自民党は23議席で、最後に当確が出た候補が落選していたら、公明党の議席(23議席)をも下回る第3党に転落するところだった。同党は前回(2013年)の都議選で59議席を獲得したが、半分以下に激減した。
公明党は前回と同じ23人の候補者全員を当選させた。
共産党は苦戦を予想されていたが、予想を上回る自民党への逆風が幸いし、都ファの候補がトップ当選した選挙区で下位当選を自民党候補と競り合って勝つ選挙区が多くあったため、前回の17議席を2議席上回る19議席を獲得した。
共産党と対照的に惨敗したのが、昨年いち早く党代表の蓮舫が小池百合子にすり寄りながら小池に「振られた」民進党と、都ファと選挙協力した生活者ネットだった。民進は選挙前の7議席からは2議席減だが、前回の15議席の実に3分の1に過ぎない5議席だった。また生活者ネットも同じく前回(3議席)の3分の1の1議席だった。
こうなるだろうとは思っていた。それを確信したのは、リテラが投票日前日(7月1日)になって「小池知事と都民ファーストでいいのか? 仕切っているのは国民主権否定を公言する極右、安倍政権に全面協力の密約も」という長いタイトルの記事(下記URL)を公開したのを知った時だ。
http://lite-ra.com/2017/07/post-3286.html
リテラのライターは素人の市井のブロガーと違って、マスコミ各社の記者たちとも接触があるから、期日前投票の出口調査の結果も漏れ伝わっていたに違いない。そして、それは予想を超える都ファへのバンドワゴン現象を示すものだったであろうことは、選挙結果から間違いない。
自民党にはすさまじい逆風が吹いているのに、それが「野党共闘」4党(うち自由党は都議選で公認候補を出さなかった)の支持につながっていないことを知ったリテラは、慌てて投票日前日に都ファの右翼性をアピールする記事を公開した。しかし、そのタイミングはあまりにも遅く、完全に「焼け石に水」だった。
伝え聞くところでは、共産党も「赤旗」も都ファや小池百合子への批判は手ぬるかったとのことだが、それでも選挙戦後半には都ファ批判を強めていた。しかし民進党は、選挙戦終盤戦になってようやく蓮舫が都ファ批判をくりだしたものの遅すぎた。
最初から小池百合子と手を結んだ生活者ネットは論外だ。この政治団体の主義主張は右派議員の多い民進よりむしろ社民に近いが、小池百合子は生活者ネットなら有権者の忌避感はほとんどあるまいと計算して、ともにすり寄ってきた民進と生活者ネットに対して違う対応をした。私が小池の立場であっても同じ対応をしたに違いないと思う。しかし、自己と民進党を過大評価していた蓮舫は無謀にも小池にすり寄り、予想通り拒絶された。
選挙結果は民進と生活者ネットに有権者が鉄槌を降す結果となったといえる。たとえば定員6の杉並区では、当選者は得票数順に都ファ、都ファ、共産、公明、自民、自民で、落選者の上位3人がネット、民進、民進だった。
いわゆる「リベラル」のうち、新自由主義志向の強い者は都ファに流れ、新自由主義を嫌う向きは共産党に流れた。当然の結果であり、私の選挙区は杉並区ではないが、前回(2013年)に続いて共産党候補に投票した。杉並区民であってもそうしたに違いない。小池と手を結んだ政治勢力や、党首が小池にすり寄った政党の候補になんか間違っても投票する気にはならない。
なお、今回の都議選で民進党に投票した人たちには、新自由主義には容認的であるものの都ファ及び小池百合子の右翼性を敬遠した人たちと、新自由主義も右翼性も嫌いだけれど共産党も嫌いという人たちがいたように思う。前者の代表が私が日頃からウォッチしている某ブログであって、リテラに都ファ批判の記事が公開された同じ日に、民進党支持を表明したブログ記事を公開したが、それ以前には都議選をメインにした記事を公開していなかった。そして選挙後には、予想通り自民の大敗を手放しで喜ぶ記事を公開した。
一方、後者の人たちの行動はどうしても私には解せないところだ。彼らの多くは、本心では小池百合子や都ファを快く思っていないことは明らかなのに、他の反自民野党の支持者や私のような反自民の支持政党なしの人間による蓮舫批判を激しく忌み嫌って、強烈な蓮舫擁護の論陣を張るのである。本当は彼らこそ率先して蓮舫を批判しなければならないはずだし、小沢一郎が代表になって党内の締めつけを強めて(たとえば2008年の民主党代表選には、小沢一郎が対立候補の立候補潰し工作を執拗に行って=同じ行動を安倍晋三も2015年の自民党総裁選でとった)、党内に「執行部独裁」体質を定着させる以前には、党内で活発な意見交換が行われる党風を持った政党だった。当時の民主党の主義主張はよく言われるように新自由主義的だったが、百家争鳴とか多事争論などの言葉で表されるような気風は確かにあったのだ。
しかし、今では自由党に分かれた小沢一郎の支持者、いわゆる「小沢信者」だけではなく、「反小沢」側に立っていた者も、自分たちへの批判を許さない「民進党信者」と化している。そんな支持者が目立つような政党から民進ならぬ民心が離反していくのは当然のことだ。
