きまぐれな日々

首相・菅直人が指示したという、民主党とたちあがれ日本の連立工作は、あらゆる面で最悪だ。

勇ましいだけの政治思想極右・平沼赳夫の入閣も論外だが、それ以上に問題なのが与謝野馨の与党入りだろう。

与謝野馨は、安倍晋三・平沼赳夫・城内実・稲田朋美ら政治極右と並ぶ、当ブログにとっては天敵中の天敵である。与謝野は、政治思想的には単なる保守だが、財務省に経済思想をみっちり叩き込まれた財政再建至上主義論者であり、私の基準に照らすと、「経済極右」に当たる。

この与謝野馨が平沼赳夫と野合すると報じられた今年(2010年)4月5日に、当ブログは「よりにもよって与謝野馨と平沼赳夫が『たそがれ新党』を結成」と題したエントリを公開した(下記URL)。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1060.html

この記事を書いた時には、まだ「たちあがれ日本」という党名は発表されていなかったので、「たそがれ新党」と書いたのだが、「たちあがれ日本」と聞いて、「黄昏」と「立ち枯れ」を掛け合わせた、芥川賞受賞の大作家ならではの絶妙なネーミングにうならされたものだ。

12月26日現在、「たちあがれ日本」を検索語にしてGoogle検索をかけると、上位に当ブログの4月12日付エントリ「志の低い野合新党『たちあがれ日本』に議席を与えるな」が引っかかる。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1063.html

これもまた、この政党が民主党と連立を組もうとしたニュースが年末に流れたことで、「志の低い野合政党」とは、われながら本質を突いたタイトルだったなあと手前味噌ながら思ってしまうが、もちろんこの記事を書いた時の「野合」は、政治思想極右の平沼赳夫と経済極右の与謝野馨の野合のことであり、今問題になっているのは政権与党の民主党とこの野合政党の野合だ。要するに、たちあがれ日本は野合に野合を重ねようとしているわけである。その意味で、読売新聞が「揺れるたちあがれ日本、『野合批判』を懸念」と書いているのには笑える。極右の好む言い回しを借りれば、たちあがれ日本こそ「野合」のDNAを持った政党なのだから。

ところで、4月5日付の「よりにもよって与謝野馨と平沼赳夫が『たそがれ新党』を結成」は、主に与謝野馨の経済極右思想、すなわち財政再建至上主義を批判したエントリだ。「お国の借金」を帰さなければならないとして、財政均衡論を唱える与謝野の主張は、一般の人たちの耳になじみ易いため支持を受けやすいが、これは大変な誤解である。菅直人のブレーンにして、今年の参院選前に一部から「消費税増税論者」として叩かれた神野直彦・東大名誉教授が、「均衡財政派」、「上げ潮派」、「消費税増税派」のいずれもが新自由主義のドグマ(教義)の限界を抱えていると指摘していることを前掲リンク先記事で紹介したが、その神野名誉教授をブレーンとしておきながら、与謝野馨と連立を組もうとした菅直人は、なるほど「経済オンチ」と言われても仕方ないな、と思う。

菅直人は、もう一人のブレーン・小野善康阪大教授の思想も理解しているとは言い難く、「一に雇用、二に雇用」と言いながら法人税率引き下げの決断を下した。財務官僚やマスコミから見ると、神野直彦も小野善康も異端なのであり、財務官僚の思想に沿った財政再建至上主義者の与謝野馨こそ、マスコミや財務官僚がもっとも好む政治家である。そして今回、菅直人はその与謝野馨にすり寄った。

菅直人の支持を受けた岡田克也が、平沼赳夫に拉致担当相での入閣を打診したのも、与謝野馨を引きつけるための撒き餌であると私は考えている。つまり、本当に菅直人が組みたいのは平沼赳夫ではなく与謝野馨なのである。

