以下、毎日新聞記事より引用する。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110425k0000m010121000c.html
減税日本:河村流、広がらず 3市長選も全敗
有権者の政党不信や地方議会批判の受け皿として党勢を広げてきた首長政党の勢いに陰りが出てきた。河村たかし名古屋市長の率いる「減税日本」は、24日に投開票された衆院愛知6区補選で公認候補が落選。東日本大震災の復興ムードの中で減税政策に支持が集まらず、統一地方選では公認候補を立てた静岡、平塚(神奈川)、田原(愛知)の3市長選で全敗した。
「とりあえずは力不足」。河村市長は24日夜、愛知県春日井市の候補者事務所で、補選敗北の弁を語った。
減税日本は統一地方選後半戦で、東京都の区長・区議選などで70人を超える公認・推薦候補を立てた。愛知6区補選では、菅直人首相を批判する民主党の小沢一郎元代表のグループと連携。19日に愛知県小牧市を訪れた松木謙公前農水政務官は、政府が復興財源として増税を検討していることについて「2年前の衆院選は増税を約束して戦ったわけではない。復興増税には全く反対だ」などと述べ、政権批判を展開した。
だが、復興財源の確保が政治課題に浮上するなか、減税の訴えはかつてほど有権者の理解を得られなかった。河村市長は「日本中が増税、増税と言っている時に、減税から震災復興を進める主張を掲げたことは大きな挑戦だった」と強気の姿勢を崩さなかったが、国政参画のあり方も含め、戦略の見直しが求められそうだ。
一方、橋下徹大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」は、大阪府吹田市長選で公認候補が現職を破り初当選。前半戦の大阪府議選、大阪・堺両市議選に続いて好調を維持し、減税日本とは対照的な結果となった。
維新の会は前半戦の3選挙で、大震災の自粛ムードの中、新人候補がトップ当選を果たすなど躍進。自民からの離脱組が大半とはいえ、3議会で第1党を確保し、大阪での最大の政治勢力となった。今後は、府と両市を解体・再編する「大阪都構想」の実現に向け、3議会の他会派への働きかけを強める構え。12月に任期満了を迎える大阪市長選では、知事自らの市長選くら替え出馬も含めた「知事・大阪市長ダブル選」にも言及している。
首長政党の躍進の背景には、民主、自民など既成政党に対する有権者の不満があった。だが、河村市長が国政志向を強めて既成政党への接近を図るのに対し、橋下知事は既成政党と距離を置く構えを崩さず、路線の違いが表面化。減税日本幹部は「橋下知事は河村市長に距離を置き始めている」と漏らしており、両党の今後の連携の行方にも不透明感が増している。【福田隆、丸山進】
毎日新聞 2011年4月25日 2時30分(最終更新 4月25日 2時37分)
やはり小沢一派は愛知6区補選で「減税日本」と連携していた。愛知6区における川村昌代候補の惨敗は、民主党小沢一派の惨敗でもある。公認候補を擁立できなかった菅主流派ともども、小沢一派にとってもさんざんな統一地方選だったといえる。
一方、2008年の大阪府知事選当選以来独裁を進めてきた橋下徹は、すっかり大阪に根付いたようだ。当ブログも、メインターゲットを「減税日本」から橋下に戻さなければなるまい。これからは名古屋よりも大阪が熱い。橋下をなんとしても止めなければならない。
その橋下は、河村を見限ろうとしているかのようだ。思えば、河村にぞろぞろ民主党の反主流派の連中がくっつこうとしたことがあった。あの「気合いだ!」のおっさんが主唱する「東京維新の会」だの、ビートたけしやたかじんの極右番組で大人気の電波芸者が主唱する「日本維新の会」などだ。その頃から、橋下が「なんだこいつら」と言わんばかりに民主党小沢一派の切り捨てに方向転換した。ちなみに、「気合いだ!」のおっさん(中山義活)は電力総連から金を受け取っているため、脱原発の政策は期待できない。『kojitakenの日記』にpuyonyanさんからいただいたコメントによると、減税日本が推薦し、電力総連の支援を受ける候補者までいたとのことだ。なお、河村自身は一応「脱原発」を気取っているらしいが、なにぶん旧民社であり、信用は一切できない。現在は逆風下にある電力会社が勢いを取り戻せば、すぐにでも再び寝返るだろう。
ところで、昨日テレビで、河村と気の合いそうな人物を見つけた。竹中平蔵である。竹中は、復興のための増税に激しく反対していた。私は、復興のための消費税増税には反対だが、法人税や所得税は、時限的にでも増税すべきだと考えている。特に、租税特別措置だの証券優遇税制だのは、恒久的に廃止すべきだ。何が何でも増税反対の河村たかしや竹中平蔵には賛成できない。現在は、東北が激しく痛んでいる状態であり、強い再分配が必要だ。経団連にもそれがわかっているから、自ら法人税減税の中止はおろか、法人税と所得税の増税さえも受け入れると言ったほどだ。それなのになぜ政治家が増税にはいっさい反対するか、消費税に重点を置いて増税するかのどちらかしか考えないのはどういうことなのか、全く理解できない。河村たかしや小沢一郎、それに現在では政治家ではないが竹中平蔵は前者で、菅直人、与謝野馨、谷垣禎一らは後者だが、私はどちらも間違っていると思う。
ただ、電力政策に関しては、竹中は見るべき発言をしていた。竹中は、東京電力処分の強硬論を唱えていた。「電力の自由化にもっとも強く反対したのが東京電力だった」とも言っていた。それを聞いて私は、やはり竹中は新自由主義者らしく、電力自由化を行いたいという希望は持っていたのか、それなら新自由主義者なりにまだ筋は通っているなと思った。あれほど規制緩和と「小さな政府」に熱心だった小泉政権が、それを電力政策に及ぼさなかったことを私は批判していたが、竹中平蔵でも自民党や経産省の「電力利権」を守りたい連中にはかなわなかったということなのか。
私は、規制緩和は何でもかんでも悪ではなく、電力の自由化はなさねばならない規制緩和だと考えている。そして、東京電力などの電力会社や電力総連、それに経産省官僚らがたくらむ東電の温存は最低であり、現在の自民党(や小沢一派)の「菅降ろし」にも、東電温存の意図が働いているのではないかと推測している。だから、菅政権の消費税増税志向には大反対だけれども、「菅降ろし」には与することができないのだ。竹中が今回東電への厳しい処分を主張したことに、藤原帰一は「私が竹中さんと意見が一致することは珍しい」と言いながら賛成していたが、実は私も同感だった。戦時中の統制経済にルーツを持つ10電力会社の現体制維持は、今後の日本を滅ぼすことに限りなく近い。
現在は「脱原発」を気取っているとはいえ、旧民社で、電力総連とつながりを持った連中とのしがらみがある河村たかしにどこまでそれが貫けるのか、大いに疑問だ(同じ疑念は、先日、原発を過渡的エネルギーと位置づけるという、民自合流以前の民主党の政策に立ち返る発言をした小沢一郎に対しても持っている)。そうして考えると、「減税日本」は竹中平蔵にさえ劣るといえるかもしれない。
いずれにせよ、「減税日本」の栄華には、早くも終止符が打たれた。敵の本丸は大阪だ。