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きまぐれな日々

参院選の前哨戦とされる東京都議選が14日告示された。今回から都議選の有権者になった。それで1965年以降の都議選について少し調べてみた。『kojitakenの日記』に、各党の絶対得票率(政党の得票数を有権者数で割ったもの)の推移をプロットしたグラフを掲載した。

都議選の投票率は1977年(昭和52年)の65.2%を最高にして以後は低下する傾向にあり、元号が平成に変わった1989年以降は一度も60%を超えたことがない。1989年から4年おきに、58.7%、51.4%、40.8%、50.1%、44.0%、54.5%と推移している。

このうち投票率が50%を超えた4回を見ると、消費税創設(1989年)、政治改革(1993年)、コイズミブーム(2001年)、政権交代(2009年)があった。つまり国政への関心が高まっていた時期に、都議選の投票率も上がっている。

一方、1997年には秋に北海道拓殖銀行、山一証券の破綻などの経済危機があり、2005年には悪名高いコイズミの「郵政解散・総選挙」があったが、都議選が行われた時期にはそれらの兆しはまだなく、国政への関心が低迷していた。都議選の投票率も大きく下がっている。

1989年に大きく党勢を伸ばした社会党が失速したあと、政治に不満を持つ民意の受け皿になったのが、1992年に結成された日本新党だった。同党は1993年の都議選で12.1%の得票率を記録して20議席を獲得したが、それも束の間、翌1994年に日本新党は解散して新進党に吸収された。そして1997年の都議選で新進党は1議席も獲得できなかった。

今回、民主党バブルが弾けたが、昨年の衆院選で民主党の失速を見越して結成されたのが「日本維新の会」だった。このいかさま政党の結成までには橋下徹、石原慎太郎、小沢一郎の3人が水面下で繰り広げた醜い裏工作がいろいろあったようだが、結局橋下と石原が組み、あぶれた小沢は滋賀県知事・嘉田由紀子に目をつけて「日本未来の党」を結成したものの、維新が躍進して未来が惨敗したことは記憶に新しい。

しかし、衆院選における維新の会は、民主を抜いて比例第2党になったとはいえ、昨年の今頃の季節に膨れ上がっていたバブル人気を思えば既に失速気味だった観は否めなかった。そしてその失速が明らかになったのは、今年春の兵庫県伊丹市・宝塚市両市長選における維新公認候補の惨敗だった。退潮に焦る橋下が、安倍晋三に奪われてしまった右翼的な有権者の人気をトリモロスべく従軍慰安婦に関する妄言を口にしたところ、内外から批判を浴びて退潮に拍車をかけた。これが現時点での情勢である。

結局橋下・石原の「日本維新の会」は、1993年の日本新党にも及ばず、結党翌年の都議選で早くも退潮が浮き彫りになる結果になりそうなのだが、橋下は当初、都議選告示にタイミングを合わせるかのように訪米する予定だった。しかし、「慰安婦妄言」が災いして訪米中止に追い込まれた。そのため、橋下は16日、当初の予定になかったであろう東京での遊説を行った。

橋下の演説を、時事通信(下記URL)はこう伝えている。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201306/2013061600113

(前略)日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は告示後初めて上京し、マイクを握った。多摩市での街頭演説では、「都議選でも参院選でも自民党が独り勝ちしたら、かつての自民党に戻る」と指摘。板橋区内では、批判を浴びた従軍慰安婦問題をめぐる発言に関し「間違ったことを言っているとは思わない。日本が不当に侮辱されている」と強調した。(後略)

(時事通信 2013/06/16-17:31)


私の住む近所にも橋下がやってくるらしいと知ったので、いったい奴は何をほざくのかと思って聞きに行ったが、橋下は概ね時事通信の記事に書かれているようなことを絶叫していた。自らの「慰安婦問題」については、朝日新聞、毎日新聞、毎日放送、TBSを名指しして「誤報」をされたと開き直り、噂に違わず「真意」とやらの説明に延々と時間を割いた。聴衆の中には右翼的な思想信条を持つ者もかなりいたらしく、時折拍手も起きたが、「万雷の拍手」からはほど遠かった。そもそも聴衆の数も少なく、橋下の絶叫に退屈してか、途中で立ち去ってしまった人も多かった。

