前回のエントリで、現在のような閉塞状況下においては、橋下徹のような(強権指向の)人物が台頭する恐れが大きいと書いたところ、コメント欄で批判を受け、それに対する反論などもあって、久しぶりにコメント欄が盛況になった。
コメント欄でのやりとりの中には、当ブログ恒例の「小沢信者」に対する批判に関するものもあったが、私は小沢信者と橋下の支持者には考え方に共通するものがあるように思う。
それは、強力な指導者に対する依存心だ。「小沢さんなら何とかしてくれそう」という考え方を、私は当ブログでずっと批判してきた。だが、小沢一郎の場合はまだ支持に広がりがない。自民党や自由党時代からの支持者の気質にも「信者」的なところがあり、根強い支持は受けていたのだが、小沢一郎人気が多数派になることは、民主党代表時代を含めてもなかった。
一方、橋下は違う。大阪府民の熱狂的な支持を受けている。関西のテレビは、橋下と仲の悪い平松邦夫市長が長く勤務していた毎日放送を除いて、概ね橋下翼賛報道に塗りつぶされているらしい。それもあって、橋下を支持しなければ人に非ず、みたいな空気があってげんなりする。先日、当ブログと相互リンクを張っているあるブログでも、次の選挙では維新の会に投票するかもしれないという記述を見かけてショックを受けた。大阪に住んでいるとそういう意見を持つのが当然のような空気があるのだろうか。
当ブログは2008年には橋下徹批判をウリにしていた時代があり、その頃アクセス数の多かった記事は橋下を取り上げたものが多かった。しかし、その反応は必ずしも好意的なものばかりでないどころか、2008年9月20日のエントリ「一度に346人の府立高校非正規職員の首を切る橋下徹」につけられた「はてなブックマーク」のコメントを見ればわかるように、橋下を支持して記事を批判する反応の方が多かった。
前回のエントリのコメント欄では、最初に、橋下を批判する私に「幻滅した」というコメントがつき、2番目に
suterakusoさんから
原発問題が再分配の問題と密接に関わっているというのは、東電原発事故が起きた直後から私がずっと考えていることで、一時、「鍋パーティー」のブログにも原発問題を盛り込もうかと思った時期もあるが、それはやめた。当ブログと同じように原発の記事ばかりで埋め尽くされると、「みんなでつくる」ブログの意味がなくなるからだ。
原発は、過疎の地に都会に便益をもたらす危険な設備を押しつけるというところに大きな問題がある。この構図はまた、沖縄の基地問題とも相通じる。そして、少数者の圧殺を得意にしているのが橋下徹だ。橋下の本質がもっともよく表れたのは、首都圏などにはネットされていない、大阪のよみうりテレビが制作している極右番組で、橋下が山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団への懲戒請求を呼びかけた一件だ。
この橋下の発言によって業務を妨害されたとして、弁護団のメンバーら4人が損害賠償を求めた訴訟が起こされ、橋下は一審、二審でともに敗れて損害賠償を命じられたが、先日、最高裁がこれをひっくり返して橋下の逆転勝訴となった。なんともふざけた最高裁の判断だが、マスコミでこれを批判する報道は目にすることができなかった。
あるいは、橋下が大阪の市立高校に通う女子高校生を、討論で泣かせた一件。この件を論じた、"kom's log" の秀逸なブログ記事「ボクタチの闘争」があり、私はこの記事を2008年のブログ記事のナンバーワンに推した。当ブログの前回のエントリをめぐる論戦に参加された方には、是非「ボクタチの闘争」の全文をご参照いただきたいと思うが、終わりの方に
そもそも、なぜ橋下と「共闘」しなければ「脱原発」を実現できないのかという理由がさっぱりわからない。「橋下と共闘する」とは具体的にどんな行動を指すのか。これを、「橋下との共闘」の必要性を説く方々には是非ご教示いただいたいと思う。私は、橋下が「脱原発」の立場をとって関西電力とバトルを展開する分には、別にその一点に限っては間違ったことをやっているわけではないから、これに関して橋下を批判などしないが、関西電力と戦っているからといって、橋下の他の言動に対する支持まで強要されたのではたまったものではないと思う。
そういう「同調圧力」は、それこそ「原子力村」と表裏一体なのではないか。「村社会」というと、ブログでかつて「安倍晋三を終わらせる」("AbEnd")から「自民党を終わらせる」("自End")へと進んだ「自エンド村」も同じ体質を持っていて、自己批判すると私にもその「ムラ社会」の形成に加担した責任がある。「自エンド村」は「西松事件」をきっかけに「小沢信者村」に衣替えしたのだが、その頃私は排除の対象となった。ちょうどこちらから縁を切りたいと思っていたところだったので「渡りに舟」だったわけだが、この時、ムラ社会の影の支配者(そう、前回のエントリでリンクを張ったあそこ)から、村長を通じて指弾されたトガには呆れた。数年前に村を追い出されたさるブログ(バナーをいっぱい張っているところ)からトラックバックを受け取って承認しているのが怪しからん、というのがその理由だったのだ。当ブログが行っていた小沢一郎批判をあげつらうのではなく、「村八分にしたあいつとつきあうとは怪しからん」というのを「村八分」の理由に持ってきたところが、「小沢信者ブログ村」の「ムラ社会」的体質を象徴している。
だから私は「小沢信者」が大嫌いなのである。橋下との「共闘」を強要する態度も、行き着く先はこういう「ムラ社会」であり、それが極限まで肥大したのがナチスドイツや大日本帝国だったに違いない。
そう、「ファシズムへの道」だ。
コメント欄でのやりとりの中には、当ブログ恒例の「小沢信者」に対する批判に関するものもあったが、私は小沢信者と橋下の支持者には考え方に共通するものがあるように思う。
それは、強力な指導者に対する依存心だ。「小沢さんなら何とかしてくれそう」という考え方を、私は当ブログでずっと批判してきた。だが、小沢一郎の場合はまだ支持に広がりがない。自民党や自由党時代からの支持者の気質にも「信者」的なところがあり、根強い支持は受けていたのだが、小沢一郎人気が多数派になることは、民主党代表時代を含めてもなかった。
一方、橋下は違う。大阪府民の熱狂的な支持を受けている。関西のテレビは、橋下と仲の悪い平松邦夫市長が長く勤務していた毎日放送を除いて、概ね橋下翼賛報道に塗りつぶされているらしい。それもあって、橋下を支持しなければ人に非ず、みたいな空気があってげんなりする。先日、当ブログと相互リンクを張っているあるブログでも、次の選挙では維新の会に投票するかもしれないという記述を見かけてショックを受けた。大阪に住んでいるとそういう意見を持つのが当然のような空気があるのだろうか。
当ブログは2008年には橋下徹批判をウリにしていた時代があり、その頃アクセス数の多かった記事は橋下を取り上げたものが多かった。しかし、その反応は必ずしも好意的なものばかりでないどころか、2008年9月20日のエントリ「一度に346人の府立高校非正規職員の首を切る橋下徹」につけられた「はてなブックマーク」のコメントを見ればわかるように、橋下を支持して記事を批判する反応の方が多かった。
前回のエントリのコメント欄では、最初に、橋下を批判する私に「幻滅した」というコメントがつき、2番目に
suterakusoさんから
の書き出しで始まるコメントをいただいた。ここ数日で、原発問題も、復興問題も、所得の再分配や経済システムの問題と同じところに根があるのではないかと感じるようになりました。
原発問題が再分配の問題と密接に関わっているというのは、東電原発事故が起きた直後から私がずっと考えていることで、一時、「鍋パーティー」のブログにも原発問題を盛り込もうかと思った時期もあるが、それはやめた。当ブログと同じように原発の記事ばかりで埋め尽くされると、「みんなでつくる」ブログの意味がなくなるからだ。
原発は、過疎の地に都会に便益をもたらす危険な設備を押しつけるというところに大きな問題がある。この構図はまた、沖縄の基地問題とも相通じる。そして、少数者の圧殺を得意にしているのが橋下徹だ。橋下の本質がもっともよく表れたのは、首都圏などにはネットされていない、大阪のよみうりテレビが制作している極右番組で、橋下が山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団への懲戒請求を呼びかけた一件だ。
この橋下の発言によって業務を妨害されたとして、弁護団のメンバーら4人が損害賠償を求めた訴訟が起こされ、橋下は一審、二審でともに敗れて損害賠償を命じられたが、先日、最高裁がこれをひっくり返して橋下の逆転勝訴となった。なんともふざけた最高裁の判断だが、マスコミでこれを批判する報道は目にすることができなかった。
あるいは、橋下が大阪の市立高校に通う女子高校生を、討論で泣かせた一件。この件を論じた、"kom's log" の秀逸なブログ記事「ボクタチの闘争」があり、私はこの記事を2008年のブログ記事のナンバーワンに推した。当ブログの前回のエントリをめぐる論戦に参加された方には、是非「ボクタチの闘争」の全文をご参照いただきたいと思うが、終わりの方に
に言及し、「人民共同戦線を謳う<佐藤優現象>」
と続けられている。そう、「橋下と共闘する」ことは、佐藤優が呼びかける「人民共同戦線」に参加することを意味するのだと思う。そんなものに参加してはならない。半身不随の辺見庸が金融不安に際しかつての「鵺のような」なる文学的表現からさらに一歩踏み込んで国家社会主義の再来に警鐘を鳴らすのも無理はない。(当ブログの2008年10月27日付エントリ「新自由主義のあとにくるもの - 国家社会主義を阻止せよ」がリンクされている)
そもそも、なぜ橋下と「共闘」しなければ「脱原発」を実現できないのかという理由がさっぱりわからない。「橋下と共闘する」とは具体的にどんな行動を指すのか。これを、「橋下との共闘」の必要性を説く方々には是非ご教示いただいたいと思う。私は、橋下が「脱原発」の立場をとって関西電力とバトルを展開する分には、別にその一点に限っては間違ったことをやっているわけではないから、これに関して橋下を批判などしないが、関西電力と戦っているからといって、橋下の他の言動に対する支持まで強要されたのではたまったものではないと思う。
