は、痛快な内容だ。

ここに書かれている、2002年5月13日の早稲田大学で行われた講演会において安倍晋三が「憲法上核保有は憲法上問題ない」という発言した件は、「サンデー毎日」2002年6月2日号と同6月9日号でスクープされたもののはずだ。「はずだ」というのは、私は月刊「現代」2006年9月号に吉田司氏が書いた記事『「岸信介」を受け継ぐ安倍晋三の危うい知性』を通じて、間接的に知っているに過ぎないからだ。「サンデー毎日」のスクープ記事に、いずれ当たろうと思いながら実行できずに今まできてしまったので、近いうちに記事に当たってみたい。

おそらくきっこさんが書いている「学生の1人が小型レコーダーで録音」したテープを、サンデー毎日の記者が入手して、記事にしたものだと思う。

しかしこの講演会の司会者が田原総一朗だったとは知らなかった。田原は、安倍のこうした超タカ派的言動を熟知しながら、テレビでは全然そういう安倍の体質を批判しないわけだ。とんでもない偏向司会者だというほかないだろう。

ところで、「きっこの日記」のこの記事にも、下関市の江島潔市長の名前や「公共事業私物化問題」のことがちらっと出てくるが、「週刊ポスト」の12月22日号では、この「官製談合疑惑」を告発している側のはずの原弘産をめぐる仰天情報が報じられている。

この「官製談合疑惑」は、かつて「長周新聞」や書籍「安倍晋三の本性」、それに「きっこの日記」、「週刊現代」などに載り、当ブログでも何度かとりあげさせてもらった、おなじみの件なのだが、私が知らなかった事実が指摘されていた。

以下引用する。

 下関市発注の『社会教育複合施設』の入札をめぐって、地元の最大手不動産開発会社『原弘産』(大証2部上場)のグループと、三菱商事グループが争い、なぜか9億円も高い価格(約83億円)で応札した三菱がいったん受注。これに異を唱えた原弘産が「汚い官製談合」(訴状)と告発したからだ。
 三菱商事では安倍首相の実兄、寛信氏が下関エリアを統括する中国支社長を務めているため、"政治力で受注に成功したのではないか"と報じられているが、そう単純な構図ではない。
 政治資金収支報告書によると、原弘産は03年に30万円、04年と05年には60万ずつ安倍氏(自民党山口県第4選挙区支部)に献金している。れっきとした安倍氏の有力後援企業だ。
 どんなに割り引いて見ても、この訴訟は"安倍王国のお家騒動"にすぎない。
 この原弘産が、昨年来の耐震偽装事件のさなか、ヒューザーの所有地2か所を買収していたことを本誌(註:週刊ポスト)はつかんだ。
(「週刊ポスト」 2006年12月22日号『安倍首相の「腹心企業」が「ヒューザー物件」を買い漁り!』より)

ナント、官製談合を告発した側の「原弘産」も安倍晋三一派の企業で、しかもヒューザーの物件を買い漁っていたとは、このところ毎週のように暴かれるアベスキャンダルの数々に免疫ができ始めていた私でさえ、さすがに驚いた。

「週刊ポスト」によると、問題の土地は神奈川県相模原市の2606平方メートルと埼玉県和光市の3313平方メートルの土地で、原弘産は昨年12月16日(まさに耐震偽装問題のさなか)にヒューザーから買い取り、和光市の物件に関してはこれを2か月後に転売して、「1億円程度」(記事による)の利益をあげている。また、相模原では現在、原弘産と不動産ファンドが共同でマンション建設を進めているという。

ヒューザーの小嶋社長は、今年1月17日の証人喚問で民主党の馬淵代議士が暴いた通り、「安晋会」の会員である。馬淵議員は、「グランドステージ川崎大師」の住民説明会(昨年11月20日)で、小嶋氏が「安晋会」の会員であること、同会の幹部から、安倍の政策秘書を紹介され、「国土交通省の次の次官になる方」に電話を入れてもらったことを得々と語っていたことを暴露した。

以下、再び「週刊ポスト」より引用する。

 マンション会社が地盤以外の地域に進出する場合、施行するゼネコン、設備会社や管理業務の体制を新たに作らなければならないため、準備期間がかかる。関西までしか進出していなかった原弘産が一足飛びに関東の土地を手に入れるのはリスクも大きく、業界の常識では考えにくいという。
 なぜ、原弘産はヒューザーの土地を手に入れることができたのだろうか。
(中略)
 安倍氏と小嶋被告の関係は、今年1月17日の証人喚問で小嶋被告がまだ広くは知られていなかった安倍事務所とのコネクションによる事態解決に期待していた時期と一致するのである。
(中略)
 安晋会企業であるヒューザーの急場を安倍氏の地元後援会企業が救い、原弘産は土地転売やマンション開発で儲ける。どちらにとっても損のない取引というわけだが、東京のヒューザーと下関の原弘産という一見、接点のなさそうな会社を結びつけたのは、安倍氏の人脈と見るのが普通だろう。
(「週刊ポスト」 2006年12月22日号『安倍首相の「腹心企業」が「ヒューザー物件」を買い漁り!』より)