「自民党には『カイカク』はできない」とか、「明治維新以来続いてきた官僚の支配」がどうのとか言い募り、「霞が関ガー」を連呼する橋下の絶叫を聞きながら私が思い出したのは、昨年の総選挙まで、よく当ブログに投稿していた某「小沢信者」のコメントだった。彼が量産したコメント群と橋下の絶叫はそっくりだった。昨年小沢一郎が口癖のように言っていた「橋下市長と基本的に考えは同じ」という言葉に嘘はなかったんだなあと妙に納得してしまった(笑)。

橋下はいわゆる「アベノミクス」の批判もした。橋下は金融緩和には賛成だが、既得権益の打破なくして国民にお金は回らない、安倍政権は「既得権益を守りたい勢力」に縛られてまともな「第三の矢」を放てなかった、だからいったん上がった株価も急落して元に戻ったんだと言っていた。

一昨日(15日)の朝日新聞にスティグリッツのインタビューが出ているが、見出しに「3本目の矢にない格差是正への配慮 再分配を工夫せよ」とある。橋下は「規制緩和」「既得権の打破」を求めて「霞が関ガー」と叫んでいたが、再分配への言及はひとこともなかった。規制緩和さえすればすべてがうまくいくかのような幻想を振りまいていたが、それは2001年の都議選で自民党を圧勝に導いた小泉純一郎が発していたのと同じ言葉だった。そしてそんな言葉を信じる人はもはや多数ではなくなったはずだ。

だが油断は禁物。東京都民の感性は、大阪市民と非常に近いものがあるとは常々感じるところである。今回の都議選で維新の会には惨敗してほしいが、若干の議席を獲得するのではないかとの危惧は捨て切れない。

今回の都議選では、残念ながら自民党(自公)の圧勝は不可避と思われるが、東京都民がきっちり橋下に「NO」を突きつけられるか、それを注視している。せめて「維新の会」くらいは撃退できなければ、東京にも日本にも明るい未来はないと思う今日この頃である。
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岸薫夫氏が、先週亡くなったそうです。
昭和23年当時、地方分権の名の下に地域ボスのやりたい放題となっていた埼玉県本庄町で、朝日新聞記者として地域ボスの不正を追及していた岸氏は、簡裁・区検庁舎落成式という晴れの場で町議から公然と暴行を受け、町警察どころか国家警察の署長と副検事までいたにもかかわらず、逮捕どころか制止もないという、信じ難い事件に遭遇しました。しかし岸氏は脅迫に屈せず、朝日新聞の紙面で果敢に不正追及を続行し、ついに占領軍当局をも動かし、署長たちをはじめ地域ボスと繋がる何人もを失脚に追い込む事が出来たのです。
かなり有名な事件ですので、ちょっと検索したら大量に情報が見つかりますが、「地方分権というものが悪い方に転んだらどうなるのか」という点と、「この地域ボスどもは、統制経済違反という、占領軍当局にも都合の悪いことをしていたから占領軍当局の介入を招いたが、もし占領軍当局に従順な手先だったらどうなっていたか」という点に、私は注目すべきだと思います。
ただし、岸氏が勇敢な人物だったのは否定しようがなく、私は素直に敬意を払わずにいられません。

2013.06.17 16:28 URL | ヴォロージャ #mQop/nM. [ 編集 ]

おおせのとおりの愚民天国首都圏(埼玉、神奈川、千葉みんな同じ)ではそこまで期待できないと思います。慰安婦妄言を評価する馬鹿は民度を反映して結構多い。意気地のない馬鹿は回りも馬鹿だと安心して行動に出る。議席は難しいだろうけれど票数は案外あるかも。

