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きまぐれな日々

先週のエントリで紹介した井手英策著『日本の財政 転換の指針』(岩波新書, 2013年)を読んだあと、続けて井手氏の師匠に当たる神野直彦・東京大学名誉教授の新刊『税金 常識のウソ』(文春新書, 2013年)を読んだ。両書はほぼ同時期の先月下旬に発売されたばかりであり、本屋では隣同士で山積みされていた。両氏が師弟の関係にあることもあって論調もほぼ同じで、井手氏の著書には神野氏への(他に金子勝氏へも)賛辞が書かれているかと思うと、神野氏の著書には井手氏の研究への言及があるといった具合だ。興味のおありの方には2冊の併読をおすすめする。

たまたま両氏の本を読み終えた頃、加藤寛の訃報に接した。加藤については、2月2日付『kojitakenの日記』の記事「新自由主義派の経済学者・加藤寛が死去」でコメントしたが、土光敏夫の第2臨調で国鉄、電電公社、専売公社の民営化を、のちには消費税創設を取り仕切ったこの男を私はほとんど評価していない。ただ、最晩年の原発批判だけは評価できるため、記事に個人の冥福を祈る一節を書き加えた。これさえなければ、「こんな人物の冥福を祈る必要などない」とかなんとか書いて、またまた良識ある読者諸賢の眉をひそめさせたに違いない。

井手英策・慶応大准教授は、田中角栄政権による1973年の「福祉元年」まではヨーロッパと同じ福祉国家への道を歩む可能性があった日本が「道を踏み外した」(これは井手氏ではなく私流の表現である)理由として、財政投融資による公共事業費が1970年代以降急速に膨張したにもかかわらず、これが可視化されなかったために見かけ上政府支出に占める社会保障費の割合が高くなり、これが自民党政権によって社会保障費が槍玉に挙げられて削減の対象になったのではないかと考察している。これは興味深い指摘だった。

現在もてはやされている「アベノミクス」とやらも、その中身は公共事業費を大幅に拡大する一方で、今朝公開されたブログ『Nabe Party ~ 再分配を重視する市民の会』の記事「生活保護を考える」でも言及されているように、生活保護の支給額を大幅に引き下げようとするなどの暴挙に出ている。

「アベノミクス」は「反緊縮」を評価されている。私も「反緊縮」自体には大いに賛成なのだが、金の使い方が間違っているというのが私の意見である。安倍晋三が現在の路線を突き進むと、スタグフレーション、すなわち不況下の物価高という最悪の事態に陥る可能性がある(過去の日本でも1974〜75年頃に見舞われたことがある)。井手准教授も指摘している通り、「コンクリートから人へ」という民主党のスローガン自体は正しかったのだ。ただ、それを緊縮財政と混同してしまったところに民主党政権、特に松下政経塾系列の人たちの誤りがあった。

ただ、こう言っただけでは誤解を招く可能性があるので言っておくが、公共事業はそんなには削減できない。これまで構築してきたインフラの整備に巨額の費用がかかるからだ。しかし、現在の日本の人口減を考えると、さらなる新規土建事業による景気浮揚を追求する自民党の「国土強靱化法案」が時代に合っていない政策であることは明白だ。土建業に力を入れすぎで社会補償費用を削減するのでは、せっかくの積極財政が意味をなさなくなる。毎回のように書くけれども、安心して子供を産めない社会だから人口が減少するのである。自民党の政策は間違っている。現在の日本で何よりも強く求められるのは、神野直彦氏が菅政権のスローガンとして考案したとされる「強い社会保障」であるはずだ。

そこで神野氏の著書の紹介に移るが、この本にこんな記述が出てくる。

(前略)今では信じられないことかもしれませんが、日本で格調高いことで有名な1964年(昭和39年)の『税制調査会答申』は、「所得税がもっとも近代的な租税であり、この税が中心的地位を占めるような租税体系が理想である」と宣言していました。

