麻生首相や自民党がダメなのはもう当たり前であって、そんなわかりきったことを連呼する気にはもはやならなくなっている。最近どうしても気になるのは、一昨年の参院選で民主党の候補者を色分けして、リベラルな候補者を選別して当選させようとする運動もあった「リベラル・市民派」ブログシーンの主流が、3人の教祖を崇め奉るカルト宗教と化していて、それに異を唱える言論がきわめて少ないことだ。
もちろん一昨年にも新社会党系の「9条ネット」に入れ込むなど、極端に走る傾向はあった。その背景には、70年頃までの学生運動を知っている世代の人たちの一部に、共産党に対する拒絶反応があって、それで新左翼系の人たちが社会党を左から割った新社会党系の「9条ネット」に乗り、その広告塔となった天木直人氏を、ノンポリの「野党共闘」論者たちが熱烈に応援したのである。
「わかりやすさ」を求めるノンポリの人たちは、トンデモに容易に乗る傾向がある。一時期かなりのアクセスを集めた「4つの目」がどうこう、というブログがあったが、そんなところに入れ込んでこれをPRしたブログがあったので、当ブログは「ネットに横行する「トンデモ」や「陰謀論」を批判する」(2007年12月23日付)と題したエントリでこれをたしなめたことがあった。幸い、「4つの目」どうこうというブログは、最近登録者のみ閲覧できるブログに衣替えしたようだ。ケムトレイルだか地震兵器だかのトンデモ記事が、普通にはアクセスできなくなったのは歓迎すべきことだ。
先日、共産党の不破哲三前委員長が書いた『マルクスは生きている』(平凡社新書、2009年)を読んだが、不破氏は地球温暖化を資本主義が生み出した「究極の災害」としてとらえている。池田信夫を筆頭にしてネットの左右で蔓延している「地球温暖化陰謀論」などもちろんとらない。民主党も、温室化ガス削減の2020年中期目標を、1990年比25%削減とする公約を掲げているが、中でも福山哲郎参院議員は、地球温暖化問題をライフワークにしたいと語る政治家だ。福山氏は、5月の民主党代表選をめぐって、長妻昭衆院議員らとともに、小沢一郎に怒鳴り上げられたと報じられ、前原・枝野グループに属しているため、一部の人たちから「反党分子」との烙印を押されかねない人物だが、もちろん小沢一郎や鳩山由紀夫などよりよっぽどリベラルな人である。
1990年比25%削減というのは民主党の公約だから、小沢一郎や鳩山由紀夫だって「地球温暖化陰謀説」なんかにはもちろん与しないのだが、それでも信者の一部には陰謀論が蔓延している。現在の温暖化仮説が正しいかどうかには科学者たちからも異論があるのは確かだが、誤りが証明されれば行動を改めれば良いだけの話で、仮説がかなりの確率で正しそうなのに対策をとらなかった時の破局を、後から悔やんでもどうしようもないのである。自分が生きている間には破局なんか起きないからどうでも良い、というのは新自由主義者のよくする発想である。私など、日本をぶっ壊すことが確実になってから総理大臣の職を辞し、今度の選挙では国会議員も辞めて次男に世襲させようとしているコイズミは、「我亡き後に洪水よ来たれ」と思っているに違いないと邪推している。
話が脱線してしまったが、共産党はマルクスの「科学的社会主義」を信奉しているだけあって、上記の不破前委員長の例を挙げるまでもなく、トンデモには影響されにくく、共産党支持者が陰謀論に入れ込んでいる例も、中には見かけるがごく例外である。トンデモはかつての新左翼を経て、現在では民主党の支持者に流れ込む傾向が強く、民主党の参院議員に「9・11陰謀論者」の藤田幸久参院議員がいることはよく知られている。もちろん民主党が党としてトンデモを信奉しているわけではないことは当然だ。
昨日のエントリで槍玉に挙げた「平成海援隊 Discussion BBS政治議論室」だが、同BBSの常連投稿者である謎のカスパール・ハウザーさんによると、
とのことで、同BBSでも「カルトもどき」を淘汰する自浄作用があったようだ。そうした努力があったことも知らずにBBS全体を槍玉に挙げてしまったことは申し訳なく思う。そして、カスパールさんいわく、白川勝彦氏の、かつての『リベラル掲示板』に、カルトもどきが山ほどいたのを思い出します。
それが淘汰されたのが、平成海援隊掲示板であると言ってよいと思います。
とのことだから、いただいたアドバイス通り長い目で見守りたいと思う。それにしても、教祖さまの一人が「故人献金」問題を起こしたり、別の教祖さまが悪名高いトンデモ本の著者と共著を出しても、誰も咎めないどころか、「誰と共著を出そうがどうでも良いだろうが」と反論される。だが、共著の相手から著者のスタンスを判断するのはごく当たり前のことだ。平和主義者がヒトラーと共著を出すことなどあり得ない。朝日新聞の主筆・船橋洋一に竹中平蔵との共著があることを批判するのであれば、教祖さまがトンデモ本のライターと共著を出すことを黙過していてはならないだろう。いっときのブログのアクセス数急増や印税収入と引き換えに、知識人としての前途を自ら閉ざしてしまうのを、私などは(決して皮肉でなく)惜しむのだが、自分から選んだ道だからどうしようもない。小沢騒動以来、カルト系投稿が跋扈し始めた某掲示板ですが、あれはトンデモ本信奉者の津波現象であることに気づきました(笑)
それに気づかせてくれた、某掲示板の浮船亭田中屋氏と善人なおもて氏の両コテに感謝です。
トンデモとは一線を画した「リベラル・市民派」のブログがもっと現れてほしいと思う今日この頃である。「リベラル・市民派ブログシーン」にも、重い閉塞感が漂っている。
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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090702k0000m010028000c.html
上記リンクの毎日新聞記事から引用する。
閣僚人事:経済財政担当相に林芳正氏 東国原氏入閣見送り
麻生太郎首相は1日、与謝野馨財務・金融担当相が兼務している経済財政担当相に自民党参院議員の林芳正前防衛相を、佐藤勉総務相が兼務している国家公安委員長・沖縄・北方・防災担当相に自民党の林幹雄幹事長代理を充てる閣僚補充人事を決めた。河村建夫官房長官が同日夕の記者会見で発表した。2日に認証式を行う。
麻生首相は次期衆院選へ向けた自民党の「選挙の顔」に、と東国原英夫宮崎県知事の閣僚起用も検討していたが、見送った。自民党の細田博之幹事長ら党役員を交代させる人事も検討したが、党内の強い反発を受け断念した。