今回の都議選の結果は、直ちに政界再編に結びつくだろう。既に若狭勝、長島昭久、渡辺喜美といった暑苦しい面々が騒ぎ始めている一方、都議選で都ファと結んだ公明党は、国政では安倍政権との緊密な連携を表明している。しかしそうは問屋が卸さない。
ほんの少し前まで「安倍一強」と言われていたのが、突如として民意のすさまじい鉄槌を受け、内閣支持率はJNNの調査(下記URL)で2か月連続の暴落を記録した。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3094937.html
都議選のあった週に世論調査をしていたとは意表を突かれたが、この調査によると安倍内閣の支持率は2か月で実に20ポイント落ちた。ついこの間まで、安倍晋三は国会答弁で「民進党の政党支持率は何パーセントなんだ。安倍内閣の支持率は50%ある」と豪語していたが、あっという間の急落だ。「レギュラー8本をなめんなよ」と豪語した長谷川豊があっという間にレギュラー番組を全て失ったことを思い出させる。安倍晋三は昨夜は記者会見もせずに逃亡した。
こんな情勢下では、小池百合子も当然これまでの戦略を変更するほかない。仮に今回の都議選で都ファと自民が拮抗する結果だったら、小池は安倍からの政権禅譲を狙って駆け引きを行っただろうが、ここまで安倍政権の人気が暴落すると、安倍と手を組むことは小池百合子自身の人気の暴落に直結する。都議選の戦略において民進党を忌避したのと同じ理由が安倍政権に対しても適用される。なぜなら、今回都ファの得票を押し上げたのは、安倍政権に対する批判票だから、安倍と組むことは次期総理を狙う小池には絶対にできない選択肢になってしまったのだ。
それならどうするか。いうまでもなく「新・新進党」の立ち上げだ。既に若狭だの長島だの渡辺だのの魑魅魍魎が蠢いているのは前述の通りだが、都議選後直ちに読売系のスポーツ報知は
と書いた(下記URL)。民進党の国会議員5人以上が小池氏支持のため離党する方針を固めたことも判明。今後、都民Fの国政進出も現実味を帯びてきた。
http://www.hochi.co.jp/topics/20170703-OHT1T50083.html
こうなっては、野党の右翼的再編はもはや避けがたいだろう。簡単に言えば、民進党から出るであろう大量の離党者は、次の選挙では「新・新進党」(おそらく党名は「国民ファーストの会」にでもなるに違いない)から出馬する。維新から少し距離を置いている名古屋の「減税日本」もこれに合流する。仮に小沢一郎が政界引退を決意するのであれば、自由党も加わる可能性がある(但し自由党には、社民党及び民進党リベラル派と合流する選択肢もある。小沢が政界を引退しない場合はこちらになるだろう)。
何しろ若狭だの長島だの渡辺だの民進党離党者だのには新党結成を求める理由がある。それは、東京都議選の結果から明らかなように、安倍政権は人心を失っているのに、民進党や共産党では政権の受け皿にはなれないため、「死に体」の安倍政権が続くのだ、だから人心を失った安倍政権に代わる政権の受け皿が必要だ、というロジックだ。
TBS以外の内閣支持率の世論調査がどうなるかにもよるが、「政界の右翼的再編」はもはや不可避だろう。安倍晋三に冷や飯を食わされ続けた石破茂あたりも、かつての盟友・小池百合子一派との合流に走る可能性がある。
ようやく安倍晋三の邪悪極まりない政権の終わりが見えてきたが、その代わりにもう一人の極右にして新自由主義者、しかも1年前の都知事選前に「身体検査の結果は真っ黒」と週刊誌に書かれたモンスター・小池百合子の脅威がますます強まった。
一難去ってまた一難。「崩壊の時代」は崩壊の度合いを強めながらまだまだ続く。
当初、今回は都議選については書かないでおこうと思っていたが、告示後の新聞報道に接して、「都民ファーストの会」のあまりにも怪しすぎる実態が報じられ、これに対する怒りが収まらないので、やっぱり取り上げることにした。
まず、朝日新聞の6月23日付夕刊に掲載された候補者へのアンケートの記事が目を引いた。「安倍政権の政権運営を評価するか」という問いに対する各党候補者の回答数が表で示されているのだが、自民59人のうち58人が「評価する」、1人が「ある程度評価する」と答え、公明は23人全員が「ある程度評価する」との回答。野党では共産の23人全体が「評価しない」、民進22人のうち18人が「評価しない」、4人が「あまり評価しない」と答えている。これに対し都民ファーストの会(以下「都ファ」と略称)の49人は、「ある程度評価する」3人、「あまり評価しない」3人で、「評価しない」は1人だけだった。そして呆れることに「無回答」が実に41人、「わからない」が1人だった。
この手のアンケートの回答には、通常党の強い党勢が働くものだが、都ファの執行部に問い合わせた候補たちが「答えるな」と指示されたものであろう子とは容易に想像できる(肯定的または否定的な回答をした候補者は党に問い合わせなかったものと思われる)。
この一件だけでも、都ファの「鵺」的な性格がはっきりわかる。
