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きまぐれな日々

10月最後の週末だが、北から寒波が襲ってきたかと思うと南から台風が襲来するなど大荒れで、何か現在の日本社会を象徴するかのようだ。

大荒れなのは日本だけではなくアメリカでも同じで、11月2日に行われる中間選挙で共和党の勝利が予想されているが、一昨年の「チェンジ」旋風はどこへやら、茶番党というべきか茶会党というべきか(一般には「茶会運動」と訳されるが、私にはへそが茶を沸かす「茶番運動」としか思えない)、わけのわからない「ティーパーティー」旋風が吹き荒れ、共和党内をさらに「右」から脅かしている。

ここで「右」というのは、政治思想上以上に経済政策面を指す。オバマ大統領は「社会主義者」だと批判され、共和党は「小さな政府」を目指すが、現在の共和党主流は手ぬるいと、さらなる「極右」からこれを攻撃するのがティーパーティーであり、それを後押しするのが、一昨年の共和党大統領選候補争いにおいて、おバカな言動で全米の失笑を買ったサラ・ペイリンなのである。

呆れたことに、ティーパーティー運動を行う人たちは、自ら「無知」を売り物にしている。これについては、「gooニュース」に掲載された加藤祐子さんの記事「『無知』が選挙争点になっているアメリカ 誰が金を払っているのか」が、非常に面白い読み物なので、読者の方々にはご一読をおすすめする(下記URL)。
http://dictionary.goo.ne.jp/study/newsword/monday/20101022-01.html

加藤さんはコラムの書き出しに、「無知をよりどころにした民衆運動が国政を動かそうとしている」と書いているが、数年前に日本のネットにおける政治談義ブログで、「庶民」を合言葉にしながら、実際には無知を売り物にしていた人たちがいたことを思い出した。結局彼らは主流にはならなかったが、いわゆる「小沢信者」の主流も似たり寄ったりだったのであり、彼らがハーメルンの笛吹き・植草一秀に導かれた先には、陰謀論者・副島隆彦(通称ソエジー)がいた。

当ブログにいつも批判コメントを下さるcubeさんは、小沢一郎支持者ではあるものの副島隆彦一派を「支離滅裂」と批判するが、多くの小沢信者のブログで副島隆彦を批判する言説に接することはほとんどできない。副島が目指すのは「日本版ティーパーティー運動」であり、河村たかしは現にそれを実践しているが、副島は小沢一郎にもその指導者になってほしいと熱望している。だが、小沢信者の主流は、そんな副島を批判できないのだから呆れてものもいえない(と言いながら執拗に批判し続けているわけだが)。

加藤祐子さんのコラムに戻ると、その2ページ目に、ティーパーティーや共和党の政治家がほぼ全員「地球温暖化論」を否定していることが紹介されている。当ブログがこれまで何度も批判してきたように、「地球温暖化懐疑論」ばかりか「地球温暖化陰謀論」(地球温暖化論は原発推進勢力の陰謀だとかいうアレのことですよ)は、小沢信者の十八番である。そして、よく似た議論を展開していたのが、ネットにおける代表的な新自由主義者・池田信夫(通称ノビー)だった。

「リバタリアン」を自称する、実際には単なる新自由主義者であるソエジーや、ネットでももっとも獰猛なネオリベといえるノビーと親和性の強い「小沢信者」とはいったい何者なのか。アメリカではティーパーティーは共和党のさらに右側から出てきた。日本の自民党でも、この運動を日本に紹介しようとした片山さつきは、自民党の中でも、政治思想軸、経済軸ともに特に右寄りの政治家だから、片山がそういう動きをすることはまだ理解できる。

だが、小沢信者的史観によると、「民主党左派」のはずの小沢一郎(私は決してそうは考えないけれども)が河村たかしと(現在では)親密であることはどう考えたらよいのか。私は、小沢一郎が「これからはティーパーティーのような運動が力を増す」と勘を働かせた結果ではないかと疑っているが、それならなおのこと、極端な「小さな政府」と規制緩和を目指す究極の新自由主義であるところの、アメリカのティーパーティー運動や、日本の河村たかし一派への批判は、どんなにブログの読者から不人気のテーマであってもしつこく続けていかなければならないと思っている。

ところで、オバマ政権の2年目にティーパーティー運動が旋風を巻き起こしていることは、アメリカにとっては良くない兆候だ。というのは、かつてジミー・カーター政権が2年目を迎えた1978年に、カリフォルニアの富裕層が「納税者の反乱」を起こしたが、その2年後の1980年大統領選で、カーターはレーガンに惨敗し、レーガノミクスが始まったからだ。数年後、東大経済学部在学中の植草一秀が、当時日本で不評を極めていたレーガノミクスを肯定的に評価する研究をしていたことにも触れておこう。