リベラル系民主党支持者の中には、「与謝野馨には政権に入ってほしいけれど平沼赳夫はノーサンキューだ」と言っている人たちがいるが、私に言わせればそういう人たちは官僚やマスコミの財政再建論に騙されている。いかに与謝野が依って立つところの財政均衡論が間違っているかを書くと長くなるので、ここでは前述の菅直人のブレーン・神野直彦東大名誉教授の著書『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007年)を参照してほしい、とだけ書いておく。たとえば、この本の第5章(125?149頁)は、「借金は財政にどんな意味を持つか」と題されている。この本を読んで、それでも与謝野馨を支持するというのなら、私はそれ以上何も言わない。

しかも与謝野は、単に財政再建至上主義をとるだけではなく、4月5日付エントリにも書いたように、『文藝春秋』4月号に掲載された「新党結成へ腹はくくった」と題した「論文」の中で、自らが「社会保障費自然増の2200億円抑制」で悪名高い「骨太の方針2006」策定の責任者であったことを堂々と書き、その業績を誇っているのである。与謝野がここまであからさまな新自由主義者であるにもかかわらず、小泉・竹中の構造改革を批判しているはずのリベラル系民主党支持者の中に、与謝野にシンパシーを抱く人がいることが私には理解できない。

もっとも、与謝野は自民党を含む大連立を組みたい中曽根?ナベツネラインにとっても大事な人間のはずだ。そもそも与謝野は、もともと中曽根康弘の直系の政治家である。今回の連立話は読売にとっても寝耳に水だったようで、急遽たちあがれ日本に冷水を浴びせるような記事を立て続けに掲載した。

一方、諫早湾裁判の上告断念の時には官邸からリークを受けていたと見られる朝日も後追いが遅れた。

親自民の読売、親菅政権の朝日の両紙を慌てさせたかに見える今回の連立模索劇も、昨日(26日)テレビ朝日のローカル番組に出演した田原総一朗が語った政局話によると、菅直人が追い詰められての行動だという。田原は、現在民主党内で繰り広げられている菅直人と小沢一郎の抗争において、追い詰められているのは小沢ではなく菅だと言い、民主党とたちあがれ日本の連立はあり得ない、民主党と自民党の連立ならあり得ると語った。田原が自民党首脳から聞いた話によると、自民党は民主党と連立を組む意欲は満々だが、連立には条件があって、首相・菅直人の退陣が前提なのだという。菅が退陣したあと、自民党が連立を組む民主党に小沢一郎が入っているかどうかについては何も言わなかった。そして、菅抜き(小沢も抜き?)の民主党と自民党の連立に、田原は大いに期待している様子だった。

私はこれを見ながら、6年前の年金未払い政局で、田原が菅の年金未納を責め立てて民主党代表辞任へと追い込んだことを思い出した。あの頃、田原はしきりに民主党は菅や小沢の世代から若返りせよと叫んでいたが、その田原は菅や小沢よりも年上である。この政局では、小沢の後継代表が確実視されたが、小沢にも年金未納があり、それを理由に小沢は代表就任を辞退した。そして、菅を退陣に追い込んだ田原自身にも年金未納が発覚したことは、当ブログでも何度か書いたと思う。

それはともかく、田原の言う通りなら、自民党と大連立を組みたくても組めない窮地に追い込まれた菅直人がたちあがれ日本に助けを求めたのが今回の政局だということになる。田原の言葉の真否は不明だが、ありそうな話ではある。

だが、いかに自民党から嫌われているといっても、たちあがれ日本なんかと組もうとした時点で菅直人を許すわけにはいかない。極右の平沼赳夫を入閣させようとしたことも論外だが、与謝野と組んで消費税増税を実現しようとしたり、あわよくば自民党とも話をつけて大連立に持っていこうという発想もあったに違いない。菅直人が目的のためなら手段を選ばない人間であることは、菅を激しく罵倒している石原慎太郎が名付け親になったたちあがれ日本と組もうとしたことが証明しているし、そもそも菅には自社さ政権で大臣になった経歴もある。