 その理由について、この『税制調査会答申』は、次の三点を指摘しています。第一に、所得税は市場価格機構に影響を与えることなく、十分な収入を到達できること、第二に、所得税は所得再分配の機能を最もよく果しうること、第三に、所得税は税収の弾力性が高く、自動安定装置としての高度の景気安定機能を有することです。

(神野直彦『税金 常識のウソ』(文春新書, 2013年)138頁)より)


しかし、世界的に「所得税中心主義」が動揺した(同書第5章のタイトルより)。それは、もともと多額な資産を持っている人に対して、新たに高所得を得た人が不利になる(この問題を解決するために別途資産税を設定する必要が生じる)ことや、俗にクロヨンとかトーゴーサンピンなどと呼ばれた業種による所得の捕捉格差の問題などによるが、それと付加価値税(消費税)の発展に伴うものだったという。

ここでとる道は3つに分かれた。1つは、神野氏が「所得税補強戦略」と呼ぶ、所得税としての限界を、付加価値税を発展させることによって補強していこうとする戦略で、ヨーロッパ諸国が採用した。それに対してアメリカが採用したのは所得税を基幹税として維持する所得税維持戦略で、所得税による税収調達能力の限界を認めて財政機能を拡大しない「小さな政府」を追及する行き方だった。

しかし日本は、上記のいずれも採用せず、基幹税としての所得税を解体していき、その代替としての付加価値税を導入する戦略をとった。これを神野氏は「所得税解体戦略」と呼んでいる。この戦略では基幹税を所得税から付加価値税に変更することを目指す。

神野氏によると、この戦略をとろうとしたのは日本のほかサッチャー時代のイギリスがあったということだ。以下は本には書かれていないが、本に載っているグラフを見ると、所得税の税収においてイギリスは日本よりも高く、かつ付加価値税と同程度の税収がある。つまり、イギリスはもともとが手厚い福祉国家だったから、サッチャーが手洗い新自由主義改革をやってもその程度でとどまっているのだろう。しかし日本では、所得税と消費税の税収の比率は同じくらいで、かつともに国民の負担率が低い。この上、所得税(や法人税)を消費税に置き換えていくと、世界に他に類を見ない「主に消費税に頼る税制」になってしまう。

北欧に範を取る考え方の強い神野氏は、まず所得税の税収を充実させ、しかるのちに消費税を増税するというロードマップを、2010年の鳩山由紀夫首相・菅直人財務相時代に就任した政府税調専門家委員会の座長として示したのだった。ただ、この時に神野氏はアメリカ型の「小さな政府」のオプションも示していて、その場合には所得税中心の税制で良いとした。

しかし、財務相から鳩山由紀夫の政権投げ出しを受けて首相に就任した菅直人は、まず「消費税を上げる」道を選んだ。だから当時私は菅直人を批判した。とはいえ、菅政権もそのあとの野田政権も、所得税・相続税と消費税の税率を並行して引き上げたい方針だったが、自民党が「それでは努力した者が報われる税制にならない」と言って反対した。しかし、野党だからそうは言ってみたものの、自民党とて所得税の累進制強化や証券優遇税制の打ち切りの必要性はわかっていたから、政権を奪回するやそれらを決定したというのが軽易であるようだ。ちなみに、安倍晋三ら官邸はこれらの税制改革にはほぼノータッチで、野田毅を筆頭とする自民党税調調査会がこれらの施策を主導したらしい。

ところで、所得税を解体する構想といえば私が真っ先に思い出すのが小沢一郎である。小沢一郎は、初当選の頃から所得税の減税を志向していた。小沢は自著『日本改造計画』でも、所得税・住民税の半減と消費税の大幅増という構想を大々的に打ち出した。それは、前述の神野直彦氏の分類に従えば、「所得税解体戦略」に該当する。それは、アメリカほどにも再分配に留意しない、弱肉強食型の「小さな政府」を目指す政策だった。そんな税制を目指したのが小沢一郎だった。

