きまぐれな日々

 最近は月1回の更新になってしまったこのブログだが、今日(4月16日)でブログ開設からまる12年になり、本エントリで1500番目の記事になる(但し公開後に削除した欠番が14件ある)。最初の記事は2006年4月9日付だが、書き始めて1週間後の4月16日に公開した。

 これを機に、今後のこのブログについての心づもりを書いておくと、このまままばらな更新をしばらく続けたあと、記事番号1515番、つまり本エントリのあと15番目のエントリを最後の記事にして、更新を停止しようと思っている。理由はまあ気力と体力の限界と言っておこうか。

 せめてそれまでに安倍政権が倒れてくれるのを願うばかりだ。開設時の記事は安倍晋三どころか政治とは何の関係もないが、それはウォーミングアップに過ぎず、いつかタイミングを見て安倍晋三批判を始めようと思っていた。当時、ライブドア事件への関与が疑われながら、前原誠司が代表を務めていた頃の民主党が犯した「偽メール事件」の大失策によって、阻止できるだろうと思っていた安倍晋三の総理大臣就任が実現してしまいそうな情勢だったが、それが我慢ならなくなって、やっと重い腰を上げたのだった。

 それから12年。安倍晋三はいったんは総理大臣になったものの、その1年後には惨めな政権投げ出しに終わった。そこまでは良かった。しかし、そのあとがいけなかった。民主党への政権交代は実現したものの、民主党政権は党内抗争が国民に呆れられて自滅し、安倍晋三が政権の座に返り咲いた。そして今度は悪夢のような独裁政治を5年以上も続けている。

 本ブログ運営で大きな躓きになったのは、2011年4月のFC2のサーバートラブルだった。それは東日本大震災と東電原発事故の翌月に起きた。それも全部のサーバーだけではなく、本ブログが利用している "blog63" だけだったかほかの一部のサーバーにもトラブルがあったかは忘れたが、FC2の中でもごく一部のブログだけが被害を蒙った。FC2の対応も良くなく、それでなくても前年の2010年には既にこのブログとはてなに開設している『kojitakenの日記』のアクセス数がほぼ同じくらいなっていたので、サーバートラブル後は徐々に重心をはてなの方に移していった。

 以後、本ブログの公開頻度もアクセス数も年々減少して今に至るのだが、実を言えば数年前から着地点を模索していた。しかし安倍晋三の悪政が延々と続いている時にブログを閉じる気にはならず、せめて記事番号1500番までは続けようと思っていた。1500番が近づいてくると、削除した14件を除いて生きている記事が1500件を超えたら更新を止めようと思い直した。1515番目の記事で、生きている記事が1501件になる。

 そうこうしてるうちに、「一強」と言われた安倍政権が揺らいできた。世論調査に見られる支持率は、おかしいものをおかしいと思う能力を失った3分の1ほどの日本国民の支持がすっかり「岩盤化」してしまったためなかなか下落しないのだが、昨日(4/15)のTBSテレビ「サンデーモーニング」で田中秀征が言っていた通り「統治機構が溶解」してしまっている。

 2012年に戦後日本の「崩壊の時代」の始まりを予言したのは坂野潤治だったが、「二度目は笑劇として繰り返される歴史」は、固体が粉々に砕ける崩壊というより、溶けてしまう「溶解」の方が実感に合うかもしれない。「ようかい」という言葉は、安倍晋三の母方の祖父・岸信介を形容するのに用いられた「妖怪」に通じるものがある。あるいは今は「妖怪の時代」というべきかもしれない。

 先週は「愛媛文書」が話題になったが、愛媛県知事の中村時広(日本新党・新進党の衆院議員を1期務めた)は愛媛県の職員を守る発言をしたが、これが組織の長の普通のあり方だ。しかるに、安倍晋三は官僚に責任を押しつけて逃げ回りながら厚顔無恥にも「膿を出す」などと口にする。モラルもへったくれもない。膿は安倍自身じゃないか、と思わない人がいる方が私には信じられないのだが、安倍内閣支持率は未だに3割前後を保っている。こんな現状には「崩壊の時代」よりも「妖怪の時代」という方が適切ではなかろうか。

 せめて、あと15件の記事を公開するまでに、「妖怪」の「溶解」、すなわち安倍政権の終わりが実現しますように。
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 1か月ぶりの更新になる。

 前回はちょうど1か月前の公開で、記事のタイトルは「経営者が強く要望する裁量労働制は窮乏と過労死を招く制度」だった。

 それから1か月、安倍政権をめぐっていろいろなことがあった。

 まず、安倍政権は裁量労働制下で働く労働者の労働時間に関するデータ捏造によって浴びた批判をかわすために、一連の「働かせ方改革」法案から裁量動労制の対象範囲拡大を定めた法案のみ国会への提出を断念した。だが、「残業代ゼロ法案」として、裁量労働制のデータ捏造が問題になる以前にはもっとも強く批判されてきた「高度プロフェッショナル」法案は押し通すつもりらしい。