(毎日新聞 2009年7月1日 18時16分(最終更新 7月1日 18時37分))
麻生太郎首相は、党役員人事も東国原の入閣も最初から考えていなかったような言い方をしているが、毎日新聞の記事にある通り、党内(清和会)に動きを封じられたものだろう。これには、東国原の入閣構想に怒り狂っていた私も脱力するしかなかった。麻生首相も腹立たしいが、それ以上に清和会はもっといまいましい。
一方の東国原はますます権力欲をむき出しにしており、その言動はエスカレートする一方だ。
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009070101000988.html
東国原氏「僕が行けば負けない」 自民出馬要請で
宮崎県の東国原英夫知事は1日、高千穂町で開いた県民との対話集会で、自民党から立候補を要請されている次期衆院選に関し「僕が行けば自民党は負けない。負けさせない。負けたら地方分権ができない」と述べ、立候補した場合は政権交代阻止に全力を挙げる考えを示した。
自民党を選択した理由として「民主党は次期代表選で私を選ばないだろう。自民党総裁になる方が可能性、確率は高い」と説明。次期党総裁候補にすることなど、自らが提示した条件を自民党が受け入れた場合について「(国民は)党が変わった、変革したと思うだろう」と指摘した。
一方で、いまだに自民党からの回答はないとした上で「国政に行きたい、国会議員になりたいとは思っていない」と述べ、党側の対応次第では不出馬もあり得るとの姿勢を強調した。
(共同通信 2009/07/01 19:40)
「民主党は次期代表選で私を選ばないだろう。自民党総裁になる方が可能性、確率は高い」とは、誰もが口あんぐりだろう。これでは東国原は自分から自民党の国会議員になる道を閉ざしているようなものだ。ここまで馬鹿にされては、さすがの自民党も「三顧の礼で迎え入れる」わけにはいくまい。
こんなニュースに接すると、ブログを書く意欲もそがれてしまう。そして、麻生首相や東国原の動きに対してだけではなく、反自公の側の言論にも私の意欲をそぐ材料が山ほどある。
ネットでは一部の反自公の言論がますますカルト化している。一部の冷静な投稿者から「長い目で見て欲しい」とのアドバイスも受けている「平成海援隊 Discussion BBS政治議論室」だが、カルト化した投稿者たちの書き込みを見ていると、「ネット右翼の左版」としか思えない惨状に言葉を失う。
たとえば、下記のスレッドなどがその典型だ。
http://www2.realint.com/cgi-bin/tarticles.cgi?Hkaientai+26026
これなど、最初の書き込みからして妄想に基づいて書かれたものだが、信者たちが次々と追従している。カスパール・ハウザー氏が冷静なレスを入れ、オウム真理教に関するリチャード・コシミズのトンデモ(コシミズによると、オウムは層化や統一の武装戦隊とのことで、サリン事件は層化グループがオウム信者に無実の罪を押しつけたもので、コシミズの言葉を信じればサリン事件は恐ろしい冤罪だったことになる)の例を引いているが、その含意するところが信者たちには全く理解できていない。
あげくの果てには、「政権交代の3種の神器は小沢一郎先生、鳩山先生、植草先生だと思っていました」などという書き込みまで現れた。私には、現在「故人献金」が問題となっている鳩山由紀夫は、どんなに肯定的に言っても岡田克也と同質の保守政治家としか思えないのだが(少なくとも安全保障問題に関しては岡田克也のほうがずっと穏健だ)、小沢、鳩山、植草の三氏を神のように崇め奉る信者には、教祖さまたち以外の声は何も耳に入らない。これが、「マスゴミは本当のことを伝えない。本当のことはネットで知る」と言っている人たちの実態なのである。それに、元来は左派で、まともなことを書いていた人までもが感化され、「自民党を応援するのは岡田克也民主党幹事長のみ」などと言い出す。なんたる素晴らしい知性だろうか!
上記は、ネット右翼ともども、日本のネット言論がいかに未成熟かを示す例だろう。ブログで記事を書いても書いても、こんなのばかりが雨後のタケノコのごとく次から次へと出てくるのだから、ブログを書く意欲がそがれようというものだ。当ブログはもう少しは今のペースで続けるが、どこかで運営を見直したいと思っている。
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まず、田母神俊雄が、8月6日の原爆記念日に、「ヒロシマの平和を疑う」と題した講演会を計画していることが報じられた(毎日新聞記事参照)。この講演会は、「日本会議広島」主催で、会場はなんと原爆ドーム近く、広島市中区のメルパルク広島である。
これに対して広島市の秋葉忠利市長は29日、「被爆者ら市民の心情に配慮して日程変更を検討してもらいたい」とする要請文を、田母神と日本会議広島に送ったが、日本会議広島の井坂信義なる人物は「核兵器廃絶こそが私たちの願い。理想は同じでもいろいろな考え方があり、議論すらするなというのは言論封殺だ」とコメントした(上記リンク先の毎日新聞記事による)。
私の知る限り、プロ野球の広島東洋カープは、8月6日には原爆ドームのすぐ近くにある広島市民球場では主催ゲームを行わなかった。主催戦が行われる日程が組まれても、6日の試合は呉や福山、あるいは隣県岡山の倉敷マスカットスタジアムなどで行っていた。新球場に移転した今年以降も、おそらく同様なのではないだろうか。また、「kojitakenの日記」にkyotokyotoさんから寄せられたコメントによると、
とのことだ。原爆記念日は、静かに犠牲者たちを悼む日である。日本会議広島は秋葉市長の要請に「言論封殺だ」などと反発するが、秋葉市長は何も講演会を行うなとは言っていない。市民感情に配慮して日程を変えよと言っているだけだ。日本会議広島の井坂信義の言うことは、「信義」なる名が泣く、まるでやくざのような言いがかりである。腹が立って仕方がない。広島では8月6日はたしかプールも休みだったはず。海での遊泳も推奨されません。
それはあの日、水を求めて数多くの人が苦しみ命を落としたことを配慮してのこと。
もう一つ不愉快きわまりないのは、毎日新聞が一面トップで報じている、「東国原知事の入閣で調整 分権改革担当を検討」というニュースだ。記事の冒頭部分を引用する。
麻生首相:東国原知事の入閣で調整 分権改革担当を検討
