衆議院選挙から間もなく3か月になるが、日本の政治も国民もいよいよ沈滞・低迷の度を増してきた。斜陽国家ならではの倦怠感と閉塞感が漂っている。
昨日(14日)発表された共同通信の世論調査結果もそれを示すものだ。
https://this.kiji.is/325180456902132833?c=39546741839462401
安倍政権下の改憲反対54%
原発即時停止49%賛成
2018/1/14 17:39
共同通信社が13、14両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三首相の下での憲法改正に反対は54.8%で、2017年12月の前回調査から6.2ポイント増加した。賛成は33.0%。小泉純一郎元首相らが主張する全原発の即時停止に賛成は49.0%、反対は42.6%だった。内閣支持率は49.7%で、前回調査から2.5ポイント増加した。不支持率は36.6%。
憲法9条に自衛隊を明記する首相の提案に反対は52.7%で、賛成35.3%を上回った。
長距離巡航ミサイルの導入は、賛成41.7%、反対46.7%。
(共同通信より)
最近は、国会が開いていない時には安倍内閣の支持率が上昇し、国会が開かれて論戦が始まると支持率が下がる傾向がずっと続いている。今回も国会閉会後に内閣支持率が上がった。
しかし、安倍晋三がもっとも執念を燃やす改憲については、「安倍政権下での改憲」に対して反対55%、賛成33%と、反対の方が賛成よりずっと多い。賛成者を増やすことを当て込んで昨年の憲法記念日に安倍が言い出した「憲法9条への自衛隊明記」も反対53%、賛成35%と「安倍政権下での改憲」とほぼ同じ割合である。
この数字から思ったのは、「安倍晋三は国民から信頼されていないが、安倍政権は(なぜか)支持されている」ということだ。
とうてい信頼できない人を総理大臣に戴く内閣が支持される大きな理由に、「野党は安倍晋三よりもっと信頼できない」という強い印象が民主党の下野後5年以上経ってもいっこうに払拭されないことが挙げられる。
同じ共同通信が昨日昼、その野党に関するろくでもないニュースを報じた。
https://this.kiji.is/325134026115892321
希望、民進が統一会派結成で大筋合意
2018/1/14 13:46
希望の党の古川元久、民進党の増子輝彦両幹事長は14日、東京都内で会談し、統一会派結成で大筋合意した。会談後、両氏が明らかにした。
(共同通信より)
先週、希望の党と民進党との統一会派結成が一部の人たちの強い意志の下でそろそろ決まりそうだなとの官職を持っていたが、日曜日の昼間に出し抜けに報じられた。
民進党の増子輝彦というのは、一昨年(2016年)の参院選で、「野党共闘」に助けられて当選した人間だ。増子はもともと自民党の衆院議員だったが、のち新進党を経て民主党に転じ、2005年の郵政総選挙で落選後参議院に転身したが、一昨年の参院選では福島県選挙区の定数が2から1に削減されたので、「野党共闘」がなければ間違いなく落選していたはずだ。それが「野党共闘」で共産党などの支援も受けて当選したが、当選後すぐに「野党共闘」に尽力した当時の民進党代表・岡田克也の顔に泥を塗る真似をした。
そんな人間を民進党は幹事長に任命していた。増子の幹事長就任は昨年11月。大塚耕平が民進党代表になったすぐ後に選ばれた。大塚は、海江田万里(現立憲民主党衆院議員)の衆院選落選に伴って行われた2015年1月の民進党代表選で細野豪志の推薦人になった人間で、昨年の民進党代表選当時から「希望の党寄り」の政治家だとして警戒されていた。今回の希望の党との統一会派結成は、増子や大塚らの思惑通りといえるだろう。
しかし、増子に顔を潰されたことのある岡田克也はこの動きに不満だろうし、一方で希望の党でイニシアチブを取りたい「チャーターメンバー」の細野豪志も民進党との統一会派には反対だろう。
一般に持たれているイメージとは逆に、政党は小さくなればなるほど政党内の統制はとりにくくなる。昨年秋以来の、つまり希望の党と立憲民主党が左右に分かれていったあとの民進党はその見本といえる。民進党でも衆院議員と参院議員に違いがあり、昨年の分裂劇と選挙を経ていない参議院の民進党には、従来の民進党内に強く働いていた「右バネ」が強い。一方、衆議院の民進党議員は「希望の党に行かなかった人たち」だから、「右バネ」はいたって弱い。
