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きまぐれな日々

やや旧聞に属するが、5月28日付の「四国新聞」一面に、「香川いのちの相談 自殺相談902件 過去最多」というタイトルの記事が出ていた。以下に引用する。


  香川いのちの電話協会(小島克己理事長)が2006年度に受け付けた自殺に関する相談件数が902件に上り、2年ぶりに過去最多となったことが分かった。男性からの相談が急増しており、中高年を中心に、孤独や心の病を訴えているのが特徴。事務局は「生活苦や仕事に悩む声が多く、厳しい世相を反映しているのでは」とみている。
  まとめによると、自殺を訴えた相談は前年度より220件(32.3%)増加。04年度までは5年連続で過去最多を更新しており、増加傾向に歯止めがかからなかった。
  内訳は男性が414件(前年度273件)、女性が488件(同498件)で、男性の増加が目立つ。かつては女性が男性を2倍程度上回っており、男女差の縮小が顕著となった。
  このうち、昨年12月に実施したフリーダイヤル相談で自殺を訴えた件数も、133件(男性84件、女性49件)で過去最多。男性の90%が孤独や心の病を訴え、年代は40代が最も多かった。(後略)

(2007年5月28日付 四国新聞1面より)


なんとも心が暗くなる記事だが、この記事が掲載されたまさにその日、松岡利勝前農水相が自殺した(死因を疑う声もあるが、ここでは以下自殺として論を進める)。

国民に衝撃を与えた前農水相の自殺から2日後の「四国新聞」に、大谷昭宏氏(元読売新聞記者、フリージャーナリスト)の記事「農相自殺の波紋 安倍内閣の死を意味」が掲載された。
以下に記事の一部を抜粋、紹介する。


  昨年9月、安倍内閣が発足したとき、私はテレビ番組のコメントで「この内閣は新聞社の政治部ではなく、社会部が大忙しになる内閣だ」と評して、政権与党のみなさんからブーイングを浴び、同時に一部のジャーナリストや評論家のみなさんからは「言い得て妙」というこれまた妙な評価をいただいた。
  新聞記者時代、社会部一筋ですごした私は、閣僚名簿を一目見て、これは政治家の資金の流れや贈収賄、スキャンダルを追う社会部記者ぱかりに出番がまわってくる内閣だと直感したのだ。
  その直感が松岡利勝農相の自殺という最も悲惨な形で具現してしまった。いまのところ遺書の詳しい内容は明らかにされず、自殺の動機は不明だが、「ナントカ還元水」でごまかしてきた事務所経費問題のほか、東京地検特捜部が独立行政法人「緑資源機構」をめぐる談合事件で強制捜査に着手。
  この談合にからんで、松岡氏とのかかわりも取りざたされている地元・熊本の団体も捜査の対象になった。そのいずれもが自殺の動機と関連しているであろうことは、自明と言ってもいいはずだ。
  ただ、この松岡氏の死は、動機を解明するだけですむ問題では断じてないはずだ。政治家の問題を政治の場で解決することができなかったのだ。それは、広い意味で言えば、内閣の死、ひいては日本の議会制民主主義の死を意味するはずだ。

(2007年5月30日付「四国新聞」掲載 大谷昭宏「農相自殺の波紋 安倍内閣の死を意味」より)


栄光ある大阪読売の「黒田軍団」の元エース記者でありながら、最近しばしば権力にすり寄ることもあると批判を受けることもある大谷氏だが、ここでは切れ味の良い評論を展開している。特に、政治の問題を政治の場で解決できなかったことが致命的だというのは、松岡氏の「自殺」を知って私が最大の問題だと感じたことだったので、わが意を得たりの思いだった。

大谷氏は、以下のように続ける。


  5年間で約1億4200万円にも上る事務所経費の疑惑をナントカ還元水で逃げ切ろうとする松岡氏に対して、安倍晋三首相は最後まで辞任を迫ることができなかった。内閣として、厳然たるケジメをつけることはついになかった。それは松岡氏を評価してのことではなく、昨年末の行革担当相の辞任に次いで、半年余りで閣僚二人が閣外に去るという事態は、内閣の崩壊を意味すると受け止めたからにほかならない。
  松岡氏は辞任という身の処し方を、いわば安倍首相によって封じられた。結果、安倍内閣は半年余りで閣僚の一人が辞任、一人が自殺という最悪の事態になった。そのことは内閣の死を意味すると言っても、決して過言ではないはずだ。(後略)

(前掲記事より)


冒頭にご紹介した四国新聞の記事を見てもわかるように、空前の自殺社会になってしまった現在の日本だが、政府がその対策を講じるどころか、こともあろうに内閣から自殺者を出し、しかもその事態を招いたのは首相である安倍晋三自身であると指摘されているのだ。

この一件だけでも、安倍内閣は総辞職が相応だと思うのだが、安倍はそんな素振りを全く見せないし、内閣総辞職を求める声も沸き上がらない。これが私には信じられない。

なにか日本社会全体が、感受性を失ってしまって、集団自殺への道を歩もうとしているのではないかと思えてならない。

もはや決まり文句みたいになってしまったが、この悪夢を振り払うためには、最低でも参議院選挙で与党を惨敗に追い込むしかないと思う今日この頃だ。


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 50万ヒット、踏みました。地雷は無かったようです。
 今後ともよろしく。

2007.06.04 10:51 URL | 眠り猫 #2eH89A.o [ 編集 ]

流れ流れてたどり着きました。自分のとこから入ればいいのに、おかしいですね。
テレビはなかなか見ないのですが、大谷さんがちょっとおかしな発言をされていて、ん?と、思ったことがありました。やっぱりちょっとふらっとされるのですね。黒田さんが亡くなられた後、けっこういいこと言われるなあ、と、思っていたのですが。今回の記事は、まともだな、と思います。私のつたない頭ですが。安倍さんって、幼稚な独裁者、という感じですが、何をしでかすか、要注意!ですね。自民党には、もうまともな人は、いないのでしょうね。今日、お年寄りが、「首相は、なあもせん人がいい」、と言っていました。あまりにも痛めつけられると、そう言いたくなるのでしょうね。

2007.06.05 01:15 URL | ひとみ #- [ 編集 ]

アクセス数が、50万から、もう6000を越していますよ。
大谷さんの文を読むときは安心して読めるのですが、テレビでの発言には、ドキドキしてしまいます。今でも、たまに権力寄りの発言をしたり、他のコメンテーターにすりよる発言をしますから。でも、いまや大谷さんとか金子勝さんとかが、庶民の味方としてテレビに出られる限られた人なので、がんばってもらわなければ。
地方紙は、全国紙より、やはりいいですね。

2007.06.06 09:40 URL | テレビの一言は大きい #tRWV4pAU [ 編集 ]













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