日本の1978年というと、大平正芳が自民党総裁予備選で福田赳夫を破って総理大臣に就任したことにより、福田が推進していた右旋回の流れが止まり、日本政治が小康期に入る時期だったが、アメリカではいちはやく新自由主義化の流れが強まっていた。日本もそれを追うように1982年に中曽根康弘政権が成立した。この中曽根政権こそ、今日に至る日本没落の種を蒔いた最低最悪の政権だったが、小沢信者に中曽根批判の視点はほとんど見られない。彼らは、「悪いのは小泉・竹中だ」くらいにしか思っておらず、彼らのいう「新自由主義」とはいったい何を意味するのか、私にはさっぱり理解できない。

アメリカに続いて、日本の政治も今後冬の時代に逆戻りする予感がする。現在の菅政権は、事実上自民党政治を継承しており、これまで同様徐々に日本を悪くしていくと思われるが、それにとって代わるのが「ティーパーティー」の日本版であれば、それは菅政権よりも自公政権よりもずっと悪く、日本の将来には破局のハードランディングしかない。だが、名古屋から大阪から、その流れは強まっている。


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前回のエントリで取り上げた稲田朋美の代表質問だが、あれで溜飲を下げた、主に保守及び右翼系の人がよほど多かったとみえ、そこからGoogle検索を経て読者がたどり着いたであろう、2008年3月30日付の当ブログ記事「極左と紙一重の極右・稲田朋美を衆議院選挙で落選させよう」へのアクセス数は、10月6日以降の6日間だけで4千8百件を超えた。昨年の衆院選の時にもこの記事へのアクセスが一時的に増えたが、それらを合わせたこのエントリへのアクセスは累計で2万1千件を超え、当ブログの全エントリの中でも2番目に多いアクセス数となった(最多は2006年7月29日付の「電波芸者・勝谷誠彦の生態」であり、累計3万5千件を超えている)。

従来2番目に多かったのは、稲田朋美と思想的に極めて近い城内実を非難した、2008年11月20日付の「テロ行為と極右政治家・城内実だけは絶対に許せない」だったが、このところ城内実が鳴りを潜めていることもあって、このエントリへのアクセスはこのところさっぱり伸びなくなった。酷使さま、もとい国士さまの方々のホープも、城内実から稲田朋美へと移りつつあるのかもしれない。城内実の場合、「たちあがれ日本」に参加しなかった優柔不断さが酷使さまたちの間で不評を買った。

もっとも今日のテーマは稲田朋美や城内実ではない。またまた河村たかし関連の話題なのだが、この河村たかしも極右思想においては稲田朋美や城内実に決してひけはとらない。

だが、現在河村たかしが注目されているのは、なんといっても名古屋市議会のリコール運動であり、住民投票が実施されることになりそうだ。住民投票が行われれば、その投票の結果は火を見るよりも明らかだ。つまり、間違いなくリコールは成立する。市議会側には先手を打って議会を自主解散する動きがあることは、前にも書いたと思う。

河村たかしの主張通り、議員定数も議員報酬も半減し、おまけに河村のいいなりになる市議が多数を占めれば、名古屋市政は河村の独裁となり、名古屋市民の暮らしは大打撃を受けるだろうが、自らそんな道を選ぶのであれば仕方がない。河村がやろうとしているのは、極端な「小さな政府」を地方自治で行おうという過激な実験である。

一昨日(10日)朝、テレビ朝日で小宮悦子が司会をやっているサンデーなんとかという番組を見て、政治家の討論さえもなくなり、ますます政局咄で飯を食う業界人が好き勝手雑談する場と化した番組内容に呆れたが、その中で週刊10大ニュースとやらが選定され、名古屋市議会リコールに向けての署名が目標を上回る46万人以上を集めたニュースも取り上げられた。藤沢久美という人が、当日出演はしていなかったが、市民自身による政治参加だとかいうコメントとともにこのニュースを「10大ニュース」の1位に推していたが、新自由主義の恩恵にたっぷり浴した人らしいコメントだな、と思った。

前回も書いたが、河村の運動はアメリカでブームを巻き起こした「ティーパーティー(茶会)運動」の日本版に過ぎない。「究極の小さな政府」を追求するこのティーパーティー運動も、保守派の市民たちによる草の根の運動だとされる。このところ毎日新聞がこれを活発に取り上げており、「茶会の乱」と題した3回連続の記事を掲載している。

その上篇で、毎日新聞は「連邦政府の役割の縮小を求め、オバマ政権が進めてきた主要政策にことごとく反発し、『乱』を起こしつつある」この運動について、

 運動では「アウエークニング(目覚め)」という言葉を使い、運動の歴史的な意義が語られる。新しい民主主義の胎動か、一時的な保守派の反動に過ぎないのか、評価が定まるのはこれからだ。