それよりも何よりも、希望の党も民進党も政党支持率はめちゃくちゃに低い。それは、先週NHKが報じた各党の政党支持率にはっきり表れている。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180109/k10011282981000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_040
NHK世論調査 各党の支持率
1月9日 19時26分
NHKの世論調査によりますと、各党の支持率は、自民党が38.1%、立憲民主党が9.2%、民進党が1.3%、公明党が2.4%、希望の党が1.0%、共産党が3.6%、日本維新の会が1.0%、社民党が0.3%、「特に支持している政党はない」が36.6%でした。
(NHKニュースより)
民進党と希望の党の政党支持率は両党を合わせても2.3%であり、立憲民主党の4分の1しかなく、共産党よりも低く、公明党と同じくらいだ。主要政党でそれより支持率が低いのは、日本維新の会(1.0%)、社民党(0.3%)、それになぜか数字が表示されていない自由党しかない。
そんな希望の党と民進党が統一会派を組もうとする。何を考えているのだろうか。この動きの主導者たちが属していた旧民進党右派の思想信条(心情)が旧民進党支持層の多くの人たちと一致していないことは、昨年の衆院選で示されたばかりではないか。
やはり政治とは「惰性」で動くものなのだなあと思わずにはいられない。もっとも、この件には民進党の金庫にある政治資金を希望党の連中が使いたいという強い動機も見え隠れしているが。
「惰性」といえば、民進党を「左」から割った立憲民主党にもまた、ろくでもない惰性力が働いているようだ。
先週、立憲民主党の「基本政策」に「公務員人件費の削減」などの項目が入っているとして批判を浴びた。ここでは、くろかわしげる(黒川滋)氏のツイートを引用する。
https://twitter.com/kurokawashigeru/status/950148923754033152
自治労の組織内議員が率先して入ったのに、またもや「公務員人件費の削減」という項目が入っている。1人1人の公務員の人件費水準がどうかという議論はあったとしても、基礎自治体では、正規職員と同数程度いて、人件費にカウントされていない非正規職員をどうするか、という問題の壁になる。
https://twitter.com/kurokawashigeru/status/950161366534406145
立憲民主党の基本政策はおおむね穏当に賛同できるものですが、先にツィートした公務員人件費の抑制と非正規職員の問題、子どもの権利条約のめざす内容が日本政府同様限定的にしか示していなこと、地域公共交通を活性化ではなく細々と維持する路線でしかないところに強く違和感・反感を持ちました。
https://twitter.com/kurokawashigeru/status/950321014419873792
立憲民主党を批判したらふだんにないリツィートで驚いています。厳しい口調だけども建設的批判のつもりです。新しい政党には、建設的批判者に悪のりして、そもそも彼らがダメみたいな議論がされてしまうことを杞憂しています。それが新政党の行動パターンの呪いの呪文みたいになってしまいます。
黒川氏がやったような「建設的批判」をもっと多くの人たちが行い、それで「草の根から」あるいは「ボトムアップで」新党の発展につなげていく方向でなければダメなのではなかろうか。
上記引用した最後のツイートで、黒川氏は「新しい政党には、建設的批判者に悪のりして、そもそも彼らがダメみたいな議論がされてしまうことを杞憂しています」と呟いているが、その反対方向の動きも私には気になる。
