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きまぐれな日々

「asahi.com」が一昨日(25日)夜、イギリスのフィナンシャル・タイムズの社説が、2月25日付社説で、「日本の危機は政治がマヒしているせいで悪化している」として、日本はすぐに総選挙を実施して、意思決定できる政府をつくるべきだと訴えたと報じた。

ネット右翼から「はてなサヨク」などと揶揄されているものの、実際には新自由主義者や「媚権厨」の巣窟である「はてなブックマーカー」たちの間では、

元記事見てみないと信用できん。普通なら民主党の非協力さが批判されるべきだし。

だとか、

朝日のニュースじゃ信用できない。原文をあたらないとね。

などと、ふだん権力に尻尾を振って、「麻生内閣の低支持率はマスコミの偏向報道のせい」などと言ってイキがっている頭の悪い連中があたふたしていたのが笑えた。

フィナンシャル・タイムズの社説
は、現在は読むのに登録が必要になっているが、掲載直後には余分な手続きなしで読める状態で公開されていて、

It is time for an election. There is little point to paralysed governments.
(今こそ選挙が必要だ。麻痺した政府には、ほとんど何の意味もない。)

と結ばれていた。しかも、gooニュースで日本語訳が読める。これによると、

過去35年間で最悪となるだろう危機は、政治の無為と麻痺によって深刻さを増している。

哀れな麻生太郎首相率いる政府による対応は、もうずっと不十分だ。ほんの数カ月前には、ただの見せかけでしかない景気浮揚策を後押しして、世界経済の回復を待つべしと主張していたのだ。

だとか、

現在検討中の対策のひとつに「株価維持」がある。株価を支えるために25兆円もの公的資金を投入するというものだ。これは日本の政策決定者にとってはお馴染みの手段で、もっと小規模な景気対策案はすでに国会提出されている……が、大方の予想通り、国会で足止めをくらっている。どちらの景気対策案も金がかかりすぎるし、実施されても銀行は一息つけるだけで、効果は一時的でしかない。

日本はむしろ、経済の均衡回復に集中すべきだ。国民の消費を刺激する真の財政出動に加えて、企業が非生産的な資金を内部留保しないよう政府が止めさせる必要がある。銀行に資本注入しなくてはならないのなら、証券市場を支えて間接的にするのではなく、直接やるべきだ。しかしこうした政策のメリットはいずれも、麻生政権がこんなに弱体化したままの状態では、机上の空論に過ぎない。今こそ選挙が必要だ。麻痺した政府には、ほとんど何の意味もない。

などと、実に的確な指摘がなされている。特に、「国民の消費を刺激する真の財政出動」を求めるくだりなどを見ていると、新自由主義(サッチャリズム)の本家本元だったイギリスのフィナンシャル・タイムズがこんな社説を書くとは、世界は急激に新自由主義から脱しつつあり、「新自由主義から社会民主主義の時代になると言っているのは世界中で日本だけだ。カイカクが足りないから景気が悪化しているのだ」と力説している竹中平蔵など前時代の遺物に過ぎないことがよくわかるだろう。内部留保にしても、朝日新聞や毎日新聞は、切り崩しはナンセンスだと書いたが、フィナンシャル・タイムズは内部留保の蓄積を止めさせよと主張している。いかに日本の新聞が、「リベラル」面した新聞社も含めて、財界に絡め取られて権力の一部になってしまっているかを痛感する。

その朝日新聞は、今朝(27日)の社説で、「改めて早期解散を求める」と書いている。フィナンシャル・タイムズの援軍を得たせいか、元気たっぷりの長い社説だが、内容は当たりさわりのないもので、読ませる文章にはなっていない。

それにしても、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の三首相が、コイズミが獲得した膨大な議席に恋々とするあまり解散をしなかったことが、自民党政権の寿命を縮めたといえる。

かつて浅野史郎氏は、東京都知事選に立候補する前年の2006年9月18日、安倍政権発足の直前に、「新首相は即座に衆院解散を」と題した文章を朝日新聞に寄稿した。浅野氏は、

 「政権の正統性」ということからも、衆院選挙を経ないで成り立つ政権は国民の信任をまだ得ていないのだから、その足場は弱い。そんなことでは、憲法改正や消費税引き上げなど、議論すら持ち出せないだろう。政権のためにも、解散をして民意を問い、正々堂々たる政権を打ち立ててこそ思いきった改革にも打って出られる。小泉政権での郵政民営化の課題達成は、あの総選挙での大勝利があったからこそもたらされたことを、今更引用するまでもない。

と書いた。もし安倍晋三の頭がもっと良くて、浅野氏が書いたような解散総選挙を内閣発足直後に行っていたら、自民党は議席数をかなり減らしはしただろうが引き続き第一党の座を確保し、安倍はおそらく今なお首相の座にいただろうし、安倍の念願である改憲や、財務省や経団連の念願である消費税率引き上げへの道を歩んでいたことだろう。当然、平沼赳夫や城内実は、安倍が解散した総選挙で自民党公認で当選し、改憲や教育カイカクに尽力していただろう。昨年のリーマン・ショックが存続していた場合の安倍政権にどんな影響を与えたかまでは想像がつかないが、軍需によって景気浮揚を目指す動きでも高まっていたかもしれない。