この朝日のアンケートには、「安倍晋三首相が示した2020年までの改憲に賛成か」という問いもあるが、これに対しても都ファの41人は「無回答」だった(賛成2人、反対4人、「わからない」2人)。自民は59人中57人が賛成、公明は賛成がゼロで反対が5人、「わからない」18人(これもこれで怪しい回答ではある)、野党では共産の37人全員が反対、民進の22人中21人が反対し、「わからない」が1人だけいたが、野党候補者の回答と比較して、都ファの候補者の回答は異様そのものである。
特に改憲の是非について都ファの候補者の大半が「無回答」だった事実は、都ファが国政に進出してできる政党が安倍晋三と取引して、安倍の改憲構想に乗っかってしまう可能性が高いことだ。百歩譲っても都ファの国政版政党が安倍の改憲案に賛成する可能性は「無視できない」とはいえる。
このアンケート記事が載った翌24日の朝日新聞2面には、都議選に絡めた政局観測記事が載っていた。大見出しが「首都決戦 国政を左右」で、以下「自民守勢 危機感・いらだち」、「民進 存亡かける」、「政界再編の芽も」」、「小池氏攻勢 国政進出も示唆」との見出しがつけられている。
見出しを見ただけでも不快になって血圧が上がるが、記事にまた神経が逆撫でされる。記事には、自民が都ファの国政進出を警戒しているとは書かれているが、自民党にあっては一人安倍晋三だけは都ファの躍進を「改憲勢力が増える」として内心歓迎しているであろうことはいうまでもない。
中でも私が激怒したのは下記のくだりだ。以下朝日新聞より引用する。
小池氏周辺は言う。「都議選でうちが勝ったら、首相がどう対応するか。『一緒にやりましょう』と言わないなら、戦うしかない」
(朝日新聞 2017年6月24日付2面掲載記事より)
安倍晋三が「一緒にやりましょう」と言ったら、都ファの国政政党版は自民党と一緒になって安倍晋三の改憲案に賛成するのだろう。長島昭久、若狭勝、渡辺喜美ら、改憲派のタカ派議員たちが都ファの国政版入りを狙っていることは周知だ。
なお、「存亡かける」と書かれた民進からは、「都民ファーストが大勝したら、小池氏と組むために党を割ればいい」との中堅議員の声や、「惨敗したら新党に流れかねない」という「執行部の一人」の声が記事に紹介されている。しかし、この事態を招いたのは、小池百合子が都知事に選出された直後に早くも「その背中をまぶしく見ていた時期があった」と小池を持ち上げ、昨年11月か12月頃には小池への協力を申し出たもののすげなくされた蓮舫(小池はニュースキャスターとして蓮舫の先輩だった)が自ら蒔いた種が招いた結果であって、自業自得としか言いようがない。私は昨年秋、保守系の3人によって争われた民進党代表選において、3人の中でも最悪の候補として蓮舫をこき下ろしたが、蓮舫を選んだのは民進党員たちなのだ。
最後に、都ファの候補者たちがいかに小池百合子のいいなりの情けない人たちであるかをよく表していると思った記事をスポーツ紙から拾っておく。下記URLの記事は、読売系のスポーツ報知に掲載されたものだが、報知に限らずスポーツ紙はどこも小池百合子を熱烈に応援している。スポーツ紙は過去にも石原慎太郎や橋下徹の熱烈な応援団員を務めていた、
http://www.hochi.co.jp/topics/20170623-OHT1T50209.html
甲斐毅彦記者の「多事放論」
小池都知事、朝から自民攻撃で“舌好調”「隠すばかりの古い議会いらない」
7月2日に投開票される東京都議選が23日に告示され、9日間の熱戦の火ぶたが切られた。都民ファーストの会代表の小池百合子都知事(64)は渋谷区のスクランブル交差点を手始めに、都内6か所を遊説した。
この日の主要テーマは“宿敵”自民党攻撃。「みなさ~ん、おはようございまーす」で始まった渋谷での第一声では、いきなり「新しい議会に変える機会がやってきた。隠すことばかりの古い議会はいりません」と都議会最大会派の自民党を批判した。その後都庁で行われた知事会見でも「(都民Fの)女性候補者は17名、30%を超えています。まぁ女性議員もいろいろですが…」とニヤリ。秘書への暴行や「このハゲ!」などの暴言で自民党に離党届を提出したばかりの豊田真由子衆院議員(42)をさっそくいじって見せた。
渋谷に続いて演説に訪れたのは、築地市場を抱える中央区。小池氏のスピーチ後、同会から出馬の西郷歩美氏(32)が報道陣に豊洲問題について尋ねられ、「都知事の意見の通りです」と口ごもる一幕があった。報道陣の一人が「あなたの意見を聞きたい」と問うと、スタッフに「自分の意見言っちゃっていいんですかね?」と相談。豊洲問題は票を左右する重大事なだけに、小池氏ら上層部から余計な発言をしないよう“ご意向”が働いていることをうかがわせた。
(2017年6月24日6時0分 スポーツ報知)
スポーツ紙の記事にしてはわさびが効いていると思ったら甲斐毅彦という記者の署名コラムだった。
この記事からもわかるように、都ファの候補者たちは小池百合子や野田数や音喜多駿らから「余計なことを言うな」とクギを刺されているであろうことは想像に難くないが、それにしても「スタッフに『自分の意見言っちゃっていいんですかね?』と相談」とはひど過ぎないか。「都ファ」から大量に当選するであろう「小池チルドレン」たちの質は、豊田真由子に代表される「安倍チルドレン」と大差ないに違いない。