 私がもっとも危険だと思ったのは、安倍政権が裁量労働制対象範囲拡大の法案提出を断念した直後に、自民党参院議員の丸川珠代(元テレビ朝日アナウンサー)が国会の質問で「悪いのは厚労省。それを安倍総理が大英断で糺してくださった」などと発言したことだった。

 年々強まる安倍晋三への個人崇拝だが、ここまでエスカレートしたかと暗澹たる気分になった。私が連想したのは北朝鮮ではなく、政権崩壊末期に個人崇拝ムードが極限にまで高まった後、一転して急速に崩壊した1989年のルーマニア・チャウシェスク政権だった。同年10月頃、他の東欧諸国がみな共産党の一党独裁体制瓦解に突き進んでいるのに、ルーマニアでは逆にチャウシェスクへの個人崇拝が強まっていることを報じた朝日新聞の記事が今も忘れられない。その2か月後の1989年12月末、ニコラエ・チャウシェスクと、昨年来しばしば安倍昭恵がなぞらえられるエレナ・チャウシェスクの夫妻が捕縛され、即席裁判で夫妻の死刑を宣告されたあと直ちに銃殺されてルーマニアの共産党独裁政権が終わったのだった。

 ここでも「悲劇は笑劇として繰り返される」のであろうか、丸川珠代の安倍晋三個人崇拝質問が国会で飛び出した3月1日の翌日である2日付朝日新聞1面トップに、森友学園問題をめぐる財務省の文書「書き換え」をスクープした記事が掲載された。当初「書き換え」を安倍政権も財務省も否定していたが、おそらく大阪地検特捜部のリークを受けたのであろう朝日は動かぬ証拠をつかんでいるとみえ、財務省は12日に「書き換え」を認める事態に追い込まれた。明らかになったのは「書き換え」などという価値中立的な言葉で表現されるべきものではなかったため、たとえば朝日新聞では13日付紙面からそれまでの「書き換え」から「改ざん」(私自身は原則として「改竄」と漢字表記するが、引用文はその限りではない)へと用語を変えた。蛇足だが、この用語の変更はテレビ朝日が12日午後にいち早く行い(朝日新聞の夕刊やTBSは12日の段階ではまだ「書き換え」だった)、13日に朝日・毎日両紙やTBSなどがそれに追随した。あの産経ですらだいぶ遅くなってから「書き換え」を「改ざん」に(しぶしぶ?)書き換えたが、この記事を書いている26日現在、主要メディアで唯一「書き換え」に固執しているのが読売新聞だ。読売は、日本でもっとも悪質な御用メディアというほかない。

 これはまさに民主主義の根幹に関わる問題だ。旧ソ連でさえやらなかったと言われる文書改竄だが、実は日本では昔から結構この悪弊が横行していた。たとえば、やはり安倍晋三にたとえられる昭和初期の総理大臣・田中義一は、軍人時代に日露戦争開戦へと導くために、ロシアと日本の軍事力に関する参謀本部のデータを改竄し、日本の軍事力がロシアを上回るように見せかけてまんまと日露戦争開戦を実現させたという。こうしたことの積み重ねが、最終的に1945年の敗戦を招いた。

 今、日本国民に問われているのは、おかしいことをおかしいと認識できるかどうかだ。それができるのであれば安倍政権を退陣に追い込めるだろうし、もし仮に近い将来に政権を退陣に追い込むことができないのであれば、それは日本国民がおかしいことをおかしいと認識できなくなるまでに劣化してしまっていることの証明になる。

 今後安倍政権が倒れる要因としては、貿易問題で突如日本に向かって牙を剥きだしてきたかに見える米トランプ政権の件もある。先週話題になったのはトランプの下記の発言だった。以下時事通信の23日付記事(下記URL)を引用する。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032300576&g=use

安倍首相は「出し抜いて笑み」=トランプ氏、対日貿易に不満

 【ワシントン時事】「安倍晋三首相と話をすると、ほほ笑んでいる。『こんなに長い間、米国を出し抜くことができたとは信じられない』という笑みだ」。トランプ米大統領は22日、ホワイトハウスでの会合で首相についてこう語り、対日貿易赤字への不満をあらわにした。

 トランプ氏は「偉大な男で、私の友人」と前置きして、首相の笑顔を解説した。その上で「こういった時代はもう終わりだ」と述べ、「互恵的」な関係を求める考えを強調した。

(時事通信 2018/03/23-11:01)


 トランプ政権の動きで言えば、同政権が米朝対話へと動いたことで、安倍政権もそれに追随せざるを得なくなった件もある。つまり安倍晋三はこれまでのような国内世論向けの「北朝鮮カード」を切れなくなった。

 このように、政権維持に突如として困難が多方面から現れて視界不良となった安倍晋三だが、この男にとって何よりも大事な改憲だけは絶対に譲らない構えを見せている。以下、朝日新聞の22日付記事(下記URL)を引用する。
https://www.asahi.com/articles/ASL3Q6FLPL3QUTFK02B.html