小沢一郎は田中角栄に可愛がられたが、政策的には角栄と小沢とは全く違う。私は、井手、神野両氏の本を読みながら、過去の自民党の政治家について考えをめぐらせていたのだが、自民党政権は歴史的に「小さな政府」志向だった。それは、高度成長時代に毎年のように急増する税収がありながら、政府の財政規模を拡大するのではなく、一貫して減税で対応してきたことからも明らかだ。1964年に「所得税中心主義」を高らかに宣言したのも、現在のアメリカのような行き方を目指したと解釈できなくもない。自民党とは「公助」よりも「共助」を重視する理念を持つ政党だった。その点では「保守本流」も福田・中曽根派ら右派も変わりない。大平正芳や加藤紘一も「小さな政府」を目指し、コミュニティの共助に頼る政策だった。「保守本流」と、安倍晋三らが属する右派との違いは、単にコミュニティにイデオロギー性を求めるか否かの違いだけだった。

しかし、上記の流れから外れた政治家が2人いる。1人は小泉純一郎であり、この男は「共助」にも否定的で、ひたすら「自助」を追求した。自民党の政治家ではないが、橋下徹も同じである。

反対の極が田中角栄で、最初は列島改造論に象徴される公共事業で、首相になってからの1973年には「福祉元年」を打ち出して、社会保障重視の方向に舵を切ろうとした。つまり、田中角栄とは、保守本流とも右派とも違って、自民党の政治家としては例外的に「公助」を強く打ち出そうとした政治家ではなかったか。そう思って、このところ私は角栄を再評価しつつある。もちろん角栄が中曽根康弘と組んで制定した「電源三法」はとんでもない負の遺産だったけれども。

しかし、角栄の再評価は小沢一郎の再評価には全くつながらないどころかその正反対になる。上記の考え方からすると、政治家としてのキャリアの早いうちから「所得税減税」を打ち出していた小沢一郎は、田中角栄の直系どころか「不肖の弟子」であって、保守本流や安倍晋三ら右派と比較しても「経済右派」側、つまり小泉純一郎に近い政治家だったということになる。

その小沢一郎が、小泉純一郎へのアンチ・テーゼとして「国民の生活が第一」を打ち出したものの、小沢の持論であった「減税」の思想はそのまま保持したために、自己ねじれ現象を起こして「入りは小さな政府、出は大きな政府」というトンデモ政策になってしまったのではないか。

要するに、最初から小沢一郎が民主党代表時代に掲げた政策は、税収不足のために実現不能だったのだ。実現しようとすれば、「ムダの削減」や埋蔵金をあてにするのではなく、当然増税の議論をしなければならなかったが、小沢一郎はそれから逃げた。留意すべきは、増税の議論イコール消費税の議論ではないということだ。所得税や消費税を含む税制全体の議論であり、いやしくも政権党である以上、最終的にどのような税制を目指すのか、そこをはっきりさせる必要があった(同じことは、現在の自民党政権にも、野党に対しても言える)。それを小沢一派も松下政経塾系の政治家もやらなかった。そもそも松下政経塾系の政治家は、松下幸之助流の「無税国家の理想」を叩き込まれた新自由主義系の政治家が大半であって、そんな彼らの体質と2009年民主党マニフェストとは相容れなかった。

民主党は主流派(松下政経塾)も反主流派(小沢一派)もともにあまりにもひどかった。だから、相変わらずの「公助」軽視の自民党政権の政策でさえ、前回のエントリにいただいたコメントにもあったように、ヨーロッパの国の政策に近いとか、バランスのとれた政策などといった具合に見えてしまう。実際のところは大して褒められたものではないと私は思うが。それでも民主党政権時代の松下政経塾系主流派と日本版ティーパーティーもどきの小沢一郎や河村たかしら一派の不毛の政争と引き比べるなら、そりゃ多少は自民党政権の方がマシに見えても致し方ないかもしれない。

