選挙の情勢調査記事で、片方が「リード」あるいは「先行」、相手方が「急追」という場合、両候補には5〜10ポイント差がついている。告示後にこの言葉がついた情勢調査記事をマスメディアが報じた場合、そこから逆転するケースはほとんどない。だから佐賀県知事選は妄決まりだなと思い、投票のあった11日の日曜日は、選挙結果を確かめることなく寝た。
それが、11日の朝刊を見ると、樋渡氏が敗れて、保守分裂選挙の相手方候補である山口祥義氏が、樋渡氏に4万票以上の大差をつけて当選したと報じられていたので驚いた。樋渡氏が得ると見られた大量の票が、山口氏へと流れたようなのだ。これほど劇的な逆転劇は珍しい。
樋渡氏が「新保守」というべき新自由主義的な候補者であるのに対し、山口氏が「旧保守」を代表する候補であることは知っていた。「新保守」から「旧保守」への大量の票の流れは、2009年の「政権交代選挙」で見られた新自由主義的政策への批判票が今でも存在することを示すものだ。佐賀では、農業政策の規制緩和への批判が劇的な票の移動につながったとみられる。
前武雄市長の樋渡氏が、市立図書館の運営にTSUTAYAに委託した話は知っていた。たとえば昨年7月の「東洋経済オンライン」に、「『沸騰!図書館』に描かれた自治体の闘い」と題された記事が出ている。その記事で樋渡氏は、こんなことを言っている。
僕自身本好きで1日1冊読んでます。ところが市長になった頃の武雄市図書館は平日午後6時閉館、急いで駆け込んでも「閉館です」の門前払い。しかも休館日は年95日。疑問や提案をぶつけても「昔からの決まり」の一点張りでした。市民の税金で成り立つサービスなのに休館日は多い、スタッフも傲慢。市民はそれが普通と思ってたようだけど、僕は違うと思った。利用者のことを考えようと懇々と話し続けました。6年間交渉を続け、2013年4月のリニューアルオープン後は年中無休、閉館も夜9時までに延長しました。
しかし私は違うと思う。最近は多くの自治体で図書館の運営を外部委託しており、私が住む自治体も例外ではないが、それでも毎週の休館日はあり、月に1度はもう1日余分に休館日がある。日曜日と祝日は閉館時刻も早い。しかし、やはり図書館の運営を外部委託している近隣の自治体では休館日は月1日しかなく、日曜日でも午後9時まで開けている。一度、その自治体の図書館に日曜日の夜8時頃に行ったことがあるが、館内に利用者は数えるほどしかいなかった。こんな時にまで図書館で仕事をしなければならないスタッフに、私は大いに同情したものだ。
樋渡氏は同じ「東洋経済オンライン」の記事で、「モバゲーのDeNAと組んで小学生向けにプログラミング教育も始める」などとも言っているが、これら一連の発言や現にやってきたことを見ると、樋渡氏が「佐賀の橋下徹」との異名をとる理由もわかる。
その樋渡氏の失速は、2008年のやはり1月に行われた大阪府知事選とは好対照だ。その府知事選に橋下徹が出馬を表明したのは前年、2007年暮のことだった。この時橋下を推したのも自公であり、それに対して当時小沢一郎が代表を務めていた民主党は大阪大学教授(当時。府知事選前に辞職)の熊谷貞俊を推したが惨敗した。余談だが、当時はまだ「小沢信者」がその後のように尖鋭化しておらず、「熊谷氏は『上から目線』だったから、『庶民の目線』でものを言う橋下に負けた」などと、小沢民主が推した熊谷氏を批判して自公が推した橋下を持ち上げた「リベラル・左派」の御仁が大勢いたものだ。2008年1月29日付記事「『ポピュリズム』や『上から目線』などなど - 大阪府知事選雑感」でこうした風潮を批判したことを思い出す。
あの選挙で橋下は、選挙戦が進むにつれてリードを広げ、最後には圧勝した。選挙戦における橋下の口八丁手八丁は脅威であり、2011年の統一地方選でも昨年の衆院選でも、情勢報道で予想された不利をひっくり返した。それに対して、樋渡啓祐はその逆の結果になった。それは、樋渡氏が橋下ほどのアジテーションの能力を持たないせいかもしれないが、それよりも安倍政権の狙う農業改革が、佐賀県民の生活を直撃する脅威が樋渡氏の票を減らしたのではないか。東京や大阪など都市部の選挙と地方の選挙は違うのであり、仮に橋下が佐賀県知事選に出馬して農業改革を力説したとしても、やはり負けていたのではないかと私には思われる。
今回の佐賀県知事選では、選挙戦の途中で樋渡氏が差を詰められて焦ったのか、正月明けの時期から樋渡陣営が安倍晋三の肉声録音電話を相次いで有権者の自宅に掛けまくっていたことが暴かれている。下記togetter経由で知った。