麻生太郎首相が閣僚人事で、次期衆院選に自民党公認候補として擁立を打診している東国原英夫宮崎県知事を入閣させる方向で検討していることが6月30日分かった。首相は閣僚の兼務解消などに伴う人事を一両日中に断行する方針で、東国原氏を地方分権改革担当などのポストで処遇することで調整している。衆院選に向け、国民的な人気の高い東国原氏を自民党の「選挙の顔」にすることで、民主党に対抗するのが狙い。
首相は6月30日、人事について、「しかるべき時に、しかるべき方をと、前から考えてはいました」と記者団に語った。(後略)
(毎日新聞 2009年7月1日 2時30分)
もちろん今朝から民放テレビの、ニュース番組というよりワイドショーに近い番組はこの話題で持ちきりで、テレビ朝日の三田園訓は自民党と東国原を激しく批判していたが、コメンテーターの中には東国原を擁護する者もおり、何より自民党は東国原を比例代表東京ブロック1位で処遇する方針とのことだから、大阪と並ぶ「B層」の巣窟である東京では自民党の票がかなり増える恐れがある。せめてもの救いは、衆議院の比例区が参議院の「非拘束名簿式」ではなく「拘束名簿式」であることで、比例区に東国原の名前で投票しても無効票になる。一昨年の参院選で、「比例区は天木直人、選挙区では好きな政党を」などという素っ頓狂な呼びかけをしたブログがあり、当ブログはその妄言とともに「非拘束名簿式」の弊害を厳しく批判し、それがもとで一部のブログ連とやり合ったことがあるが、衆議院選挙の比例区が「非拘束名簿式」であれば東国原の名前を書くB層都民が続出したことは間違いない。
それにしても、東国原を自民党のカイカク派(反麻生)と反カイカク派(親麻生)が争奪戦を繰り広げている形だが、注意すべきはいざ総選挙となればカイカク派も反カイカク派も同じ自民党であり、彼らは党内抗争を自らの得票につなげることが得意中の得意であることだ。
普段は良識的なコメントをしていた加藤洋一・朝日新聞編集委員までもが「コイズミさんの夢をかなえてあげたいですね」と口走った4年前の郵政総選挙の時と今は明らかに空気が違い、東国原についてはテレビのコメンテーターでも評価が分かれるし、B層の多い都民といえど、いくら東国原が熱弁をふるっても「自民党」と書くのは抵抗がある人が多いだろう。だが、これまでの東京都知事選、大阪府知事選などを思い出しても、当初は野党の対立候補者の善戦が予想されながら、選挙戦が進むにつれてどんどん石原慎太郎なり橋下徹などの勢いが増し、最終的には彼らの圧勝に終わったことが忘れられない。彼らの圧勝をもたらしたのはマスコミであり、都知事選の時には一時「護憲派」を自認していた芸能人・藤原紀香があっさり石原応援団に加わったし、府知事選の時には大阪の民放やスポーツ紙がいっせいに橋下を応援した。今回は、東京では東国原、大阪では(選挙とどういうかかわり方をするのかは知らないが)橋下を連日民放やスポーツ紙などが大々的に応援し、最終的には藤野真紀子や川条志嘉らまでまさかの再選を果たしてしまう悪夢もちらりと脳裏をよぎる今日この頃なのである。
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だが、テレビが政局の話題で大騒ぎすればするほど、気が滅入ってしまう。先週金曜日のエントリにいただいたコメントで観潮楼さんが指摘した通り、今回の東国原・橋下騒動の本質は「争点から『脱改革・反貧困』を露骨に外す」ことにある。騒げば騒ぐほど彼らの狙いにはまってしまう。なんでこんなひどい政治になってしまったのかと思う時、「90年代の政治改革の失敗」という言葉が頭に浮かぶが、朝日新聞の一色清も星浩も、「政権交代のできる態勢ができたのは良かったのだが」という言い方しかしない。ブログで選挙制度をめぐって自民党と民主党が定数削減を競う動きを批判しても、結構コメントはいただくけれども、他のブログを見渡しても、共産党支持ブログ以外でこの件を積極的に取り上げようとするところは数えるほどしかない。政権交代が実現したって、カイカクが続いて格差拡大がますます進んでしまっては意味がないのである。ましてや、自民党内の麻生降ろしなど、本当にどうでも良い。昨日は塩崎恭久がテレビに露出していたが、愛媛1区の状況は必ずしも塩崎にとって芳しくないことを思い出した。自民党の党内政局は、自民党の政治家にとって売名の絶好のチャンスであり、それにブログまでもが手を貸してやることは何もない。
気の滅入る「政権交代」前夜とはいえ、それでも期待があるとすれば政権交代による「情報公開」の前進だろうか。1960年の日米安全保障条約改定時の核持ち込み密約について、村田良平・元外務事務次官が新聞各社の取材に対しその存在を認めたが、河村建夫官房長官は相変わらず密約の存在を否定する。記者団に質問を受けた河村氏は、「政府見解だからしょうがない。文書そのものがないことになっている。ないものは出せない」と投げやりに答えた。言外に「これは建前ですよ。皆さんおわかりでしょ。私の職務権限では『ある』とは言えないんですよ」と匂わせている、というより露骨に言っている。政権交代が目前になると官房長官の態度もこうなるんだな、と思わせる。民主党の岡田克也幹事長は、以前から「沖縄密約に限らず、政権交代をしたら情報公開を徹底する」と明言しているし、毎日新聞社説は「日本の安全保障政策の根幹にかかわる問題をいつまでも隠し続けているのは外交に対する国民の信頼を得るうえで大きなマイナスである」、朝日新聞社説も「国民に信頼される外交を育むためにも、もうほおかむりは許されない」と書くが(読売新聞は取り上げていないw)、それでも政府は認めない。この情報公開くらいは、政権交代が起きたら実行され、過去に岸信介や佐藤栄作らが行った犯罪的な密約が明らかにされて安倍晋三がダメージを受けることだろう。
政権交代が起きれば実現できることと、自民党と民主党の間の政権交代では永遠に実現できないことがある。後者を改めるためには、選挙制度を比例代表重視に改変するしかないと思うが、民主党支持ブログがこの件について議論さえしない現状では、みすみす民主党を「第二自民党」にしてしまうだけだろう。
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その前、金曜日のテレビ朝日「放送ステーション」では、時々同番組に出演する寺島実郎が、東国原と橋下の妄動を厳しく批判した。寺島氏は、4年前の「郵政総選挙」同様のワンフレーズ選挙にするな、「地方分権」のワンフレーズで、さまざまな国政の課題をそっちのけにしてしまうと、日本の行く末を誤りかねない、と強い調子で語り、前日(木曜日)に東国原と橋下を手放しで賛美した古舘伊知郎は憮然とした表情を見せた(ざまあみろ)。4年前の「郵政総選挙」の時とは違い、権力側の妄動に反撃する姿勢を見せる知識人がいることに救いを感じた。