それは、「枝野信者」とでもいうべき人たちであって、枝野幸男あるいは立憲民主党に対する批判を何が何でも許さない、という人たちだ。そう、おなじみの「小沢信者」(あるいは「安倍信者」すなわちネトウヨ、それにかつて非常に多く存在した「小泉信者」など)と同じ心理規制に動かされる人たち。これが立憲支持層の中でも目立ってきたように思われる。
彼らの多くは、昨年秋まで私が「民進党信者」と呼んでいた人たちだ。彼らは民進党に対する批判を許さず、「代表選で前原が勝っても枝野が勝っても同じだ」と叫んでいた。前原誠司を強く批判していた私などは、彼らに「市民様」と呼ばれて痛罵されたものだ。しかし、その審判はあっさり下された。前原誠司が小池百合子の「希望の党」との合流に走ろうとした時、彼らは自らの負けを認めざるを得なくなったのだった。
「小沢信者」にしても同じなのだが、彼らは基本的に「リベラル」であって、(小沢一郎だの)前原誠司だのとは思想信条(心情)が基本的に異なるはずだ。それが無理に小沢一郎だの民進党だのに自分を同一化して(=「信者」と化して)徒党を組む。
そうした旧弊から脱却しようとする動きが、ようやく国政政党の選挙結果に表れたのが昨年の衆院選における立憲民主党の躍進ではなかったか。
立憲民主党の支持者ではない私が言うのも何なのだが、同党の支持者ないしシンパの方には、前記の黒川滋氏を見習って、「建設的批判」を同党にぶつけて行って、政党を育てようとしていただきたいものだ。
それをしないばかりか、立憲民主党を批判する人に喧嘩を売りに行っているばかりでは、やっていることが「小沢信者」と何も変わらないとしか言いようがない。それでは閉塞感の打破などとうていおぼつかない。
ただ、北朝鮮の蛮行が間接的に安倍政権を助けまくり、早々と通常国会を閉めたにもかかわらずなかなか臨時国会を開こうともしない「ズル休み男」の安倍に、金正恩が「棚からぼた餅」を供給し続けている構図になっていることは腹立たしい限りだ。もちろん金正恩の眼中には日本はなく、金正恩に負けないくらい非理性的な狂気の指導者というべきアメリカのトランプとチキンレースを繰り広げているのが実態ではあるが。
日本国内にも、金正恩の北朝鮮と同じくらい安倍内閣支持率の「V字回復」に協力している政党がある。いうまでもなく民進党だ。
滅び行く組織というのは、魅入られたように悪い方の選択肢を選び続ける、というのが近年得た私の経験則だが(そのもっとも極端な例が、先の戦争における日本の指導者たちの選択だ)、昨年の東京都知事選における鳥越俊太郎の惨敗以降の民進党はまさにその典型例だ。
昨日(10日)に公開された『広島瀬戸内新聞ニュース』の記事「蓮舫前代表の小池ファースト抱きつきが響き、離党が止まらない民進党」の指摘はまさに正鵠を射ている。「民進党前代表の蓮舫が『小池ファーストに抱きつこうとして振り払われた』ことが民進党の『痛恨の敗着』だった」ことは、現在の民進党について論じる時、議論の前提として論者たちに共有されなければならない観点だと私は思う。
しかし実際には、民進党代表選に当選した前原誠司に批判的な民進党シンパたちの間ですら、こういう認識はなされていないように思われる。たとえば、昨年蓮舫が小池百合子に「協力」を申し出て、それに対して小池が「4島ならぬ4党」、つまり「北方領土」の4つの島に引っかけて、公明党、かがやけ、民進党、共産党(!)を引き合いに出した時に「ワクワク」した市井のブログ主は、その後も蓮舫支持を表明していながら、蓮舫と同じ方向性を目指す前原誠司を批判する記事を書いている。要するに、ブログ主自身がどこか「小池ファースト」に対する未練を引きずっているのだ。もちろんこのブログ主とて最近では「小池百合子となかまたち」批判側に回ってはいるのだが、小池に惹かれる心性はまだ残っているように見受けられる。
これが民進党の国会議員になるともっと顕著で、この週末に離党への動きが報じられた笠浩史ら5議員のみならず、代表の前原誠司までもが小池に秋波を送るありさまだ。その一方で前原は「野党共闘」継続へのシフトともとれる人事も行い、矛盾と混乱を前原自らが招いている。いかにもこの男らしい。