http://togetter.com/li/768843
この事実を報じたのは私の大嫌いな日刊ゲンダイで、同紙はこれを選挙戦最終盤に報じたが、ゲンダイとしては異例中の異例の、裏をとった記事だった。ネットでもその証拠の音声が流布している。
https://www.youtube.com/watch?v=XUapkKL_wSM&feature=youtu.be
今回の選挙結果は、安倍政権の新自由主義的経済政策に対して、佐賀県の有権者が「ノー」を突きつけた結果といえる。佐賀県知事選自体は、新保守の旧保守に対する敗北に過ぎず、当選した山口氏は敗れた樋渡氏ともども玄海原発再稼働に賛成する原発推進派だったりする。ただ、「コイズミカイカク」ならぬ「アベシンゾーカイカク」(って語感が古いかも)は必ずしも地方に支持されていないことがはっきり示された。脱原発派の中にも、樋渡氏を倒すためなら、と山口氏に流れた票が結構あったらしい。
ただ、今回の佐賀県知事選は中央の政局には影響を与えそうにもない。民主党代表選は、新自由主義政党・維新の党との合流を目指していた細野豪志か、トマ・ピケティに「最悪の選択肢」と批判される緊縮財政による財政再建を志向する岡田克也のいずれかが勝つとみられる。唯一「リベラル」的な主張をする長妻昭にしても、政権交代前に「ムダの削減」を謳って厚労相に就任したものの何の結果も出せなかった過去をどう総括したのか全く不明だ。
そんな民主党代表選で私が注目しているのは、党員・サポーター票の出方だ。民主党という鵺のような政党の一般党員やサポーターが3人のうち誰を選ぶかで、彼らの思想信条の傾向が読み取れると思われるからだ。一般党員やサポーターがもっとも強く支持するのは細野豪志ではないかと私は(悲観的に)想像している。もっとも、この3人では誰も選びたくないという人が多くても不思議はないが。
来週には民主党代表選の結果が出ているから、気が向いたら来週の記事で取り上げるかもしれないし、それ以上に書きたいことが起きたら民主党代表選には触れないかもしれない。まあ誰が勝とうが、民主党が佐賀県知事選の結果が示したような安倍政権の政策に対する地方の不満をくみ上げるような政党には変わりようがないことだけは間違いなさそうだ。
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佐賀県知事選、自民党支持層は概ね半々に割れたようですが、政権与党のもう一方の公明党支持層はどうやら樋渡が好きみたいです。
六割超え、出口調査によっては七割までいっています。
これはちょっと見逃せないポイントかと。
彼らは意外にも「構造改革派」とは何故か親和性が高いのです。
その度合いは、自民党支持層よりもはっきりと強いとみていいでしょう。
「自民がー」の声に押されてどうも見逃されがちなんですけどね。
2015.01.14 20:07 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]
そうですねえ。
日経で『民主代表選は誰がいいか』アンケートをやっていて、僕も参加したのですが迷いましたね。
うちの衆院選挙区の人間は岡田氏の、参院選挙区の人間は細野氏の推薦人になっていたもので。党の若返りと新生を考えて細野氏を一番としました(恥ずかしながら)。
維新の党と接近するようならその時はその時と思います。
(合流には党内にも反対派が多いと思いますけど。
長妻氏は追及力と気概は十分だから、やはり専門のポストにいたほうがいい気もしますね。理念や構想を語るなど大化けすれば別ですが)
いずれにしても、代表に足りないところがあれば別の人間で補うしかない。
よく『サッカーは皆でやるものだから、周りとの調和を大切にすべし』言われますけれど、僕に言わせれば政治も同じ。(まあ野球やバスケも同じか)
稀有な人材という前提をなくしてそれぞれの人間がベストなポジションにつかない限り力は発揮できない気がします。
2015.01.15 15:10 URL | SPIRIT(スピリット) #Bcjh3QfU [ 編集 ]
図書館に関して言うなら、kojitaken様が引用した樋渡氏の言い分については自分も同意せざるを得ないってとこがありますね。午後6時だとそれこそサラリーマンの勤務時間が終わる頃とほぼ同じで、こと首都圏に通うサラリーマンだと平日は全く利用できないことになっちゃいますから。実際、自分は除籍本のゲットとかも目的として結構彼方此方の図書館へ足を運んでますけど、日曜は兎も角平日の夜だと利用者が案外いたりするんですよね。