そういう「同調圧力」は、それこそ「原子力村」と表裏一体なのではないか。「村社会」というと、ブログでかつて「安倍晋三を終わらせる」("AbEnd")から「自民党を終わらせる」("自End")へと進んだ「自エンド村」も同じ体質を持っていて、自己批判すると私にもその「ムラ社会」の形成に加担した責任がある。「自エンド村」は「西松事件」をきっかけに「小沢信者村」に衣替えしたのだが、その頃私は排除の対象となった。ちょうどこちらから縁を切りたいと思っていたところだったので「渡りに舟」だったわけだが、この時、ムラ社会の影の支配者(そう、前回のエントリでリンクを張ったあそこ)から、村長を通じて指弾されたトガには呆れた。数年前に村を追い出されたさるブログ(バナーをいっぱい張っているところ)からトラックバックを受け取って承認しているのが怪しからん、というのがその理由だったのだ。当ブログが行っていた小沢一郎批判をあげつらうのではなく、「村八分にしたあいつとつきあうとは怪しからん」というのを「村八分」の理由に持ってきたところが、「小沢信者ブログ村」の「ムラ社会」的体質を象徴している。
だから私は「小沢信者」が大嫌いなのである。橋下との「共闘」を強要する態度も、行き着く先はこういう「ムラ社会」であり、それが極限まで肥大したのがナチスドイツや大日本帝国だったに違いない。
そう、「ファシズムへの道」だ。
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5日前の日曜日に放送されたテレビ朝日の「サンデープロジェクト」で、臓器移植法改正案をめぐる討論が、それぞれの案を提案した人たちによって行われた。なかなか良い討論だったと思うのだが、この日の「サンプロ」を指して、日本郵政の社長人事問題、というより鳩山邦夫総務相が更迭された問題から「サンプロ」は逃げた、といきり立つ向きがあった。自民党の内紛をことさらに騒ぎ立てることは、きたる総選挙において自民党の得票を増やすだけではないかと私は思うのだが、いまテレビ番組が政治に絡む問題を取り上げる際にもっとも視聴率が取れるのもこの件らしくて、別にサンプロが取り上げなくたってニュース番組からワイドショーに至るまで日本郵政の社長人事や鳩山邦夫の話題で持ち切りである。そんな中で、「予定を変更して鳩山総務相の辞任問題を討論します」などという馬鹿げたことをやらずに、予定通り臓器移植法案についての討論を放送したサンプロは、この番組にしては珍しく見識を見せたと私は思う。
「きっこのブログ」を見ると、臓器移植法案について、
ところで、勉強不足の自民党議員を批判する「きっこのブログ」も、死刑制度に関しては過激な厳罰主義の主張をしていることはよく知られている。鳩山邦夫の更迭問題に話を戻すと、鳩山を英雄視する風潮に私が違和感を感じる最大の理由は、鳩山が「ベルトコンベアとは言わないが」などと言いつつ、機械的に死刑を執行できるようにすべきだ、と主張したことにある。これに関して朝日新聞が鳩山を「死に神」呼ばわりし、私はそれを当然だと思ったが、鳩山邦夫は机を叩いて猛然と朝日を非難する記者会見を行い、臓器移植法案のA案に反対票を投じた鳩山由紀夫も、邦夫をかばうコメントを発した。朝日新聞は遺憾の意を表したんだっけ? 私は死神という表現は当を得ており、朝日が謝る必要など何一つないと思った。そんな死神を英雄視する風潮は、私には我慢ならない。ましてや鳩山邦夫は自民党を離党するつもりはない、と明言しており、ふだん民主党を熱狂的に支持している人たちが、鳩山邦夫を英雄視して、まるで福岡6区から立候補予定の民主党・古賀一成議員の選挙妨害をするかのような倒錯ぶりを示すのを見ていると、本当にいやになる。古賀氏は民主党内では、鳩山由紀夫系の「政権交代を実現する会」と菅直人系の「国のかたち研究会」に属しており、鳩山邦夫をことさらに英雄視することは、鳩山由紀夫に弓を引くも同然であることを指摘しておきたい。
死刑問題についていうと、一昨日(17日)の朝日新聞に、辺見庸の「犬と日常と絞首刑」という長文のエッセイが掲載された。これは、ネットでは配信されていないようだ。辺見庸の文章を評論するなどという行為は私にはできないのだが、少しだけ文章を紹介すると、辺見は「罰金刑や自由刑などよりはるかな昔から、おそらくは有史以前の原始共同体の起源とともに、死刑が地球のいたるところですでに法以前の自然の掟として存在していたらしい」と指摘し、「日本や中国や北朝鮮やイランなどの死刑制度」には、そうした「永きにわたる人類史的知恵と根拠がある」のか、それとも「日本や中国や北朝鮮やイランなどの死刑制度は、原始共同体と本質的には大差ない野蛮性をあらわに残すもの」で、「早急になんとしても克服しなければならない」のかと皮肉に問うている(カギ括弧内が辺見庸の文章からの引用)。
辺見は、「あげく、「犯人を極刑に!」という世間の声がマスコミ(とくにテレビ)報道と相乗しつつ勢いをいやまし、考える個人はそれに怖れをなして口をつぐむかちぢこまってしまうのである。ときには凶悪事件被告人の弁護側まで、世間から ”公共敵” 呼ばわりされたりもするのだから、まるで悪しき社会主義なみである」とも書いている。ここで辺見が山口県光市母子殺害事件を念頭に置いていることは明らかであり、この件に関して橋下徹がテレビで弁護団の懲戒請求を煽ったことや、「きっこのブログ」を含むいくつかの反政府系有名ブログも「犯人を極刑に!」と絶叫し、弁護団を非難していたことが思い出される。その橋下徹は、地方分権政策を判断材料に次期衆院選での政党支持を表明すると宣言しているが、昨日(17日)、民主党大阪府連主催のシンポジウムに出席し、終了後、「本気で国の形を変えようとされていると感じた。これで霞が関の現状維持はないだろう」と民主党を評価するコメントを残した。(共同通信報道による。朝日新聞によると、橋下は総選挙での支持政党については「自民、公明からも民主を上回る案が出てくると信じている」と述べ、態度を明確にしなかったとのこと)。自公の人脈と見られている橋下だが、抜け目なく民主党政権成立後に向けての布石も打っている。いま明確に自公支持ないし民主党支持のどちらも打ち出していないのは、それだけ自分を高く売ろうという橋下の計算であり、おそらく総選挙で自公と民主党のいずれが勝とうとも、橋下は国政への影響力を間違いなく強めていくことだろう。そして、それは間違いなく民主党政権を「右」や「新自由主義側」に引っ張る力となる。昨年の大阪府知事選の頃は、まさかここまで橋下が手強いとは思いもしなかった。
結局、臓器移植法案の論議よりも日本郵政の社長人事や鳩山邦夫の更迭をテレビで取り上げろと煽り立てることは、橋下のような極右ポピュリストをますます増長させることにしかつながらないのである。視聴者が西川善文と鳩山邦夫のバトルを楽しむのも、4年前の郵政総選挙における「刺客対抵抗勢力」と同様のバトルを期待しているからであって、要は「コイズミ劇場」の延長戦が見たいのだ。それを煽るようなことをコイズミ・竹中のカイカクを批判する側がやってどうすると言いたい。
むしろ、日本郵政の社長人事や「死神」の更迭問題ばかりにかまけずに、もっと臓器移植法案をめぐる議論にも注目せよと主張するのが、知識人のあるべき姿なのではないだろうか。
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「きっこのブログ」を見ると、臓器移植法案について、
と書かれている。4年前の「郵政総選挙」でコイズミに煽られた有権者に選ばれて、「濡れ手に粟」で地位を得たバブル議員(粟ならぬ泡?)の多くは、次の総選挙で落選するわけだから、皆さん椅子取りゲームに必死で臓器移植法案どころではないのだろう。もっともハードルを下げる「脳死を人の死」とするA案が衆議院で採決された時、自民党議員は大部分が賛成の白票を投じたが、麻生太郎首相は反対の青票を投じた。公明党は賛否が割れたが、太田昭宏代表は青票を投じた。民主党も賛否が割れたが、小沢一郎、菅直人、岡田克也ら幹部の多くが白票を投じたのに対し、鳩山由紀夫代表は青票を投じた。社民党は全員が青票を投じ、共産党は「議論が尽くされていない」として採決を棄権した。自民党議員の9割が事前に勉強や議論をせずに採決に臨んでいたことが分かった
ところで、勉強不足の自民党議員を批判する「きっこのブログ」も、死刑制度に関しては過激な厳罰主義の主張をしていることはよく知られている。鳩山邦夫の更迭問題に話を戻すと、鳩山を英雄視する風潮に私が違和感を感じる最大の理由は、鳩山が「ベルトコンベアとは言わないが」などと言いつつ、機械的に死刑を執行できるようにすべきだ、と主張したことにある。これに関して朝日新聞が鳩山を「死に神」呼ばわりし、私はそれを当然だと思ったが、鳩山邦夫は机を叩いて猛然と朝日を非難する記者会見を行い、臓器移植法案のA案に反対票を投じた鳩山由紀夫も、邦夫をかばうコメントを発した。朝日新聞は遺憾の意を表したんだっけ? 私は死神という表現は当を得ており、朝日が謝る必要など何一つないと思った。そんな死神を英雄視する風潮は、私には我慢ならない。ましてや鳩山邦夫は自民党を離党するつもりはない、と明言しており、ふだん民主党を熱狂的に支持している人たちが、鳩山邦夫を英雄視して、まるで福岡6区から立候補予定の民主党・古賀一成議員の選挙妨害をするかのような倒錯ぶりを示すのを見ていると、本当にいやになる。古賀氏は民主党内では、鳩山由紀夫系の「政権交代を実現する会」と菅直人系の「国のかたち研究会」に属しており、鳩山邦夫をことさらに英雄視することは、鳩山由紀夫に弓を引くも同然であることを指摘しておきたい。
死刑問題についていうと、一昨日(17日)の朝日新聞に、辺見庸の「犬と日常と絞首刑」という長文のエッセイが掲載された。これは、ネットでは配信されていないようだ。辺見庸の文章を評論するなどという行為は私にはできないのだが、少しだけ文章を紹介すると、辺見は「罰金刑や自由刑などよりはるかな昔から、おそらくは有史以前の原始共同体の起源とともに、死刑が地球のいたるところですでに法以前の自然の掟として存在していたらしい」と指摘し、「日本や中国や北朝鮮やイランなどの死刑制度」には、そうした「永きにわたる人類史的知恵と根拠がある」のか、それとも「日本や中国や北朝鮮やイランなどの死刑制度は、原始共同体と本質的には大差ない野蛮性をあらわに残すもの」で、「早急になんとしても克服しなければならない」のかと皮肉に問うている(カギ括弧内が辺見庸の文章からの引用)。