小池百合子自身も極右だが、側近に野田数という「極右中の極右」を抱えている以上、「安倍晋三首相が示した2020年までの改憲に賛成か」に都ファの候補者たちの大半が「無回答」だった裏に何が隠されているかは明白だろう。
都ファの候補者たちの現状は以上見てきた通りだが、それでも「リベラル」の中には小池百合子と都ファに期待する連中が後を絶たない。先週の記事だったか『kojitakenの日記』だったか忘れたが、以前にも取り上げた「小池百合子に期待する『リベラル』」の中でも最悪のサンプルともいうべき意見を、某ブログのコメント欄から再度拾っておく。
アベ自民党と真っ向対峙することを選んだ女性都知事。
きのう、都民ファーストの候補者と話した。
自民とは違うところは情報透明化です。
と言っていた。いまはそれを信じて小池さん、反自民を勝たせようと思う。
いや、小池百合子は「アベ自民党と真っ向対峙することを選ん」でなんかいないし、都民ファーストの会は「反自民」なんかじゃないんだってば。
リベラルでありたいのであれば、または護憲派を自認するのであれば、間違っても都民ファーストの候補なんかには投票しないことだ。
まず、来日したトランプ新政権の国防大臣ジェームズ・マティスに安倍政権がすり寄ることは予想通りだったが、それを報じるマスコミの報道に怒った。
朝日新聞(2/4)でさえ「尖閣に安保 ひとまず安堵」などという見出しを掲げるていたらくだったが、NHKの報道など(私は一切見ていないが)推して知るべしだったようだ。下記のTwitterを挙げておく。
https://twitter.com/TrinityNYC/status/827398011399528448
TrinityNYC
@TrinityNYC
昨夜のNHKでは「トランプさんも、こうして満面の笑顔になることがあるんですねぇ~、意外な一面をお持ちの方ですね!」、そして今朝は「狂犬と呼ばれるマチスさんですが、意外にフレンドリーな面もお持ちだとのことですよ!」、ともかくそれでコメント締めくくればいいと思ってるんでは。
22:07 - 2017年2月2日
ひどいものだ。
そのマティスの発言。下記は2月5日付朝日新聞に掲載された記事。
http://www.asahi.com/articles/ASK245CVLK24UTFK00K.html
駐留費「日本はお手本」 マティス氏、中国には批判
佐藤武嗣、相原亮
2017年2月5日00時24分
来日中のマティス米国防長官は4日、稲田朋美防衛相との会談後の記者会見で、中国による南シナ海での活動について「挑戦的な行動を高めている」と批判した。日米は懸念を共有し、南シナ海への関与を強化することでも一致した。日本の在日米軍駐留経費の負担については「見習うべきお手本」と述べ、適切であるとの認識を示した。(後略)
(朝日新聞デジタルより)
朝日はいわゆる「客観的報道」にとどめているが、NHKや読売や産経などはこのマティス発言に大喜びしたであろうことは確認していないが間違いあるまい。
昨日(2/5)のTBS『サンデーモーニング』では、保守の寺島実郎が、マティスはオバマ政権時代にも確認したことを改めて確認しただけであり、これがもし「尖閣は日米安保の対象外」なら大きな変化だが「対象」なら現状維持であって何のニュースバリューもないこと、またアメリカは尖閣諸島における日本の施政権は認めているが日本の領有権は認めておらず、もちろん中国の領有権も認めておらず、日中間で解決明日べき事柄であると考えており、それもオバマ政権までと変わっていないことを指摘した。
また、岸井成格は米軍の駐留費負担について日本がお手本になるべきとのマティス発言に大喜びする保守メディアの報道に呆れてか、「思いやり予算」のことだろ、そんなのは本来金を出してはならないのであって、そんなことで褒められて喜んでたらダメだ、と苦笑いしながら一喝した。
寺島実郎や岸井成格の発言は、70年代や80年代頃なら常識的な保守派論客の発言として受け入れられた程度の穏健かつ当たり前のものだが、『サンデーモーニング』程度の番組でさえ今の日本ではネトウヨによる「極左番組」扱いが一般の人々にも行き渡りつつあって、「左寄りの番組だなあ」と思う視聴者は少なくないのではないか。
だが、私の血圧を激しく上昇させたのは、「狂犬」マティスにすり寄る「忠犬」安倍晋三と一億人の不愉快ななかまたちの一件より、むしろ昨日投開票された東京都千代田区知事選をめぐるマスコミ報道だった。
こんなニュースバリューが高いとは到底思えない地方選の選挙戦を、TBSは先週半ばの『NEWS23』の番組冒頭で長々と時間を費やして報じた、否、「小池百合子対自民党都連」の「小池劇場」の映像を垂れ流した。また、昨日(5日)夜8時ジャストに毎日新聞は号外を発行して小池が推した現職の当選を伝えた。