東国原がアドバルーンをぶち上げた直後には、「次の総理大臣は誰が良いか」とのテレビ局の街頭インタビューで東国原が鳩山由紀夫と麻生太郎を大きく抑えたが、これもわずか数日で勢いがしぼんだ。古賀誠が東国原を訪れて衆院選出馬を要請したのが6月23日で、前記の街頭インタビューはその日に行われたものだが、その2日後にフジテレビが首都圏で行った調査では、「次の総理大臣」の人気調査で東国原は鳩山由紀夫(15.0%)はおろか、舛添要一(8.4%)や岡田克也(7.8%)より下の4位(7.6%)だった。5位はコイズミ(5.8%)で、麻生太郎はやっとこさ6番目だ(4.6%)。売名パフォーマンスで売った鳩山邦夫は3.0%しかなく、橋下徹に至ってはわずか0.8%だった。もちろん大阪でインタビューすれば橋下はもっと多いのだろうが、全国区での人気はまだ知れている。ただ、橋下の場合はひとたび口を開けば勢いで人を引っ張る能力を持っていることは、山口県光市母子殺害事件の弁護団の懲戒請求をテレビで煽った時の実績から明らかだから、強い警戒を要すると思う。橋下がアジった番組は、首都圏では放送されていないやしきたかじん司会の極右番組で、読売テレビ(大阪)が製作して首都圏以外の日本の大部分で放送されている。庶民の町と言われて人々の反骨精神が旺盛で、かつては自民党の支持率も低かった大阪から、こうした極右のうねりが生じていることは、まことに嘆かわしい限りだ。
その橋下にも、古賀誠から衆院選出馬の要請があったことが報じられている(産経新聞記事参照)。東国原と違ってここで大はしゃぎしなかったのが橋下のしたたかなところだ。東国原は、自民党の「カイカク勢力」に決起を呼びかけるなど、舞い上がった言動をとり、「なんで自民党にすり寄るんだ、みっともない」という印象を視聴者(笑)に与えたことがマイナス材料となった。「郵政総選挙」でコイズミを応援した伊藤洋一が東国原には最初から冷淡だったことは6月25日付エントリ「静岡県知事選・東京都議選で苦戦の自民党と、東国原の野望」で書いた通りだが、それだけに古舘のはしゃぎぶりには狼狽した。だが、情勢は東国原や古舘が望むような方向には必ずしも進んでいないようだ。日曜日の「サンデープロジェクト」は、私は見ていないが、聞くところによると、出演者はみな東国原らの妄動には冷淡だったそうだ。
そして、昨日の日曜日に投開票が行われた横須賀市長選では、コイズミや公明党、それに自民・民主の一部や連合などが応援した現職の蒲谷亮一市長が無所属の前市議・吉田雄人氏に敗北した。既に元首相・安倍晋三の地元下関市でも安倍系列の候補者が完敗しているが、その波は「カイカク」の本丸・コイズミの地元にも及んだということだろう。そんなコイズミ系列の蒲谷市長を、連合や(一部とはいえ)民主党も応援していたことは、70年代末からずっと続く地方自治体での共産党を除く「オール与党」体質が今も続いていることを示すが、民主・社民両党や連合などは、こんな時代錯誤から一刻も早く脱却してもらいたい。いくら「自公民相乗り」だろうが、「現職」というだけで住民の反感を買って敗れるのが最近の地方選挙の特徴だ。下関で安倍系列、横須賀でコイズミ系列が敗れたのは、「現職」が忌避されたためだろう。もっとも下関の場合は現職の江島潔が出馬せず、後継候補が敗れたのだが、江島が出馬しなかったのは、立候補しても勝てないと判断したからだと言われている。
東国原人気がいまいち盛り上がらないのも、東国原が「自民党のカイカク派」なんかに決起を呼びかけたりしたからだろう。なんだ、東国原は自民党とつるんでいるのかという印象を視聴者に与えると、それだけで人気はしぼんでしまう。橋下徹はそんなことは百も承知しているから、自民党からアプローチを受けていながら、民主党に色目を使うなどの手練手管を使う。それにまんまと引っかかる鳩山由紀夫や菅直人も情けないが、日曜日のフジテレビの番組では、民主党の岡田克也幹事長が「東国原がやっていることは、郵政総選挙におけるコイズミの『刺客作戦』と同じだ」と批判したそうだ。鳩山由紀夫が「反自民」で岡田克也が「親自民」だなんて言ってたのは誰だ、と嫌味の一つも言いたくなる。
電波芸者たちの話題の的は、麻生首相がいつ解散するか、そのことばかりだが、私はもういい加減にこの話題には食傷しており、そんなことはどうでも良いと思えてきた。ブログへのアクセス解析を見ていても、土曜日には「棚橋泰文」を検索語にしたブログへの来訪が少しあったが、この売名屋が「麻生降ろし」の声をあげていたであろうことは、アクセス解析を見て見当がついたし、実際その通りだった。
政策そっちのけで、対民主党及び自民党内の謀略合戦ばかりが繰り広げられている現在の醜態こそ、「郵政総選挙」で有権者が自民党に圧倒的な多数を与えたことの結果だ。ありもしない「カイカクの断行」なんかに期待してコイズミに騙されたから、こんなことになった。麻生首相がいつ解散しようが遠くない先に必ず行われる総選挙では、今度こそ騙されないようにしたいものである。
[追記]
読売新聞で読んだのですが、フジテレビで東国原を批判した岡田克也も、他の番組では橋下に容認的な発言をしていたそうです。これでは鳩山由紀夫や菅直人ともどもダメですね。
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橋下大阪知事、中田横浜市長らが政治グループ立ち上げ
大阪府の橋下徹知事は24日夜に東京都内で横浜市の中田宏市長らと会談し、地方分権の推進を目指す自治体首長らで政治グループを結成することを正式に決めた。次期衆院選の各政党のマニフェスト(政権公約)を精査し、グループとして支持政党を表明したい考えだ。
関係者によると、会談には中田市長のほか、松山市の中村時広市長と神奈川県開成町の露木順一町長が参加。「20人程度の首長が賛同している」(知事側近)としており、今後、ほかの首長にも参加を呼び掛ける。
一方、横浜市の中田宏市長は25日、橋下徹大阪府知事らと共同で地方分権の推進などを目指す自治体首長の政治グループについて「各党の公約やマニフェスト、実行力を検討したり、(自分たちで)出したりする」と説明した。ただ次期衆院選に向けた支持政党の表明は「誤解を生む」として否定的な考えを示した。
(NIKKEI NET, 2009年6月25日 11:04)
テレビ報道は、「地方分権」グループ結成などと橋下らを持ち上げていた。特に、4年前の郵政総選挙を前にしたテレビ討論で、郵政民営化に反対する共産党議員の発言を大声でさえぎり、郵政民営化に賛成する立場から自分の意見を述べる「異様な司会ぶり」を見せた古舘伊知郎(2005年9月3日付「しんぶん赤旗」参照)は、手放しで橋下らを賛美していた。それだけでテレビを見るのが苦痛になった。