自民の9条改憲、首相案で決着 2項維持し自衛隊を明記
二階堂勇
2018年3月22日21時05分

 自民党の憲法改正推進本部は22日、安倍晋三首相の9条改正案に沿って、戦力不保持を定める2項を維持して「自衛隊」を明記する方向で取りまとめる方針を決めた。新たに9条の2を設け、「(2項は)必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織」と位置づけて自衛隊を保持する案が軸となる。

 今後の対応一任を受けた細田博之本部長は25日の党大会での9条の条文案提示は見送り、党大会以降、最終的な条文案を作成する。

 推進本部は22日の全体会合で、2項維持・自衛隊明記の二つの修正案を提示。前回示された2項維持案では、自衛隊を「必要最小限度の実力組織」と定義したが、修正案では削除した。自衛隊が2項で保持を禁じる「戦力」に当たらないとする政府解釈を明記し、世論や他党の反発を和らげることを狙っていたが、自民党内から異論が出ていた。

 この日は、修正案を中心に首相案を支持する意見が多数を占めた。2項削除論を展開する石破茂・元幹事長らから意見集約に反対する意見も出たが、細田氏が一任で押し切った。執行部の説明によると、修正前の2項維持案と二つの修正案のうち、どれを選ぶかに対応が一任された。細田氏は会合後、記者団に「必要な自衛の措置をとることを妨げず」とした修正案を採用する意向を表明した。

 9条改正案の一任を受けて、参院選の「合区」解消など▽大規模災害時に政府に権限を集中したり、国会議員の任期特例を書き込んだりする緊急事態条項▽「教育無償化」を含めた自民党の「改憲4項目」の条文化にはめどが立った形となった。今後は、連立与党の公明党との協議や国会の憲法審査会での議論を目指すが、各党には改憲4項目に対する反対論が根強く、国会での発議が見通せない状況は解消されていない。(二階堂勇)

自民党憲法改正推進本部の執行部が有力と考える案

 9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

 2 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

(朝日新聞デジタルより)


 ここまで日本をめちゃくちゃにした安倍晋三の政権下での改憲など、絶対に許してはならない。

 だが、この1か月で安倍晋三は「一強」のやりたい放題ができる状態からはかなり後退したとはいえ、まだ土俵中央に押し返した程度の段階に過ぎない。

 闘いはこれからが正念場だ。
 平昌冬季五輪が終わった。振り返ると、子どもの頃はテレビの五輪中継に熱中していたが(特に1972年の札幌冬季五輪)、年々五輪への興味が減退してきて、今回は競技の生中継を見たのは女子ジャンプで最後の2人、銀メダルを獲ったアルトハウス選手(ドイツ)と金メダルのルンビ選手(ノルウェー)のジャンプを見ただけだった(本当は高梨沙羅選手の2回目のジャンプを見ようと思ってテレビをつけたのだが、飛び終えた直後だった)。

 しかし、8年前、2010年のバンクーバー五輪直前に放送された報道ステーションの特集が今も印象に残る小平奈緒選手のスピードスケート女子500mの金メダルは良かった。銀メダルの韓国・李相花選手との友情は、今大会でもっとも印象的なシーンとの世評が高い。前記2010年の報ステの特集でも、小平選手は「三ヶ国語で、韓国語と中国語と日本語で、調子いいねとか言い合ったりして」中国や韓国の選手とエールを交換していることが紹介されていたが、最近では中国のメディアから「中国語力」を絶賛されているとの記事もある。

 一時は開会式の出席に難色を示していた安倍晋三とはあまりにも好対照だが、その安倍は小平選手の金メダル獲得が決まるや否や、さっそく「首相官邸」のTwitterのサイトから、日の丸の旗を2本も手にして自らの馬鹿面を晒した気持ちの悪いツイートを発した(下記URL=閲覧注意)。
https://twitter.com/kantei/status/965206781700931584

 小平選手の優勝を称えるツイートなのに、安倍はなぜか小平選手の画像ではなく、自らの馬鹿面の画像を晒した。海外の首脳にも五輪で好成績を残した自国代表選手を称えるツイートを発信した人は多いが、彼らは皆一様に選手の画像を添付していた。しかし、2016年のリオデジャネイロ五輪の閉会式で、マリオブラザーズのマリオに扮する売名行為を平然と行った安倍は、今回も厚顔無恥の挙に出た(さすがにこのツイートを批判されたあとに金メダルを獲った選手を称えるツイートでは選手の画像を添付したようだが)。

 しかし、小平選手のような選手が政権の宣伝に狙われ易いのは間違いないだろうし、だからこそ官邸(安倍)は小平選手に国民栄誉賞を授与しようと画策しているようだ。実際、スポーツ界の体質から言って、また橋本聖子の悪例を思い出しても、小平選手が安倍政権や自民党に将来ともなびかないとは残念ながら断言できない。小平選手が誤りを犯さないことを願うばかりだ。