ただ、樋渡氏の「図書館改革」に就いては別の点で問題があって、例えば図書館利用証にTカードを一体化してTポイントをゲット出来る様にとか、本屋やスタバを同居させてもっと「お客様」を呼ぼうってことは図書館関係者ばかりか一般市民にも批判の声が大きかったりします。前者のTカード併用はポイントカード特有の購買履歴の記録と「図書館の自由」の利用者の秘密の厳守が両立できるのか?そもそもポイントカード的なのに図書館が馴染めるのか?って批判がありますし、後者にしても(既存施設の改装でやっちゃったもんだから)図書館のスペースが限られたものになっちゃたりして貴重な郷土資料が何時の間にか廃棄や散逸したり、書架が高くなり過ぎて専用の台車を使ってじゃないと資料を取り出せなかったり、場合によっては(開架式の筈が)職員に依頼して資料を取り出して貰う閉架式と変わらないものになっちゃったり、図書館としての機能は寧ろマイナスになったりしているんですよ(自分も各地の図書館に行く際には必ず郷土資料のコーナーを見ますけど、矢張りその充実度合いと図書館としての「質」って正比例しているって気がしますね)。
あと、樋渡氏と言えば市役所のサイトをFacebookにしたり、自治体の特産品をインターネットで売ろうとした「FB良品」ってのもありましたけど、どちらも運営の独善性や杜撰さが問題になってて殊FB良品では参加して別の自治体では問題視するじたいにまでなってたりしているんですよね。この辺り詳しいところはこちらのまとめサイト https://sites.google.com/site/takeoproblem/ をご覧頂ければ理解できるかと思いますが、少なくとも「佐賀の橋下徹」という形容は言い得て妙だと自分も同意します。
2015.01.15 22:37 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]
>杉山様
その手の話は常に「利用者側に合わせろ!」的なノリだけで進められてしまうのが欠点ですね。
例えば病院は平日だけでなく、土日祝日も診察しろ、という意見もそうです。「社会人は平日の午前中など仕事で病院へ行けないから」というのは、考えてみればその会社の勝手な理屈なんですけど、そちらには何も言わないというのが妙です。病院へ行く時など仕事を抜け出してもいいように病気休暇なり時間休暇なりを設定する方が先かと思うのですが。
それが嫌なら休日は診察料金を高めに設定することです。公務員の休日報酬は平日の135/100だそうですから、診察料金も35%増しってことにすれば理屈は通ると思います。誰だって土日祝日は休みたいですから、それは医師や看護婦、図書館の職員であっても同じこと。
図書館の休みをなくせば、それだけ人も増やすことになる、夜中まで開館すれば手当がいる、すると人件費が上がる、それは税金に跳ね返るわけで、ここまでは当然の理屈なんです。
「税金は上げるな。でも俺の利用した時間に図書館も病院も開けとけ」
というのは非常に身勝手な理屈です。働いている側も同じ人間であることに配慮すれば、お互い譲り合わねばならないことなど理解できそうなものですけど。
2015.01.17 01:44 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]
>飛び入りの凡人氏
いわゆる医療崩壊の一因に貴方が指摘した様な「医療のコンビニ化」ってのがあって、そういう手軽に医師の診断を受けられるのが当然視されることで反って医師の仕事がヶ国になるってのは承知しているし、図書館の司書のお仕事でも資格を持っていてもあまり待遇が良くなかったりしているって課題も承知の上なんだよね。
ただ、その上で言わせて貰うと日本が「会社中心」の社会であるって実情の中で、病気の診療とかで休むってのがどれだけ後々の生活に響くことになるか・こと非正規雇用が常態化しちゃったりするとその問題が切実になったりして、そういう点については「必要悪」というのか止むを得ない面もあるって思っちゃうんだよね。で、その便益と費用を如何に負担するのかってのに就いて往々にして想像がつかないのって、医療や図書館に限ったことだけに限らず例えば介護とか保育とかでも同じことが言えたりするし、高収入で生活苦とは無縁の様な方々が「保育費を無料にしろ!」なんて言ったりする事態があったりするのは、黒川滋氏の呟きを引くまでも無く公共サービスというものがどうやって支えられているのかについて余り想像が出来ていないって気もしちゃいますね。