ついつい政局話にそれてしまったが、本エントリの核心は与謝野馨批判である。仮に今回の民主党とたちあがれ日本の連立話が立ち消えになったところで、民主党と自民党が組むかもしれない次の政権にだってたちあがれ日本が参画する目が消えたわけではない。白猫黒猫論ではないが、どこと組もうがたちあがれ日本と連立を組む政党は悪い政党である。

しかも、その悪さは、単に同党に思想極右である平沼赳夫がいるからではない。平沼赳夫は口では勇ましいが別に政権を右に傾けた実績があるわけではない。平沼は、社会党の村山富市が総理大臣を務めていた内閣(1995年8月の村山改造内閣)で運輸大臣として初入閣したのだし、小泉政権時代に初代経産相として、「大学発ベンチャー3年1000社計画」がウリだった「平沼プラン」のような新自由主義政策を推進したことはあるけれども、そりゃ小泉内閣の経産相なら誰でもそうしただろう。経産大臣以外の平沼の仕事というと、イギリスを視察してサッチャーの教育カイカクにかぶれたことが思い出されるくらいで、これも思想右翼というよりは新自由主義にかぶれた側面の方が強い。意外と極右政治家としての実害は少なかったともいえる。

本当に警戒すべきなのは、平沼よりもむしろ与謝野の財政再建至上主義なのである。それを行うのが「民た野合政権」であれ、菅直人が退陣したあとに成立するかもしれない「民自た大連立政権」であれ、必ずや日本経済を破滅のどん底に突き落とすものである。

その意味で、昨日の朝日新聞2面に掲載された記事(下記URL)にはぞっとした。
http://www.asahi.com/politics/update/1225/TKY201012250203.html

以下引用する。

財政再建の考え方「共通」 岡田幹事長、たち日連携意欲

 民主党の岡田克也幹事長は25日、たちあがれ日本に連立政権への参加を打診したことについて「考え方が違うところもあるが、財政健全化に向けた考え方はかなり共通している」と、三重県川越町での記者会見で語った。

 岡田氏は22日、たちあがれ日本の平沼赳夫代表、与謝野馨共同代表と都内で会談。社会保障政策などを協議した。25日はその経緯は触れなかったが、「ひとかどの政治家が集まっている」と評価した。

 たちあがれ日本内には連立参加への慎重論も強く、27日に議員総会を開いて対応を協議する予定だ。

 社民党の福島瑞穂党首は25日、東京都西東京市での街頭演説で「民主党政権がどんな政治をしたいのかますますわからなくなってきた。たちあがれ日本との連立は国民が期待した生活再建の政治から遠ざかるものだ」と批判した。

(asahi.com 2010年12月25日 20時19分)


この記事には、本当に背筋が凍る思いがした。民主党は断じて与謝野馨なんかを入閣させてはならない。

だが、自民党の谷垣禎一も同じことを言いそうな気がする。自民党を飛び出してたちあがれ日本を設立した与謝野を、自民党は除名処分にしているとはいえ(新党改革の舛添要一も同様に除名されている)、除名した政治家がトップにいる政党と連立を組まないとは限らない。民主党にせよ自民党にせよ何でもありの政党だし、何より谷垣禎一自身もしばしば財政再建至上主義者と思われる発言を繰り返し行ってきた政治家である。

日本の政治は、またしても財政再建至上主義の誤りを繰り返すのだろうかと暗い気持ちになる。今年の年の瀬は、本当に最悪だ。
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クリスマス・イブにとんでもないバッドニュースが日本を駆けめぐった。首相・菅直人がたちあがれ日本に対し、連立政権への参加を打診したことが明らかになったのである。
http://www.asahi.com/politics/update/1224/TKY201012240568.html