辺見は、「あげく、「犯人を極刑に!」という世間の声がマスコミ(とくにテレビ)報道と相乗しつつ勢いをいやまし、考える個人はそれに怖れをなして口をつぐむかちぢこまってしまうのである。ときには凶悪事件被告人の弁護側まで、世間から ”公共敵” 呼ばわりされたりもするのだから、まるで悪しき社会主義なみである」とも書いている。ここで辺見が山口県光市母子殺害事件を念頭に置いていることは明らかであり、この件に関して橋下徹がテレビで弁護団の懲戒請求を煽ったことや、「きっこのブログ」を含むいくつかの反政府系有名ブログも「犯人を極刑に!」と絶叫し、弁護団を非難していたことが思い出される。その橋下徹は、地方分権政策を判断材料に次期衆院選での政党支持を表明すると宣言しているが、昨日(17日)、民主党大阪府連主催のシンポジウムに出席し、終了後、「本気で国の形を変えようとされていると感じた。これで霞が関の現状維持はないだろう」と民主党を評価するコメントを残した。(共同通信報道による。朝日新聞によると、橋下は総選挙での支持政党については「自民、公明からも民主を上回る案が出てくると信じている」と述べ、態度を明確にしなかったとのこと)。自公の人脈と見られている橋下だが、抜け目なく民主党政権成立後に向けての布石も打っている。いま明確に自公支持ないし民主党支持のどちらも打ち出していないのは、それだけ自分を高く売ろうという橋下の計算であり、おそらく総選挙で自公と民主党のいずれが勝とうとも、橋下は国政への影響力を間違いなく強めていくことだろう。そして、それは間違いなく民主党政権を「右」や「新自由主義側」に引っ張る力となる。昨年の大阪府知事選の頃は、まさかここまで橋下が手強いとは思いもしなかった。
結局、臓器移植法案の論議よりも日本郵政の社長人事や鳩山邦夫の更迭をテレビで取り上げろと煽り立てることは、橋下のような極右ポピュリストをますます増長させることにしかつながらないのである。視聴者が西川善文と鳩山邦夫のバトルを楽しむのも、4年前の郵政総選挙における「刺客対抵抗勢力」と同様のバトルを期待しているからであって、要は「コイズミ劇場」の延長戦が見たいのだ。それを煽るようなことをコイズミ・竹中のカイカクを批判する側がやってどうすると言いたい。
むしろ、日本郵政の社長人事や「死神」の更迭問題ばかりにかまけずに、もっと臓器移植法案をめぐる議論にも注目せよと主張するのが、知識人のあるべき姿なのではないだろうか。
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先の千葉県知事選では極端な新自由主義者・白石真澄を応援しながら、森田健作の当選が決まるとさっそく森田に近づく節操のなさを見せた大阪府知事の橋下徹だが、この男の最大の悪行は、大阪・読売テレビが放送した極右番組『たかじんのそこまで言って委員会』で、光市母子殺害事件の弁護団の懲戒請求を煽ったことだろう。
この光市母子殺害事件に関しては、いくつかの有力な反政府系ブログまでもが厳罰主義を主張して弁護団を批判し、もちろんテレビは被害者の夫・本村洋氏の主張を全面的に支持していたから、マスメディア、ネット空間を問わず、日本では死刑廃止という世界の趨勢とは全く逆の方向に、厳罰主義、死刑はどんどんやれという風潮が強まってきていた。橋下は、そんな風潮に悪乗りして、テレビ番組で「許せないって思うんだったら一斉に弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」と発言し、懲戒請求をテレビで煽ったのである。放送日は2007年5月27日、橋下が大阪府知事に当選する8か月前のことだった。
たかじんの番組については、当ブログ3月16日付エントリ「新保守主義と新自由主義が一体となった「たかじん」の番組」で、その恐るべき極右的な内容について紹介した。キー局の日本テレビにはネットされていないが、それ以外の大部分の日本テレビ系列の放送局で放送されている。だから、光市母子殺害事件の弁護士4人には、全国から計2500件以上の懲戒請求が届いた。4人の弁護士は、業務に支障が出たとして、損害賠償を求めて橋下を提訴し、広島地裁は昨年(2008年)10月、「少数派の基本的人権を保護する弁護士の使命や職責を正しく理解していない」と指摘、橋下に計800万円の支払いを命じた。
また、この発言を問題視した全国の市民ら300人あまりが、橋下の発言は「刑事弁護の正当性をおとしめる行為だ」として、大阪弁護士会に懲戒処分を請求していた。
そして、同弁護士会の綱紀委員会が「懲戒相当理由がある」と議決したことがわかった、と毎日新聞が報じている。朝日新聞の記事はもう少し詳しくて、
橋下は、「弁護士会の手続きなので、僕は従うしかないと思っている。法的には違法ではないと思っているが、テレビの発言としては行き過ぎたんだと思っている」(朝日新聞記事より)とコメントした。いかにもポピュリストの橋下らしい発言だ。この男は、どういう行動をすればテレビの視聴者の心をとらえ、大衆を煽動できるかどうかを常に意識している。刑事被告人の権利だとか、広島地裁が指摘した「少数派の基本的人権を保護する弁護士の使命や職責」などは、橋下の頭にはない。そして、大阪府民をはじめとする人々は、そんな橋下を熱烈に応援しているのである。先日は、橋下の「ファン」を名乗る女性が、「知事を応援したい。福祉に使ってほしい」と、「ふるさと納税」に1億円を寄付したことが報じられた(朝日新聞ほか各紙)。ふだんの橋下の行いを知っていれば、橋下は財政再建にかこつけて徹底的に福祉関係の予算を削っており、大阪府に1億円を寄付したところで、その金がどこまで福祉に使われるかはきわめて疑わしいことがわかったものを、ともったいなく思う。残念ながら、女性は1億円の使い方を誤ったと言わざるを得ないし、善意の女性を「ファン」にしてしまうポピュリスト・橋下およびテレビの威力のすさまじさには恐れ入る。
ともあれ、橋下は今後業務停止などの懲戒処分を受ける可能性があるわけで、そのうち「橋下元弁護士」になるのかもしれない。だが、既に十分名前を売り、大阪府知事にまで上り詰めた橋下にとっては、懲戒処分など痛くもかゆくもないだろう。私がもっとも恐れるのは、橋下の国政進出である。東国原英夫や森田健作のような小物のポピュリストとは違って、若くてバイタリティのある橋下は、日本を破滅に導く可能性を持っていると、私は深く憂慮するのである。
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この光市母子殺害事件に関しては、いくつかの有力な反政府系ブログまでもが厳罰主義を主張して弁護団を批判し、もちろんテレビは被害者の夫・本村洋氏の主張を全面的に支持していたから、マスメディア、ネット空間を問わず、日本では死刑廃止という世界の趨勢とは全く逆の方向に、厳罰主義、死刑はどんどんやれという風潮が強まってきていた。橋下は、そんな風潮に悪乗りして、テレビ番組で「許せないって思うんだったら一斉に弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」と発言し、懲戒請求をテレビで煽ったのである。放送日は2007年5月27日、橋下が大阪府知事に当選する8か月前のことだった。
たかじんの番組については、当ブログ3月16日付エントリ「新保守主義と新自由主義が一体となった「たかじん」の番組」で、その恐るべき極右的な内容について紹介した。キー局の日本テレビにはネットされていないが、それ以外の大部分の日本テレビ系列の放送局で放送されている。だから、光市母子殺害事件の弁護士4人には、全国から計2500件以上の懲戒請求が届いた。4人の弁護士は、業務に支障が出たとして、損害賠償を求めて橋下を提訴し、広島地裁は昨年(2008年)10月、「少数派の基本的人権を保護する弁護士の使命や職責を正しく理解していない」と指摘、橋下に計800万円の支払いを命じた。
また、この発言を問題視した全国の市民ら300人あまりが、橋下の発言は「刑事弁護の正当性をおとしめる行為だ」として、大阪弁護士会に懲戒処分を請求していた。
そして、同弁護士会の綱紀委員会が「懲戒相当理由がある」と議決したことがわかった、と毎日新聞が報じている。朝日新聞の記事はもう少し詳しくて、
と書いている。同弁護士会の綱紀委員会が「弁護士の品位を失うべき非行にあたる」と認定する方向で意見をとりまとめたことが関係者の話でわかった。近く最終判断し、戒告や業務停止などの懲戒処分を決める懲戒委員会に審査を求めるとみられる。
(2009年4月16日付朝日新聞より)
橋下は、「弁護士会の手続きなので、僕は従うしかないと思っている。法的には違法ではないと思っているが、テレビの発言としては行き過ぎたんだと思っている」(朝日新聞記事より)とコメントした。いかにもポピュリストの橋下らしい発言だ。この男は、どういう行動をすればテレビの視聴者の心をとらえ、大衆を煽動できるかどうかを常に意識している。刑事被告人の権利だとか、広島地裁が指摘した「少数派の基本的人権を保護する弁護士の使命や職責」などは、橋下の頭にはない。そして、大阪府民をはじめとする人々は、そんな橋下を熱烈に応援しているのである。先日は、橋下の「ファン」を名乗る女性が、「知事を応援したい。福祉に使ってほしい」と、「ふるさと納税」に1億円を寄付したことが報じられた(朝日新聞ほか各紙)。ふだんの橋下の行いを知っていれば、橋下は財政再建にかこつけて徹底的に福祉関係の予算を削っており、大阪府に1億円を寄付したところで、その金がどこまで福祉に使われるかはきわめて疑わしいことがわかったものを、ともったいなく思う。残念ながら、女性は1億円の使い方を誤ったと言わざるを得ないし、善意の女性を「ファン」にしてしまうポピュリスト・橋下およびテレビの威力のすさまじさには恐れ入る。
ともあれ、橋下は今後業務停止などの懲戒処分を受ける可能性があるわけで、そのうち「橋下元弁護士」になるのかもしれない。だが、既に十分名前を売り、大阪府知事にまで上り詰めた橋下にとっては、懲戒処分など痛くもかゆくもないだろう。私がもっとも恐れるのは、橋下の国政進出である。東国原英夫や森田健作のような小物のポピュリストとは違って、若くてバイタリティのある橋下は、日本を破滅に導く可能性を持っていると、私は深く憂慮するのである。
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経団連御用達の日本経済新聞を除いて、いま日本でもっとも手に負えないネオリベ(新自由主義)新聞といえば、朝日新聞だろう。朝日は、財政再建のために歳出を削減せよ、消費税を増税せよと自民党や民主党に迫る。両党が脱「カイカク」路線に舵を切ろうとしているのに、それをコイズミカイカクの方向に引き戻そうというのだ。なにしろ、2002年10月26日に「不良債権――「竹中いじめ」の無責任」と題した社説を掲載し、2005年9月11日、郵政総選挙投票日の社説で「小泉首相はこれまで見たこともない型の指導者だ。単純だが響きのいいフレーズの繰り返しは、音楽のように、聴く人の気分を高揚させる」と書いた新聞である。今日の社説の「減税財源―埋蔵金でも国債でも同じ」というタイトルを見て、朝日も少しは考えを改めたかと思いきや、内容はやはり政府支出の削減を訴え、「埋蔵金」の活用を否定するものだった。