 以上は長くなったが前振りでここからが本論。安倍は冬季五輪のタイミングに「働き方改革」の法案の審議をぶつけてきて、人々が五輪にかまけている隙にさっさと成立させて、春からはいよいよ安倍長年の野望である改憲に向けて全力を傾注するつもりだったに違いない。しかし、国会の答弁で安倍が、裁量労働制下で働く人の労働時間が一般労働者と比較して短いとのデータが出ているかのような虚偽答弁を行ったことが問題化し、報道でも連日取り上げられるようになった。

 既に安倍は答弁の撤回と謝罪を行っているが、それでも法案は成立させるとかいうわけのわからないことを言っている。これも問題だが、そもそも裁量労働制の問題が国民の間でほとんど知られていないように見受けられる。これが現時点で最大の問題だ。

 たとえば、内田樹の人脈に属する小田嶋隆などは、「一介の労働者に過ぎない多くの日本人が、なぜなのか、国策や日本経済を語る段になると「経営者目線」で自分たちの暮らしている社会を上から分析しにかかっている」などとしたり顔で論評しているが、この小田嶋の仮説は正しくないと私は思う。そうではなく、単に世の人々が裁量労働制の問題点を知らないだけだ。私はもう四半世紀前の1993年、その頃は経団連の中核をなす大企業に勤務していたのだが、実際に半年間だけ裁量労働制下で働いた経験があるからわかる。

 たとえば、昨日(2/25)放送されたTBSの「サンデーモーニング」を見ていても、コメンテーターは誰もわかってないなあと思った。テレビでは初めて見た朝日新聞の高橋純子記者は、「人の命がかかっている大事な法案なのに何故急いでやらなければならないのか。しかも裏付けとなるデータが不適切だったと分かったのだから顔を洗って出直してもらうしかない」とコメントした。仰ることはその通りだが、高橋記者も法案の問題点そのものは指摘しなかった。そこにぬるさを感じた。関口宏はもっとダメで、裁量労働制について「いいところもあるけど問題もある」みたいな言い方だったし、サッカーが専門の中西哲生に至っては論外で、「データは不適切だが、野党は鬼の首を取ったように色んなことを言ってる。大事なことは裁量労働制を良いものにし働き方を良くし日本を良くすること。いつも対立構図にする野党に違和感を感じる」と抜かしていた。これまでは中西に右翼のイメージはほとんどなかったが、時流に迎合して野党攻撃を始めるべく「転向」したのかもしれない。事実、中西は早速ネトウヨの絶賛を受けている。

 いずれにせよ、ぬるい高橋純子の発言、輪をかけてぬるい関口宏の発言と続いたあと、野党を攻撃して間接的に安倍政権を援護射撃する中西哲生の論外の発言に接して、「リベラル」のはずのこの番組でもこの程度か、やはり裁量労働制の問題は全然知られていないんだあと長嘆息したのだった。

 裁量労働制については、遠い昔の四半世紀前に半年だけ経験した私のような人間ではなく、最近裁量労働制を経験した方による下記のブログ記事にリンクを張っておく。『脱社畜ブログ』の2月24日のエントリ「裁量労働制になったら、働き方は何も変わらずに残業代だけ減った話」だが、このタイトルは四半世紀前の私の経験そのものだ。
http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2018/02/24/155303

 以下が今回の記事の核心部になる。今回、私が一番感心したのは、『kojitakenの日記』でも紹介した今野晴貴氏の一連(4件)のツイートだ。

 この中では、4件目にあたる下記ツイート(下記URL)が多くリツイートされているようだ。以下引用する。
https://twitter.com/konno_haruki/status/966590331197116416

裁量労働性の規制緩和「対岸の火事」だと思っている方も多いと思うが、財界は以前から、ホワイトカラーの大半に適用できるようにすべきだと主張している。裁量労働性が全面規制緩和されれば、ブラック企業の「使い潰し」がますます加速し、歯止めがかからなくなるだろう。もちろん、過労死も増加する。


 私が感心したのは、今野氏が2件目のツイート(下記URL)で1994年に出された日経連(当時)の要求を紹介していたことだ。再び引用する。
https://twitter.com/konno_haruki/status/966589732497997824

1994年に法改正を要求して出された旧日経連の「裁量労働制の見直しについて(意見)」では、「就業者全体のほぼ半数に達している。こうしたホワイトカラーの相当部分は、自己の判断で職務を行う「裁量労働者」である」としている。つまりは、ほとんどの労働者が「裁量労働」にすべきだということだ。


 当時の日経連ですぐ思い出されるのが、1995年に出された「新時代の『日本的経営』」だが、これらはいずれも90年代前半のバブル経済崩壊を受けて始まった流れだ。

 つまり、バブル経済の崩壊によって、企業がそれまでのように利益を上げられなくなったため、労働者の賃金を下げようと画策した。裁量労働制はその一つの手段だ。日経連が法改正を要求して意見書を出したのは今野氏が指摘するように1994年だが、実際には各企業において裁量労働制を導入する試みはその少し前から始まっていた。現に私が裁量労働制下で働いたのは1993年だ。