この千代田区長選は小池百合子が推した老区長が自公が推した与謝野馨の甥っ子ら対立候補2人にそれぞれ3倍を超える大差をつけて圧勝したが、多選首長が立候補した選挙において必ずなされなければならないはずの、これまでの4期16年の区政の検証など毎日新聞などのマスメディアはほとんど何も報じず、ただひたすら「東京大改革」とやらの是非を問うという「小池百合子目線」で報じて、否、垂れ流していたから、もはや「ジャーナリズムという名前に値しない何か」としかいいようがない。
少し前には、現在長谷川幸洋の一件で私が批判の矛先を向けている東京新聞が、名物コラムの「こちら特報部」に、小池百合子に対する期待一色かつ小池への批判色が皆無の記事を載せたと聞いた。また、先週号の『週刊金曜日』も、「小池対自民党」の観点で区長選を報じていたとの話も聞いた(東京新聞も週刊金曜日もいずれも実物は目にしていない)。
こうしたTBS・毎日新聞・東京新聞・週刊金曜日の醜態を見ると、今朝(2/6)の一面から千代田区長選の記事を排除して社会面に掲載した朝日新聞は、最近はリベラル派の間でも評判は最悪だし、私も日々大いに不満を持ってはいるのだが、もしかしたら千代田区長選の号外を出した毎日新聞や、ましてや長谷川幸洋とMXテレビの「ニュース女子」の一件にろくな対応ができない東京新聞などと比較すればまだマシな部類なのではないかと思ってしまう。毎日の東京本社版や東京新聞は、確認していないが千代田区長選の記事を1麺に載せたのではなかろうか。もっとも、朝日も区長選の記事は1面から排除した代わりに、「小池新党 60人超擁立検討」と題した都議選の記事を1面の中ほどに載せているから(1面トップは「トランプ氏 司法に矛先」)五十歩百歩ではある。
マスコミよりもっと深刻なのは野党であって、民進党都連の松原仁(昨夏の都知事選では一時自公と相乗りして増田寛也に乗ろうとした人間)は小池百合子への全面協力を申し出たが、小池百合子にすげなく拒絶された。
小池は少し前には、「4島ならぬ4党」として、公明、民進、「かがやけ」(旧みんなの党系。過激な新自由主義者・音喜多駿が中心)、共産の各党の応援を当てにするような軽口を飛ばしていたが、「民進と手を組めば、小池改革は失速する」と指摘した東京新聞論説室の忠告を受け入れてか、民進党への態度を一変させた。まあ小池百合子ならずとも誰だって、民進党にすり寄られては票を減らすだけの逆効果しかないと計算するのは当然だ。
しかし民進党の醜態は今に始まったものでもない。今回私がもっとも腹を立てたのは、区長選で現職の5選が決まった直後に共産党・小池晃が発した下記のTwitterだった。
https://twitter.com/koike_akira/status/828200072227598337
小池晃
@koike_akira
歴代の自公都政に対する、都民の深い怒りが示されました。
都議選本番へ。
石原、猪瀬、舛添都知事と正面から対決してきた17名の共産党都議団をもっと大きくしなければ!
3:14 - 2017年2月5日
「石原、猪瀬、舛添都知事と正面から対決してきた17名の共産党都議団」って、「小池都知事」とは正面から対決してないのかよ、と突っ込みたくなった人間は私だけではあるまい。
東京の共産党は小池晃ならぬ小池百合子一派の「補完勢力」かよ。そう思った。
なお、東京の共産党に関しては、2003年から2009年までの3度の衆院選で東京11区(板橋区)から立候補したことのある現東京都議・徳留道信が、「いたばし区民タイムス」に寄せた年頭の挨拶で小池百合子を持ち上げまくっていたことも知った。板橋といえば、ナノ純銀除染のトンデモを批判した共産党区議が昨年11月に共産党を除籍された一件があった。当時除籍された松崎参(いたる)区議は小池百合子にすり寄るのではないか、筆坂秀世みたいに「右転落」するのではないか、等の「下衆の勘繰り」を共産党支持者から受けたことがあったが、何のことはない。「右転落」していたのは共産党そのものの方だった。松崎区議は、Twitterで福留道信の挨拶文を批判したことからもわかる通り、小池百合子に対して批判的であり続けている。
今回の区議選で朝日新聞とNHKの出口調査が報じられた。朝日によると、
とのこと。またNHKによるとNHKの出口調査によりますと、小池氏が、政党と関係なく幅広く支持されている状況も浮き彫りとなった。自民支持層の83%、民進支持層の86%、無党派層の85%などが「支持する」と回答。都議選で小池氏の地域政党に勝ってほしいかを聞いたところ、72%が「勝ってほしい」と答えた。
とのことだ。石川さんは自民党支持層の60%あまり、民進党支持層の60%あまり、公明党支持層の70%台後半、共産党支持層のおよそ70%の支持を得ています。
だから蓮舫や長島昭久や松原仁といった民進党右派(右派以外もだろうが)のみならず、共産党都議の徳留道信や、それどころか小池晃までもが小池百合子にすり寄るのかもしれないが、こんなにはっきりと彼らの末路が見えているのに、小池百合子にすり寄るという最悪の自滅の選択肢をなぜ彼らが自分から選ぶのかさっぱりわからない。