でも所詮はその程度である。残念ながら、アベノミクスで庶民の暮らしが良くなることは、今のところきわめて望み薄である。
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ちょっと前の話しだけど、共産党系の経済学者の中には緊急的・一時的に赤字国債発行額を増やしてでも福祉や生活型公共事業、復興事業に財政支出を増やせという主張があったよね。
もちろん、大企業・富裕層増税や軍事費削減、ゼネコン奉仕削減による「財政健全化」努力と抱き合わせにだという主張だったけど。

累積債務対策やプライマリーバランス問題の議論が粗雑だと緊縮・大衆課税推進派から攻撃されるから積極財政論は腰が引けるんだろうけど、左派ももっと「攻め」を研究すべきだね。

2013.02.04 15:58 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

公平の観点からは労働分配率の向上、つまり賃上げが求められる。それは政府の施策の問題ではなく、労働側の問題である。産業構造が変化しているので、製造業中心の時代の団体交渉が機能しにくいだろう。個々のサービスアウトレットはどうしても小規模なので団体交渉が難しい。正社員以外の者を含めたナショナルセンターが必要だと思う。

2013.02.05 14:21 URL | 野次馬 #195Lvy4Y [ 編集 ]

松下政経塾系や旧自由党系はKOJITAKENさんが言われるとおりでしょう。
しかしリベラル派も所得税・相続税減税には前向きです。
彼らは高税率である事は国民の活力をそぐという考え方ですから。
格差がないとやる気が出ないという新自由主義の典型的発想ですね。
その証拠に菅も格差はあっても良いという発言をしてます。
事実、過去民主党は両税の税率引き下げに賛成しています。
1999年の所得税大幅引き下げに、民主党は積極的でしたよね。
当時はまだ旧社会党勢が多かったので、左派が強かった頃の話です。

もう少し踏み込むと、枝野は社民主義を猛烈に批判しています。
新自由主義者と全く同じロジックで、結果の平等は悪平等であり、社会主義であると非難しています。
その点では菅も似たようなもので、社民主義は冷戦終焉と共に過去のものとなったと断じている程です。
つまりリベラル派の立場は、所得税・相続税は社会主義的であり、容認できないというものなんです。
彼らはかつて「敗者は四畳半の部屋で三食カップラーメンが食べられれば十分だ」という事も言っています。
建前は別として、リベラル派の本音は、所得税・相続税増税には反対なんです。
彼らは松下政経塾系や旧自由党系と同じく、アンチ社民主義なんですよ。

民主党の基本骨格は、あくまでも新自由主義なんです。
民主党を松下政経塾系・旧自由党系とそれ以外とに分けて考えるべきではありません。
彼らは減税と小さな政府化では完全に一致しており、一つ穴の貉に過ぎない。

2013.02.05 17:33 URL | 悪玉は民主党そのもの #- [ 編集 ]

今日の先進資本主義諸国では、格差の問題もあるけど、それ以前に格差の原因になっている高額所得自体の正当性の問題があるんですよね。
税制の累進性の破壊(再分配機能の破壊)ももちろん問題だけど、それ以前に高額所得の原因、高額所得を得る原因が非常に寄生的になって来ている。
マルクスが社会的所有の盗奪だと形容したような、投機やブラック企業の経営、アンフェアトレイドのような収奪活動が高額所得の一大原因になっているのが現代資本主義です。
レーニン的な帝国主義論的世界が終わっても、発達した資本主義体制の寄生性・収奪性はいっこうに変わらないということでしょう(生涯年俸総額が100億円をはるかに超えるようなMLB選手の高額所得なんかだって、厳密には人民収奪でしょうから問題有り!ということです)

2013.02.06 10:11 URL | バッジ@ネオ・トロツキスト #CrLMSZ1k [ 編集 ]

全体の論旨は賛成だが、タイトルがひどすぎらあ。
『アベノミクスの「反緊縮」は良いが「公助」を軽視しすぎだ』
まるで安倍が公助を少しは考えているような印象しか与えないな。このタイトルでは。
生活保護を削減した一件だけもでわかる。公助する気は毛頭ないよ。