 当時、多くの企業で人事制度の見直しが行われ、成果主義が謳われたりしたが、特に成果主義に力を入れた富士通で、人事制度改革が大失敗に終わったばかりか、赤字を出しても当時の富士通社長・秋草直之が居座るばかりか、「業績が悪いのは従業員が働かないからだ」(2001年)と暴言を吐くなどの破廉恥な振る舞いに出て(つまり、秋草自身には成果主義は適用されなかったわけだ!)、世の指弾と失笑を買った。しかし現在はその当時よりもさらに問題は深刻で、当時の富士通よりもさらに悪質な、いわゆる「ブラック企業」が日本中にはびこっている。

 しかし、バブル崩壊に先立つ1980年代の「労働界の右翼的再編」の悪弊もあって、賃下げを強行する使用者に対して労働者はなすすべなしの状態が長年続いた。その結果が日本経済の没落だ。安倍晋三が入れ込んだものの平昌五輪で赤恥を晒した「下町ボブスレー」は日本のものづくりの現状を象徴している。

 その没落の進行をさらに早め、労働者を窮乏と過労死に追い込む制度、それが裁量労働制だ。「定額働かせ放題」とは、この制度の本質をぴたり言い当てた適切な言葉といえる。この制度は、バブル崩壊後の日本を長期低落させた悪しき労働政策を、適用業種を広げることによってさらに広めようとするものであって、絶対に成立させてはならない論外の法案だ。まだ国会に法案が提出されていない現段階においては、法案の提出を許さない闘いが、野党にも労働界にも強く求められる。また、「リベラル」が(小田嶋隆のように)「法案は、間違いなく成立する。」などとほざいて諦めムードを醸成させることは断じて許されない。

 なお、2006〜07年のホワイトカラーエグゼンプション(WCE)に続いて今回の裁量労働制と、安倍政権が他の政権よりもとりわけ使用者側に立った労働政策を法制化することに熱心なのは、この政権が「経産省政権」と言われていることと深い関係があるとみるべきだろう。おそらく安倍晋三自身は改憲には熱心であっても労働政策にはさして関心があるとは思われないので、経産官僚と大企業経営陣の思惑通りに亡国の法案が導入されようとしているのが現状だ。

 それにしても、バブル崩壊直後に始められ、日本経済を長期低落させてきた悪しき労働政策の流れが、四半世紀以上経った今も惰性で続いているとは、人の世に働く惰性力の強さ、恐ろしさを改めて痛感する。1993年当時には若手社員だった私も、その後二度の転職を経てもう初老だが、私よりもはるか若くて将来性のある人たちが今後裁量労働制下で苦しめられるのは絶対に看過できない。そう強く思う。

 最後に、『広島瀬戸内新聞ニュース』の昨日(2/25)の記事(下記URL)を引用して終わる。短く簡潔な記事だが、本当にその通りだと強く思った。
https://hiroseto.exblog.jp/27102781/

「働き方改革」関連法案は、これは提出そのものを断念させるしかないですね。
その一言に尽きます。
ハッキリ言ってしまうと、労働組合も野党も、この法案を通してしまえば鼎の軽重を問われます。
日本中の職場は大変なことになる。裁量労働制そのものが、経営側から出てきた発想であるということをきちんと思い起こさないといけません。

 平昌冬季五輪が開幕したが、五輪に合わせて韓国と北朝鮮の合同チームが結成されるなど、南北対話の機運が高まっている。

 大いに結構なことだとしか私には思えないのだが、不思議なのは日本のマスメディアで、いわゆる「保守メディア」(実際には産経やNHKなど、もはや右翼メディアあるいは国策メディアとしかいいようがない)ばかりか、朝日新聞を筆頭とする「リベラル」系メディアまでもが、今年初め頃から南北の接近や対話に「警戒」する報道ばかりを行っている。日本の「リベラル」メディアは、昔から朝日新聞の腰が砕けると総崩れになる悪弊があるが、たとえば最近の毎日新聞やTBSやテレビ朝日などからは「惨状」という言葉しか思い浮かばない。毎週見ているTBSの日曜朝の番組『サンデーモーニング』も右翼的なコメンテーターが占める比率が増え、司会の関口宏も彼らに迎合するなど、番組の内容が大きく右傾化している。

 まさに安倍晋三の「メディア征圧」完了せり、の観があるが、何よりもひどいのはその安倍を筆頭とする日本の右翼政治家たちの言動であって、たとえば安倍は平昌五輪の開会式への出席を渋ったし、再来年の五輪開催都市であるはずの東京都知事・小池百合子に至っては開会式に出席しなかった。