こんな朝日新聞だから、方向性が大阪府知事の橋下徹と同じかと思いきや、これが全く合わないらしく、先日、橋下が2日連続で朝日新聞を「廃業してしまえ」などと罵倒したことが報じられた。
http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008102001000648.html
上記は共同通信の記事へのリンクだが、この件に関してネット検索をしていて目立つのは、スポーツ紙の報道だ。少し前の中山成彬と東国原英夫の宮崎1区自民党公認候補をめぐるドタバタ劇の時もそうだった。
ここから、橋下の狙いがうかがわれる。つまり橋下は、政治的信念に基づいてというより、マスコミの喜びそうなネタを提供して、自らの人気を浮揚させる目的で、本来「ネオリベ仲間」のはずの朝日新聞を過激に叩いて見せたのだ。
こんな橋下を真正面から叩いたって、それこそ橋下の思う壺だから、これ以上はやめておくが、朝日新聞叩きというのは、昔から社会党や北朝鮮叩きと並ぶ右翼の定番だった。最近では新聞では毎日新聞叩きも加わり(当ブログはこれに反対するキャンペーン展開を予定していたが、現在中断している)、社会党批判は民主・社民両党への批判に代わったが、定番であることには変わりない。
ところで、その朝日新聞叩きにことのほか熱心だったのが勝谷誠彦である。勝谷は、『WiLL』という右翼月刊誌に「あっぱれ!築地をどり」と題した朝日新聞批判専門のコラムを連載している。私も数回立ち読みしたことがあるが、あまりに紋切り型の朝日批判に、これは右翼としても頭の悪い部類に属するなあとあきれて、以後立ち読みもしなくなった。
とにかく勝谷の文章はレベルが低い。勝谷はかつて「さるさる日記」に書いていたウェブ日記で、朝日の日曜版が「阿保親王」を「阿保天皇」と誤記していたのを、まるで鬼の首を取ったように、「朝日は『アホ天皇』と書いている。不敬だ」と大騒ぎしていたが、あれは「あぼしんのう」と読むのである。勝谷の実家がある兵庫県尼崎市から2つ西の芦屋市に「阿保親王塚」があり、阪神間では結構有名なはずなのだが、勝谷はたぶん知らなかったのだろう。阿保ならぬアホである。その程度の人間が書く朝日新聞批判だから、程度が低いのも当然だ。
そんな勝谷は、光市母子殺害事件における橋下の弁護団懲戒請求も、もちろん支持している。勝谷批判ブログの『勝谷誠彦様の華麗なる脳みそ』のエントリ「笑止! 橋下弁護士擁護論」(2008年10月8日)がこれを紹介している(下記URL)。
http://blog.livedoor.jp/manguhsai/archives/861746.html
同ブログによると、
私は、今回の橋下の過激な朝日新聞批判に火をつけたのは、この勝谷のコラムだったのではないかと疑っている。勝谷は、橋下とよくテレビのバラエティ番組(日曜昼の読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」など)に共演する「電波芸者」仲間だからだ。
全国放送の「やじうまプラス」(テレビ朝日)から追われた勝谷だが、大阪では橋下徹ともどもまだまだ人気が高いようだ。当ブログは、たまに橋下を批判するが、その度に大阪府在住とおぼしき方々から激しい調子の批判を受ける。いまや、東京と並んでネオリベ最後の牙城になった大阪は、いつまであらぬ方向にさまよい続けるのだろうか。
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こんな朝日新聞だから、方向性が大阪府知事の橋下徹と同じかと思いきや、これが全く合わないらしく、先日、橋下が2日連続で朝日新聞を「廃業してしまえ」などと罵倒したことが報じられた。
http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008102001000648.html
上記は共同通信の記事へのリンクだが、この件に関してネット検索をしていて目立つのは、スポーツ紙の報道だ。少し前の中山成彬と東国原英夫の宮崎1区自民党公認候補をめぐるドタバタ劇の時もそうだった。
ここから、橋下の狙いがうかがわれる。つまり橋下は、政治的信念に基づいてというより、マスコミの喜びそうなネタを提供して、自らの人気を浮揚させる目的で、本来「ネオリベ仲間」のはずの朝日新聞を過激に叩いて見せたのだ。
こんな橋下を真正面から叩いたって、それこそ橋下の思う壺だから、これ以上はやめておくが、朝日新聞叩きというのは、昔から社会党や北朝鮮叩きと並ぶ右翼の定番だった。最近では新聞では毎日新聞叩きも加わり(当ブログはこれに反対するキャンペーン展開を予定していたが、現在中断している)、社会党批判は民主・社民両党への批判に代わったが、定番であることには変わりない。
ところで、その朝日新聞叩きにことのほか熱心だったのが勝谷誠彦である。勝谷は、『WiLL』という右翼月刊誌に「あっぱれ!築地をどり」と題した朝日新聞批判専門のコラムを連載している。私も数回立ち読みしたことがあるが、あまりに紋切り型の朝日批判に、これは右翼としても頭の悪い部類に属するなあとあきれて、以後立ち読みもしなくなった。
とにかく勝谷の文章はレベルが低い。勝谷はかつて「さるさる日記」に書いていたウェブ日記で、朝日の日曜版が「阿保親王」を「阿保天皇」と誤記していたのを、まるで鬼の首を取ったように、「朝日は『アホ天皇』と書いている。不敬だ」と大騒ぎしていたが、あれは「あぼしんのう」と読むのである。勝谷の実家がある兵庫県尼崎市から2つ西の芦屋市に「阿保親王塚」があり、阪神間では結構有名なはずなのだが、勝谷はたぶん知らなかったのだろう。阿保ならぬアホである。その程度の人間が書く朝日新聞批判だから、程度が低いのも当然だ。
そんな勝谷は、光市母子殺害事件における橋下の弁護団懲戒請求も、もちろん支持している。勝谷批判ブログの『勝谷誠彦様の華麗なる脳みそ』のエントリ「笑止! 橋下弁護士擁護論」(2008年10月8日)がこれを紹介している(下記URL)。
http://blog.livedoor.jp/manguhsai/archives/861746.html
同ブログによると、
とのことだ。どのように勝谷が自己矛盾しているかについては、リンク先に飛んでご確認いただきたいと思うが、勝谷は橋下を弁護したコラムを、下記のように締めくくったそうだ。勝谷氏は、『週刊SPA!』08/10/14号(現在発売中)に掲載の『ニュースバカ一代』VOL.304「橋下弁護士賠償命令 の巻」で
「メディアを持たぬ一般国民に"武器"を与えた橋下弁護士を擁護する!」
と、判決に不快感を示し、逆に橋下氏の行為を絶賛しています。
しかし、これがまあ、またしても自己矛盾に陥りまくった噴飯ものの主張です。
その橋下さんに対して自らは強大なメディア権力を握る朝日新聞は社説で弁護士辞任を要求した。弁護団も朝日新聞も良民常民の常識を踏みつけにした報いを受けるだろう。
私は、今回の橋下の過激な朝日新聞批判に火をつけたのは、この勝谷のコラムだったのではないかと疑っている。勝谷は、橋下とよくテレビのバラエティ番組(日曜昼の読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」など)に共演する「電波芸者」仲間だからだ。
全国放送の「やじうまプラス」(テレビ朝日)から追われた勝谷だが、大阪では橋下徹ともどもまだまだ人気が高いようだ。当ブログは、たまに橋下を批判するが、その度に大阪府在住とおぼしき方々から激しい調子の批判を受ける。いまや、東京と並んでネオリベ最後の牙城になった大阪は、いつまであらぬ方向にさまよい続けるのだろうか。
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今日で4月は終わり。5月2日までは連休谷間の平日で、どことなくあわただしいが、揮発油税の暫定税率を復活させる税制改正法案は今日午後の衆院本会議で可決され、ガソリンは明日から再値上げとなる。どんな政策であっても、「値上げ」につながるものは政権の人気を落とすから、それでなくても急落している福田内閣の支持率はさらに低下するだろう。
今月は、月別アクセス数が今年最多を記録し、ブログ開設以来の通算でも、昨年7月、9月、6月に次いで4番目で、月間10万件を7か月ぶりに超えた。
アクセス数を押し上げたのは検索エンジン経由のアクセスで、その中でも、検索語 「稲田朋美」 および 「山本繁太郎」 によるアクセスは、合わせて検索エンジン経由アクセスの2割近くを占めた。「稲田朋美」はGoogle、「山本繁太郎」はYahoo!検索で当ブログを来訪された人が多かった。
さらに、「光市母子殺害事件」 を取り上げた記事もアクセスが多く、広島高裁が被告の元少年に死刑判決を下した翌日の4月23日には、今年最多のアクセスを記録した。この件に関しては、判決の是非をめぐって激しい議論が続いている。
1月に多くのアクセスを記録した 「水からの伝言」 騒動が再燃し、当ブログも4月19日付エントリで取り上げたが、騒動の再燃は今回は比較的短期で収束した。ただ、この件にかかわったブログの閉鎖が相次ぐことになった。私なら、ブログを休止したり、場合によっては「メモ代わりの裏ブログ」と称している 「kojitakenの日記」 を非公開にすることはあっても、当ブログを閉鎖したりはしないと思う。「稲田朋美」や「山本繁太郎」の例に見られるように、2年間ブログを続けてきて、特定の検索語にかかわった事柄が起きたらアクセスが増え、記事を読んでいただけるようになったのだから、ブログを閉じてしまったのでは元も子もないからだ。とはいえ、ブログを閉じるも休止するのもシャカリキに続けるのも管理人の自由。当ブログ管理人も、今月はかなり「ブログ疲れ」が生じてしまったので、連休には休ませていただくし、その後もしばらくは今月ほどの頻度ではブログの更新はできないかもしれない。読者を意識して書くブログの運営はそれなりにたいへんだが、われと思わん方々の積極的な参入を期待したいところだ。
4月の終わりを飾ったニュースは、衆院山口2区の補選だった。選挙区には、母子殺害事件があった光市も含まれ、自民党は、前首相安倍晋三が、光市母子殺害事件の被害者親族の方までも山本繁太郎の応援に駆り出して必死だったが、結果は惨敗。地元では、「安倍の人気と集票力は地に落ちた」、「地元でも用済みとなった」などと言われているそうだ。安倍は復権のことを考えるよりも、次の総選挙では自分の選挙区のことを心配したほうがよさそうだ(笑)。
その他にも、チベット騒乱と北京五輪聖火リレーについても議論が百出した。本当に話題の多い4月だったが、今日で終わり。明日から5月だが、今年の初夏はいつになく波乱含みになりそうだ。