民主党が「コンクリートから人へ」の政策と緊縮財政を間違ったという認識も正確さに欠ける。財源が足りないにもかかわらず、民主党は「コンクリートから人へ」と舵を切ったのは事実。こども手当、教育支援がそれだ。財政再建はどの党が政権をとったとしても必須の課題であった(今でもそう)。それには増税か緊縮財政かその両方かしかない。増税のつもりがなかった民主党が緊縮によるのは必然。

kojitakenさんが信奉する神野氏は民主党のブレーンだった。なのに、なぜか民主党に批判的。神野氏は「強い社会保障」を発案した。しかし、所得増税だけで強い社会保障が実現できたのだろうか、自民党の反対を押し切って所得増税先行が国会を通すことができただろうか。

kojitakenさんは民主党については収入元が悪いだけで批判し、自民党に対しては支出先がちょっと悪くても支出が大きい(反緊縮)だけで甘い評価。政権の政策を評価するためには国の予算の入りと出の双方から評価することが必要。税制の本を多読したために全体像を掴みそこなったとしか思えない。

痩せても枯れても安倍は自由主義者だ。所信表明でも「我々自身(注、国民のこと)の手によって運命を開拓するほかに道はない」と突き放した。生活保護受給者、障害者、派遣労働者、お年寄りはどうすりゃいいんだ。もっと、バーンと批判せんかい。以前、Abendの論陣をはったブロガーとも思えない。


まあ、もう一度言いますが全体の論旨は賛成です。
kojitakenさんの紹介する本は勉強になるので今度読んで見ます。

2013.02.08 00:23 URL | tarari1036 #SOQOwhaA [ 編集 ]

申し訳ないがまた文句から始めさせていただく。
>反対の極が田中角栄で、最初は列島改造論に象徴される公共事業で、首相になってからの1973年には「福祉元年」を打ち出して、社会保障重視の方向に舵を切ろうとした。つまり、田中角栄とは、保守本流とも右派とも違って、自民党の政治家としては例外的に「公助」を強く打ち出そうとした政治家ではなかったか。そう思って、このところ私は角栄を再評価しつつある

こんなことを自分と同世代のkojitaken氏が言うのを聞くと驚愕する。
田中は税金を自分の懐に入れる名人で、公共事業を利用して私腹を肥やした男である。権力を利用した詐欺師であり、最悪の政治家だ。
彼は地元を豊かにしたといわれるが、大嘘だ。彼は幹事長になり首相になって地元新潟に「公共事業」を全国一集中させたが、その間、新潟三区の住民所得は全く上がっていないのである。
読者の皆様によく知っていただきたい。「公共事業」とはこういうものである。
積極財政をしたことを評価しているようだが、この時代は積極財政の時代で、現在の基準で判断すること自体おかしい。

私は、彼の唯一の功績は新潟県の専業農家が農閑期の冬に東京の道路工事に出稼ぎに行かなくて済むようになったことだと思う。70年代的価値観であるが、家族で夕食をとることの価値は大変重要であり、日本人は世界一これを軽視していると思う。
これは感傷ではない。Kojitaken氏は、貧しくなったことが少子化の原因だという。
確かに日本のような先進国では教育にお金がかかるので、子を持つことにためらいがあるのかもしれない。一面の真理であろう。
しかし、日本は中国を除いては世界一のスピードで少子化の道を歩んだ(韓国に抜かれつつあるが)。そして貧しい国では少子化は進まない。
私は日本窮乏の原因である少子化は、家族の価値を軽視していることが第一の原因と考えている。私は価値相対主義で、特定の価値観を正しいとすることは好きではない。でもこの価値は重要だと思う。しかし、本論とは関係ないので割愛する。