確かに、それ以外の説明は考えられまい。ここに、下関市のスキャンダルと耐震偽装事件が結びついたのだ。

「週刊ポスト」の取材に答えた原弘産の社長室には、安倍と原社長とツーショット写真が飾られていたそうだ。

原弘産は、ヒューザー破産後の今年8月にも、管財人を通じて千葉県市川市の土地(約3480平方メートル)を購入するなど、ヒューザー物件を買い漁っていたという。
また、「週刊ポスト」や、そのライバル誌「週刊現代」も報じているように、『下関市の社会教育複合施設の入札でも、ライバルの三菱商事はグループ企業・日本管財の社員が別の談合事件で逮捕されていたことから失格となり、最終的に原弘産が逆転受注を果たした』のである(括弧内は「週刊ポスト」12月22日の記事より引用)。
ありとあらゆる悪徳企業が安倍と結びついていて、デタラメをやりたい放題という実態には、呆れ返るばかりである。

最後に、「週刊ポスト」の記事の末尾を引用する。

下関市の建設業界は、「安倍支持者でなければ人ではない」とさえいわれる安倍首相の金城湯池だが、その陰ではハコモノ公共事業をめぐる不祥事が相次いでいる。安倍氏の地元金脈を掘り下げると、まだまだ闇が潜んでいるのである。
(「週刊ポスト」 2006年12月22日号『安倍首相の「腹心企業」が「ヒューザー物件」を買い漁り!』より)

「週刊ポスト」のこの記事は出色だった。こと「安晋会」絡みの記事に関する限り、「週刊ポスト」はライバル「週刊現代」を凌駕していると思う。

今後も「週刊ポスト」「週刊現代」両誌による、「安倍晋三の地下金脈の闇」の暴露報道の競争に、大いに期待したいものだ。


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昨日(11月1日)の夕方、「さるさる日記」から送られてくる「きっこの日記」の「更新お知らせ」で知ったのだが、朝日新聞がついにアパの物件「アップルガーデン若葉駅前」と「アパガーデンパレス成田」の構造計算書に数値の不整合が見つかり、マンションの建設が中断している問題について報じた。

「巨大マンション建設中断 構造計算の検証できず」(asahi.com 2006年11月1日)

新聞記事は、いずれリンクが切れるので、「kojitakenの日記」に記事を保存しておいた。

「ついに朝日新聞がアパ物件について報道」(「kojitakenの日記」 2006年11月1日)

この記事は、以前「週刊ポスト」9月29日号が掲載した同物件の耐震偽装疑惑の記事(弊ブログの記事『週刊ポストが取り上げていた「アパ壷三」の疑惑』などを参照)と符合するものだ。

但し、朝日新聞が取り上げたといっても、それは東京本社発行の11月1日付夕刊の話であって、当地に配達される大阪本社発行の統合版(11月2日付)には、どこをどう探してもアパ物件の記事は出ていない。もう読めないと思っていた93歳の音楽評論家・吉田秀和氏の「音楽展望」が掲載されていたのは嬉しい驚きだったが(今後年4回のペースで掲載されるそうだ。朝日新聞の購読を止めようと思っていたが、考え直さなければいけない)、アパの記事はどこにもない。

実は以前、朝日が安倍晋三の統一協会への祝電事件を報じた時にも、当地に配達される統合版の紙面には記事が掲載されていなかった。産経新聞が、大阪本社発行の15版にだけ記事を掲載したことが話題になったが、朝日新聞も、地方に配る版には安倍に都合の悪い記事はなるべく載せないようにしているのだろうか? おそらく、単なる紙面のスペースの都合上のことなのだろうが、地方在住者にとっては気分の良い話ではない。

それでも、読者数の多い東京本社発行の朝日新聞夕刊で、この件が報道されただけでも、大きな進展だ。今後他紙は追随するのか、資料を提供されているTBSをはじめとする電波媒体はどう報道するのかなど、注視していきたい。


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きっこの日記」を通じて、イーホームズ・藤田社長が告発した「アパグループ」の耐震偽装疑惑の話題がネットでは持ち切りだ。