 思えば、この小池が政権奪取の野望に燃え、昨年の日本の政治を攪乱した。小池が選挙戦中だけ代表を務めた「日本ファーストの会」は昨年夏の都議選に圧勝したが、小池が国政に進出しようとして結成した「希望の党」は野党第一党の民進党の分裂を引き起こしたあげくに惨敗し、以後「安倍一強」体制はますます強まったのだった。

 その過程において、「リベラル」の一部はあろうことか小池百合子に「打倒安倍」の夢を託した。マスメディアでは、「民進党は『野党共闘』で左に寄りすぎたから支持を失ったのだ。だから『真ん中』の小池都知事が支持されるのだ」などという誤った認識が平然と流布していた。毎日新聞の与良正男が署名記事で上記の主張を平然と書いたことを知った時、私は唖然として、日本の「リベラル」はもうどうしようもないところにまできてしまったと思った。「リベラル」系大新聞の幹部記者がこのていたらくだから、市井の「リベラル」(実質的には都会保守)のブロガーが「小池都知事と民進党と公明党にちょっとワクワク」してしまったのも無理はなかったかもしれない。

 ともあれ、そんな「百合子の野望」が、「今なら勝てる」と理不尽な衆院解散に踏み切った安倍晋三によって木っ端微塵に砕け散って以来、「リベラル」系メディアは茫然自失の醜態を呈しているように私には見える。その表れが、安倍晋三やその政権に対して言うべきことを何も言えない現在の惨状がある。

 たとえばしぶしぶ平昌五輪の開会式に出席した安倍は、韓国の文在寅大統領と会談してとんでもない内政干渉をやらかし、文大統領の不興を買った。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2679165010022018EA3000/

韓国大統領、安倍首相に不快感 五輪後の米韓演習要請

 【平昌=恩地洋介】9日に韓国の平昌で開いた日韓首脳会談で、安倍晋三首相が文在寅(ムン・ジェイン)大統領に米韓合同軍事演習を冬季五輪後に予定通り実施するよう求め、文氏が不快感を示していたことが分かった。韓国大統領府と日本政府双方の関係者が明らかにした。

 首相は会談で、北朝鮮への対応を巡って文氏に「五輪後が正念場だ。米韓合同軍事演習を延期する段階ではない。演習は予定通り進めることが重要だ」と語った。これに文氏は「韓国の主権の問題であり、内政に関する問題だ。首相がこの問題を直接取り上げるのは困る」と答えたという。

 会談では北朝鮮への対応を巡る両首脳の温度差が浮き彫りとなった。日本側によると首相は文氏を「北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはならない。対話のための対話では意味がない」などとけん制。一方、韓国側の説明によると文氏は「日本も積極的に対話に乗り出すことを願う」と語っていた。

(日本経済新聞 2018/2/10 20:41)


 本来こんな件は、「文氏が不快感を示していたことが分かった」などと「客観報道」スタイルで書くことではなく、日本のメディアが日本国首相・安倍晋三による内政干渉を指摘し、安倍を批判しなければならないはずだ。だが、たとえば毎日新聞などは、文大統領と安倍の会談より以前の8日付の記事ではあるが、「対北朝鮮 日米、韓国へ結束求め 「ほほ笑み外交」警戒 安倍首相・ペンス副大統領」などという見出しをつけて、アベさまにひれ伏している。開いた口がふさがらない。

 報道だけではなくアカデミズムの世界もひどい。現在世間を騒がせているのは、東京大学に籍を置く三浦瑠麗なる「国際政治学者」だが、この三浦が11日にフジテレビの「ワイドナショー」なるワイドショーに出演し、下記のトンデモ発言を行った。以下ハフィントンポスト日本版の記事から引用する。
http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/12/ruri-miura_a_23359021/

(前略)番組は、核・ミサイル開発問題でアメリカや韓国、日本と対立し続ける北朝鮮が選手団を派遣したことで、オリンピックが政治外交の舞台になっているなどと紹介した。

そうした流れの中で、三浦氏は朝鮮半島における安全保障問題に触れ、戦争によって北朝鮮の指導者・金正恩氏が死亡した場合、ソウルや東京、大阪に潜む北朝鮮のテロリストたちが活動し始めると指摘。中でも大阪について「今ちょっとやばいって言われていて」などと、潜伏者が多数いるとも受け取れる発言をした。

番組でのやり取りは次の通り(敬称略)。

三浦 もし、アメリカが北朝鮮に核を使ったら、アメリカは大丈夫でもわれわれは反撃されそうじゃないですか。実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルと言われて、もう指導者が死んだっていうのがわかったら、もう一切外部との連絡を断って都市で動き始める、スリーパーセルっていうのが活動すると言われているんですよ。

東野 普段眠っている、暗殺部隊みたいな?

三浦 テロリスト分子がいるわけですよ。それがソウルでも、東京でも、もちろん大阪でも。今ちょっと大阪やばいって言われていて。

松本 潜んでるってことですか?