東国原は自民党にアプローチしているが、橋下は民主党に色目を使って揺さぶりをかけている。「報道ステーション」が言うには、「首相周辺」は、東国原は買っているが橋下を警戒しており、「橋下や中田宏が支持政党を表明するらしいが、そんなことを許しても良いのか」と言っていたとのことだ。やはり橋下徹は東国原英夫とは違ってしたたかである。
橋下らの言う「地方分権」の主張はたいしたものではなく、自民党にも民主党にものめる程度のものだとテレビのコメンテーターは言う。そして、大阪で橋下が行っていることは福祉の切り捨てであり、職員とサービスを削って府の資産を売却した結果達成した「黒字化」など、橋下自身が認めるとおり「ほめられた話ではない」。だが、この件で橋下には「ろくでもないことをやっている自覚がある」とブログで叩いたところ、橋下信者たちから猛烈なバッシングを受けた。橋下信者いわく、論理のすり替えだと言うのだが、「職員とサービスの削減」が「ろくでもないこと」でなくて何なのか、と言いたい。当ブログは、小沢一郎を批判した時にもバッシングを受けた経験があるが、橋下を批判するたびに受けるバッシングの強さは小沢を批判した時の比ではなく、橋下信者のパワーもさることながら、その数の多さには呆れるばかりだ。橋下でほめられるのは、世襲政治家ではないことくらいだと私は思う。
だが、世間一般の評価はそうではなく、橋下は大阪府民以外からも熱狂的な支持を受けている。だから、もし橋下が自民党支持をはっきり打ち出したら、「政権交代」など吹っ飛んでしまうだろう。昨日も書いた通り、橋下が自民党を支持する大義名分も思いつかないのだが、ニュースでは「グループ結成」などと言っているから、彼らは別に自民党でなくて新党でも構わないのだろう。そして、東国原は自民党のカイカク派に決起を呼びかけた。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090625k0000e010057000c.html
東国原知事:「自民党改革派決起を」首長グループには期待
次期衆院選に出馬の意欲を見せている宮崎県の東国原英夫知事は25日、県庁で記者団に対し「自民党の改革派にぜひ、決起していただきたい」と述べた。また、大阪府の橋下徹知事らが地方分権のために首長グループを結成する動きには「橋下知事とは意思疎通はできている。理念・信条は同じだ」と期待感を示した。
知事によると、現在は自民党の返事を待っている状態だといい「これは地方の反乱。地方対国の戦いである。国民に関心を持ってもらいたい」と話した。
県庁に寄せられる意見で出馬に反対が約8割と圧倒的なことには「実態を反映していないのではないか。組織票も考えられる」と述べた。
知事は、自民党の古賀誠選対委員長が要請した立候補の条件に、▽自らを総裁選の候補とする▽全国知事会の要望を次期衆院選の党政権公約に盛り込むことを求めている。【石田宗久】
(毎日新聞 2009年6月25日 13時41分 更新:6月25日 15時8分)
思い出されるのが昨年旗揚げした「せんたく」(「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」)だ。北川正恭や東国原らが発起人になって発足したこの「せんたく」を、当ブログは昨年1月22日付エントリ「民主党の気の緩みと新自由主義勢力の猛反撃」で、下記のように批判した。
それにしても、ここにきての新自由主義勢力の巻き返しはすさまじい。北川正恭、東国原英夫らが発起人となって発足した「せんたく」(「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」)もその一環だと私は見ている。北川自身、90年代前半の「政治改革」の局面における新自由主義のプレーヤーだったし、徴兵制などの極右的発言を繰り返している東国原や、東京都知事選で石原慎太郎と相互応援した神奈川県知事の松沢成文が加わっていることから、この連合は新自由主義と新保守主義、それに東国原に象徴されるポピュリズムが合体した性格を持つと私は考えている。これは、地域・生活者起点どころか国民生活の破壊につながるものだ。こんな勢力の台頭を許してはならない。
(当ブログ2008年1月22日付 「民主党の気の緩みと新自由主義勢力の猛反撃」より)
今回の東国原らの動きは、まさにこの「新自由主義と新保守主義、それに東国原に象徴されるポピュリズムが合体した性格」を持つ運動である。それを、古舘伊知郎が手放しで賛美する。コイズミ劇場の悪夢が脳裏をよぎる。それなのに、鳩山由紀夫はのんきに「東国原の考えは民主党と同じ」などと言う。それどころか、読売新聞の報道によると、鳩山や菅直人は橋下らとの連携に意欲を示したという。かつて2001年に鳩山がコイズミに「共闘」を呼びかけ、カイカク競争をやったことが思い出される。せめて小沢一郎だったら鳩山のような間抜けなリアクションはしなかったのではあるまいか。
それにしても呆れるのは自民党の「カイカク派」に決起を呼びかける東国原の発言で、カイカク派というと中川秀直だの小池百合子だのの不愉快な顔しか思い浮かばないし(コイズミは引退するから除外)、場合によっては鵺(ぬえ)のような安倍晋三もその中に加わるかもしれない。だが、ほかならぬこいつらが新自由主義政策を進めて地方の経済と生活を破壊したから、地方は疲弊して、自民党の党勢も衰退したのである。「地域主権」を旗印にする人間が、なぜそんな奴等に決起を呼びかけるのだろうか? 東国原の言う「地域主権」など単なる方便に過ぎず、その真の狙いは新自由主義の逆襲だとしか私には思えない。
これまで解散について聞かれても何も語らなかった麻生太郎首相が、昨日突然、解散について「そう遠くない日だと思う」と言い出したが、これはカイカク派の逆襲を封じる狙いがあるものと思われる。麻生は、民主党を利するような解散はやるつもりはなかったが、「カイカク派」に寝首をかかれる危機が迫れば話は別だ。一刻も早く「バカヤロー」と叫んで衆議院を解散してもらいたい。さもなくば、麻生よりずっと悪質な国民の敵である「カイカク派」にしてやられてしまうだろう。
[追記]
観潮楼さんのコメントにある、「争点から『脱改革・反貧困』を露骨に外すのが狙い」という指摘が、今回の東国原・橋下騒動の本質を突いていると思います。