実際にはそうならず、安倍がコイズミに逆らえないチキンだったことは、日本国民にとって不幸中の幸いではあった。そして、福田康夫にも「大連立」工作が露呈して議論が紛糾した時、麻生太郎にも政権発足直後に、それぞれ解散総選挙の大チャンスがあったのに、彼らはみすみすそれを逃した。福田や麻生もまた、コイズミの呪縛から脱せなかったのである。

そのコイズミも、朝日新聞が "「過去の人」?"(大阪本社発行統合版5面の見出し)と書くまでに神通力が衰えた。麻生太郎は、英経済紙に解散を要求されてもなお政権の座にしがみつくのだろうが、命脈はもう持たない。いっそ腹をくくって破れかぶれで解散するしかなく、その際にコイズミ一派と大喧嘩でもすれば、自民党の内紛をマスコミがはやし立てて、自民党の議席が少しくらいは増えるかもしれないと思う今日この頃である。


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 誰も予想だにしなかった、郵政選挙での三分の二の議席獲得というのは、安倍の暴挙を招きはしましたが、自民党にとって、麻薬のようなものだったのかも知れませんね。
 手放すのが惜しくてしがみついている間に、世の中に置いていかれてしまったということですか。コイスミノ神通力も地に落ちたようですし、国民の間でも、ようやくコイズミ否定論が出始めました。

 フィナンシャル・タイムスということは、本来なら新自由主義の権化かと思うのですが、そこから見ても麻生自民党の景気対策がいかに効果がないかを突いているのですね。

 今行うべき景気対策についての私のブログ記事ですが、
http://heiwawomamorou.seesaa.net/article/114386024.html
 この当たり前のことを、当たり前と思えなくなっている政財界のメンバーの視野狭窄が、日本の苦境をさらに深くしているというべきでしょう。

2009.02.27 09:24 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

 自民党は「損切り」できなかったというところでしょう。

 小沢さんの在日米軍削減発言への、自民党の反応は奇妙ですね。
 現状でも自衛隊は英仏独並の軍事力を持っているし、自動的にイコール軍備増強、という議論ではない思うのですが。
 百歩譲ってある程度軍備増強を伴うものでも、米・中と対等に付き合おうという小沢外交の一端なのはわかりきっていますがね。
 この発言には所謂左派からもアレルギー反応を起こす人がいると思います。
 ま、選挙前の発言としては、迂闊だとは思いますが、小沢発言に反対する人には、じゃあこのままでいいの?奴隷とか生娘のままでいいの?と聞き返したくなります。
 これもなかなかチェンジ・「損切り」できない自民党及び日本といったところでしょうか。

2009.02.27 10:52 URL | cube #- [ 編集 ]

ココログからのトラックバックが通りませんので、。下記アップしました。


竹中平蔵にとっては戦争だったんだなぁ「私はゲリラ部隊のメンバーと詳細に打ち合わせをしながら、徹底した法案作成を目指した」
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2009/02/post-596b.html

↓もよろしくです。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend70.gif

http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend70-2.gif

http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend69-2.gif

http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0anime/jiminwotheend19-3.gif

2009.02.27 17:53 URL | SOBA #XPXthLJ6 [ 編集 ]

SOBAさんのおっしゃる通りだと思います。確かにネオリベの人たちは戦争してたんですよ。
自国民に対する宣戦布告なき内戦ですが。

2009.02.27 20:46 URL | オルテガ #dPPT3HLQ [ 編集 ]

だいたい企業の内部留保に関しては、新自由主義ブイブイの頃だって、最低限に留めて還元しろと言われていましたが、その声を経営は無視しました。
当時株式配当が増えたとも言われましたがやっぱり諸外国に比べたら低い。
会社は株主より従業員のもの、といった建前的言説がよく流されましたが、むしろ「経営陣の私物」なんだと思います。以前も今も日本の実態は。
ここから結局、内部留保を無意味に溜め込み、結果として国民の購買力減少、不景気(デフレ)へと連なるのでは。

政治が自民世襲政治家の私物扱いであるという点と共通する病理に思えます。

2009.02.27 21:57 URL | Gl17 #EBUSheBA [ 編集 ]

民主主義は独裁国家の工作に非常に脆弱な仕組みですから、日本のマスゴミと同様に海外のマスゴミにも大量の工作員がいます。

民主党は国賊政権です。

民主党政権は国を丸ごと売り渡し、二度と日本を再生できなくする政権だからです。空母2隻を建造中で、核ミサイルを積んだ原潜が日本の領海付近をうろついているこの状況に自主防衛も無しに「米軍は第七艦隊で十分」という発言や沖縄ビジョンに民主党の本質が現れています。

