きまぐれな日々

前回のエントリを公開したあと、ブログのテンプレートを変えた。これは、同エントリで紹介した東本高志さんのブログ「『草の根通信』の志を継いで」で、「沖縄県知事選の期間中、背景をイハカラー(黄)で統一します」というキャンペーンを知り、伊波洋一候補を支持する当ブログがこれに賛同したためだ。直接には、「vanacoralの日記」がブログの背景をオレンジ色にしたことに触発された。黄色でなくオレンジ色なのは、「はてな」には背景色が黄色のテンプレートがないためとのことだ。私も「はてな」に「kojitakenの日記」を持っているが、ある理由からオレンジ色には抵抗があることと、FC2だったら背景色が黄色のテンプレートも用意されていることから、「はてな」の方は従来通りで、こちらのブログを沖縄県知事選の期間限定で、背景を黄色にすることにした。

さて本論だが、今回のエントリでは、柳田稔法相に対する批判を、ある程度大きく扱うつもりだったが、連日続く「右」側からの猛攻で、それどころではなくなった。全く言及しないわけにはいかないので一言だけ述べておくと、柳田稔というのは、旧民社の政治家であって、鳩山内閣に引き続いて、菅内閣でも「旧民社の害毒」はとどまるところを知らないということだ。鳩山内閣と菅内閣の断絶を主張する意見が、主に小沢信者に多いが、私の目につくのは連続性ばかりであって、普天間基地移設問題にしても、無能な平野博文や高校無償化らから朝鮮学校を除外しようとした中井洽から現在の柳田稔まで連綿と続く「旧民社の害毒」といい、菅内閣は鳩山内閣の延長であるとしか私には思えない。もちろん総理大臣である菅直人の責任は免れないが、民主党内でかなりの勢力を占め、民主党を「右」に引っ張る旧民社には、「その代わり」といえるような政治の能力さえほとんどないから、ゴロツキみたいなものとしかいえない。彼らは今後淘汰されてしかるべきだし、菅首相は柳田法相を罷免すべきだろう。

このところ何度かとりあげた尖閣ビデオの流出事件については、石原慎太郎と佐々淳行が「中国の漁船(の漁師が)モリで突いてる」というデマを拡散したことが見逃せない。15年ほど前にブームになった「と学会」の会長・山本弘氏さんが、ご自身のブログで石原と佐々の蛮行を検証している(下記URL)。
http://hirorin.otaden.jp/e135038.html

山本さんの検証記事によると、石原は10月24日、フジテレビの『新報道2001』で「政府の関係者から聞いた。日本の巡視船の乗組員が何かの弾みに落ちたのを、中国の漁船(の漁師が)モリで突いてるんだって。それは『仄聞ですが』と、数人の人から聞いた」と発言した。山本さんが書く通り、「仄聞」(そくぶん)とは、「ほのかに聞くこと。うわさに聞くこと」という意味であり、要するに石原は「ソース不明の情報ですよ」と言っているわけだ。海上保安庁の広報担当者は26日、「そういう事実はない。巡視船の乗組員は海に転落していないし、誰もケガをしていない」とコメントした。

しかし、11月7日に、大阪・読売テレビが制作する悪名高い極右番組「たかじんのそこまで言って委員会」に出演した元自衛官・惠隆之介氏は、「乗員が海に落ちたらしいという情報ですね。それをモリで突こうとしたという関連も、私は聞いております」と発言した。ただし情報の出所については口をつぐんだ。

さらに、翌11月8日に、テレビ朝日「ワイド!スクランブル」に出演した佐々淳行氏は「検挙活動の際に、中国船に(海保職員が)3人乗ったところで、離れて、1人突き落としているという、複数の、確実と思われる情報があります。それが一生懸命泳いでいるのをモリで突いた。さらにはね、乗り切っちゃって沈めようとした」と発言した。

ここで注目されるのは、石原が「仄聞」と言っていた情報が、佐々によって「確実と思われる情報」にアップグレードされてしまったことだ。これが、「嘘も100回言えば本当になる」というファシストの手口であり、1930年生まれで、ヒトラーがドイツの総統であった頃に少年時代を過ごした佐々は、80歳を目前にしてその手口を真似ているわけである。佐々の目的は政府転覆であり、そのためには手段を選んでいないことはいうまでもない。佐々から私が思い出したのは、関東大震災の時に、警察官僚の正力松太郎が、「朝鮮人が暴動を起こしている」というデマをばら撒き、これが日本人による朝鮮人虐殺を引き起こしたことだ。佐々も元警察官僚である。警察官僚とは、こんなことばかりやる人たちなのか。

石原や佐々のような老害が妄言を撒き散らすかと思えば、中年世代も負けてはいない。昨日(18日)の参院予算委員会で、官房長官の仙谷由人が、自衛隊について「お装置」と発言したことに噛みついて、仙谷長官と菅直人首相から謝罪発言を引き出したのは、世耕弘成だった。あっけなく謝罪した政府にも呆れたが、さらに酷かったのは野党とマスコミであり、たとえば「夕刊フジ」はこんな記事を書いた。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101118/plt1011181654010-n1.htm

以下引用する。

 まず、この日の失言王となったのは仙谷氏だ。同日午前の委員会では、防衛省が関連行事の来賓に政治的発言を控えるよう求める通達を出したことに対する質疑が行わた。この中で、仙谷氏は「公務員の世界では、(言動に)政治的中立性が求められる」と指摘。そのうえで、「暴力装置でもある自衛隊、軍事組織でもあるから、シビリアンコントロールが効かなければならない」と語ったのだ。