ちなみに2008年4月1日に診療報酬改定によって「早朝・夜間等加算」が出来、平日の18時以降および土曜の12時以降・日曜に診療を受付けた場合には診療報酬点数が増える(=患者の自己負担も増える)ことになってますので、念のため。
2015.01.17 23:11 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]
>杉山様
「早朝・夜間等加算」は知っています。50点ですよね。保険診療なら170円くらいですか。確かにこれもひとつの手段ではあります。ただ私が言っているのは、「平日と同じように、休日も外来診療時間を設けたら」という前提です。大抵の病院は9時から12時くらいが外来診療時間ですよね。これと同じ外来時間を休日にも設けろという人たちへの提言だったのです。
杉山さんはご存じと思いますが、これを言うと「休日にインフルエンザになったらどうするんだ!?」と言う人がいます。そういう場合は救急外来を利用すればいいのです。緊急外来に加算は認められていませんからね。
会社中心社会の日本で、病気を理由に休みを取ることへの抵抗感というのも理解しています。というかもう何十年同じ議論を続けているんでしょうね。本当に進歩のない企業中心社会です。
しかしやはり声を上げていくしかない、と私は思います。そうでないと、ブラック企業が休ませないしわ寄せを医療機関に押しつけ、そんなワガママに付き合っていくと医療機関もブラック化しかねないからです。
私は信州を旅行するのが好きで、何年か前に信州を旅行中の深夜に天気が知りたくなり、長野気象台に電話しました。てっきり自動応答だと思ったのですが、職員が直接電話口に出て驚きました。気象台は24時間営業、防災官庁ですからそうでなくては困りますが、電話はどうでしょう? もうネットも見られるし、177もある時代です。そんな時代に貴重な労働力のリソースを割いてまで電話応答などに労力を費やすことにあまり意味を見い出せません。
サービスを受ける側にも自制が求められる、それがすべての労働者のためになると思います。
2015.01.19 00:14 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]
>飛び入りの凡人氏
何か貴方の主張を聞いていると、どうも意見を曲解しているばかりか(樋渡氏を)批判したつもりになって実は全く逆の様なことを言っている様にも思えて、何処か意見が噛み合わないって思っちゃうんだよね。
>>私が言っているのは、「平日と同じように、休日も外来診療時間を設けたら」という前提です。大抵の病院は9時から12時くらいが外来診療時間ですよね。これと同じ外来時間を休日にも設けろという人たちへの提言だったのです。
>>「休日にインフルエンザになったらどうするんだ!?」と言う人がいます。そういう場合は救急外来を利用すればいいのです。緊急外来に加算は認められていませんからね。
かの徳洲会が「24時間365日診療を受け付けます」とかやって地元医師会と散々軋轢を起こしたってのは昔日の出来事だけど、総合病院ならまだしも開業医だと土曜休日に診療を受け付けてるってとこは案外存在しますよ。自分も平日に職業訓練があって欠席が出来ないものだったから、主治医をそういう開業医に替えたりしたからね。無論、代わりに平日の何処かで休診日になってたりしてますけど。
で、「救急外来を利用すればいい」って簡単に言ってくれちゃってますけど、その肝心の救急救命医自体が絶対数として足りなくて現状でも精一杯で何とか回しているのが実情なんですよ。医療崩壊の問題を理解した上で言っているのか自分には理解不可能です。
百歩譲ってそうすりゃいいだろ、としてみてもそもそも救急医療という非常手段がある医療と代替手段が限られてしまっている図書館を同列に扱うってのが乱暴な議論だし、そもそもkojitaken氏が提起した問題点すら理解していないんじゃないか?って思いますね。
>>会社中心社会の日本で、病気を理由に休みを取ることへの抵抗感というのも理解しています・・・しかしやはり声を上げていくしかない、と私は思います。そうでないと、ブラック企業が休ませないしわ寄せを医療機関に押しつけ、そんなワガママに付き合っていくと医療機関もブラック化しかねないからです。