今になってkojitaken氏は公共事業を批判しておられるが、時すでに遅し、である。
公共事業のおかげで日本はズタズタになってしまった。
福祉を考える余力を失わせてしまった。
日本の純債務300兆は、公共事業費の元本200兆円とその金利でほぼ説明がつく。
現在、長期国債の平均金利が1.24%といわれる。元本の部分だけとりあげても毎年2.5兆円支払っている。一般会計の税収が40兆円いかない時代に、である。さらに今後金利は上昇するはずなので、国債償還のためにさらに高い金利で国債を発行しなければならない。
税収も借金も財政上等価である、と言っていたケインズの信者には猛省してもらいたい。

無駄の排除の思想は、ここに本質がある。
非民主的な行政のシステムが絶え間なく利権を生み出し、一部の人のみが楽しめる構造を作ってきたのだ。

繰り返すが、税金は今となっては希少財である。高齢化社会の進展により現状程度の福祉水準であっても毎年1兆円社会保障費が増えてゆくのである。
成長の望めない、黙っていればデフレ化する社会なのだから、一つの分野の歳出を増やせば、当然、他の分野の税収を食ってしまう。利権排除こそが唯一の福祉への道なのである。行政改革をドラスティックに進めてゆく他はないのだ。
「リベラル」が、なぜ福祉を犠牲にしてまでも利権・既得権を擁護するのか理解できない。

所得税の重要さについては全く同感。
しかし、捕捉率の問題を解決しなければならない。欧州で間接税が導入されたのは、これが第一の原因である。イタリアを例に持ち出すまでもなく、本来所得税は捕捉しにくい税金である。日本では、自民党がこれを利用して投票数を稼ぎ、利権化したことを忘れてはならない。
「リベラル」の方々は、欧州の福祉を語る前に、血なまぐさい市民革命が起こって欧州の近代化が始まったことをもう一度想起してもらいたい。

2013.02.08 23:23 URL | greenstone #- [ 編集 ]

え~あの~巷でイエール大学の浜田さんの発言が流れいるが一つ質問いいですか。

賃金が上がらないのではという質問に対し、氏は

実質賃金は上がらないから企業の利益が増えて雇用が増えるとのこと。

いやいや問題巧妙にすり替えではまたは論理接続が見えないですよ。

日本の失業率はデフレ下でも低い水準です。またワークシェアとか言ってるが、インフレ下で市民は小さなパイを分け合えっておかしいだろ。デフレ下で失業率が上がってきているのならまだ分かりますが。

必需品を商品する人を増やすことで経済を底上げすることが失業率を減らすことの考え方だと思いますが、(これは生活保護の経済的側面に関しても)、元から低い水準が上がり雇用が増える根拠は効果は?どれほどでしょうか。株主に行かずに投資に向かう論理根拠は?

また企業も個人も将来の安定を予測して投資消費を行いますが、(公務員の消費が上がる理由や社会政策の経済的側面)自ら実質賃金が上がらないと言っていて消費が上がる根拠は?2007の輸出筋やGDP上昇時の評価は?

リーマンショック?いやいやそれこそ外国の投資に影響受けやすいのでは安定が有りませんよ。元から輸出は為替で安定ないのに。


ってコロンボさん
いつも一つじゃないんですけど。

終わり

2013.02.10 00:29 URL | 基礎固め 論理接続 #sK7dvhWA [ 編集 ]

一応、前の質問形式の氏というのは浜田氏であって主さんに対して出はないです。

少子化について掛かれていたので、追記。

先進国の少子化の原因は難しい問題ですが。開発途上国の多産の原因は大体実証されてきています。

簡単にいうと、女性の権限強化と教育です。詳しくは 貧乏人の経済学という本参照、ほかにも国連の報告書とかがあると思います。

低俗な議論する方は、だから女性の権利なんて低い方がいいんだとバカな結論しそうですが、それはおかしい。勿論国よって歴史的経緯や文化が違うため社会進出の度合い増やすかは議論がありますが、女性の知識は男性も含めて国を反映させる力、経済学的にいう技術革新や発展の文化や情報技術の知識資本です。女性が子供を育てることからも言えます。