と書いているが、これと類似する河村たかしの運動を手放しで「新しい民主主義の胎動」と肯定的に評価するのが、藤沢久美のごとき、新自由主義で飯を食う業界人である。なお、「アウェークニング」というのは嫌な響きの言葉で、私には「われわれは『目覚めた民』だ」といわんばかりの、彼らの選民意識を感じる。妙な連想かもしれないが、それは、「われわれはマスゴミなんかに騙されない」と力み返る、ネットにおける小沢・河村信者を私に思い出させる。

中篇では、ネバダ州選出の上院選で、共和党候補で茶会運動の支援を受ける新人女性のシャロン・アングル氏(61)が、社会保障の廃止(!)や一部政府機関の解体を訴えて、上院民主党を統括するハリー・リード院内総務(70)を脅かし、世論調査では両氏の支持率は拮抗していることを伝えている。さらに、共和党支持者の中に、財政赤字を拡大し続け危機を招いたブッシュ前政権もオバマ政権も変わらないと見ていて、政府が大きくなりすぎたとして茶会運動に共鳴する人がいたり、それどころか民主党支持者までもが茶会運動に共鳴し、リード氏への投票を検討していることを紹介している。

さらに深刻な状況を伝えるのは下篇で、茶会運動の集会に参加した人たちの大半が白人であること、「オバマをケニアに送還しろ」などのプラカードを持ち込む人の姿が目撃されたことを紹介している。この毎日新聞のシリーズ記事には書かれていないが、ティーパーティー運動の参加者の中にはイスラム教の排撃を主張する人たちも少なくないといわれている。

今年2月に書かれたブログ『乾いた世代と廻る世の中』のエントリ「放課後ティーパーティーと元議員の差別発言」は、ハフィントン・ポスト紙が報じるティーパーティー運動の開会式で行われたスピーチを日本語訳付きで伝えているので、これを紹介する。

"People who could not even spell the word 'vote', or say it in English, put a committed socialist ideologue in the White House."
"His name is Barack Hussein Obama."

「英語で『投票』と言えず、字すら綴れない野郎が、社会主義のイデオロギーをホワイトハウスに注入した。そいつの名前は、バラク・フセイン・オバマだ」


"We do not have a civics, Literacy test before people can vote in this country”

「(オバマが大統領になったのは)投票する前にリテラシーテストがなかったからだ」


同ブログは、アメリカでは過去にジム・クロウ法により識字率の低い黒人の投票権をそのリテラシーテストによって事実上締め出しを行っていたことを紹介し、当時日本で話題になった平沼赳夫の蓮舫に対する差別発言「元々日本人じゃない」を引き合いに出して、「平沼赳夫と共闘すればいいと思うぞ」と皮肉っている。"bakawashinanakyanaoranai" で悪名高い城内実とも共闘できると私は思うけれども(下記URL参照)。
http://www.m-kiuchi.com/2008/11/11/bakawashinanakyanaoranai/

ティーパーティー運動とはそんな運動だ。ところが、呆れたことにこの「ティーパーティー運動」を日本に紹介して広めようとした政治家がいた。それが、なんと前述の城内実の宿敵として知られる自民党参院議員・片山さつきである(下記URL)。
http://satsuki-katayama.livedoor.biz/archives/2956502.html

上記リンク先の内容には触れないので、興味のある方はリンク先に飛んでご参照いただきたい。一つだけ指摘したいのは、ブログを飾る「日本を変える維新の志」というフレーズであり、元財務官僚の片山さつきとは、戦時中の「革新官僚」と似た気風を持った人なのかな、ということだ。それが清和会期待の星だった城内実と敵対していたのだから、何が何だかよくわからない。似た者同士じゃん。

そんな片山さつきを激しく非難したのが、陰謀論者として知られ、副島隆彦(ソエジー)の一派である「アルルの男・ヒロシ」こと中田安彦である(下記URL)。
http://amesei.exblog.jp/11589273/

以下引用する。

 ティーパーティーはポピュリストやリバータリアンを横断する多様な保守的な考えを持つ人々が、反税金というスローガンで集まった運動体であるといっていい。そのような運動を消費増税を掲げている自民党の候補が標榜するのは、ちゃんちゃらおかしくて、まさに「臍で茶が沸いてしまう」という話なのだ。


当ブログの継続的な読者であればおわかりと思うが、私は「反税金」なるスローガン自体に反対である。「アルルの男・ヒロシ」こと中田安彦が主張していることは、「われこそが正統的なリバタリアンなり」ということであり、ここで繰り広げられているのは、片山さつきと副島隆彦・中田安彦一派による「新自由主義の正統」争いに過ぎないのである。