たちあがれ日本に連立打診 首相、内閣改造も視野

 菅直人首相がたちあがれ日本に対し、連立政権への参加を打診したことが明らかになった。来年の通常国会に向け政権基盤を強化するための内閣改造を視野に入れ、平沼赳夫代表を拉致担当相で入閣させることを要請した。ただ、たちあがれ日本内では連立に反対する声が強い。

 首相が内閣改造を視野に入れたことで、参院で問責決議を受けた仙谷由人官房長官の進退が焦点となる。民主党の岡田克也幹事長は24日の記者会見で内閣改造について「通常国会をどう持っていくか、首相といろいろ意見交換している」と語った。

 首相はこれまで公明党や自民党との連携で、ねじれ国会を乗り切ることを検討してきた。だが両党は対決姿勢を強めており、参院での過半数確保に少しでも近づくことをめざし、小政党との連携を模索。新党改革の舛添要一代表とも9日に会談し、舛添氏の入閣も検討している。

 首相は11月18日にたちあがれ日本の与謝野馨共同代表と会談して「連立を組む用意がある」と打診。今月4日にも極秘会談し、平沼氏の入閣を求めた。与謝野氏は6日に平沼氏に報告。連立入りへ本格検討に入っていた。

 一方、首相の指示を受けた岡田幹事長も22日、平沼、与謝野両氏と極秘に会談。連立に向けて社会保障財源の安定化などの政策について意見交換した。

 ただ、たちあがれ日本は民主党政権打倒を掲げて4月に結党した。平沼氏は24日に園田博之幹事長らに初めて伝えたが、園田氏は朝日新聞の取材に「連立はありえない」と強く反発。党内がまとまるかは微妙だ。

 たちあがれ日本は衆参6人で、連立入りしてもねじれ国会は解消されない。首相は24日にあった内閣記者会とのインタビューで、連立打診について「正式に申し入れた形になっているとは承知していない」と述べるにとどめた。

(asahi.com 2010年12月25日 3時1分)


前のエントリで、たちあがれ日本を「論外極右政党」と表現した私がブチ切れたことはいうまでもない。菅直人は絶対に越えてはならない一線を、いとも簡単に踏み越えた。こうなった以上は、菅内閣の即時総辞職を求める立場で記事を書くしかない。

たちあがれ日本は、経済極右の与謝野馨と政治思想極右の平沼赳夫が野合してできたトンデモ政党であるが、菅直人にせよ民主党反主流派の小沢一郎にせよ、財政再建厨の与謝野と妙に親和性があって、そのことは当ブログでも以前から警戒していた。民主党内には、かつて新党さきがけに所属した園田博之と一緒にやりたい、などという声が結構あって、それにもうんざりしていた。

しかし、その園田博之は民主党との連立に反対する一方、菅直人は拉致担当相で入閣させることを要請し、平沼はどうやらそれを承諾したらしい。これには言葉もない。しかも菅は、もう一つのトンデモ極右新党である新党改革の代表を務める舛添要一の入閣まで検討しているというから、開いた口がふさがらない。

ここは、園田氏らに頑張ってもらうとともに、たちあがれ新党の政治思想極右勢力側からも、平沼赳夫のご乱心を諫め、連立参加を思いとどまるよう強く働きかけてほしい。党外にいる城内実も、平沼に民主党との連立に参加されてはたまったものではないだろうから、全力で平沼を引き留めてほしい。城内実以外にも、昨年の総選挙で平沼グループから立候補した人が多くいるが、このままでは今後平沼の資金力をあてにできなくなる彼らも、平沼を引き留めるべく働きかけてほしい。

平沼も平沼であり、このジジイが単なる権力亡者に過ぎないことを露呈したといえる。何が「共産党員すら認める、平沼赳夫という人物」かと毒づきたくなる。

しかし、平沼赳夫よりずっとずっとどうしようもなく程度が低いのが菅直人という人間である。まさに権力の座を維持する目的のためには手段を選ばない人間。ついこの間、社民党に接近したかと思ったら、それと並行してたちあがれ日本、新党改革の論外極右二政党に接近していた。