> 政治が自民世襲政治家の私物扱いであるという点と共通する病理に思えます。

これも問題ですが、国益や国際情勢を全く無視した民主党政権ができるくらいなら、ソビエト・中国のような自国民を弾圧し、外国を侵略しながら国益を追求する共産党政権ができた方がマシです。

それはなぜか?民主党政権は日本をチベット・東トルキスタン・満州化します。無慈悲な中国の侵略により満州国は完全に消滅し、チベット・東トルキスタンも消滅しかかっています。
(たとえば、東トルキスタンの25-25歳の女性は、日本の人口比にすると毎年50万人ほど「強制連行」されています)

身勝手な国益を追求し、国民を虐殺する共産主義政権が出来たとしても、国益を追求する国家であれば日本国は消滅しません。時間が経てば民主化も可能でしょう。

しかし、国を売り渡す売国政権では日本が完全になくなる可能性があります。

実際、中国の指導者は数十年もしたら日本は消滅し中国に一部になると信じているし、そのような工作をしています。

腐敗も問題です。自国民の虐殺も問題です。しかし、国がなくなった民族の悲劇はそれ以上です。歴史に学ぶ人であればどのような選択をするのか、明らかでしょう。

2009.02.28 02:19 URL | aw #- [ 編集 ]

 小沢発言を聞いて国を売ると解釈する人もいるとは…
 同じニュースを聞いて、180度見方が違うというのも、客観と主観という哲学テーマみたいで面白い。要するに、
 中国が嫌だ=日米安保強化=反民主党
 なんでしょう。
 究極、国ごとアメリカに売り渡して、英語をしゃべることが、「元日本人」が中国人にならないためには最も確実なのでは?

 日頃愛国とか言っている自民党というのは、結局米国屋であることがよくわかります。臆病で保守なのは、確かに処世術としてわからないでもないが、これだけ彼国の権威が経済的・道義的に破綻してもまだ100%ついていくのか。腐れ縁というやつですな。
 共産・社民は、要するに、「軍備は一切いらない、丸腰で、そこまで言わなきゃダメ」と注文してるんでしょう。

2009.02.28 08:06 URL | cube #- [ 編集 ]

>共産・社民は、要するに、「軍備は一切いらない、丸腰で、そこまで言わなきゃダメ」と注文してるんでしょう。

と、そこで本当に丸腰になったら次は一体何が待ってるかな?

現実問題として、国防ができないんじゃ、国が消滅しちゃってもしかたないってことになるのでは?

同じ覇権主義でも、中国よりはアメリカのほうがずっとましですけど、私は。
ちゃんと国防軍つくるまでにはどのくらいなのか見当もつきませんね。

脱米でどんな日本社会の出現を予想されてますか?

2009.03.01 09:01 URL | ??cube?? #7ik9PG0Q [ 編集 ]

 ちなみに私は非武装論者ではありませんよ。向こうが攻めてきたら、それなりの規模で中枢部に反撃できる、だから向こうも損にしかならない先制攻撃はできないという、最低限の抑止力は必要と思います。
 ただし、第二次大戦前のような通常兵器の軍拡競争をしてもきりがない。向こうが核を持ち、ならず者国家だからなどとと言っても、核不拡散条約に加盟している以上、こちらに何万、何十万の被害か、いや何百万か、などと心配してもきりがないと思います。

 脱米とおっしゃるが、冷戦時代のような「自由主義国家」の防衛を米国が一手に引き受けるなどということは、今の米国の現状では不可能になってきていますよ。
 だから中立を目指すべきなので、中国、ロシア、北朝鮮、韓国などあらゆる隣国に経済・文化などあらゆる方面で切ることの出来ない厚い関係をつくっていく一方で、領土や文化の独立を守るよう警戒も怠らないことが必要でしょう。

 米国寄りを、ある程度中立に振ったら、やれ「反米だ、中国派だ」などと騒ぐのは、それこそ思考停止というもの、右翼民族主義なんてものでもない、ことなかれ主義・奴隷根性です。

 当面の政局がらみのことは抜きにして、小沢さんの防衛論の方向性は正しいと思いますね。

2009.03.01 09:47 URL | cube #- [ 編集 ]

雑談日記過去エントリーを読み返しながら、小泉・竹中の郵政民営化詐欺キャンペーンを振り返ってみました。

 今読み返すと、「世に倦む日日」の記事もなかなか参考になるところがあります。

2005/08/31「郵政民営化とは本当は何なのか - 公社分割と株式売却の中身」
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2005/08/post_846d.html

2005/08/13「英フィナンシャルタイムズ記事「国際金融が日本の郵貯350兆円を手に入れるのは、もうちょっとの辛抱」 」
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2005/08/post_922a.html

2005/08/14「郵政民営化と金の流れを図に描いて考えてみた。」
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2005/08/post_2fbb.html

2009.03.01 12:03 URL | SOBA #XPXthLJ6 [ 編集 ]













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2009.03.02 13:55 | 経済@情報局