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なんでも、騒動勃発の翌日にテレビ局が街頭で「総理大臣にふさわしいのは誰か」と聞いたところ、東国原は、2位の鳩山由紀夫や3位の麻生太郎を大きく引き離して1位だったそうだ。なぜ東国原を支持するかというと、「何かやってくれそうだから」と、選挙民が有名人を選ぶ時の典型的な回答が返ってきた。鳩山由紀夫や麻生太郎は何もやってくれそうにないらしい(笑)。
だが、そんな鳩山由紀夫や民主党でも、麻生太郎や自民党と比較すると「何かやってくれそうだ」と思われているようだ。今週号(7月5日号)の「サンデー毎日」は、電話調査の結果、民主党の分裂選挙になった静岡県知事選で、民主党推薦の川勝平太氏が、自民党推薦の坂本由紀子氏をわずかに抑えてリードしていると伝えている。この選挙では、民主党の元参院議員・海野徹氏と共産党推薦の平野定義氏も立候補しているが、川勝・坂本両氏に遠く及ばない情勢だ。
さらに同誌は、東京都議選でも与党の過半数割れを予想している。当ブログは、2か月前に同誌に載った予想を、間の悪いことに月曜日(22日)付エントリ「東京都議選と大型補正予算と麻生太郎と」で紹介したが、2か月前には民主党が議席を伸ばすものの自民党が第一党確保という予想だったのに、最新号では自民党39議席(5月3日号では45議席)、民主党48議席(同42議席)、公明党23議席(同23議席)、共産党12議席(同12議席)、生活者ネット2議席(同3議席)、諸派・無所属3議席(同2議席)となっており、微妙な情勢ながら自公が過半数割れするとの予想に変わった。麻生太郎首相が必死に都議選の応援に駆け回る気持ちもわかろうというものだが、応援先でも得意の言い間違いをするありさまで、逆効果かもしれない。なんでも、「惜敗を期して」と言ったそうだが、まさにその「惜敗」の予想が出ているというわけだ。
8月2日か9日の衆院選投票にするためには、天皇の外遊日程を考慮すると、7月2日までに衆議院を解散しなければならないそうで、優柔不断の麻生が静岡県知事選や東京都議選を前に決断を下せるとはとても思えない。だが、ここで決断しないと麻生は実質的に解散権を失う。東国原英夫は、自民党が窮地に陥っているのを見て、売名の絶好のチャンスだと思って攻勢に出ているが、果たしてどうなるか。4年前の「郵政総選挙」の時にコイズミを応援していた伊藤洋一は、「東国原さんはなぜ自民党にすり寄るのか。東国原さんも自民党もみっともない」とコメントしていた。テレビに応援されない東国原で「コイズミ劇場」の再来を起こすのは難しいだろう。ただ、警戒すべきは橋下徹であって、橋下が自民党を応援すれば情勢は一変する。とはいえ橋下が自民党を応援する大義名分が思い浮かばない。自民党が東国原の言う、「全国知事会がまとめた地方分権のマニフェストを一言一句、自民党のマニフェストに盛り込む」という条件を呑んで、自民党がカイカク者づらするのだろうか?
東国原にしても、自民党総裁選には国会議員でなければ立候補できないから、自らの野心のためには、まず衆院選に立候補しなければならない。しかし、衆院選で与党が過半数を確保すれば、これほど「政権交代」が必至といわれている状態で踏みとどまることになるから、普通に考えれば総裁選は麻生太郎の再選となる。そうなれば地方分権のマニフェストなど反故にされ、東国原は使い捨てだ。そう考えたら、知事会が自民党支持を打ち出すとは思えないのだが。
一方、民主党の対応も感心しない。東国原を牽制する記者会見を行った鳩山由紀夫代表は、東国原の考えは民主党に近いが、知事の職を全うすべきだと考えるから民主党から東国原に働きかけはしないと言っていた。東国原の考えというのは地方分権を指すのだろうが、東国原の思想はそれだけではない。東国原は、「徴兵制があってしかるべきだ」とか、「徴農制が必要だ」(同様の発言は稲田朋美も行った)などと発言した極右(極左とも紙一重かもしれない)である。そんな東国原と民主党の「考えが近い」などと言うのは、いくら鳩山が民主党の中でももっとも「右」に位置する政治家の一人だとはいっても、ちょっと軽率に過ぎる。世襲議員でもある鳩山に長く代表を務めさせるのは考えものであり、民主党は来年(2010年)の代表選を国会議員だけではなく党員、サポーターを入れた投票で行い、世襲政治を一掃してほしいものだと思う。しかし、実際にそうなるとはあまり思えない。権力者は、そうそう簡単に引き下がってはくれない。
テレビ朝日の「やじうまプラス」では、東国原騒動に延々と時間を割き、与謝野馨と渡辺喜美の迂回献金問題も少ししか取り上げなかった。まさに西松事件における小沢一郎と同じ手口で献金を受けていた与謝野や渡辺を易々と逃げ切らせてはならないだろう。番組では、東京・池袋で59歳の会社員が「介護に疲れた」と、73歳の妻を絞殺した事件を取り上げていて、江川紹子が「こういう事件が起きても、ベタ記事だったり載せない新聞社もある。10年前だったらもっと大きく取り上げられていたのに、こういう事件が増えて、それが当たり前になってしまったから新聞の扱いも小さくなった」と言っていた。画面には毎日新聞に掲載された記事が映し出されていたが、社会面の漫画のすぐ下に載った2段か3段の記事で、確かに扱いは大きくなかった。しかし、この番組自体に占めるこの事件の扱いも、新聞同様ごく小さなものだった。
東国原が延命させようとしている自民党、なかんずく「コイズミカイカク」が何をしてきたか。きたる総選挙は、その審判を下す選挙にしなければならない。自民党は東国原を利用して争点隠しを図り、東国原は自民党の窮状につけ込んで野心を達成しようと動く。東国原や自民党に騙されるようではどうしようもないと思うが、またまた国民は騙されてしまうのだろうか。
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アクセス解析をしていて最近気づいたことは、ブログに「民主党」を含む検索語で来訪される方が、「自民党」を含む検索語で来訪される方の数を逆転したことだ。西松事件で小沢一郎の秘書が逮捕された3月はまだ「自民党」の方が多かったが、4月に逆転し、それが今も続いている。

先月は、民主党小沢一郎代表の辞任表明、代表選、鳩山由紀夫新代表の選出と、民主党に関するニュースが多く、当ブログでも批判を含めて民主党を取り上げる機会が多かった影響もあるだろう。しかし、それが一段落した今月になってもペースは全然落ちていない。しばしば民主党を批判する当ブログでさえそうなのだから、熱烈に民主党を応援するブログはもっとすごいだろう。