2013.06.17 21:53 URL | 野次馬 #mQop/nM. [ 編集 ]

kojitakenの日記も読んでいますが、2013年6月9日付の『自民党都議は「日本会議」ばかり/小沢という民主党都議も日本会議』により、都議会が日本会議に独占されている惨状を知りました。
自民と民主、その他、みんなや維新でもそうですが、これら政党全てに関与し、影響力を行使している組織に、霊感商法で悪名高い統一協会があります。
小選挙区では僅かな票差で当落が決まる事がある為、統一協会の手を借りる事が選挙に有利になるとされ、それで保守系の政治家達が彼らに接近するという事のようですが、統一協会は本来なら解散していてもおかしくないカルト教団です。
結局、今の日本というのは、宗教右翼の巣窟化している日本会議と、カルト集団である統一協会の強い影響下にある、という事ですよね。
昔は社会党があって、野党第一党として監視の目を光らせていたので、統一協会のような団体が悪事を重ねる事は難しかったですが、社会党が消えて、新進党や民主党といった保守政党が野党第一党になった途端、統一協会は最大野党にも唾をつけて入り込み、監視者がいなくなったので悪事のし放題になりました。
日本会議にしたって、もしも社会党が健在で、野党最大勢力として監視の目を光らせている状態であったなら、民主党の前原派にまで唾をつけて、自民民主の二大政党の双方に影響力を行使する、というような状況になる事はなかったでしょう。
とにかく日本会議と統一協会は危険なので、政治的影響力をそぐ必要があるのですが、その為には自民・民主・維新・みんなの、共産を除く全主要全国政党を衰退させる以外にありません。
しかも、彼らと関係がないのが共産党と社民党だけという非常に厳しい状態です。
まあ、それでも現実的に、一歩一歩、日本会議や統一協会の影響力を排除して行こうという話であれば、共産党と社民党の議席を増やし、自民・民主・維新・みんなの議席を減らしていく以外にないでしょう。

なお民主党の旧社会党勢力に関しては、日本会議や統一協会とは関係がないようですが、彼らが民主党内の日本会議系議員や統一協会系議員に関して厳しく批判したという話は聞いたことがありませんし、党としての枠組みを維持する為、彼らを糾弾する事は出来ないという事なのでしょうから、民主党旧社会党勢力には期待しない方が良いでしょうね。
彼らが社民党に再合流して、社民党が中政党に変わってくれるだけで、日本会議や統一協会によるし放題状態を随分と改められるのですけどね。

2013.06.18 13:39 URL | 日本会議は危険だよね #- [ 編集 ]

>せめて維新を撃退せよ
kojitakenさんの悪い癖ですよ。
維新が弱体化してしまったら、とてもじゃないが自公の暴走を止められなくなりますよ。
しかも、東京の維新は太陽系中心、従って、政治軸は右寄りでも、経済軸は左寄り、しかも、中選挙区制寄り。
太陽系が弱体化すれば弱体化するほど、中選挙区制に戻せる日が遠ざかるどころか、比例代表を削減されてしまう日が近付くため、左派勢力は壊滅化してしまいますよ。
要するに、太陽系は左派勢力の最後の砦。
「石原慎太郎を失った日」は「左派勢力最期の日」。

2013.06.18 15:29 URL | 牧野弘幸 #v/Q4ADBU [ 編集 ]

もう1つ、
・政治左派&経済左派は、政治右派&経済右派に弱い。
・政治右派&経済右派は、政治右派&経済左派に弱い。
・政治右派&経済左派は、政治左派&経済左派に弱い。
この様なじゃんけんを知っていますか?

要するに、政治右派&経済右派の体制から、政治左派&経済左派の体制へ持っていくには、そのまま闘っても不利です。
まず、政治右派&経済右派の体制から、政治右派&経済左派の体制へ移行し、その後、政治左派&経済左派の体制へ持っていく方が有利です。

2013.06.18 15:37 URL | 牧野弘幸 #v/Q4ADBU [ 編集 ]