三浦 潜んでます。というのは、いざと言うときに最後のバックアップなんですよ。

三浦 そうしたら、首都攻撃するよりかは、他の大都市が狙われる可能性もあるので、東京じゃないからっていうふうに安心はできない、というのがあるので、正直われわれとしては核だろうがなんだろうが、戦争してほしくないんですよ。アメリカに。

こうした三浦氏の発言に対し、Twitterを中心に反発の声が上がった。「根拠を示すべき」「根拠がない」と発言内容の信憑性を疑う投稿が相次いだ。また、三浦氏が直接在日コリアンに言及する場面はなかったが、大阪には在日コリアンが多く暮らすことから、彼らに対する差別や偏見を助長するなどと指摘するツイートもあった。(後略)

(ハフィントンポスト日本版 2018年02月12日 18時47分 JST)


 こんなのが東大のセンセイ(講師)だというのだから、日本のアカデミズムの劣化には目も当てられない。もっとも日本の「リベラル」は、そんな東大が排出した右翼学者・西部邁が自殺した時、西部の核武装論を棚に上げて西部の冥福を祈りまくったていたらくだから問題外もいいところだが。

 かくして安倍晋三は一強体制で「わが世の春」を謳歌しているが、そんな安倍政権が長年続き、アベさまを賛美するネトウヨが「日本スゴイ」を連呼しているうちに、「スゴイ」はずの日本の町工場がとんだ失態を晒した。それが「下町ボブスレー」が平昌五輪のジャマイカチームに採用を取り消された一件だ。これについては下記記事にリンクを張っておく。『kojitakenの日記』では同じ件に関するリテラの記事を紹介したが、リテラよりこちらの記事の方が良い。「下町ボブスレーという安倍晋三案件について」と題された2月11日付のはてなブログの記事(下記URL)だ。
http://www.po-jama-people.info/entry/2018/02/11/120732

 「下町のスゴイ工場」とは名ばかりで、実際には大企業の系列会社や東大のセンセイが名を連ね、安倍晋三は第2次内閣発足直後の2013年の施政方針演説で早くも「下町ボブスレー」を取り上げ(このことから、同社の経営者が不遇時代の安倍晋三を応援するゴリゴリの右翼人士であることが容易に推測される)、以後安倍と経産省の肝煎りで進められたプロジェクトだ。しかしその成果はといえば、ソチ五輪でも平昌五輪でも日本チームに採用してもらえず、やむなくジャマイカに(上から目線で)押しつけたものの、ラトビア製の正真正銘の「下町の工場」の製品に敗れるや、フジテレビなどの右翼メディアが、ジャマイカには契約の概念がないのか、と煽り、ネトウヨはジャマイカ非難の大合唱を繰り広げた。それがこれまでの経緯だ。

 これほどの「国辱」はあったものではあるまい。この件が示すのは、日本の技術力の低下というよりは日本の政治の劣化だ。技術や品質の優劣より、アベさまとの距離の遠近によって予算が傾斜配分される。こんな理不尽な話はない。

 第2次安倍内閣発足で戦後日本の「崩壊の時代」が始まったと言ったのは坂野潤治だが、その「崩壊」とは何も戦争に負けるなどといった劇的な出来事によってではなく、「下町ボブスレー」のような喜劇的な出来事の積み重ねで徐々に衰退していく形で崩壊していくものなのだろう。それを食い止めるのは、まず安倍政権を倒さなければならないが、現在の日本国民からはもはやその気力は失われつつあるようだ。
 今年最初の記事。まばらにしか更新できないと思いますが、今年もよろしくお願いします。

 衆議院選挙から間もなく3か月になるが、日本の政治も国民もいよいよ沈滞・低迷の度を増してきた。斜陽国家ならではの倦怠感と閉塞感が漂っている。

 昨日(14日)発表された共同通信の世論調査結果もそれを示すものだ。
https://this.kiji.is/325180456902132833?c=39546741839462401

安倍政権下の改憲反対54%
原発即時停止49%賛成
2018/1/14 17:39

 共同通信社が13、14両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三首相の下での憲法改正に反対は54.8%で、2017年12月の前回調査から6.2ポイント増加した。賛成は33.0%。小泉純一郎元首相らが主張する全原発の即時停止に賛成は49.0%、反対は42.6%だった。内閣支持率は49.7%で、前回調査から2.5ポイント増加した。不支持率は36.6%。

 憲法9条に自衛隊を明記する首相の提案に反対は52.7%で、賛成35.3%を上回った。

 長距離巡航ミサイルの導入は、賛成41.7%、反対46.7%。

(共同通信より)


 最近は、国会が開いていない時には安倍内閣の支持率が上昇し、国会が開かれて論戦が始まると支持率が下がる傾向がずっと続いている。今回も国会閉会後に内閣支持率が上がった。