民進党を離党した山尾志桜里の件でも、前原はその無能さをさらけ出した。自ら抜擢した「秘蔵っ子」(前記「ワクワク」氏のブログの表現を借りた)を前原はろくに守ろうともせず、それどころか前原が選んだ執行部の中には山尾に対して強圧的な態度を取る者もいたらしい。それに山尾は不信感を抱いたというのだが、前原の子飼いだったことからも明らかなようにもともと民進党右派の議員だった元検事の山尾は、その思想信条から言っても小池ファーストとの親和性は高そうだから、山尾が小池ファーストに移ったとしても私は驚かない。
その山尾を引きずり下ろした民進党議員たちの心理に共通するのは「嫉妬」だろう。民進党の党勢が傾く中、同党の特に右派議員たちは、自らも小池ファーストに心惹かれる一方で、党内でのし上がろうとしていた山尾志桜里に対しては嫉妬むき出しなのであって、およそ人間の醜いエゴイズムを恥ずかしげもなく世間に晒している人たちの集まりとしか私には思えないのだが、そんな集団が「たかが不倫」が報じられた議員に離党や議員辞職への圧力をかける。およそモラルもへったくれもあるとは思えない醜悪な人たちなのに、人の不倫にはびっくりするほど厳しい。自分には徹底的に甘く、人にはとことん厳しい連中が寄り集まった組織。こんな馬鹿げた政党に嫌悪感を抱かない方が私には不思議だ。
民進党代表選の論戦で、枝野幸男は民進党を離党した候補者には選挙で刺客を送ると明言していたのに対し、前原は口を濁してかつての同志だった細野豪志(つまり小池ファースト)の「新党」との連携に含みを持たせる発言をしていた。
しかし、旧細野派である「自誓会」の3人を含む民進党議員たちの離党の意向が報じられると、前原も彼らに刺客を送ると言明せざるを得ない羽目に追い込まれた。明らかに、枝野を代表に選んだ場合と比較して対応が後手に回っている。
民進党は今回も「魅入られたように悪い選択肢を選んでしまった」といえる。ここまできてしまった以上、この政党はもはや「なるようにしかならない」だろう。何を言っても無駄だ。
安倍内閣支持率がついに20%台に ANN世論調査(2017/07/17 10:30)
ANNの世論調査で、安倍内閣の支持率が29.2%に下落しました。「危険水域」と言われる3割を切ったのは、2012年の第2次安倍政権発足以来、初めてのことです。
調査は、15日と16日に行われました。それによりますと、内閣支持率は29.2%で、先月の前回調査から8.7ポイント下落しました。一方で、支持しないとした人は54.5%で、前回より12.9ポイントの大幅上昇です。安倍総理大臣は、来月初めに内閣改造を行う考えですが、これに「期待する」と答えた人は38%だったのに対し、「期待しない」とした人は54%に上りました。加計学園を巡る問題については、先週の参考人招致でも、行政がゆがめられた疑いは解消されたと思わないとした人が74%に上り、さらに76%の人が安倍総理が説明する必要があると答えました。
(テレ朝ニュースより)
マスコミは「危険水域」だと騒ぐのだが、私は「これでやっと勝負になった」程度のとらえ方だ。この先、安倍政権が本当に打倒できるかどうかはなお不透明だと思う。
特に懸念されるのは野党第一党である民進党の惨状だ。
党内から「二重国籍問題」とやらを追及されたと伝えられる蓮舫は、今日(18日)行われる記者会見で自らの戸籍謄本を公開するらしいと報じられているが、その報道が流れるとともに、今度は有田芳生ら党内左派や朝日新聞やリベラル層などから国籍の公開に強く反対する意見が続出した。私も『kojitakenの日記』に、「蓮舫は絶対に戸籍謄本を公開するな」(2017年7月13日)と題した記事を書いた。
このブログ記事を書いている時点では蓮舫はまだ自らの戸籍謄本を公開していないが、今日の記者会見で公開をしないことを強く望む。今ならまだ前言の撤回は許される。
仮に蓮舫が戸籍謄本を公開してしまえば、民進党はリベラル層からの支持を失い、党勢低下は回復不能になるだろう。
それでなくても民進党には、党を構成する国会議員と一般の党支持者の思想信条に乖離があり過ぎるという問題点を抱えている。これは民主党時代からの伝統的な体質であって、うっかり民主党の「リベラル」なイメージに乗っかって参議院議員になってしまった大橋巨泉が、党の保守的な体質に驚いて国会議員の座を投げ出してからもう15年になる。巨泉は民主党に半年しか耐えられなかった(2001年7月参院選当選、2002年1月議員辞職)。