中田安彦は、こんなこともつぶやいている。
http://twitter.com/bilderberg54/status/23205941819

確かに、片山さつきは「日本版ティーパーティー」と寝ぼけたことを言っていたけど、小沢と河村こそが日本版ティーパーティーになりえた。


ここで中田が過去形を使っているのは、「ツイッターの『草莽パワー』と連携しなかった小沢陣営の失敗」と題した、中田のつぶやきからリンクを張ったブログ記事を受けてのことだが、小沢一郎は民主党代表選の論戦で、当初「所得税と住民税の大幅減税」を打ち出そうとしながら、結局これを主要な争点にするのを止め、「一括交付金」の一点に絞る作戦に出た。後者にも新自由主義的な問題点はあるが、所得税と住民税の大幅減は、必然的に社会保障切り捨てを招く論外の政策であり、小沢一郎がこれを主要な争点にしなかったことは、リバタリアン側から見れば「ツイッターの『草莽パワー』と連携しなかった小沢陣営の失敗」に相当するのかもしれない。

ところで中田安彦だが、昨年3月13日に東京・品川で開催された城内実の「信念ブログ」オフ会に参加していたこともわかった(下記URL)。
http://amesei.exblog.jp/9463537/

ここらへんの話は、前回のエントリにコメントをいただいたcubeさんに感謝しなければならない。cubeさんはコメントで下記のように指摘された。

(前略)「小沢信者」といっても、河村を応援しているのは、城内実も応援しているような、政治分析に論理性のない一部でしょう。特に、副島隆彦一派とか。彼らは、前から支離滅裂です。
 たとえば、ブログ主さんの大嫌いな植草氏は、河村応援はしませんね。

2010.10.08 16:22 cube


このコメントを読んで、副島隆彦について調べていた時に、副島の子分格であるらしい「アルルの男・ヒロシ」こと中田安彦のトンデモエントリの数々に行き当たった次第である。

ただ、植草一秀のブログで「河村たかし」を検索語にしてブログ内検索をかけたところ、5件が引っかかり、いずれも軽い扱いではあったが好意的な言及であり、一度も批判はしていなかった。植草一秀は河村たかしが主導する名古屋市議会のリコール運動には一度も言及してはいないが、副島隆彦との共著は年中ブログで宣伝している。

上記のように、植草一秀に関する認識では残念ながらcubeさんと私では一致しないが、「城内実も応援しているような副島隆彦一派は、政治分析に論理性がなく支離滅裂」というcubeさんのご指摘には全面的に同意する。

そういえば城内実は(経済政策においては?)「中道左派」だとか言っていたような記憶もあるが、中田安彦のアプローチにはどういう見解なのだろうか。

城内実はともかく、私が問題だと思うのは、ネットで反自公政権運動を煽った多くのブロガーが、小沢一郎応援の旗を熱烈に振っていた副島隆彦の言説を、肯定的かつ仰々しく取り上げていることだ。あちこちの小沢信者のブログを見てみればよい。その多くには、副島隆彦のサイトだとか、たまには中田安彦のブログにもリンクが張られており、ブログ内検索で「副島」(たまに「福島」と誤記されていることもあるから要注意。「副島」は「そえじま」であって「ふくしま」とは読まないんだけどね)を検索語にして調べてみればわかるだろう。

政治思想右翼の城内実にすり寄る一方で、「究極の小さな政府」を目指す「日本版ティーパーティー運動」に入れ込み、民主党代表時代に「国民の生活が第一」を掲げて、子ども手当、高校無償化、農業者戸別所得保障制度など、「小さな政府」とは反対の方向性を打ち出そうとした小沢一郎(小沢一郎自身の方向性も怪しいが、それはひとまず措いておく)を「日本版ティーパーティー」の担い手にしようともくろむ人たち、それが副島隆彦一派である。

こんなのに易々と騙されてしまう「リベラル・左派」の脆弱さに長嘆息する今日この頃だが、最後に「ティーパーティー運動」の本質を一言でズバリ言い表した冷泉彰彦氏の寸評を紹介しておこう。冷泉氏は「ティーパーティー」を、

「小さな政府論」と「反エスタブリッシュメント」という「情念」で結ばれているだけで、中身はバラバラ

と評している。この「反エスタブリッシュメント」というところがキモで、エスタブリッシュメント層に対するルサンチマンが、今や「殉教者」となった小沢一郎を熱烈に崇め奉ることにつながるのだろうし、情念だけで結ばれているから、平気でそれまで持っていた思想信条をかなぐり捨てて、極端な「小さな政府」の思想に走ったって自己矛盾など全然自覚しない。

そんな人々を操ろうとする独裁者候補たちは、出番近しと待ち構えているに違いない。それは、東京からではなく、まず日本第三の都市圏から現れた。次は、日本第二の都市圏が舞台になるのではないかと思えてならない。


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