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今月は、月別アクセス数が今年最多を記録し、ブログ開設以来の通算でも、昨年7月、9月、6月に次いで4番目で、月間10万件を7か月ぶりに超えた。
アクセス数を押し上げたのは検索エンジン経由のアクセスで、その中でも、検索語 「稲田朋美」 および 「山本繁太郎」 によるアクセスは、合わせて検索エンジン経由アクセスの2割近くを占めた。「稲田朋美」はGoogle、「山本繁太郎」はYahoo!検索で当ブログを来訪された人が多かった。
さらに、「光市母子殺害事件」 を取り上げた記事もアクセスが多く、広島高裁が被告の元少年に死刑判決を下した翌日の4月23日には、今年最多のアクセスを記録した。この件に関しては、判決の是非をめぐって激しい議論が続いている。
1月に多くのアクセスを記録した 「水からの伝言」 騒動が再燃し、当ブログも4月19日付エントリで取り上げたが、騒動の再燃は今回は比較的短期で収束した。ただ、この件にかかわったブログの閉鎖が相次ぐことになった。私なら、ブログを休止したり、場合によっては「メモ代わりの裏ブログ」と称している 「kojitakenの日記」 を非公開にすることはあっても、当ブログを閉鎖したりはしないと思う。「稲田朋美」や「山本繁太郎」の例に見られるように、2年間ブログを続けてきて、特定の検索語にかかわった事柄が起きたらアクセスが増え、記事を読んでいただけるようになったのだから、ブログを閉じてしまったのでは元も子もないからだ。とはいえ、ブログを閉じるも休止するのもシャカリキに続けるのも管理人の自由。当ブログ管理人も、今月はかなり「ブログ疲れ」が生じてしまったので、連休には休ませていただくし、その後もしばらくは今月ほどの頻度ではブログの更新はできないかもしれない。読者を意識して書くブログの運営はそれなりにたいへんだが、われと思わん方々の積極的な参入を期待したいところだ。
4月の終わりを飾ったニュースは、衆院山口2区の補選だった。選挙区には、母子殺害事件があった光市も含まれ、自民党は、前首相安倍晋三が、光市母子殺害事件の被害者親族の方までも山本繁太郎の応援に駆り出して必死だったが、結果は惨敗。地元では、「安倍の人気と集票力は地に落ちた」、「地元でも用済みとなった」などと言われているそうだ。安倍は復権のことを考えるよりも、次の総選挙では自分の選挙区のことを心配したほうがよさそうだ(笑)。
その他にも、チベット騒乱と北京五輪聖火リレーについても議論が百出した。本当に話題の多い4月だったが、今日で終わり。明日から5月だが、今年の初夏はいつになく波乱含みになりそうだ。
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予想通り、光市母子殺害事件の差し戻し控訴審(広島高裁)は死刑判決だった。
昨日のテレビのニュース番組はこの話題で持ち切りだった。当ブログはこの判決を歓迎しないが、今日は多くを語る気にはならない。ただ、被害者や親族の気持ちに思いをいたすことはもちろん大事だが、ジャーナリズムがそれに流されてはならないと思う。
朝日・毎日・読売3紙の社説を読んだ。厳罰化の流れに対しては、毎日がもっとも慎重だ。
上告は早晩棄却されるとの見方をとる人もいるが、毎日の社説は最高裁に丁寧な審理を求めている。
また、同社説はマスコミ報道の自戒を求めている。毎日は、今までも他紙や他の媒体と比較すると冷静な報道をしていたとされているが、それでも自社の報道はどうだったかを検証してほしいと思う。
朝日も同様の主張だが、毎日より腰が引けているような印象だ。
読売は、メディアの報道の問題には全く触れていない。読売自身が過熱報道に加担しているも同然というべきだろう。
ところで、今回、救いを感じたことが一つあった。それは、被害者親族の本村洋さんが、死刑判決について、
厳罰論を主張する「きっこのブログ」(4月23日)も、
当ブログも、この事件の犯人には、一生生きて罪を償わせる刑罰を科すべきではないかと思うのである。「拘置され、もはや社会に危害を与えない者を殺すのは、国家による殺人にほかならない」という国民新党・亀井静香氏の主張に、当ブログも賛成である。
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昨日のテレビのニュース番組はこの話題で持ち切りだった。当ブログはこの判決を歓迎しないが、今日は多くを語る気にはならない。ただ、被害者や親族の気持ちに思いをいたすことはもちろん大事だが、ジャーナリズムがそれに流されてはならないと思う。
朝日・毎日・読売3紙の社説を読んだ。厳罰化の流れに対しては、毎日がもっとも慎重だ。
死刑は究極の刑罰で、執行されれば取り返しがつかない。「その適用は慎重に行われなければならない」という永山判決の指摘は重い。しかし、死刑判決は増えているのが実情だ。
遺族は法廷の内外で、事件への憤り、無念さ、被害者・遺族の思いが直接、伝わらない理不尽さを訴えてきた。被害感情を和らげるためにも、国が総合的な視点に立った被害者対策を進めるのは当然だ。
差し戻し裁判を扱ったテレビ番組について、NHKと民放で作る放送倫理・番組向上機構の放送倫理検証委員会が「一方的で、感情的に制作された。公平性、正確性を欠く」とする意見書を出した。真実を発見する法廷が報復の場になってはならない。バランスのとれた冷静な報道こそが国民の利益につながる。メディアは自戒が求められている。
来年5月に裁判員制度が始まる。市民が感情に流されない環境作りが急務だ。死刑か無期かの判断を迫られる以上、市民は裁判員になったつもりで今回の事件を考えてみる必要があるのではないか。
被告は上告した。最高裁には裁判員制度を控えて、国民が納得できる丁寧な審理を求めたい。
(毎日新聞 2008年4月23日付社説より)
上告は早晩棄却されるとの見方をとる人もいるが、毎日の社説は最高裁に丁寧な審理を求めている。
また、同社説はマスコミ報道の自戒を求めている。毎日は、今までも他紙や他の媒体と比較すると冷静な報道をしていたとされているが、それでも自社の報道はどうだったかを検証してほしいと思う。
朝日も同様の主張だが、毎日より腰が引けているような印象だ。
見逃せないのは、被告や弁護団を一方的に非難するテレビ番組が相次いだことだ。最高裁の審理の途中で弁護団が代わり、殺意や強姦目的だったことを否定したのがきっかけだった。こんな裁判の仕組みを軽視した番組づくりは、今回限りにしてもらいたい。と書くが、テレビ番組の中には朝日新聞の編集委員が出演している番組も含まれているのではないだろうか。
読売は、メディアの報道の問題には全く触れていない。読売自身が過熱報道に加担しているも同然というべきだろう。
ところで、今回、救いを感じたことが一つあった。それは、被害者親族の本村洋さんが、死刑判決について、
厳粛な気持ちで判決を受け止めている。遺族にとっては報われる思いがあるが、被告と妻と娘の3人の命が奪われることになった。これは社会にとって不利益なことと話したことだ(4月23日付朝日新聞より)。
厳罰論を主張する「きっこのブログ」(4月23日)も、
「死刑」と「無期懲役」との間に、一生、刑務所から出て来られない「終身刑」があれば、これほどまでに極刑を望む声は上がらないと思う。今回の事件のご遺族の本村さんは、今日の会見で、死刑の判決を「正しい判決」として納得した反面、「私の妻と子供、そして、加害者の3人の命を失うことになってしまった」と言っていた。だから、もしも「終身刑」があったのなら、本村さんも、「加害者の命をも奪うこと」よりも、「一生を刑務所の中で反省しながら暮らすこと」を望んだんじゃないかって思った。と書いている。
当ブログも、この事件の犯人には、一生生きて罪を償わせる刑罰を科すべきではないかと思うのである。「拘置され、もはや社会に危害を与えない者を殺すのは、国家による殺人にほかならない」という国民新党・亀井静香氏の主張に、当ブログも賛成である。
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今日(4月22日)の午前10時から、山口県光市母子殺害事件の差し戻し控訴審判決が広島高裁で言い渡される。
今回、この件をブログで取り上げるかどうか、ちょっと迷った。この判決は、現在行われている衆議院山口2区の補欠選挙に影響を与えるだろうなどと言われているからだ。この裁判に関する野党候補の発言は、私にはおかしなものとは思われないのだが、なにしろ現在の日本では厳罰主義の世論が非常に強く、死刑存置論の支持率が8割に達している。特にこの事件に関しては、右派はもちろん被告人の死刑を強く求めているが、リベラル・左派系でもいくつかの有名ブログを初めとして厳罰を求める声が強い。そういう状況だから、この裁判に関するエントリを公開するだけで、野党候補に不利に働くのではないかと危惧した。
その考えが変わったのは、21日朝にブログのアクセス解析を見て、検索語「綿井健陽」による当ブログへの訪問が数十件あったことを知ったからだ。
綿井健陽(わたい・たけはる)氏は1971年生まれのビデオ・ジャーナリストで、イラク戦争を現地で取材した。昨年から、光市母子殺害事件を被告人側から取材している。
綿井氏は、下記2つのウェブサイトを運営している。
これらのサイトを見て、検索語「綿井健陽」で当ブログへのアクセスがあった理由がわかった。TBSテレビで20日(日)の深夜、TBSテレビの 「報道の塊」 という番組で、「光市母子殺害事件?もうひとつの視点」が放送され、これに綿井氏が出演していたのだ。おそらく、この番組をご覧になった方がネット検索されて当ブログにたどり着いたものだろう。残念ながら、当ブログ管理人はこの放送があったことを知らなかったし、仮に知っていたところで、関東のみのオンエアだったそうだから、番組を見ることはできなかった。
検索語「綿井健陽」で引っかかる当ブログのエントリは下記である。
このエントリで私は、雑誌「創」の2007年9・10月号に掲載された、光市母子殺害事件に関する綿井氏の記事を紹介した。これは、たいへん印象に残った記事だった。
その少し前の8月9日、私は裏ブログ 「kojitakenの日記」 に、"光市母子殺人事件に関する週刊ポストの勇気ある記事" と題したエントリを公開していた(下記URL)。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20070809/1186660531
これは、被告人への厳罰を求める主張ばかりが目立つこの事件の報道に一石を投じた「週刊ポスト」の記事を紹介したもので、盆休み直前の週末、しかも裏ブログだというのに、2日間で5千件近いアクセス数を記録した。