保守がよく学校教育のエリート化を言いますが、先進国ではそれは非効率的です。そのエリートが国や経済に貢献する分野にイク可能性やそう言う心持ちまたリーダーシップを備える確率より、既に技術や情報技術が蓄積されている先進国では全体の基礎学力を上げてその中から上のような人が出る可能性の方が高いでしょう。

2013.02.10 10:57 URL | 基礎固め 前の #7OJ0xCgU [ 編集 ]

原因ではなく対策が女性の権限と教育の強化です。 文自体は整合性取れてますが論理展開を混乱させてしまいました。

すみません。

2013.02.10 18:11 URL | 基礎固め ミス #7OJ0xCgU [ 編集 ]

体調が優れていなかったんでコメントが大いに遅れちゃったんだけど(汗 、このエントリが上がったのと前後して與那覇潤氏のツイートを連想したんですよね。
http://twilog.org/jyonaha/date-130203

橋本健二『「格差」の戦後史』 http://amzn.to/Y2QV6H から戦後の階層社会を論じているんだけど、與那覇氏(そして橋本氏)によれば戦後の一億総中流ってのは意識としては共有されていても、その実データを詳しく見てみると学歴によるカースト制度が残っていたり、また80年代以降バブル期でも格差は拡大しているなど必ずしも「総中流」とは言い難かったと言う訳です。で、まさにその「一億総中流」と言うイメージとは裏腹に格差が拡大している最中に起きたのが、労働組合への批判であったり福祉や公共事業などのバラマキ
・既得権益・特権批判だったりします。

與那覇氏の言を借りると、現在の政界(更には経済界やマスコミ・学会など)の主流って「マジョリティたる都市サラリーマンこそ実は被害者、という自画像」の上に問題意識を形成していて、既にその自画像が虚像に成り果てているにも関わらず、一方では被害者意識から抜け切れず他方ではノスタルジーに満ちた目で憧憬を抱いては非現実的なロマンティズムに走っている様に傍目には見えるんですよね。そして、その自画像が崩壊した後に社会に出た世代がツケを払わされて、彼らも彼らで喪失感を不満に変えて極論に走っているってのが現実ではないかと。

2013.02.10 23:25 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

 デ~ブ大久保・仙一コンビのいるところに大谷が行かなくてよかった。

2013.02.11 13:57 URL | 大阪維新府議補選も自民を下し議席奪取 #- [ 編集 ]

さんざん トゴーサンだのクロヨンだのといって直間比率を是正しましょうといっておいて、今になって消費税に反対するのはいかがなものか。

インフラの維持補修は必要だし、財政には限界がある。社会保障を削らずして何を削るというのでしょうか。予算に占める比率が高すぎるでしょう。高齢化はますます進むんだし、現状の社旗福祉国家を維持したら、そのつけは将来世代に先送りだよ。もっともここに投稿している方々は年齢的にいっておそらく団塊世代に近い逃げ切り世代、あとは野となれ山となれの言いたい放題ですな。

2013.02.13 23:45 URL | #- [ 編集 ]

>インフラの維持補修は必要だし、財政には限界がある。社会保障を削らずして何を削るというのでしょうか。

まずは、住宅ローン減税なる持てるものをさらに富ます政策をやめるべきでしょうね。

>そのつけは将来世代に先送りだよ。

ではその将来世代は福祉も社会保障もなしでOKなんでしょうね。

2013.03.09 13:18 URL | Executor #- [ 編集 ]

教育資金の孫への生前贈与の非課税って、いつ決まってたんですか?
(…ちゃんと、自分でニュースチェックしろよ!)
くさった元社会学徒としては、ブリュデューのリプロダクション(再生産)ってのを思い出したのだけど、その再生産を政府がより確固たるものにしてどうすんの?
成り上がりの星、橋下氏は何も言わなかったの?

2013.04.02 07:54 URL | suterakuso #- [ 編集 ]













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