民主党とたちあがれ日本・新党改革との野合が、これにとどまるものではないことはいうまでもない。1999年1月に、時の首相・自民党総裁の小渕恵三と、自由党党首の小沢一郎が行った「自自連立」が、公明党を加えた「自自公連立」への準備に過ぎなかったのと同様、民主党とたちあがれ日本・新党改革との野合は、自民党を加えた「大連立」への準備であり、もちろんシナリオを書いているのは渡邉恒雄(ナベツネ)である。

当ブログは、2007年に小沢一郎が自民党との大連立に走った時、直ちにこれを批判して小沢一郎の民主党代表辞任を求めた(2007年11月7日付エントリ「民主党は小沢一郎を慰留せず速やかに代表選を行うべし」参照)。それと同様、菅直人が自民党との大連立につながるたちあがれ日本・新党改革との野合に走ったことが明らかになった以上、直ちに菅直人の総理大臣及び民主党代表辞任を求めるものである。

今回の件は、菅直人の致命傷になるだろうし、致命傷にしなければならないと私は思う。絶対にやってはならないことをやった菅直人を、可能な限り早期に内閣総辞職に追い込まなければならない。そのためには「国士さま」や「小沢信者」とだって勝手に共闘するぞ、と心に誓ったクリスマス・イブだった。
平沼赳夫の新保守主義も、与謝野馨の新自由主義も私は大嫌いである。与謝野馨の場合は、小泉純一郎?竹中平蔵の流れをくむと見られている中川秀直らとは異なり、「上げ潮派」ではない。世間には、「上げ潮派」を新自由主義と見なしながら、与謝野馨のような「財政再建・消費税率早期引き上げ派」は新自由主義者とは見ない誤った考え方があるが、当ブログは以前からたびたび主張しているように、与謝野一派も公共サービスを拡大しないことを誓う点で、れっきとした新自由主義者だと考えている。

「市場原理主義者」をしばしば厳しく批判する、読売新聞、いや日本のメディア界のドンこと渡邉恒雄(ナベツネ)も同様の誤りにとらわれているようだ。だから、ナベツネは竹中平蔵は蛇蝎のごとく嫌うけれども、財政再建のために消費税率を引き上げよと叫ぶし、そのナベツネの意に沿う主張をしているのが与謝野馨なのである。

与謝野馨は、もともと中曽根康弘の秘書だった。中曽根はナベツネの盟友。そんなつながりがあって、ナベツネは与謝野を全面的に応援している。自民党が昨年の衆院選で惨敗して、自民党が中心となってナベツネの宿願である憲法改正や消費税率の早期引き上げを実現することは難しくなった。ならば、与謝野馨を押し立てて、与謝野を民主党政権と組ませることによって消費税率を引き上げる。それがナベツネの発想だったのではないか。

だが、与謝野が新党を立ち上げようにも、人が集まらない。そこで目をつけたのが、もう3年以上も宿願の新党結成を果たせずにくすぶっていた平沼赳夫だったのだろう。もちろん、改憲派とはいえ平沼赳夫のような宗教右翼を忌み嫌うナベツネにとって、平沼赳夫など利用して使い捨てるだけの存在に違いない。だが、平沼を抱き込むに当たってはそんな素振りなど露ほども見せなかっただろう。

ナベツネは、平沼の子分・城内実とも接触した。このことは、城内実自身が昨年12月3日付のブログ記事で明らかにしている。この記事で、城内実は、

 渡辺主筆については、一部でとてもゆがんだマイナスイメージが流布しているが、私がお会いした限りでは、大変ものごしが丁寧な、ほんものの紳士だ。傲慢とはほどとおい、むしろ人間味のある優しい感じの方である。相手の肩書き次第で人を見下すような下等な人間とは違う。なにせ、落選中の私に二度にわって一時間もいろいろとお話をしていただき、必ず帰りにはエレベーターまで送っていただいたのだから。たぶん他の方にもそのように対応してらっしゃるのであろう。