この件については、スパイラルドラゴンさんの「らくちんランプ」の記事「藤田東吾社長の告発文の内容は真実です」が、今年6月7日の衆院国土交通委員会の質疑で、民主党の馬淵澄夫議員が「アパグループ」の耐震偽装疑惑について鋭く追及していたことを紹介している。
蛇足だが、この6月7日というのは、安倍晋三が統一協会関連団体の大会に祝電を送ったことが発覚した直後であり、私はこの問題について騒ぐのに夢中で、耐震偽装問題のことなど全く眼中になく、かつては毎日訪れていた馬淵議員のHPも全然見なくなっていた。地道に耐震偽装問題を追い続けていたスパイラルドラゴンさんに敬意を表する。

そしてこの件は、「週刊ポスト」9月29日号にも出ていたのだ。私はこの号を買い求めていたのだが、記事も読まずに放置していた。これは、安倍が自民党総裁選に勝つ直前の記事で、この頃には安倍批判記事を掲載する雑誌が多すぎて、全部を追いかけることなどとてもできなくなっていたのだ。

以下、記事のタイトルと書き出しの部分を引用する。

新政権と「安晋会」の闇を徹底追及1
ヒューザー小嶋」「ライブドア野口(怪死)」だけではなかった
安倍晋三「集金マシーンに(もうひとつの)耐震偽装人脈!」

姉歯秀次・元一級建築士の公判が始まり、司法の場で改めて耐震偽装問題が問われている。が、その一方では、「非姉歯物件」の問題が、調査も処分もなく、"封印"されていることを本誌は突き止めた。その偽装に関わった企業の「政界ルート」を追うと、"次期首相"安倍官房長官につながっていた?

森、武部を従える「筆頭発起人」


安倍晋三・官房長官を真ん中に、その背後でラフな横縞シャツの男性と、派手な帽子を被ったスーツの女性が微笑む一枚の写真。
「日本を語るワインの会」というタイトルで企業の広報誌に掲載されたものだ。
男性はホテル経営やマンション開発で急成長しているアパグループの元谷外志雄代表、女性は夫人で自らCMにも登場するアパホテル社長の元谷芙美子氏だ。
「ワインの会」は元谷夫妻の自宅(東京・港区)で毎月開かれており、写真は昨年10月12日、安倍氏が官房長官に就任する直前に撮影された。

(「週刊ポスト」 2006年9月29日号より)

さらに同誌は、今年開催される予定だった「アパグループ創業35周年記念大創業祭」の発起人名簿を入手したとして、森喜朗、武部勤、羽田孜、鳩山由紀夫ら、自民・民主党の重鎮が並ぶ中、筆頭に「内閣官房長官・安倍晋三」の名前があることを紹介している。
引き続き同誌より引用する。

しかし、パーティは「ある問題」で中止され、この写真と名簿は安倍新政権の最大のアキレス腱になった。「ある問題」とは知られざる耐震偽装事件である。
実は、この「ワインの会」の5日前、国土交通省に耐震偽装事件発覚の伏線となる2件の「情報提供」が行われた。その一つ、ヒューザーのマンションについては事件化したが、もう一つはアパグループが埼玉県に建設中の大型マンションに関するものだった。
詳細は後述するが、その後、国土交通省は検査会社イーホームズ(今年5月に会社清算)からの報告によってアパグループのマンションに耐震偽装があることを把握しながら、現在も調査中で、関係者の処分はおろか事件の公表さえされていないのである。(太字は筆者)

(「週刊ポスト」 2006年9月29日号より)

なんと、アパグループの耐震偽装疑惑は、1か月も前に「週刊ポスト」が報じていたのだ。

記事はさらに続く。
10月17日付と18日付の「きっこの日記」が、耐震偽装事件に絡んで逮捕・起訴されて18日に有罪判決を受けたイーホームズ社長・藤田東吾被告による、これまで明らかにされていなかった新たな耐震偽装に関する疑惑の告発を伝えている。

藤田社長はこの告発をプレスリリースした。私は、昨日(18日)の正午頃に読んだ「きっこの日記」(10月17日付)でこれを知ったので、午後3時頃、ネット検索をかけて各メディアの報道状況を調べた。

その結果、見つかったのは東京新聞のサイトの記事だけだった。私は、メモ代わりに用いているもう一つのブログ「kojitakenの日記」にこれをアップしておいた(kojitakenの日記?東京新聞「『アパ物件にも偽装』 藤田元社長暴露」)。

私は、他の大手新聞社も、時間が経てば東京新聞の後追いをするだろうと思ったのだが、そうはならなかった。そして、東京新聞の親会社で、名古屋では圧倒的なシェアを誇る中日新聞のサイトにも、この記事は出ていなかった。