「創」に掲載された綿井氏の記事は、さらに詳細かつ説得力に富んだものだった。記事の要点については、前記当ブログの昨年8月22日付エントリに記したが、できれば原文をご参照いただきたいすぐれた記事だ。
私が見ることのできなかったTBSテレビの番組でも、綿井氏は、「少年犯罪を大人と同等の裁判にかけることの是非、裁判があだ討ちの場と化してゆくことの危険性、センセーショナルな報道がもたらす弊害」などについて問題提起をしていたようだ。
綿井氏は、
http://watai.blog.so-net.ne.jp/2008-04-20
私は、この言葉が現実とならないことを願う者だが、正直言って、判決がそのようなものになるとはあまり思えない。広島高裁も、「空気を読んで」しまうのではないかという気がしてならないのだ。
そして、「民主党の平岡はあんなことを言っていたぞ」などという自民党の宣伝が功を奏して、平岡秀夫の優勢が予想されている衆院山口2区の補選が、これを機に形勢逆転などということになったら、それこそ目も当てられない。そこまで日本人が理性を失っているとは思いたくないのだが、あれだけコイズミカイカクの矛盾が噴出しているのにいまだにコイズミ再登板待望論が衰えないことなどを考えると、あまり大きな期待はできないような気もする。
なお、綿井氏は月刊「現代」 5月号に "山口・光市母子殺害事件 面会15回 「元少年」の素顔と肉声" と題した記事を発表しているほか、明日(4月23日)の地方紙各紙に "光市母子殺害事件?判決が問いかけるもの"(仮題)が掲載される予定だ(共同通信配信)。
[関連記事]
[追記] (2008.4.22 12:38)
判決は、やはり死刑だった。
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今回、この件をブログで取り上げるかどうか、ちょっと迷った。この判決は、現在行われている衆議院山口2区の補欠選挙に影響を与えるだろうなどと言われているからだ。この裁判に関する野党候補の発言は、私にはおかしなものとは思われないのだが、なにしろ現在の日本では厳罰主義の世論が非常に強く、死刑存置論の支持率が8割に達している。特にこの事件に関しては、右派はもちろん被告人の死刑を強く求めているが、リベラル・左派系でもいくつかの有名ブログを初めとして厳罰を求める声が強い。そういう状況だから、この裁判に関するエントリを公開するだけで、野党候補に不利に働くのではないかと危惧した。
その考えが変わったのは、21日朝にブログのアクセス解析を見て、検索語「綿井健陽」による当ブログへの訪問が数十件あったことを知ったからだ。
綿井健陽(わたい・たけはる)氏は1971年生まれのビデオ・ジャーナリストで、イラク戦争を現地で取材した。昨年から、光市母子殺害事件を被告人側から取材している。
綿井氏は、下記2つのウェブサイトを運営している。
「綿井健陽 Web Journal」 (ホームページ)
http://www1.odn.ne.jp/watai/
「綿井健陽のチクチクPRESS」 (ブログ)
http://watai.blog.so-net.ne.jp/
これらのサイトを見て、検索語「綿井健陽」で当ブログへのアクセスがあった理由がわかった。TBSテレビで20日(日)の深夜、TBSテレビの 「報道の塊」 という番組で、「光市母子殺害事件?もうひとつの視点」が放送され、これに綿井氏が出演していたのだ。おそらく、この番組をご覧になった方がネット検索されて当ブログにたどり着いたものだろう。残念ながら、当ブログ管理人はこの放送があったことを知らなかったし、仮に知っていたところで、関東のみのオンエアだったそうだから、番組を見ることはできなかった。
検索語「綿井健陽」で引っかかる当ブログのエントリは下記である。
"言論が一方向に振れる時 ? 山口県光市母子殺人事件をめぐって"
(2007年8月22日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-430.html
このエントリで私は、雑誌「創」の2007年9・10月号に掲載された、光市母子殺害事件に関する綿井氏の記事を紹介した。これは、たいへん印象に残った記事だった。
その少し前の8月9日、私は裏ブログ 「kojitakenの日記」 に、"光市母子殺人事件に関する週刊ポストの勇気ある記事" と題したエントリを公開していた(下記URL)。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20070809/1186660531
これは、被告人への厳罰を求める主張ばかりが目立つこの事件の報道に一石を投じた「週刊ポスト」の記事を紹介したもので、盆休み直前の週末、しかも裏ブログだというのに、2日間で5千件近いアクセス数を記録した。
「創」に掲載された綿井氏の記事は、さらに詳細かつ説得力に富んだものだった。記事の要点については、前記当ブログの昨年8月22日付エントリに記したが、できれば原文をご参照いただきたいすぐれた記事だ。
私が見ることのできなかったTBSテレビの番組でも、綿井氏は、「少年犯罪を大人と同等の裁判にかけることの是非、裁判があだ討ちの場と化してゆくことの危険性、センセーショナルな報道がもたらす弊害」などについて問題提起をしていたようだ。
綿井氏は、
(被告人が)「被害者の女性を両手で首を絞めた」 「赤ちゃんを床に叩きつけた」という部分の「両手」 「叩きつけた」という検察の主張を裏付ける証拠はない(「創」 2007年9・10月号)と指摘している。そして、ブログ「綿井健陽のチクチクPRESS」に掲載されている最新のエントリ "【本文さしかえ】20日(日)放送番組と掲載誌のお知らせ"(下記URL) には、まさしく「覚悟の言論」と言うべき文章が見られる。
http://watai.blog.so-net.ne.jp/2008-04-20
もし被害者遺族の男性の言うように、弁護側の主張が「荒唐無稽」であると裁判所が同じように認定した場合、なおかつ検察側の最終弁論で述べられている「当審における審理の結果によっても、被告人につき死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情は、これを一切見出すことができない」と裁判所が同じように判断した場合は、私はこれまでの取材などで書いたこと、発表してきたことなどの責任を取って、すべてのジャーナリスト活動から身を引くことにした。
(「綿井健陽のチクチクPRESS」 2008年4月20日付エントリより)
私は、この言葉が現実とならないことを願う者だが、正直言って、判決がそのようなものになるとはあまり思えない。広島高裁も、「空気を読んで」しまうのではないかという気がしてならないのだ。
そして、「民主党の平岡はあんなことを言っていたぞ」などという自民党の宣伝が功を奏して、平岡秀夫の優勢が予想されている衆院山口2区の補選が、これを機に形勢逆転などということになったら、それこそ目も当てられない。そこまで日本人が理性を失っているとは思いたくないのだが、あれだけコイズミカイカクの矛盾が噴出しているのにいまだにコイズミ再登板待望論が衰えないことなどを考えると、あまり大きな期待はできないような気もする。
なお、綿井氏は月刊「現代」 5月号に "山口・光市母子殺害事件 面会15回 「元少年」の素顔と肉声" と題した記事を発表しているほか、明日(4月23日)の地方紙各紙に "光市母子殺害事件?判決が問いかけるもの"(仮題)が掲載される予定だ(共同通信配信)。
[関連記事]
下記は、被告バッシングに対するリベラル系ブログの批判。
「カナダde日本語」より
"山口県・光市母子殺人事件: 世論が変わるとき"
(2007年9月5日)
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-598.html
下記は、死刑廃止議連による終身刑創設法案提出の動きについてのブログ記事。
「Because It's There」より
"終身刑創設法案を今国会提出へ?亀井静香・死刑廃止議連会長に真意を聞く(東京新聞平成20年3月18日付「こちら特報部」より)"
(2008年3月20日)
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-952.html
超党派による死刑廃止議連会長の亀井静香氏は、先日もTBSテレビ「NEWS23」で死刑廃止論を滔々(とうとう)とぶっていた。同氏が2002年3月31日に放送されたテレビ朝日「サンデープロジェクト」で情熱的に死刑廃止論を論じていたことは、今でも忘れられない。
[追記] (2008.4.22 12:38)
判決は、やはり死刑だった。
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恐れていた事態が起きている。
昨日トラックバックいただいた 「thethe」 の記事 「4.27の光」 によると、当初民主党・平岡秀夫候補の圧倒的有利と見られていた衆議院山口2区の補欠選挙は、自民党の山本繁太郎候補が有利な情勢なのだという。
今回の補選で、ガソリン税問題に審判が下るなどと気勢を上げる向きもあったが、あにはからんやこの問題では両候補の主張はさほど違わず争点にならないのだという。
国土交通省や防衛省を使った締め上げは、自民党の常套手段だから、これを民主党がイイワケにすることはできない。このところ福田内閣の支持率が急降下しているのだが、民主党の支持率も下がっている。これは、ガソリン税問題にばかりかまけて社会保障や年金問題を争点の中心に据えようとしないことに対する不満から、民主党離れを起こした人たちが少なからずいるからではないか。
昨日のエントリで私は、「民主党をはじめとする野党は、ガソリン税の問題なんかより、社会保障や年金の問題で自民党との違いを鮮明にすべきだろう」と書いたが、風太さんから、
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-617.html#comment3196
本当にその通りだ。民主党は今からでも「後期高齢者医療制度」を争点にして巻き返すべきだと思う。
なお、「thethe」にも書かれていたが、光市母子殺害事件の裁判の件も自民党に有利に働きそうだという。この裁判の件では、少なからぬリベラル・左派系ブログも厳罰論を唱えて被告弁護団を批判するスタンスをとっていたことが思い出される。