とナベツネを絶賛している。そして、

 今回お会いしたことなどを城内実のブログに書いても良いとおっしゃってくださったが、私はあえて詳細について書くことは差し控えたいと思う。

と思わせぶりに書いたあと、

 いずれにせよ、来年に向けての私の政治活動の指針となるようなお話をうかがえた。渡辺主筆より貴重なお時間をいただいたことに改めて感謝申し上げる。

とエントリを締めくくっている。これは昨年末の記事だから、「来年」とは今年、2010年を指す。2010年の城内実の「政治活動の指針」とはいったい何か。

与謝野・平沼のトンデモ新党「たちあがれ日本」が結党した現在の目で、この城内実の記事を読み返すと、この会談で城内がナベツネからトンデモ新党の話を持ちかけられていたことは確実であると思われる。そして、ナベツネのオファーを受けた城内実は、明らかに有頂天になっていた。

年が明けると、城内実は精力的にテレビに出演するようになり、マイクを向けられると決まって「政界再編」について熱弁をふるった。それなのに、現在トンデモ新党参加に踏み切れずにいるのは、どうも後援会が城内の新党入りに難色を示しているかららしい。朝日新聞の星浩は、新党入りしたら次の衆院選で自民党に対立候補を立てられるのを嫌っているのだろうと言ったが、斉木武志と片山さつきの得票数を足しても城内実には及ばないほどの圧勝を果たした城内実が自民党の対立候補を恐れるとは私には思えない。城内実の支持者には跳ね上がりが多いらしく、平沼赳夫何するものぞといわんばかりの雰囲気がある。すでに昨年の衆院選前に、ネットで城内の支持者が平沼を批判する書き込みをしていたことを、私は昨年8月28日付の『kojitakenの日記』に記録している。後援会の人たちがネットの掲示板投稿者と同じような考え方をしているかどうかはわからないが、似たり寄ったりだろうと私は想像しており、そんな彼らを説得するのに城内実が手を焼いているのも想像がつくのである。あの政治家にしてこの支持者ありといったところだろうか。

くだらない城内実の支持者の件はともかく、ナベツネといえば反射的に思い出すのが「大連立」だ。私は、先月号の文春に与謝野馨の「論文」が掲載されたと知った時点で、ああ、これはまたしてもナベツネの「大連立」工作だなとピンときて、雑誌の発売日前日(3月9日)の『kojitakenの日記』に、

ナベツネは「大連立」の野望を決して捨ててはいないとここで指摘しておく。

と書いた。「ナベツネと聞いたら大連立を疑え」と言いたくなるくらいだ。

これは何も「ナベツネ嫌い」の私の思い過ごしではない。昨日のエントリでも書いたように、『週刊新潮』も指摘しているし、他の週刊誌でも同様の観測を見たことがある。そして、なんと大新聞までもがこの疑念を記事にしていた。しかも社説においてである。4月11日付の毎日新聞社説「平沼・与謝野新党 『立ち上がった先』を語れ」である(下記URL)。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100411k0000m070100000c.html

同じ日の朝日新聞は、「『たちあがれ』―民主、自民にそう言いたい」と題したつまらない社説を掲載した。これを見て、どうせ他紙も似たり寄ったりだろうと思って見に行かなかったのだが、あに図らんや、毎日新聞の社説は「大連立工作」の疑惑を突っ込んでいた。以下、抜粋して紹介する。

 「たちあがれ」に参加した代表の平沼氏ら5議員は、いずれも元は自民党議員だ。中堅・若手議員が参加を見送ったため平均年齢は約70歳となり、新鮮ではつらつとしたイメージを与えたとは言い難い。

 それ以上にすっきりした印象を抱けないのは、結党の動機が今ひとつ不明確な点にある。代表の平沼氏は10日の会見で参院選後の民主党との連携は「まったくない」と否定したが、民主党との対決姿勢を強調するほど、離党劇で最大の打撃を被ったのが自民党だという現実とのギャップがさらに際だってしまう。