で、解雇や収入減のリスクを負えますか?ブラック企業だとそうなってしまう可能性も少なからず存在しますよ。今野晴貴『ブラック企業』 http://amzn.to/1yyoCEb 辺りのお説を援用したつもりでしょうけど、声を挙げようにもそれを聞いてくれるところに行ける状況じゃない・体調を崩したり子育ての面倒を見ようにもそれの当てがないって現実がある以上、貴方の意見はブラック企業で過酷な労働を強いられている人間に対し救済策は愚か公共サービスからも締め出せ、と言っているに等しいのですよ。先ずチャンとした対応が出来る術がない限り始まらないってことは、理解して下さい。
>>何年か前に信州を旅行中の深夜に天気が知りたくなり、長野気象台に電話しました。てっきり自動応答だと思ったのですが、職員が直接電話口に出て驚きました。気象台は24時間営業、防災官庁ですからそうでなくては困りますが、電話はどうでしょう? もうネットも見られるし、177もある時代です。そんな時代に貴重な労働力のリソースを割いてまで電話応答などに労力を費やすことにあまり意味を見い出せません。
信州だと結構山岳地帯もあったりして天気の急変もあるなど、自動応答で済むってのが自分には理解出来ませんね。そういう方々を専門家として相応しく遇しろと言うのならまだしも、「ネットも見られるし、177もある時代です。そんな時代に貴重な労働力のリソースを割いてまで電話応答などに労力を費やすことにあまり意味を見い出せません」ですか?そもそも、この冬に日本海側では豪雪だったんですけど、一般の電話は通じてもインターネット電話は不通になって連絡や救援に支障が出たってことはニュースで御存知の筈でしょう。
で、樋渡氏が武雄市長としてやったことは、まさに貴方が言った「そんな時代に貴重な労働力のリソースを割いてまで労力を費やすことにあまり意味を見い出せません」ってことなんですよ。つまり図書館の司書なんて専門的な職務なの?民間に委託すれば好いじゃん、郷土資料?観る人いるの?そんなのにスペース割くなら、カフェや本屋を入居させて収入源を創り来館者を増やそうよ、って万事がこの調子なんですよ。おまけにfacebookが流行ならそれに飛びつき、ポイントカードを消費者が使うのを見ては図書館利用証と一体化しようと言い出す。細かい問題点や課題は考えず、兎に角注目の集まることばかりやる、まさに「佐賀の橋下徹」そのものでしょう。で、貴方の「そんな時代に貴重な労働力のリソースを割いてまで労力を費やすことにあまり意味を見い出せません」って発言は、皮肉にも樋渡氏に対し援護射撃を行う効果しか持ち得ないのです。
「サービスを受ける側にも自制が求められる、それがすべての労働者のためになる」って尤もなことを口にしてますけど、その言葉は他ならぬ貴方に向けられるべきだと思います。そして「何故こういう形でサービス提供が必要なのか?そもそもそのサービスを利用できない方々の"声"は反映されているのか?」ということに思いを致してみて下さい。
2015.01.19 20:25 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]
そう言えば、救急外来ネタで思い出したんですけど、樋渡氏は市民病院でも地元医師会や(医師を派遣していくれている)佐賀大学と軋轢を起こしているんですよね。
https://sites.google.com/site/takeoproblem/07-bing-yuan-wen-ti
無論、医師会は望ましい救急医療について市民から意見を求めたり聞く耳を持っていたんですけど、当の樋渡氏は市議会で審議もせずに民間への運営委譲を契約。おまけに何とか算盤勘定を合わせるとこまでいっていたのを樋渡氏が「まだ経営努力が足りない」とか言ったお陰で、佐賀大が医師を引き揚げてしまって結局民間移譲に。しかし肝心の救急医療に関しては樋渡氏が「救命救急センターになっている」と強弁しているものの、現実のところそれも怪しく http://togetter.com/li/435887 最初から民間移譲ありきでやっていたって感があります。
2015.01.21 18:28 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]
なんでブラック企業の尻ぬぐいを他人がしなければいけないんですか?