きっこの日記」は、たたみかけるように10月18日の日記でもこの件を取り上げた。そこにも書かれているように、やはり藤田社長の告発を掲載したのは「東京新聞」だけだったようだ。
同日の日記は、藤田社長のきっこさん宛のメッセージを掲載しており、17日付に載ったプレスリリースともども転載可とのことなので、これも「kojitakenの日記」に載せた(kojitakenの日記?「イーホームズ藤田社長のプレスリリースときっこさんへのメッセージを転載」)。

それにしても呆れるのは、安倍晋三が絡む疑惑になると、途端に沈黙してしまう大手新聞やテレビ各局だ。一昨日、「メディアはアベのものではない」というタイトルの記事を書いたばかりだが、このタイトルは撤回しなければなるまい。

メディアはやはり、アベのものなのだろうか?


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2ヶ月足らず前にブログを始め、アクセス数はほとんどの日が2桁止まりなのだが、今日は妙にアクセスが多い。

村上ファンドのことを何回か書いたからかな、と思ってアクセス解析を見たら、「都市再生機構 八王子」というキーワードでの検索が散見された。私のブログにおいてこれに引っかかるのは、4月22日の記事で、「週刊現代」の記事を紹介したものだ。

このキーワードが検索される理由は、読売新聞の速報「都市再生機構マンション、耐震強度は基準の58%」という記事を見てすぐにわかった。

4月に週刊現代が報じた通り、都市再生機構が八王子に建てたマンションは、やはり「姉歯物件」よりもっとひどいインチキマンションだった。今回、日本建築構造技術者協会(JSCA)の調査によって、はっきりそれが証明された形だ。

前にも書いたように、都市再生機構は、国土交通省の有力な天下り先の一つになっていて、この10年で20人のキャリア官僚が天下っているという。

耐震偽装問題は、国交省の問題であり、自民党政権の問題なのだ。
2006.06.02 17:58 | 耐震偽装問題 | トラックバック(-) | コメント(-) | このエントリーを含むはてなブックマーク
今日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」に、魚住昭氏が出演され、耐震強度偽装事件について述べておられました。
コメントは月刊『現代』の記事に沿ったものでした。
2006.04.23 20:48 | 耐震偽装問題 | トラックバック(-) | コメント(-) | このエントリーを含むはてなブックマーク
標記の記事が、「週刊現代」2006年4月29日号に出ている。
東京都八王子市に建っている、剥落やヒビ割れだらけのマンション。住民は、1989?90年の入居当時から不具合を訴えていたが、10年目の大規模修繕をきっかけに、コンクリのヒビ割れ、鉄筋の本数不足などが発覚した。
このマンション群は、89?92年に「住都公団」によって分譲された。住都公団は、1981年発足の、運輸省(当時)所管の特殊法人で、その後、1999年に「都市基盤整備公団」と改称、2004年7月には「地域振興整備公団」と統合して、国土交通省所管の独立行政法人「都市再生機構」となった。
この都市再生機構が、国交省の有力な天下り先の一つになっていて、この10年で20人のキャリア官僚が天下っているという。

そして、都市再生機構の小川忠男副理事長は、1998年の建築基準法改正当時、住宅局長を務めていた人物で、耐震偽装事件の遠因となった「建築確認・検査の民間開放」を推奨した当事者である。都市再生機構には、この10年間で1兆4千億円もの血税が投入されているというのだ。

これらをまとめて、「週刊現代」は、「20人の天下りに1兆円の血税使って欠陥マンションを分譲」という惹句(キャッチコピー)を載せている。

しかも、呆れたことに、八王子のマンションで欠陥が見つかって以来、住民が求めていた「構造計算書」の一部を、都市再生機構が紛失していたことも判明したという。

そんな都市再生機構が、「姉歯物件」に対して、マンションの「建て替え支援策」に乗り出していた。

「週刊現代」の記事の最後の部分にこそ、現在騒がれている耐震強度偽装事件の本質があると思うので、ここに引用することにする。

「機構は旧公団時代から、公団=国のお墨付きがあるとの理由から建築確認検査を免除されるなど、民間業者より優遇されてきた。にもかかわらず、欠陥住宅を供給したうえ、その補填のために血税がムダ遣いされている。そして、その機構に国交省の官僚が天下る。
耐震偽装は国交省、ひいては国が生み出した"膿"そのものだ。」

耐震強度偽装事件を、姉歯氏、小嶋氏、木村氏らといった小物のつるし上げに終わらせてはなるまい。
2006.04.22 01:16 | 耐震偽装問題 | トラックバック(-) | コメント(-) | このエントリーを含むはてなブックマーク