このままでは、「野党共闘」も「新・新進党」に呑み込まれて(回収されて)一巻の終わりになりかねない。というより現状の延長線上には「一巻の終わり」以外の結果はあり得ない。「新・新進党」は間違いなく改憲政党になるから、安倍晋三最大の野望である改憲は実現してしまうに違いない。
またぞろ「崩壊の時代」というフレーズを思い浮かべずにはいられない。「崩壊の時代」の大きな特徴として、個人には正気を保っている者もいるが、組織全体がおかしくなることが挙げられると思う。先の戦争中の日本ではあらゆる組織がそうなった。
民進党はもちろん、共産党までもがそれに当てはまろうとしている。
その日露首脳会談について、おそらく読売新聞や産経新聞は「成果」を大々的にアピールしているだろうが、朝日新聞は比較的冷淡な報道だったように思うし、毎日新聞や東京新聞はそれなりに「酷評」しているようだ。たとえば毎日の社説は「首脳同士では異例の頻度で会談を重ね、領土問題を解決しようとしてきた安倍首相の努力は評価したい」としながらも、
と論評している。だが、むしろ領土交渉の土台は、1回目の「4島」から、2回目は「2島」へ、そして今回は事実上「0島」からの出発へと大きく後退してしまった印象を受ける。
一方ネトウヨは、どうやら「北方領土などどうでも良い。中国に対抗するためならロシアへの譲歩は止むを得ない」などと言っているようだ。90年代くらいから、反中・反韓に凝り固まるネトウヨの行き着いた姿だが、1980年前後の右翼を覚えている私としては隔世の感がある。
今を去ること36年、1980年12月の朝日新聞1面左上に掲載された連載記事は、「ソ連脅威論」への懐疑を示した「ソ連は脅威か」だった。この連載記事は右翼の猛反発を受け、同じ朝日新聞社が出していた(現在は朝日新聞出版から刊行)『週刊朝日』で巻末のコラムを書いていた朝日新聞編集委員にして右翼として知られた百目鬼恭三郎が自社の連載記事を批判していたことを覚えている。当時の『週刊朝日』は東の百目鬼、西の谷沢(たにざわ)永一(ともに故人)という東西の右翼言論人に「おきゃがれ あほかいな」と題したコラムを書かせていた。新左翼に迎合する『朝日ジャーナル』と保守層に迎合する『週刊朝日』で、朝日新聞本紙の論調に不満を持つ読者層をなだめるという「朝日商法」といえた。それは今も健在で、部数が昔より相当減った『週刊朝日』は「小沢信者」的な体制批判層を読者のターゲットにしている。だから、私の大嫌いな室井佑月がコラムを持っているのである。
朝日をめぐる昔話にそれてしまったが、昔の右翼と言えば「反ソ」と相場が決まっていた。いや、ソ連は左翼からも敵視されていて、同じ朝日新聞の本多勝一は昔も今も大のソ連(ロシア)嫌いであって、日本共産党の「全千島返還論」を熱烈に支持している。今回の日露首脳会談についての共産党の志位委員長の談話(『しんぶん赤旗』)も、
としてロシアとそれに迎合する安倍政権を強く批判している。第一に、ロシア側は、これは「ロシアの主権の下で行われる」とくりかえし表明している。「共同経済活動」の具体化の過程で、日本の領土に対する主権が損なわれることが懸念される。
第二に、ロシアによるクリミア併合に対して、G7、EUなど国際社会が経済制裁を行うもとで、日本がロシアとの経済協力を進めることは、対ロシアの国際的な取り組みを崩すことになりかねない。
共産党の立場は1980年と今とで全くブレていないが、ネトウヨ(1980年当時の右翼)の態度は180度変わった。もちろんその間には冷戦の終結があったわけだが、この事例から類推して、今から36年後の2052年には(私自身はそれを目にすることができない可能性が高いが)、右翼の言うことは今とは全然違うんだろうなと想像する。
なお、私自身は日本には日本独自の外交があっても良く、必ずしもいつもいつもアメリカやヨーロッパと共同歩調を取る必要もないと思うが、安倍晋三のような「中国に対抗するため」という下心に基づいたロシアへの接近など愚の骨頂だという認識だ。
たとえばシリアの内戦について、在日シリア人たちが「プーチン出て行け」と抗議デモを行うことは理解するが、日本のリベラル・左派が「プーチンを逮捕せよ」とデモを行ったらしいことについては、それよりも小泉純一郎のイラク戦争加担の責任を不問に付したまま、小泉が「脱原発」派に転向したくらいで仲間扱いする「リベラル」仲間たちをどうにかしろよ、と思ってしまうのだ。小泉を不問に付すことは、今後相当に高い確率で予想される、あの極右にして新自由主義者である小池百合子を担いだ新自由主義勢力の再台頭を許すことに直結することを強く危惧するからだ。
その兆候は、都議会公明が自民党との連立を解消すると表明したことで、ついに表面化した。また国政でも、カジノ法案で公明党が自主投票を行い、山口代表が法案への反対票を投じた。都議会公明の動きが国政に波及する可能性があり、今後自公の間で水面下で活発な駆け引きが行われるだろう。民進党代表の蓮舫は、先週の記事で批判した通り、早々と来年夏の都議選での小池百合子への協力の意向を表明した。
今夏の東京都知事選の頃から、私は「反小池」の論陣をずっと張っているが、その評判は全くはかばかしくなく、『kojitakenの日記』でも、小池を取り上げた記事は他の記事と比べてアクセス数が減る。同日記の読者であっても、私の「反小池」論を快く思わないか、または反発する読者は少なくないのだろうと想像している。