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昨日トラックバックいただいた 「thethe」 の記事 「4.27の光」 によると、当初民主党・平岡秀夫候補の圧倒的有利と見られていた衆議院山口2区の補欠選挙は、自民党の山本繁太郎候補が有利な情勢なのだという。
井原勝彦前岩国市長が負けたショックが未だ尾を引いている。自民党サイドは、岩国と同じようにやるだけ、と地域活性化を前面に打ち出して選挙戦を進めている。一方の民主党の平岡候補も同じように地域活性化をテーマにして選挙に臨んでいる。ガソリン税の暫定税率問題(2人とも無視)や道路財源一般財源化(2 人とも賛成)ですら争点にならないのだから、盛り上がらないとなれば、組織票に勝る自民党と公明党が勝利する構図だ。しかも福田政権は、国土交通省や防衛省を使って露骨に地元を締め上げ始めている。国土交通省は、山口県の選挙区に対して予算の凍結などの措置をちらつかせ(同じことを小沢一郎氏の選挙区でも実施)、防衛省は、岩国基地の艦載機移転問題と合わせて、空港の軍民共用問題を進める肚で、予算の執行も補選勝利の前提となる。
(「thethe」 ? 「4.27の光」より)
今回の補選で、ガソリン税問題に審判が下るなどと気勢を上げる向きもあったが、あにはからんやこの問題では両候補の主張はさほど違わず争点にならないのだという。
国土交通省や防衛省を使った締め上げは、自民党の常套手段だから、これを民主党がイイワケにすることはできない。このところ福田内閣の支持率が急降下しているのだが、民主党の支持率も下がっている。これは、ガソリン税問題にばかりかまけて社会保障や年金問題を争点の中心に据えようとしないことに対する不満から、民主党離れを起こした人たちが少なからずいるからではないか。
昨日のエントリで私は、「民主党をはじめとする野党は、ガソリン税の問題なんかより、社会保障や年金の問題で自民党との違いを鮮明にすべきだろう」と書いたが、風太さんから、
民主のガソリン何とかは不発みたいですよ。とのコメントをいただいた。
それよりも、この、後期高齢者医療制度を争点にした方がはるかに効果的。
今からでも遅くは無いので、この姥捨て保険制度を争点にすべきですね。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-617.html#comment3196
本当にその通りだ。民主党は今からでも「後期高齢者医療制度」を争点にして巻き返すべきだと思う。
なお、「thethe」にも書かれていたが、光市母子殺害事件の裁判の件も自民党に有利に働きそうだという。この裁判の件では、少なからぬリベラル・左派系ブログも厳罰論を唱えて被告弁護団を批判するスタンスをとっていたことが思い出される。
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私は、大阪の生まれである。
大阪には幼い頃にしか住んでいなかった。その後、各地を転々としたが、どこに移り住もうとも、大阪生まれであるという事実は変えられない。大阪というのは不思議な都市で、首都・東京に対抗心を燃やしているにもかかわらず、近くの京都や神戸からも見下されている。京都も神戸もプライドの高い都市で、横浜や千葉・埼玉が東京に頭が上がらないのとは対照的である。私が高校生の頃、「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」という日曜夜のラジオ大阪の深夜放送が人気を集めていたが、ある時、放送作家の新野新が「大阪を好きなのは大阪人だけ」と言ったことが印象に残っている。
そんな大阪の府知事選に、橋下(はしもと)徹という男が出馬を表明した。この橋下という男がまた、「大阪の恥」としか言いようのない人物なのだ。
12月6日のエントリ 「恥も外聞もなく「橋下弁護士」擁立を模索する呆れた自民党」 でも書いたように、橋下はテレビで憲法9条の改変どころか徴兵制や核武装論をすべきだと論じ、光市母子殺害事件の弁護団に対して懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけた人物だ。
橋下が出演しているテレビ番組とは、大阪・よみうりテレビの制作で日曜の午後に放送されている 「たかじんのそこまで言って委員会」 という番組で、4年前に大阪ローカルでスタートしたこの番組は、現在では首都圏など関東や東北地方を除く全国にネットされている。当地でも一昨年からネットされるようになったが、私にはこの番組を見る習慣はない。勝谷誠彦、三宅久之、田嶋洋子、宮崎哲弥、金美齢、それに政治家では平沢勝栄、鴻池祥肇、舛添要一、原口一博らという常連出演者の名前を見るだけでも、テレビ朝日の「TVタックル」を過激にしたような極右ポピュリズム番組であることは明らかだから、とてもではないが見る気など起きない。こんな電波芸者どもの馬鹿発言につき合っていられる暇なんかない。
こんな番組を、「首都圏では放送できない、大阪の放送局制作ならではの本音トーク番組」だなどと思い込んでいる馬鹿が関西には結構いるらしく、日曜日の午後としては高い視聴率を得ているのだという。かつて反骨精神旺盛だった関西は、いまでは首都圏以上に極右ポピュリズムに流されやすい地方に転落したのかと思うと、関西出身の人間としては非常に残念だが、橋下の一連の発言はこの番組を通じて発信されているらしい。
中でも上記の光市母子殺害事件の弁護団に対して懲戒請求を呼びかけた件は、「きっこの日記」 (12月12日)からもリンクを張られている江川紹子さんの 「Egawa Shoko Journal」 (9月9日)でも指摘されているように、インターネットを通じて弁護団への懲戒請求書のテンプレートが出回っていることもあって、弁護団に対しては全国で少なくとも3900件の懲戒請求が出された。この件に関して橋下は、同弁護団の今枝仁弁護士ら4弁護人から損害賠償請求の裁判を起こされたのである。橋下はテレビの発言を通じて視聴者やネット右翼を煽ったわけだが、呆れたことに橋下は、懲戒請求をする者の負担については何も説明せず、実際にテレビに煽られて弁護団への懲戒請求を出した人が弁護士会から配達証明郵便で、書類の提出を求められたうえ、調査の過程で必要な時に事情を聞く場合があるという書面を受け取ってびっくりしてしまって「教えて!goo」に相談した例が、江川さんの記事に紹介されている。
さらに、もっとも信じられないのは視聴者を煽った橋下本人が、「時間と労力を費やすのを避けるため」と称して懲戒請求をしていないことだ。呆れ返ってものも言えないとはこのことだ。
この橋下徹という男は、典型的な極右ポピュリストだと思う。ポピュリズムとは、「大衆迎合主義」と訳されることが多いが、正しくは「大衆煽動主義」というべきだという指摘がある。代表的なポピュリズム政治家であるコイズミや石原慎太郎を見ていると、確かに大衆に「迎合」しているというよりは大衆を「煽動」しているというほうが適切であると私も思う。そして、そういう意味でも橋下は典型的なポピュリストだといえるだろう。
しかし、コイズミや石原の場合はまだ実際の政治の場で声を発してきた人物だ。それに対し、橋下は本業は弁護士で、副業の芸能活動で大衆を煽動してきた人物であり、同じポピュリストでもコイズミや石原よりさらに程度の低い人間だといえると思う。こんな人物でも擁立すれば選挙に勝てると考えている自民党は、大阪府民の民度はその程度だと考えて大阪人を馬鹿にしているのであり、さすがの民主党も橋下には相乗りせず、独自候補を擁立しようとしているのは当然だろう。本当は、こんな橋下ごときの馬鹿げた候補者が相手ではあっても、そのポピュリズムの害毒が流れるのを阻止する意味でも、ずっと前から候補者を絞っていた共産党と共闘するくらいの度量を民主党には求めたいところだが、それがないものねだりであることは私も承知している。
それにしても、自分たちの無能を棚に上げて大阪府民をバカにする自民党には呆れたものだ。大阪府民はこれに怒って府知事選では橋下を打倒すべく怒りの一票を投じるべきだろう。
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大阪には幼い頃にしか住んでいなかった。その後、各地を転々としたが、どこに移り住もうとも、大阪生まれであるという事実は変えられない。大阪というのは不思議な都市で、首都・東京に対抗心を燃やしているにもかかわらず、近くの京都や神戸からも見下されている。京都も神戸もプライドの高い都市で、横浜や千葉・埼玉が東京に頭が上がらないのとは対照的である。私が高校生の頃、「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」という日曜夜のラジオ大阪の深夜放送が人気を集めていたが、ある時、放送作家の新野新が「大阪を好きなのは大阪人だけ」と言ったことが印象に残っている。
そんな大阪の府知事選に、橋下(はしもと)徹という男が出馬を表明した。この橋下という男がまた、「大阪の恥」としか言いようのない人物なのだ。
12月6日のエントリ 「恥も外聞もなく「橋下弁護士」擁立を模索する呆れた自民党」 でも書いたように、橋下はテレビで憲法9条の改変どころか徴兵制や核武装論をすべきだと論じ、光市母子殺害事件の弁護団に対して懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけた人物だ。
橋下が出演しているテレビ番組とは、大阪・よみうりテレビの制作で日曜の午後に放送されている 「たかじんのそこまで言って委員会」 という番組で、4年前に大阪ローカルでスタートしたこの番組は、現在では首都圏など関東や東北地方を除く全国にネットされている。当地でも一昨年からネットされるようになったが、私にはこの番組を見る習慣はない。勝谷誠彦、三宅久之、田嶋洋子、宮崎哲弥、金美齢、それに政治家では平沢勝栄、鴻池祥肇、舛添要一、原口一博らという常連出演者の名前を見るだけでも、テレビ朝日の「TVタックル」を過激にしたような極右ポピュリズム番組であることは明らかだから、とてもではないが見る気など起きない。こんな電波芸者どもの馬鹿発言につき合っていられる暇なんかない。
こんな番組を、「首都圏では放送できない、大阪の放送局制作ならではの本音トーク番組」だなどと思い込んでいる馬鹿が関西には結構いるらしく、日曜日の午後としては高い視聴率を得ているのだという。かつて反骨精神旺盛だった関西は、いまでは首都圏以上に極右ポピュリズムに流されやすい地方に転落したのかと思うと、関西出身の人間としては非常に残念だが、橋下の一連の発言はこの番組を通じて発信されているらしい。