私にはその意見こそ理解に苦しみますね。図書館のような公的機関にしても、病院のような公営私営が存在する機関にしても、ブラック企業が存在することを前提に開くものではありませんよ。あなたは弱者の味方をしているようで、それに従事する労働者の人権を軽視してはいませんか?
私の言い分が佐賀のネオリベと同じ? とんでもない誤解ですね。
信州の問題にしても、私は気象庁の実情を組合活動を通じて知っています。30年間で20%も人員が削減されたのです。であれば重要度の低い部分から業務を削っていくほかはない。でなければ過重労働になってしまいます。何度も書きますが、私は気象台は防災機関である以上、24時間監視を業務とするのは当然と思っています。でも電話応対となると、限られたリソースの中ではやはり重要度の選択をせざるを得ません。
何か私の意見を杉山さんは勘違いをしているようです。
私はサービス低下など良いこととは思っていません。ですがサービス向上を望むのであれば、まずその労働環境整備をなさなければならない。それなくしての口先だけのサービス向上は図書館も病院も気象台もブラック化するだけだ。そう言いたいのです。
2015.01.24 23:36 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]
>飛び入りの凡人氏
どうも話が噛み合ってないな・・・・・
>>図書館のような公的機関にしても、病院のような公営私営が存在する機関にしても、ブラック企業が存在することを前提に開くものではありませんよ。
普通の企業でさえ平日午後5時半ないし6時頃に終業で、その意味で図書館が午後8時や9時まで開いているのを「ブラック」呼ばわりするのが極端に過ぎるでしょう。週に1日・館によっては月に数日の特別整理期間を設けているのは普通に在ります。勿論、土曜・日曜だと夕方で閉館ってのが大多数ですよ。
寧ろ「ブラック企業の尻ぬぐいを他人がしなければいけないんですか」って言い方の方こそ、自分には危うさを感じますね。一見ブラック企業が社会のリソースを食い潰している(それはそれで事実ですが)のを批判している格好に見えて、実は其処で働いているというのか働かざるを得ない労働者に対して一種の「自己責任」を持ち出して自業自得と突き放す真似をやっているだけなんですよ。ブラック企業の問題とそこで働く労働者への対応は一見同じ様であっても次元が違う点もあることは理解すべきですし、従事している労働者への待遇の問題についてもそれ自体はそれで解決すべき問題です。でも、貴方の主張はそれがスッポリ抜け落ちた「弱者の見方」ぶったものでしかないんです。
>>私は気象庁の実情を組合活動を通じて知っています。30年間で20%も人員が削減されたのです。であれば重要度の低い部分から業務を削っていくほかはない。でなければ過重労働になってしまいます。何度も書きますが、私は気象台は防災機関である以上、24時間監視を業務とするのは当然と思っています。でも電話応対となると、限られたリソースの中ではやはり重要度の選択をせざるを得ません。
ならば文句を言うべき相手が違いませんか?文句を言うべきは人員や人件費削減をやった側であるのですから。ましてや山岳地域を多く抱え緊急対応もしなければならない部局(貴方が挙げた医療も同じですね)で、寧ろクリティカルなとこを削って"合理化"しろって言ってるから問題にしているんですよ。
自分は、樋渡氏が武雄市長時代に市立図書館をツタヤに委託した際からこの問題・更には樋渡氏がFB良品とかやり出した際からこの件に関心を持って追い続けているんですけど、貴方の様な「限られたリソースの中ではやはり重要度の選択をせざるを得ません」って主張は、皮肉にもネオリベへの援護射撃にしかなっていないんですよ。だから、図書館でも(資料的価値が高くても)利用度が少なかったりしたのが廃棄や散逸されちゃったり、来客数が多く見込める大型書店やカフェを入居させるために、図書館の蔵書が梯子でも使わない限り(資料によってはスタッフに取りに行かせる必要があるなど)利用が出来ないってことになってしまっているんです。敢えて言うならサービス向上にすらなっていないんです。
「サービス向上を望むのであれば、まずその労働環境整備をなさなければならない」その通りです。で、「限られたリソースの中ではやはり重要度の選択をせざるを得ません」御尤もに聞こえます。しかしながら、その結果が樋渡氏が武雄市長時代に起こしたことであって、(「ブラック」ではないかも知れないけど)クリティカルな機能やサービスが抜け落ちた誰得な現状ってことは理解すべきでしょう。
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