今月10日に発売された「文藝春秋」7月号には、鳩山由紀夫の「わが政権構想 猛獣小沢をこう使う」という手記(「構成・角谷浩一(政治ジャーナリスト)とある)や、長妻昭、馬淵澄夫、細野豪志、福山哲郎4議員による「民主「四天王」直撃 鳩山政権で大丈夫?」という鼎談記事(司会・田崎史郎)が掲載されており、こういう記事も「政権交代」に心をとらえられ始めた人々の興味を引くのだろう。鳩山代表の手記には結構突っ込みどころがあるし、「四天王」(うち長妻昭と福山哲郎は小沢一郎に怒鳴り上げられた議員)の鼎談もそれなりに面白いので、機会があればブログで取り上げたいと思う。
民主党の攻勢の前にすっかり影が薄くなったのは自民党である。こうなってしまうと、自民党が橋下徹や東国原英夫らの人気にすがるのではないかとは、以前からずっと言われていたことだし、東国原は以前一度国政に転進しようとして宮崎県民の猛反発を招き、不承不承取り止めたことがあった。
昨日(23日)は「沖縄慰霊の日」で、自民党選対委員長で九州(福岡7区)選出の古賀誠は、例年沖縄全戦没者追悼式に出席してきたのだが、古賀はそれを取り止めて宮崎まで東国原英夫に会いに行き、衆院選への出馬を要請した。これに対し、東国原は「私を次の自民党総裁候補として、衆院選を戦うお覚悟があるのか」などと、逆に条件を突きつけ、結論は出なかった(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090624k0000m010023000c.html
東国原の盟友である大阪府知事の橋下徹は、東国原が「次期総裁候補なら」との条件を付けたことについて「本当に言ったんですか? しゃれとしか思えない」と笑い飛ばした(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090624k0000m010081000c.html
このニュースは、昨夜のテレビ朝日「報道ステーション」のトップで取り上げられたほか、今朝の「スポーツニッポン」、「スポーツ報知」の一面トップを飾った。しかし一般紙の扱いは冷淡で(当たり前だ)、たとえば毎日新聞の一面トップは与謝野馨と渡辺喜美が商品先物取引会社からダミー団体を通じて迂回献金を受けていたという記事だった(下記URL)。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090624k0000m040158000c.html
日本経済にとっては「疫病神」としか思えない緊縮財政論者の与謝野馨や、パフォーマンス先行の新自由主義者・渡辺喜美らが小沢一郎と同じようなことをやっていたというスクープだが、与謝野も渡辺も(私はどちらも大嫌いだが)、総選挙後は民主党との連携も噂されている政治家だから、民主党支持者の中には複雑な心境の方もおられるだろう(笑)。
それにしても不愉快なのは、バカバカしい自民党の東国原への出馬要請に大騒ぎするかたわらで、テレビ報道が社会保障費2200億円削減を「来年度は」取り止めたことを猛批判したことだ。いや、テレビ報道だけではなく、朝日新聞も「骨太の方針―負担先送りが招いた混迷」と題した社説でこれを批判し、政府に歳出構造の大胆な見直しや消費税増税を迫っている。朝日は明記こそしていないものの、同紙の主張する「歳出構造の大胆な見直し」が社会保障費削減を含むものであることは容易に読み取れる。少しはマシなのが読売新聞で、朝日同様消費税増税を主張しているとはいえ、「社会保障費抑制撤回は当然だ」と書いている。毎日新聞はなぜかこの件を取り上げず、「西川社長続投 ますます納得いかない」と題した社説を掲載した。社内にカイカク派と懐疑派の双方がいると見られる毎日新聞は、社会保障費削減の件から逃げて他紙の論調をうかがおうとしているのではないかと私などは勘繰るが、毎日新聞以外の新聞こそ「日本郵政の社長人事問題から逃げている」と主張する向きもあるかもしれない(笑)。それにしても、朝日新聞はもはや「経済極右」と言っても良いくらいだろう。だが、「リベラル・市民系」とされるブログで、朝日のネオリベぶりを批判しているところはそんなに多くない。「敵(ネット右翼)の敵は味方」の論理で、朝日に甘くなってしまうのだろうか?
バカバカしい東国原騒ぎや、懸念していた通り歳出削減と消費税大増税を叫ぶ朝日新聞の社説などを見ていると、こうしてブログを書いてあがいても、無駄に終わってしまうのではないかと思えてならず、ちょっとブログを書くモチベーションが下がってしまう今日この頃である。
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昨日のエントリでは、それにもかかわらず都市部の有権者は「カイカク」に幻想を持っていたらしいことを書いたが、それは都市部が地方と比較してカイカクの痛みが相対的に少なかっただけのことだ。カイカクの見直しは時代の要請である。その「カイカクの痛み」の象徴ともいえるのが、コイズミ退陣の直前に策定された「骨太の方針06」(私は「骨粗鬆症の方針」と呼んでいる)に盛り込まれた、社会保障費の自然増分から2200億円を削減するという目標だ。その目標が、2010年度当初予算の大枠となる概算要求基準(シーリング)から削除される見通しとなった。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090623k0000m010071000c.html
リンクを張った毎日新聞の記事にあるように、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相が明言したものだが、あの貧乏神のような超緊縮財政論者の与謝野がこれを言わざるを得ない状況になった。竹中平蔵あたりがまた週末の読売テレビ(大阪)の番組あたりで「カイカクの後退」を責めるのではないだろうか。
記事を書く前にコンビニで見た限りでは、このニュースは日経が一面トップで取り上げていたが、一般紙の扱いは小さく、朝日新聞には4面に2段の記事が出ているだけだ。2009年度当初予算で実際に削減したのは230億円にとどまっていたから、ニュースバリューが低いと判断したのだろうか。
その朝日の記事には、厚労族の尾辻秀久参院議員会長が「2200億円抑制しないと明記すべきだ」と抵抗した、などと書かれているが、厚労「族」だとか「抵抗」だとか、いかにもコイズミカイカク路線を熱烈に支持する朝日新聞らしい表現だ。毎日新聞(朝日や日経ほどではないがカイカク寄り)は、尾辻氏が10日の党政調全体会議で、社会保障費抑制路線の撤回を求め、党政調幹部を怒鳴り上げたとか、政調会長代理の園田博之が、財源論があいまいな民主党との差別化を図る観点から「一つの基準を捨てることは党にとって大きなマイナスだ」と理解を求めた、などと報じている。