その後政権交代と自民党・安倍政権への政権再交代を経て、民進党は凋落した。政党支持率も、先日「安倍内閣支持率初の3割割れ」で話題を呼んだ時事通信の世論調査を見ると、民進党の政党支持率はわずか3.8%であり、自民党(21.1%)の5分の1にも満たない。他の政党は公明党3.2%、共産党2,1%、日本維新の会1.1%、社民党0.3%、自由党0.0%、日本のこころ0.0%となっており、支持政党なしが実に65.3%を占めている。
その民進党支持の3.8%で最多を占めるのはいわゆる「リベラル」で、「ノンポリ」がそれに次ぎ、いわゆる「保守層」はほとんどいないと思われる。しかし民進党の国会議員の構成はこれとは全く異なり、「リベラル」はほとんどおらず、大半は新保守主義か新自由主義の信奉者だ。
だから蓮舫を党内で追及する時にも保守派の声が強い。それは、昨年最初に蓮舫の「国籍」が民進党内で問題になった時に、社民党から民進党に移ってきた阿部知子までもが追及側に加担したことからもうかがわれる。この時には、松原仁や長島昭久らいわゆる「保守派」(実際には極右)と、「小沢一派」の松木謙公や木内孝胤らが手を結んで仕掛けた蓮舫批判に、阿部知子が乗っかった形だった。
彼らの批判になると延々と書き続けたくなってしまうが、そんなものを読みたいと思う読者はほとんどいないだろうとは自覚している。しかしひどいのは国会議員だけではなく、こうした民進党の現実を直視する勇気を持たない党の支持者たちにも私は強い批判を持っている(具体的はつい「あの人」を思い出してしまうわけで、現に当該人物に対する批判を延々と書きそうになってしまったが思い直してそこは削除した)。
最大の問題は、「安倍政権の受け皿がない」という厳然たる事実だ。都議選では「都民ファーストの会」を都民が受け皿をみなしたから同会が圧勝し、自民党は民進党ともども惨敗した。
しかし、国政では相変わらず受け皿はない。だからこそ「都民ファーストの会」の国政進出が噂され、渡辺喜美や長島昭久や若狭勝らがその結成を心待ちにしており、政党交付金を受給するためにも年内には間違いなく結成されるだろうが、「国民ファ★ストの会」とも仮称されるこの政党はかつての新進党の再来の「新・新進党」ともいうべき「保守二大政党」の一角をなす政党だ。かつて小沢一郎が実際にやったように、公明党を仲間に引き入れれば第二党になる可能性は十分あるが(それでも小沢が政権交代を狙った1996年の衆院選で新進党は敗れ、翌年の解党につながった歴史しかない)、間違ってもリベラル層のニーズを満たす政党にはならない。
小池百合子や野田数の極右的思想信条から推測して、この党には民進党の中間派や左派(生き残っているかどうかは別として)は入れてもらえないことは目に見えており、「国ファ」からあぶれた民進党議員たちは社民・自由両党と「弱者連合」を組んで共産党との「野党共闘」を継続するだろうと予想される。「民進党左派+社民党+自由党」となれば、これは松木謙公(右翼)や木内孝胤(すさまじいまでのエスタブリッシュメント一家の人間)といった思想信条的に問題の大ありの人間が含まれるであろうことを棚に上げるなら「昔の社会党の再来」なのかもしれないが、「労働界の右翼的再編」によって発足した連合の支持など得られるはずもないから、零細政党にとどまるほかないだろう。そうなると共産党との「野党共闘」も政権交代を狙える政治勢力になり得るとは到底思われない。
そんな展望しか私には思い描けないのだが、それでも良いのか、と問いたいのである。
「小池都知事と公明党と民進党の連携にちょっとワクワク」した某ブロガー氏は、都議選前日にようやく民進党支持を表明した記事に、「『23名のブレない候補予定者を見て欲しい』という言葉に、共感するものがあった」と書いたが、菅野完がTwitterで指摘したところによると、蓮舫の「国籍問題」を民進党内で焚きつけているのはその松原仁だという。
https://twitter.com/noiehoie/status/884916971103338498
菅野完
@noiehoie