さとうしゅういちさんの『広島瀬戸内新聞ニュース』は、「都会保守」が「小池百合子東京都知事を担ぐ形で、公明党と大都市インテリを支持基盤とした新『新進党』」を結成し、政権奪取を狙っていると看破する。そして、「都会の新自由主義者+公明党」とは「22年前に結成された新進党そのもの」で、経済政策においては今の安倍晋三や自民党と比べてもさらに緊縮指向(「サービスの小さな政府」指向)で新自由主義的であり、日中関係改善は狙うものの、自衛隊の海外派兵を行う点では現在の自民党の狙いと同じ、と分析している。
そして、「今の安倍政治でも、大型ハコモノや海外ばらまきの一方で、社会保障切り捨てなど問題だらけ」だが、「新・新進党」の小池政権ができたとしたら、それは安倍政権以上に「弱者や地方切り捨て」を行う冷酷非情な政権になるだろうと予想する。
何より危惧されるのは、「安倍批判が、小池持ち上げ、新自由主義の新『新進党』に回収される危険がある。言い換えれば大都市のインテリを中心に、安倍総理の田舎自民的な要素にくしの勢い余ってクリントン(の悪い部分を特に凝縮した)的な小池に回帰する危険がある」ことだとする。その傾向は既に表れていて、私は例によって行儀悪く『kojitakenの日記』でブログ名を名指しで批判した。「小池百合子は安倍晋三と同じ」と強く主張される方もおられるし、2人はともに極右の要素と新自由主義の要素を併せ持っていることは事実だが、思想信条の基本が国家主義であるのが安倍晋三で、新自由主義であるのが小池百合子だという違いがあると私は考える。そしてそのことは、安倍晋三には強く反発するのに、小池百合子を軸とする「小公民」の動きには「ワクワクすると共に」「期待する」と正直に表明した都会保守(本人はリベラルのつもりだろうが)のブロガー氏の存在によって証明されていると思うのだ。同様に、その昔日本新党だの新進党だのに期待した人たちには、「安倍は嫌いだけど小池には期待する」人たちが少なくなかろうと私は見ている。
『広島瀬戸内新聞ニュース』は「安倍総理の社会保障切り捨てや歴代自民党同様の教育への冷淡さは批判しつつも、欧州左翼に倣った反緊縮をきちんと野党や市民連合は打ち出すべき」で、「間違っても小池持ち上げに走ってはいけない」と主張する。もちろん私も全面的に賛成だ。
特に、蓮舫がわけのわからないことを口走った民進党について、 『広島瀬戸内新聞ニュース』は「25年前の都知事選挙後に新自由主義のチャンピオンだった鈴木俊一にすり寄って滅亡した東京の社会党の二の舞は避けなければいけない」と強く警告する。これまた本当にその通りだ。
現在の欧米は、グローバリズムの弊害を受けて排外主義に走る極右政治勢力の台頭に揺れているが、日本ではいち早く2012年に安倍政権が再成立して、欧米を先取りしているというのが私の認識だ。そして、欧米では極右に取って代わられようとしているグローバリズム指向の新自由主義勢力のさらなる巻き返しが起きようとしているのが現在の小池一派の台頭だと見るべきだろう。
残念ながら、日本では欧州左翼的な勢力が育たずに今に至ってしまった。今のままだと、来年、テレビの熱狂的な後押しを受けた「オルトオルトライト」(その実態は新自由主義の反動でしかないから、確かに「リライト」なのかもしれないが)とでもいうべき政治勢力の巻き返しがさらに激化することが予想される。衆院選が都議選の前になるのかあとになるのかさえ不透明だと私は思っているが、その新たな戦局において、リベラル(あえて括弧はつけない)が「オルトオルトライト」または「リライト」である新自由主義勢力に回収されてしまうようでは、日本の未来には絶望しかなくなるとの強い危機感を私は持っている。
他方で、ようやく900万アクセスに到達したものの、このブログの幕引きを考えざるを得ない状態になったと自覚する今日この頃ではあるが、どのような形であれ、元気な間は意見発信を続けていこうと考えている。
もちろん、これは「民族性の違い」などではない。韓国と同じ民族から構成される北朝鮮を思い出せば明らかだろう。そして、日本が韓国と北朝鮮のどちらに近いかも明らかだ。もちろん北朝鮮である。ただ、北朝鮮よりさらに悪いことに、日本国民は自発的に安倍晋三の独裁を受け入れ、これを支持している。
安倍自民党の独裁政治をよしとしない人間も、大阪では大阪維新の会への支持に多くが走り、東京では小池百合子を熱心に応援する人間が多数いる。呆れたことにその中には「平和志向」のはずの「リベラル」や、果ては共産党支持者までもが含まれる。そんな小池に連日援護射撃を繰り出しているのがテレビや『夕刊フジ』、『日刊ゲンダイ』といった「左右」の二大夕刊紙であり、さらに東京新聞までもが小池に対する期待をにじませた好意的な記事を載せるようになっているらしい。
そんな小池は、来年の都議選に向けて新党を結成する構想を持っていると伝えられる。仮にそんな新党ができて自民党と候補をぶつけ合った場合、煽りを食って議席を激減させるのは間違いなく民進党であろう。なぜなら、これまで民進党に流れていた反自民票の相当部分が小池新党へ流れるであろうことは火を見るよりも明らかだからだ。