 「暴力装置」という表現は、ロシア革命で主導的役割を担ったレーニンの著書「国家と革命」に出てくるほか、かつて自衛隊を違憲と批判する立場から使用されてきた経緯もある。

 当然、委員会室は怒号で包まれ、質問者である自民党の世耕弘成幹事長代理は発言の撤回と謝罪を要求。仙谷氏は「不適当だった。自衛隊のみなさんには謝罪致します。撤回して実力組織と言い換える」と陳謝した。

 また、菅首相も同日午後の委員会で、「(仙谷氏を)後で呼んで注意する」と述べるとともに「内閣の責任者として私からもおわびしたい」と述べた。

(ZAKZAK 2010年11月18日)


私がこの記事を読んで呆れたことはいうまでもない。「暴力装置」という言葉からマックス・ウェーバーを思い出したのは当然だろう。政治学には門外漢の私でさえ簡単に思い出すほど有名なことだから、政治家なら誰しもウェーバーを想起して当然だろう。暴力装置であるからこそ、仙谷由人が言う通り、文民統制(シビリアンコントロール)が不可欠なのだ。こんなことは「常識」の範疇に属する事項だろう。それを「左翼のDNA」などとほざく渡辺喜美とは、なんて馬鹿な政治家だろうか、世襲政治家なんてやっぱりこの程度なんだな、記事もフジサンケイグループのZAKZAKらしいな、と鼻で笑ったのだった。ところが、フジ産経ばかりではなく、マスコミがこぞってこの仙谷発言を問題視していたので仰天した次第だ。

国会で質問した世耕弘成や、その尻馬に乗った丸川珠代が、ウェーバーを知らなかったのか、知っていながらとぼけて仙谷長官や菅首相を攻撃したのかはさだかではないし、どちらでも良いことだ。前者なら「こいつら馬鹿じゃないか」、後者なら「この卑怯者め」、と思うだけの違いであって、いずれにしても世耕や丸川の評価を改善することには、間違ってもならない。

実際、過去に自民党の石破茂が、「第7回朝日アジアフェロー・フォーラム」で、

警察と軍隊という暴力装置を合法的に所有するというのが国家の1つの定義のはず

と述べたことが、asahi.comに残っている(下記URL)。
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu090414d.html

国会での世耕や丸川の質問、特に、「謝って済む問題だと思っているのか」とヒステリックに菅首相を責め立てた丸川の狂態は、いくら東大を出たからといって、テレビ朝日から自民党と渡り歩いたこの政治家の頭の中はスッカラカンなんだなと思って軽蔑したが、それ以上にどうしようもなかったのが、仙谷由人も菅直人も簡単に謝罪したことだ。そういう空気に、今日本の政治が包まれている。自民党総裁の谷垣禎一までもが、「『暴力装置』とは左翼文献に見られる表現だと聞いている」などとコメントし、その空気に乗った。谷垣は、石破茂を自民党から除名すべきではあるまいか。

そして、何より呆れたのが朝日新聞だ。asahi.comには石破茂による「警察と軍隊という暴力装置」という発言が残っているのだが、朝日新聞に載った記事は下記URLだ。18日付夕刊に載った。
http://www.asahi.com/politics/update/1118/TKY201011180169.html

「kojitakenの日記」にも書いたので、ここでは記事からの引用は最小限にとどめるが、この記事で私が目を剥いたのは、

 「暴力装置」の表現は、かつて自衛隊を違憲と批判する立場から使用されてきた経緯がある。

というくだりだ。一瞬産経の記事かと目を疑ったが、間違いなく朝日の夕刊に出ているし、asahi.comにも載っている。読売や毎日の記事には見つからなかったが、朝日がこんなことを書いた以上、「バスに乗り遅れるな」とばかり、早晩読売も毎日も追随するのではないか。何より、夕刊フジの記事に表現が酷似していることには驚く。

当ブログが以前から朝日新聞を「経済極右」と見なしていることは、継続的な読者の方はご存知だと思うが、最近の同紙の若手記者には、政治思想や外交・安全保障関係でも右派的な考えを持つ者が目立ってきたようだ。思い出すのは、昨年だったかに星浩が「最近の記者は支局勤務を嫌がる」などと言っていたことだ。マスコミにコネ入社が多いことは有名だが、世襲記者が(記事を書いたのが世襲記者とは限らないが)世襲政治家と癒着して、彼らの言うままの言葉を自社の見解であるかのように垂れ流す。朝日の記事を夕刊フジがパクったのか、夕刊フジの記事を朝日がパクったのか、はたまた、誰か政治家のコメントか何かを、朝日と夕刊フジの記者がともに引用先を明記せずに垂れ流したのかはわからないが、どのケースであってもろくでもない話だ。そして、一つだけ確信できることは、記事を書いた朝日新聞記者が常識を欠いていることだ。学生時代に勉強などまともにしなかったに違いない。

それにしても、朝日新聞にこんな記事が載る時代になったのかと、世間の急激な右傾化には目も眩むばかりだ。こういう時だからこそ、当ブログは「KY」(空気を読めない)に徹して、というより空気に逆らって、意見の発信を続けていきたいと思う今日この頃である。
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2010.11.19 09:00 | 朝日新聞批判 | トラックバック(-) | コメント(17) | このエントリーを含むはてなブックマーク