中でも上記の光市母子殺害事件の弁護団に対して懲戒請求を呼びかけた件は、「きっこの日記」 (12月12日)からもリンクを張られている江川紹子さんの 「Egawa Shoko Journal」 (9月9日)でも指摘されているように、インターネットを通じて弁護団への懲戒請求書のテンプレートが出回っていることもあって、弁護団に対しては全国で少なくとも3900件の懲戒請求が出された。この件に関して橋下は、同弁護団の今枝仁弁護士ら4弁護人から損害賠償請求の裁判を起こされたのである。橋下はテレビの発言を通じて視聴者やネット右翼を煽ったわけだが、呆れたことに橋下は、懲戒請求をする者の負担については何も説明せず、実際にテレビに煽られて弁護団への懲戒請求を出した人が弁護士会から配達証明郵便で、書類の提出を求められたうえ、調査の過程で必要な時に事情を聞く場合があるという書面を受け取ってびっくりしてしまって「教えて!goo」に相談した例が、江川さんの記事に紹介されている。
さらに、もっとも信じられないのは視聴者を煽った橋下本人が、「時間と労力を費やすのを避けるため」と称して懲戒請求をしていないことだ。呆れ返ってものも言えないとはこのことだ。
この橋下徹という男は、典型的な極右ポピュリストだと思う。ポピュリズムとは、「大衆迎合主義」と訳されることが多いが、正しくは「大衆煽動主義」というべきだという指摘がある。代表的なポピュリズム政治家であるコイズミや石原慎太郎を見ていると、確かに大衆に「迎合」しているというよりは大衆を「煽動」しているというほうが適切であると私も思う。そして、そういう意味でも橋下は典型的なポピュリストだといえるだろう。
しかし、コイズミや石原の場合はまだ実際の政治の場で声を発してきた人物だ。それに対し、橋下は本業は弁護士で、副業の芸能活動で大衆を煽動してきた人物であり、同じポピュリストでもコイズミや石原よりさらに程度の低い人間だといえると思う。こんな人物でも擁立すれば選挙に勝てると考えている自民党は、大阪府民の民度はその程度だと考えて大阪人を馬鹿にしているのであり、さすがの民主党も橋下には相乗りせず、独自候補を擁立しようとしているのは当然だろう。本当は、こんな橋下ごときの馬鹿げた候補者が相手ではあっても、そのポピュリズムの害毒が流れるのを阻止する意味でも、ずっと前から候補者を絞っていた共産党と共闘するくらいの度量を民主党には求めたいところだが、それがないものねだりであることは私も承知している。
それにしても、自分たちの無能を棚に上げて大阪府民をバカにする自民党には呆れたものだ。大阪府民はこれに怒って府知事選では橋下を打倒すべく怒りの一票を投じるべきだろう。
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来年1月に行われる大阪府知事選候補として、自民党が橋下(はしもと)徹弁護士に白羽の矢を立て、これに対して橋本弁護士が「出馬の意思はない」とコメントしているという。これは、それでなくても低い自民党のイメージをさらに低下させるニュースだった。
橋下は、大阪弁護士会に所属する弁護士であるが、同時に「タイタン」なる芸能事務所に所属する芸能人でもある。幸か不幸か、私は平日はあまりテレビを見ない人間なので、橋下をテレビで見た記憶は皆無だ。だが、ネット検索で見る限り、橋下は憲法9条の改変はおろか、徴兵制や核武装まで肯定している極右らしい。そして、なんといっても光市母子殺害事件に関して、橋下がテレビで弁護団に懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけたことは見逃せない。
皆さまよくご存知のように、光市母子殺害事件に関しては、テレビは一貫して被告に極刑に処すべきとする大キャンペーンを張っている。ネットでも、大部分の保守系ブログに加え、いくつかのリベラル系有力ブログがこれに同調している。しかし、当ブログが8月22日のエントリで指摘したように、この事件に関しては、死刑制度の是非以前に事実関係がはっきりしないところが多い。冷静な思考力を持った人間であれば、両方の意見を吟味して判断を下すことになると思うが、テレビというマスメディアを利用して一方の意見を煽り立てる橋下のやり方は、大衆から思考を奪おうとするものであって、典型的なポピュリストのやり方だ。ポピュリズムの何が悪いといって、大衆から思考を奪い、異論を許さず言論を一方向に導こうとするところだ。これは、容易にファシズムにつながる。だから、私はこの橋下という男はきわめて危険な体質を持っていると考えており、選挙に勝てる人材だからといって、安易に橋下などを擁立しようとした自民党に、「そこまで堕ちたか」と深く失望した次第だ。当ブログは、「自Endキャンペーン」に参加していて、反自民党の立場に立っているが、たとえ敵でも自民党にはもっとまともな敵であってほしいと思う。
なお、佐藤優によると、ポピュリズムがファシズムに変質するのに必要なのは「やさしさ」であって、やさしくなければファシズムではない、だから(冷酷非情な)コイズミは衆議院の3分の2を占める議席を獲得しながらファシズムを完成させるには至らなかった、と指摘している(『ナショナリズムという迷宮』)。私はなるほどと思ったし、ことさらに「愛」だの「やさしさ」だのを強調するポピュリストには特に警戒しなければならないと考えている。彼らの実体は全体主義者にほかならないというのが私の意見だ。光市母子殺害事件などの問題に関しても、被害者の親族への思いやりを強調して世論を一方向に誘導しようとする行き方には、危うさを強く感じる。
当の橋下は、立候補を辞退したと報じられたものの、朝日新聞の報道には、「橋下弁護士、出馬に慎重姿勢」との見出しがついており、ここからは、なお橋下出馬もありうるとのニュアンスが感じられる。
さらに自民党は、大阪府知事選では民主党と相乗りしようという姿勢を露骨に見せている。もし橋下が自公の候補になれば、ポピュリズム全盛のこの時代にあっては、民主党は誰を立てても勝ち目が薄いと思うが、万々一、「橋下が立候補して民主党が自公に相乗りする」などという形が実現するなら、世も末だろう。そもそも、自民党が政党のプライドをかなぐり捨てて、ポピュリストの擁立や民主党との相乗りを模索するという動機はただ一つ、政権を失いたくないからだ。ひたすら政権を維持するために、マスメディアの寵児にして国民人気の高いタレント弁護士(とは名ばかりのポピュリスト)や先だっての参院選で圧勝した政敵のはずの民主党にすがろうとする。1か月前の「大連立」協議も、その線でとらえるべきだろう。自民党にはもはや恥も外聞もない。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、自民党との相乗りをしない方針を明言しているが、与党の候補者が誰にになろうともその言を貫いてほしいものである。
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橋下は、大阪弁護士会に所属する弁護士であるが、同時に「タイタン」なる芸能事務所に所属する芸能人でもある。幸か不幸か、私は平日はあまりテレビを見ない人間なので、橋下をテレビで見た記憶は皆無だ。だが、ネット検索で見る限り、橋下は憲法9条の改変はおろか、徴兵制や核武装まで肯定している極右らしい。そして、なんといっても光市母子殺害事件に関して、橋下がテレビで弁護団に懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけたことは見逃せない。
皆さまよくご存知のように、光市母子殺害事件に関しては、テレビは一貫して被告に極刑に処すべきとする大キャンペーンを張っている。ネットでも、大部分の保守系ブログに加え、いくつかのリベラル系有力ブログがこれに同調している。しかし、当ブログが8月22日のエントリで指摘したように、この事件に関しては、死刑制度の是非以前に事実関係がはっきりしないところが多い。冷静な思考力を持った人間であれば、両方の意見を吟味して判断を下すことになると思うが、テレビというマスメディアを利用して一方の意見を煽り立てる橋下のやり方は、大衆から思考を奪おうとするものであって、典型的なポピュリストのやり方だ。ポピュリズムの何が悪いといって、大衆から思考を奪い、異論を許さず言論を一方向に導こうとするところだ。これは、容易にファシズムにつながる。だから、私はこの橋下という男はきわめて危険な体質を持っていると考えており、選挙に勝てる人材だからといって、安易に橋下などを擁立しようとした自民党に、「そこまで堕ちたか」と深く失望した次第だ。当ブログは、「自Endキャンペーン」に参加していて、反自民党の立場に立っているが、たとえ敵でも自民党にはもっとまともな敵であってほしいと思う。
なお、佐藤優によると、ポピュリズムがファシズムに変質するのに必要なのは「やさしさ」であって、やさしくなければファシズムではない、だから(冷酷非情な)コイズミは衆議院の3分の2を占める議席を獲得しながらファシズムを完成させるには至らなかった、と指摘している(『ナショナリズムという迷宮』)。私はなるほどと思ったし、ことさらに「愛」だの「やさしさ」だのを強調するポピュリストには特に警戒しなければならないと考えている。彼らの実体は全体主義者にほかならないというのが私の意見だ。光市母子殺害事件などの問題に関しても、被害者の親族への思いやりを強調して世論を一方向に誘導しようとする行き方には、危うさを強く感じる。
当の橋下は、立候補を辞退したと報じられたものの、朝日新聞の報道には、「橋下弁護士、出馬に慎重姿勢」との見出しがついており、ここからは、なお橋下出馬もありうるとのニュアンスが感じられる。
さらに自民党は、大阪府知事選では民主党と相乗りしようという姿勢を露骨に見せている。もし橋下が自公の候補になれば、ポピュリズム全盛のこの時代にあっては、民主党は誰を立てても勝ち目が薄いと思うが、万々一、「橋下が立候補して民主党が自公に相乗りする」などという形が実現するなら、世も末だろう。そもそも、自民党が政党のプライドをかなぐり捨てて、ポピュリストの擁立や民主党との相乗りを模索するという動機はただ一つ、政権を失いたくないからだ。ひたすら政権を維持するために、マスメディアの寵児にして国民人気の高いタレント弁護士(とは名ばかりのポピュリスト)や先だっての参院選で圧勝した政敵のはずの民主党にすがろうとする。1か月前の「大連立」協議も、その線でとらえるべきだろう。自民党にはもはや恥も外聞もない。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、自民党との相乗りをしない方針を明言しているが、与党の候補者が誰にになろうともその言を貫いてほしいものである。
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