それを承知しているからかどうかはわからないが、蓮舫が昨日(11日)、小池百合子に都議選での協力を呼びかけたと各メディアが伝えている。
http://www.asahi.com/articles/ASJDC53VDJDCUTFK11D.html
蓮舫氏「小池都知事の姿に共鳴、協力の道探りたい」
2016年12月11日17時50分
■蓮舫・民進党代表
小池百合子都知事の頑張っている姿、私は最大限評価している。ある意味の古い政治と向き合って戦っておられる姿、共鳴もする。その中で、自分の思いを実現するために(来年の都議選に)候補者擁立するのであれば、私たちも何か一緒に、相互的に協力ができるものがないか、そういう道も探ってみたい。都議選は、私たちの民進党の現職もいる。新人も含めて公認作業を進めている。その中で、国政の与党以外の方たちと、協力できることがあれば、それは否定するものではないと思っている。(新潟市内で記者団に)
(朝日新聞デジタルより)
この報道で思い出した人間が2人いる。小沢一郎と鳩山由紀夫だ。小沢については、4年前に「私の考えは橋下市長と同じだ」と口癖のように繰り返して橋下徹と衆院選で共闘することを模索していた件だが、鳩山由紀夫は、15年前の2001年秋、国会の質問で「抵抗勢力と戦う小泉総理」に「共闘」を申し入れたことがあった。
4年前には、小沢一派なんかにくっつかれたら票が逃げていくとばかり、橋下徹は石原慎太郎と組んで日本維新の会を結成し、衆院選で野党第2党に躍進した一方、小沢一郎は嘉田由紀子を担いで日本未来の党を結成させ、それに一派が大挙して加わったものの。衆院選では10議席にも届かず惨敗した。
しかし、鳩山由紀夫の時は、民主党は選挙の度に議席を増やしていた。但し、鳩山が小泉に共闘を申し入れる直前の2001年7月の参院選では「純ちゃんフィーバー」とやらの煽りを受けて議席が伸び悩んでいた。そこで小泉にすり寄ったわけだ。
もちろん小泉は「民主党と組んで抵抗勢力と戦う」ことなどしなかった。ましてや、民主党政権時代のネガティブなイメージが国民に刷り込まれている現在、小池百合子が都議選で民進党と組んで自民党と戦うことなどあり得ない。せっかくの議席獲得のチャンスを自らドブに捨てる自殺行為に他ならないからだ。そんなことをするほど小池百合子は馬鹿ではなかろう。逆に、悪知恵が長けているからこそテレビから東京新聞までを味方につけて高支持率を得ている。
しかし、この小池百合子の正体は悪質な極右にして新自由主義者である。そんな小池への「協力」を口にした蓮舫は、小池への協力と「野党共闘」が両立するとでも思っているのだろうか。
蓮舫の発言を報じた共同通信の記事に、
とある。一方、『kojitakenの日記』にコメントしてきた「タブクリア」氏に教えてもらったしんぶん赤旗の記事によると、野田佳彦は野党4党(民進、共産、自由、社民)と「市民連合」との意見交換会で、市民連合の「立憲主義を破壊し、個人の尊厳をないがしろにする安倍政権への対抗軸を国民に示すための、共通の政策に向けた考え方」の提案に、「すべて共感できる」と発言し、「市民と野党との連携を加速度的に深めていかなければいけないと思っている」と語ったという。これに関し、野田佳彦幹事長は滋賀県草津市で「連携できるかどうかはこれからの展開次第だ。動向を注視したい」と語った。
野田佳彦は、後者と小池百合子への協力が両立できるとでも思っているのだろうか。
「野党共闘」を応援する一方で、「都議会自民や森喜朗と戦う小池百合子」にもエールを送っている市井の「リベラル」ブロガーにも同じことを訊きたい。
民進党は、明らかに二股をかけている。蓮舫や野田は、本心では小池百合子と組みたいに違いないが、それが不可能であることを悟っているであろうから、「野党共闘」に軸足を残しているに過ぎないのであろう。実にふざけた話だ。
なお、「アンシャン・レジーム」とやらと戦っているという小池を応援する「リベラル」や蓮舫の視野からすっぽり抜け落ちているのは、(階級)格差の問題だ。「階級」と書くと左翼色を敬遠したがる人が多いと思うが、もはや「階級格差」とはっきり認識しなければならない段階にきている。
しかし、都市部(私がいつもイメージするのは東京の中央線沿線、横浜の田園都市線沿線、それに阪神間など)の「リベラル」は。っとえb2006年の小泉政権終了前後から一気に噴出した「ワーキングプア」が話題になった時には新自由主義批判をそれなりにするが、ほとぼりが冷めると、かつて「抵抗勢力と戦う」小泉純一郎を応援していた(であろう)のと同じように、「アンシャン・レジームと戦う」小池百合子にエールを送る。おそらく2001年当時も、日刊ゲンダイの批判の矢は小泉純一郎にではなく「抵抗勢力」に向いていて、夕刊フジやテレビや東京新聞と一緒になって小泉を応援していたのではないかと私は想像しているのだが、その悪夢が甦った。
歴史は繰り返す。その度に劣化の度を強めながら。そう言いたくもなる。