園田の寝言には呆れてものも言えないが、尾辻氏は湯浅誠の『反貧困』(岩波新書、2008年)にも好意的に取り上げられている議員である。NHKニュースでは「『小さな政府』を掲げてきたコイズミカイカクの路線を転換しようとしている」などと、解説委員が不満そうにしゃべっている。もっとも、政府は「骨太の方針06」に書かれた方針自体は撤回せず(つまり2011年度以降のことは何も言っていない)、「カイカク派」にもいい顔をするそうだから、やはり自民党は2005年の「郵政総選挙」をもたらしたコイズミカイカク路線に今でも強く束縛されているというほかない。
今朝の社説では主要紙のどこもこの件を取り上げていないが、今日(23日)に閣議決定されるらしいから、明日の社説では取り上げられるのだろうか。まさかいかなネオリベ朝日といえど、この期に及んでまだ「改革はどうした」とは書かないと思いたい。
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これが地域経済となるとさらに悪く、同じ朝日新聞が47都道府県の企業経営者らを対象に行った地域経済アンケートによると、景気の現状認識は「悪化」が51%で、「緩やかに下降」などを含めて71%が景気が後退していると回答した。
麻生太郎首相は、4-6月度のGDP速報値が発表される8月以降の総選挙なら、景気対策の成果をアピールできると考えているとも言われているが、GDPの数字はボーナスが減ったり職を失ったりする国民には実感を伴うものにはならない。それ以前に、静岡県知事選や東京都議選で自民党が敗北すると、「麻生降ろし」が起きるなどという話があり、そのせいで麻生首相は必死で都議選の候補のところを回っているのだという。過去、これほど自民党の総裁が都議選に入れ込んだ例はないなどとテレビでもコメンテーターに馬鹿にされるありさまで、国民からすれば国民生活を顧慮だにせず自分の地位を守ることに汲々としているように見える。あれほど総理大臣の座を熱望していた麻生は、いったい何のために総理大臣になったのかさっぱりわからないのである。
ここ最近では麻生内閣の支持率がもっとも高かった4月下旬に発売された「サンデー毎日」の5月3日号に掲載された都議選の議席数予想では、自民党が45議席プラスマイナス3、民主党が42議席プラスマイナス3、以下公明党23議席、共産党12議席、生活者ネット3議席、諸派・無所属2議席で、合計で与党68議席、野党59議席となり、与党が過半数を確保すると書かれている。現有議席は自民48議席、民主34議席だから、民主党が党勢を伸ばすのは間違いないものの与党の過半数割れまで持っていくのはかなりハードルが高そうだ。
この選挙で与党が過半数割れすると東京都知事・石原慎太郎の都政運営が苦しくなるのだが、民主党の鳩山由紀夫代表は勝敗ラインを第一党を自民・民主のどちらがとるかに置く発言をしている。これだと民主党にとってのハードルは下がり、「サンデー毎日」の予想の誤差範囲内で民主党の「勝利」(自民党の「敗北」)が可能になる。鳩山代表も与野党逆転までは難しいと見ているのかもしれないが、麻生首相からすれば第一党から転落ともなれば「麻生降ろし」の風が強まるのは必至だから、なりふり構わず都議選に入れ込んでいるものだろう。
そんな麻生首相の頼みの綱は、14兆円の大型補正予算なのだが、これが「旧来自民党のやり方」と見なされて、かえって都市部の支持を失うという分析がなされている。東京大学の菅原琢准教授がJANJANに掲載した「大型補正予算で自民党は浮上することができるか?〜誤解される自民党の選挙結果」がそれだ。菅原准教授は、小泉政権以降、自民党が都市部で支持を伸ばしており、それは小泉退陣後(安倍政権以降)も継続していることを、参院選の自民党例区得票率のデータに基づいて示している。そして、次のように指摘する。
ただしこの支持は、決して旧来の自民党政治的なものに向けられたものではないということに留意する必要があるだろう。つまり、自民党が「古い」自民党に戻ったと感じられたときには、これらの新しい支持層は溶け出す。郵政造反組の復党問題が、安倍内閣の支持率だけでなく、自民党の支持率も大きく下落させたことが、その典型である。あるいは、西松事件が民主党の支持率に一時的に与えた影響も、同じ類型に入れることができるかもしれない。
(菅原琢「大型補正予算で自民党は浮上することができるか?〜誤解される自民党の選挙結果」より)
さらに菅原准教授は、麻生政権の大型補正予算が選挙で自民党の票を押し上げる効果を疑問視する。
麻生政権が懸命にやっていることは、まさしく旧来型の自民党政治である。このような政策で恩恵を受け、評価するのは旧来の自民党支持層であるが、最近の選挙で農村部の得票が大幅に減ったことはない。したがって、農村部や旧来の支持層周辺で自民党は大幅に得票を伸ばすことは難しいだろう。得票を固めて惨敗を避けるという方策としては正しいだろうが、過半数を獲得するための戦略としては見当違いと言ってよいだろう。自民党が過半数を獲得するためには都市部の新しい自民党に好意的な層の離反を防ぎ、上積みする必要があるが、このような不健全な財政政策は彼らが最も嫌うことの一つであり、つまり全く逆の「対策」を麻生政権は採用しているのである。
(菅原琢「大型補正予算で自民党は浮上することができるか?〜誤解される自民党の選挙結果」より)
つまり、麻生政権の旧来自民党的政治では衆院選には勝てないというのである。ネットでは、「Munchener Brucke」がしばしば同様の主張をしていることを思い出した。これでいうと、参院選前には「国民の生活が第一」をスローガンにして農村部の票を固め、衆院選前にはやや「カイカク」色を強めて新自由主義寄りに軌道修正している民主党の行き方は、選挙戦略としては理にかなっており、自民党はその逆をやっているといえるかもしれない。
だがこのことは、衆院選の結果政権交代が起きても、「カイカク」(新自由主義)の方向性はある程度かかなりの程度保たれることを意味する。民主党にも厳しい監視が必要だと当ブログが考える次第である。
[追記]
今週号の「サンデー毎日」(7/5号)にも都議選の予想記事が出ているようですが、当ブログ管理人は明日にならなければ読めません。ちょっと間の抜けたエントリになってしまいましたが、このあたり、地方在住者のハンデといえるかもしれません(笑)。
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