いま調べたった。
蓮舫の二重国籍問題とやらを騒いどる民進のメンツってのは
今井雅人 .@imai_masato
原口一博 .@kharaguchi
この2人は、ネットでもかいとるから顕在化しとるが、裏でこの話たきつけとるの、なんと、都議選敗戦の最大の戦犯、松原仁やぞ。
16:27 - 2017年7月11日
菅野完は煽動者の主犯が松原であることの確証を示してはいない。しかし、私は菅野氏の指摘に「確からしさ」を強く感じる。
というのは、前記の阿部知子が民進党内極右議員と「小沢一派」(松木・木内ら)に蓮舫「国籍問題」追及に加担した時には、松原は堂々と蓮舫追及の急先鋒に立っていたという事実があるからだ。
現在、松原仁が今井雅人(いったん民主党から維新の党に移籍した経歴を持つ出戻り)や原口一博(昔から悪名高い極右議員で「小沢一派」とも近い)の影に隠れているのは打算からだろう。
しかし、この松原仁こそは、「民進党から離党して都民ファーストの会公認で立候補する候補者にも民進党から推薦を出すべきだ」と喚いていた張本人でもある。結局この推薦が本当に出されたのかは知らないし知りたくもないが、この話に民進党公認で立候補した候補者が激怒していたというのは聞いたことがある。なお、民進党離党の都ファ候補者への推薦については、蓮舫も野田佳彦も積極的だったとの報道が以前あった。それは元民進の都ファ当選者の分を民進党公認の当選者に加算して、「都ファの当選者も加えればこれだけの人数になる」と称して責任逃れをできる、との手前勝手な論理に基づくものらしかったが、そんな滅茶苦茶な議論が通用すると思う方がおかしい。
このことからもわかるように、保身に走る蓮舫や野田佳彦もひどいが、ある時には蓮舫の足を引っ張りながら(現在も引っ張っている模様)、都議選の選挙戦中には「23名のブレない候補予定者を見て欲しい」などとうそぶく松原仁の信じ難い鉄面皮ぶりには怒りを抑えることができない。
そして、松原仁や蓮舫や野田佳彦を抱える民進党について、「それでも受け皿は民進党しかない」などと言っている人たちにも強い不満を覚える。
安倍政権に対する右側からの対抗勢力になろうとしている「新・新進党」も、地方への支持の浸透に大きな課題を抱えることは目に見えているから、それに加えて曲がりなりにも今はまだ「野党第一党」である民進党がこの惨状であっては、最悪の場合安倍政権がずるずると続いて「安倍政権下での改憲」も実現してしまうことになりかねない。
それを阻止するためにも、リベラル・左派の側からの民進党批判の議論をもっと活発に行う必要があると強く思う今日この頃なのである。
今回は民進党代表選で当選した蓮舫が、幹事長に野田佳彦を選んだ言語道断の人事を批判する記事にするつもりだった。しかし、民進党が幹事長人事以前のどうしようもない政党であることがわかってしまい、せっかくの3連休が怒りで埋め尽くされてしまい、折からの悪天候も相俟って疲労の回復にも何にもならなかったので、この記事でそのまとめをすることにした。それは、蓮舫の「『二重国籍』問題」をめぐる民進党やそのシンパたちの反応の件だ。
この件の言い出しっぺは八幡和郎(やわた・かずお)という元官僚であって、それを池田信夫(ノビー)が取り上げて『アゴラ』で拡散した。さらにそれを『夕刊フジ』や『産経新聞』が取り上げ、フジテレビを筆頭とするテレビのワイドショーでも取り上げられた。但し、ワイドショーにおける政治の話題では、目下なんといっても築地市場の移転延期に絡む「盛り土がなかった」件に集中しており、メインの話題にはなっていなかったようだ。ただ、幸いにして首都圏では視聴できない読売テレビの某極右番組は大きく取り上げたらしい。活字メディアでは極右紙である産経以外の新聞は軽く触れる程度だったし、『週刊文春』や『週刊新潮』でさえ大騒ぎしなかった。国政政党では、先月日本維新の会に名前を戻したらしい極右新自由主義の「ゆ」党が騒ぎ立てたが、自民党は二階俊博や細田博之が問題視しないと明言するなど、取り合う姿勢を見せていない。