石原慎太郎が橋下に「終わった」宣言をしたそうで。
その発言の煽りを食って維新自体も都議選、参院選と壊滅しそうですね。
何というか、あれだけすったもんだと橋下が言いたい放題をして、権力欲の強い人間を集め、衆院選では多くの票も集めた維新が、
同じ言いたい放題の共同代表の石原翁によってトドメを刺されるというのは、何という因果、自業自得かと思ってしまいますね。
橋下にも、維新に乗っかった誰にも彼にも。

まだ若い橋下が老いた小沢一郎のように沈むかどうかはわかりませんが、政局を起こすだけ起こして政治的空白を生む類いの賑やかし屋は、参院選が終わったら当分静かにしていて欲しいものです。
都議選も参院選も結果はまだですが、参院選までにまだ波乱を起こすまさかの坂が維新にもあるのかもしれませんが、
ただただ言いたい放題なだけの石原爺の言い様に、都議選・参院選を戦う維新の候補者の心労を思って、脱力するばかりです。
(私自身はみんなの党支持ですが)

橋下は参院選までひたすら応援演説と称して、自分の慰安婦発言の言い訳を延々とやるのでしょうかね?
それもまた、国民の生活も維新の候補者も不在のエゴの固まりで、嫌になっちゃいます。

2013.06.19 11:39 URL | 朱の盤 #epoDbB82 [ 編集 ]

衆院選で維新に投票した人が、自民党に投票、自民圧勝に拍車をかけるかもしれません。
どちらも極右ぶりは負けず劣らずですが。
ファシスト集団の維新を撃退できればベターですが、まだまだ油断は禁物、また仮に撃退できても第二、第三の維新が誕生、あるいは自民が維新を吸収して更に大きくなるようでは意味がありません。
その可能性も大ですが。
諸外国も指摘しているように右傾化が著しい日本、
右傾化、極右全体主義化しているところに最大の悲劇があります。

2013.06.22 01:38 URL | 風てん #- [ 編集 ]

昨年の衆院選挙の際も維新は自民を批判していたんですけどねぇ・・・
都議選とは関係ありませんが、国政に於いては自民と維新とは改憲で一致しております。来る参院選が、現行憲法を護れるのかどうかの天王山となるような気がします。一度方向性が決まってしまえば、流れに逆らう事は相当に難しい。
もとより、憲法をバージョンアップするという一般論は否定されるものではありませんが、自民改憲草案による改憲という特定具体論では反対せざるを得ません。その問題点についてはいろいろ指摘されているので触れませんが、少なくとも9条を変えなくても安全保障体制を強化することは可能だと思います。9条変えなければ国を守れないなどと言うのは、デマゴギーの類ですね。

尚従軍慰安婦問題についてですが、これは既に河野談話で解決済みのことと思います。いつまでも問題視して引っ張るようなことは、韓国にとっても良いことにはならないと思います。補償についてはアジア女性基金という形で解決が計られたと思われます。

近年の韓国ナショナリズムはおかしな方向に向かっていると言わざるを得ません。例の原爆神罰コラムなど被爆国日本としては受け入れ難いし、何より核兵器廃絶の理想に背くものでしょう。
しかし、日本としてはこれに感情論で反発するのではなくて、言うべきことは言いつつ共存を図っていくべきです。というより、それ以外の選択枝はありません。
偏狭なナショナリズムを煽り陶酔しているのは、何処の国でも一部です。ただその声がデカイので支配力を持って行くのです。日本国内の偏狭で排外的ナショナリズムに反対すると同時に、韓国のそれに対しても反対し批判する視点が要るのではと思います。

維新や橋下の政治姿勢は別として、今回の橋下発言に限って見れば、それほど間違ったことを言っているわけではない。大筋、河野談話の内容に近いものと思えます。
慰安婦制度が軍規を保つ為の必要悪であり、悪は悪だから慰安婦だった方々には謝罪しなければならない。強制を示す証拠は無いが、広義の強制性はある・・・
しかも橋下は太平洋戦争や日中戦争は侵略戦争であったと言っているわけで、むしろそれらの戦争が自衛戦争だったと主張している人々が橋下発言を支持することが奇異な印象を受けます。

2013.06.23 20:13 URL | ミリシヤ #- [ 編集 ]













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