 新党結成を後押ししたのは発起人に名を連ねた石原慎太郎東京都知事だ。石原氏は最近、福田康夫内閣時代に一時浮上した民主、自民両党の大連立構想に再三言及し、民主党の小沢一郎幹事長(当時代表)の関与を評価している。小沢氏と与謝野氏は関係が近いことでも知られる。

 新党は政界再編の橋渡し役を目指すというが、具体的にどんな姿を描いているのか。大連立構想の再現をにらみ、その接着剤となることも狙っているのか。国民に率直な説明が必要である。

(毎日新聞 2010年4月11日付社説 「平沼・与謝野新党 『立ち上がった先』を語れ」より)


平沼と与謝野は、「親自民・反民主」、あるいは「非自民・反民主」などと言う。これがかえってわざとらしい印象を与え、実は裏で小沢一郎と手を組んでいるのではないかとずっと疑っていたのだが、おそらく私だけではなく大勢の人たちが抱いていたであろう疑念を、毎日新聞は社説で書いてくれた。これには驚いた。

もちろん、2007年の大連立騒動の時には、毎日新聞だけではなく朝日新聞も、そして他の大部分の新聞も、読売新聞を除いてナベツネが工作に関わったことを社説も含めて書いた。だが、あの時は福田康夫と小沢一郎という二大政党の党首が手を結ぼうとしたのだ。いわば正攻法だ。今回はそうではない。「反民主」を標榜しながら小沢一郎と手を組もうとしているのではないか。そんな疑念が持たれるのである。旧世代の支配者たちも、やることのスケールがだんだん小さくなってきた。そして、平沼と与謝野の新党は、彼らの最後の悪あがきであるように思える。

実際に、毎日新聞の社説が危惧するように、与謝野・平沼新党を接着剤にして民主党と自民党が大連立を組む流れになるかどうかはわからない。わからないが、3年前は大半の民主党議員やマスコミの反対によって大連立は実現しなかった。今にして思うのだが、あの時民主党は大連立騒動を総括せず、小沢一郎を辞任させるどころか、必死に懇願して代表の座に踏みとどまってもらった。小沢一郎が代表の座にいなかったら政権交代は実現しなかったかどうかはわからない。民主党の「七奉行」の体質を見ていると、小沢一郎抜きの民主党だったら、もっと新自由主義色を鮮明にした政党になっていたかもしれない。

だが、もし今後与謝野・平沼新党が接着剤となって民主党と自民党が大連立を組むようなことがあれば、それは小沢一郎という劇薬の副作用によって日本の戦後政治が死を迎えることを意味しないか。

このところのペースを破って、毎日新聞の社説に触発される形で今日エントリを上げるのは、民主党のリベラル派というものがもし存在するのであれば、そろそろ「小沢一郎離れ」を起こすべきなのではないか、ちょうど自民党でかつて竹下登が創政会を結成したのと同じように、小沢一郎に反旗を翻すリベラル派集団の結成があっても良いのではないかと思うからである。やはりリベラル派である生方幸夫のような単独の反乱ではダメで、はかりごとをめぐらせてあるタイミングで集団を旗揚げすべきだろう。現状は、小沢一郎の弊害が目立ち始めてきた。そうは思わないか。社民党にしても、小沢一郎しか頼りにできなくて動きを封じられているも同然に見える。このままでは、ある議員は民主党に吸収され、ある議員は無所属になるなどして消滅への道をたどるだけではないのか。

それが言いたかったから、今日のエントリを上げた。これは、しばらく前から考えていたことではあるが、書くタイミングがつかめなかった。だが、その時がきた。中曽根やナベツネの生涯最後の悪だくみを潰し、彼らの政治生命を完全に終わらせるためにも、民主党左派の「小沢一郎離れ」が必要だ。


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