そんなこともあって、マスメディアの世論調査を見ても、共同通信は蓮舫が自身の日本と台湾の「二重国籍」問題で説明が変わったことに対して「問題ではない」が66.5%だったと報じた。また、日本テレビは、設問がやや込み入っているが、「日本国籍を持っており問題ない」の30.4%と「そもそもいわゆる二重国籍自体を問題にすることはない」の31.7%を足すと62.1%であり、一方「国会議員がいわゆる二重国籍であることは問題だ」が14.6%、「当初の発言と食い違っていたことが問題だ」が15.5%だった。つまり、蓮舫の発言がぶれたことはともかく、「『二重国籍』問題」自体を重く見る人間は7人に1人程度だったことがわかる。
ところが民進党内には、この件を代表選で独走が喧伝される蓮舫を引きずり下ろす材料にしようとした浅はかな人間が少なからずいた。ネット情報を参照する限り、それを首謀した人間は2人いる。極右政治家として悪名高い松原仁と、「小沢一派」の松木謙公である。
このうち松原仁は論外の人間であり、今さら何を言うこともないが、後述のように周囲を巻き込んだ松木謙公は大問題だ。この男は2011年の菅内閣不信任案に賛成票を投じて当時の民主党を除名されたあと、その後の国政選挙(2012年衆院選)で日本未来の党ではなく新党大地公認で出馬して落選し、2013年参院選でも新党大地から比例代表で出馬して落選した。ところが2014年衆院選で維新の党公認で北海道2区から出馬し、選挙区では負けたが比例で復活しやがった。そして昨年の民主党と維新の党との合併で民進党に所属することになった。
前身の民主党が除名したこんなやつは、民進党は合流の際に加入を拒否して然るべきだったのではないかと私は思うが、民進党入りした松木は、民進党内小沢グループを取り仕切っていたのではないかと想像する。そして、今回の騒動で松原仁とつるんで「蓮舫代表代行の国籍問題について」なる怪文書を作成したらしい。「らしい」というのは松原と松木の筆になるという確証がつかめていないからだが、ネトウヨの巣窟『2ちゃんねる』を覗いてみたら「松原と松木は漢(おとこ)だ」などとネトウヨに賞賛されていたから、松木が松原とともに首謀者格であろうとの心証を持っている。
実際、ネットで確認できる怪文書の画像を見ると、石関貴史、木内孝胤、小宮山泰子、鈴木克昌、初鹿明博、それに首謀者と疑われる松木謙公の6人の「小沢系」議員が名を連ねている。このうち木内と初鹿は「維新系」議員とされることもあるようだが、彼らは2014年の衆院選で、生活の党からの出馬では当選が覚束ないとして、小沢一郎の「親心」で維新に引き取ってもらった連中だから、私は「小沢系」とみなしている。つまり、「小沢一派」は極右政治家の松原仁と手を組んだということだ。
さらに嘆かわしいのは、この怪文書に元社民党の阿部知子が名を連ねたことだ。さらにいえば、「菅直人も小沢一郎も応援する」としていたさる「リベラル」のブログも、この言語道断のレイシズム的妄動の非を鳴らすことすらなく、蓮舫が野田佳彦を幹事長に選んだことのみを批判して「民進党の応援を止めたくなった」と書いたり、蓮舫の発言が二転三転することだけを批判するなどの態度をとった。さらに同ブログは、前原誠司が小沢グループの支援を受けて代表選に出馬したことに関して、前原誠司のみを強く批判して、前原を支援した小沢グループを批判することを避けた。
私は阿部知子や「リベラル」ブロガー氏自身がレイシストであるとは思わないが、レイシストに加担したも同然だと思った。というよりブロガー氏の場合は「同然」止まりで済むが、阿部知子ははっきりレイシストに加担したと断じ、これを強く非難せざるを得ない。「リベラル」の頽廃はここまできたかと、私は3連休の間中怒り狂っていたのだった。
それにしても「小沢信者」や彼らに迎合した小沢系国会議員らの罪もどうしようもなく重い。ようやくネットでも、少し前まで小沢一郎を応援していたとする人たち自身が、小沢やその取り巻きや「小沢信者」を批判するTwitterを発信するようになったのを目撃した。ああ、やっと「小沢信者」の「終わりの始まり」を見ることはできたな、と少し安堵したが、その時が来るのがあまりにも遅すぎた。
蓮舫が幹事長に起用した、私が「経済極右」の人士とみなしている野田佳彦らの問題点については、次回以降に機会があれば書こうと思う。