 しかし、安倍晋三がもっとも執念を燃やす改憲については、「安倍政権下での改憲」に対して反対55%、賛成33%と、反対の方が賛成よりずっと多い。賛成者を増やすことを当て込んで昨年の憲法記念日に安倍が言い出した「憲法9条への自衛隊明記」も反対53%、賛成35%と「安倍政権下での改憲」とほぼ同じ割合である。

 この数字から思ったのは、「安倍晋三は国民から信頼されていないが、安倍政権は(なぜか)支持されている」ということだ。

 とうてい信頼できない人を総理大臣に戴く内閣が支持される大きな理由に、「野党は安倍晋三よりもっと信頼できない」という強い印象が民主党の下野後5年以上経ってもいっこうに払拭されないことが挙げられる。

 同じ共同通信が昨日昼、その野党に関するろくでもないニュースを報じた。
https://this.kiji.is/325134026115892321

希望、民進が統一会派結成で大筋合意
2018/1/14 13:46

 希望の党の古川元久、民進党の増子輝彦両幹事長は14日、東京都内で会談し、統一会派結成で大筋合意した。会談後、両氏が明らかにした。

(共同通信より)


 先週、希望の党と民進党との統一会派結成が一部の人たちの強い意志の下でそろそろ決まりそうだなとの官職を持っていたが、日曜日の昼間に出し抜けに報じられた。

 民進党の増子輝彦というのは、一昨年(2016年)の参院選で、「野党共闘」に助けられて当選した人間だ。増子はもともと自民党の衆院議員だったが、のち新進党を経て民主党に転じ、2005年の郵政総選挙で落選後参議院に転身したが、一昨年の参院選では福島県選挙区の定数が2から1に削減されたので、「野党共闘」がなければ間違いなく落選していたはずだ。それが「野党共闘」で共産党などの支援も受けて当選したが、当選後すぐに「野党共闘」に尽力した当時の民進党代表・岡田克也の顔に泥を塗る真似をした。

 そんな人間を民進党は幹事長に任命していた。増子の幹事長就任は昨年11月。大塚耕平が民進党代表になったすぐ後に選ばれた。大塚は、海江田万里(現立憲民主党衆院議員)の衆院選落選に伴って行われた2015年1月の民進党代表選で細野豪志の推薦人になった人間で、昨年の民進党代表選当時から「希望の党寄り」の政治家だとして警戒されていた。今回の希望の党との統一会派結成は、増子や大塚らの思惑通りといえるだろう。

 しかし、増子に顔を潰されたことのある岡田克也はこの動きに不満だろうし、一方で希望の党でイニシアチブを取りたい「チャーターメンバー」の細野豪志も民進党との統一会派には反対だろう。

 一般に持たれているイメージとは逆に、政党は小さくなればなるほど政党内の統制はとりにくくなる。昨年秋以来の、つまり希望の党と立憲民主党が左右に分かれていったあとの民進党はその見本といえる。民進党でも衆院議員と参院議員に違いがあり、昨年の分裂劇と選挙を経ていない参議院の民進党には、従来の民進党内に強く働いていた「右バネ」が強い。一方、衆議院の民進党議員は「希望の党に行かなかった人たち」だから、「右バネ」はいたって弱い。

 それよりも何よりも、希望の党も民進党も政党支持率はめちゃくちゃに低い。それは、先週NHKが報じた各党の政党支持率にはっきり表れている。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180109/k10011282981000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_040

NHK世論調査 各党の支持率
1月9日 19時26分

NHKの世論調査によりますと、各党の支持率は、自民党が38.1%、立憲民主党が9.2%民進党が1.3%、公明党が2.4%、希望の党が1.0%、共産党が3.6%、日本維新の会が1.0%、社民党が0.3%、「特に支持している政党はない」が36.6%でした。

(NHKニュースより)


 民進党と希望の党の政党支持率は両党を合わせても2.3%であり、立憲民主党の4分の1しかなく、共産党よりも低く、公明党と同じくらいだ。主要政党でそれより支持率が低いのは、日本維新の会(1.0%)、社民党(0.3%)、それになぜか数字が表示されていない自由党しかない。

 そんな希望の党と民進党が統一会派を組もうとする。何を考えているのだろうか。この動きの主導者たちが属していた旧民進党右派の思想信条(心情)が旧民進党支持層の多くの人たちと一致していないことは、昨年の衆院選で示されたばかりではないか。

 やはり政治とは「惰性」で動くものなのだなあと思わずにはいられない。もっとも、この件には民進党の金庫にある政治資金を希望党の連中が使いたいという強い動機も見え隠れしているが。

 「惰性」といえば、民進党を「左」から割った立憲民主党にもまた、ろくでもない惰性力が働いているようだ。

 先週、立憲民主党の「基本政策」に「公務員人件費の削減」などの項目が入っているとして批判を浴びた。ここでは、くろかわしげる(黒川滋)氏のツイートを引用する。

https://twitter.com/kurokawashigeru/status/950148923754033152

自治労の組織内議員が率先して入ったのに、またもや「公務員人件費の削減」という項目が入っている。1人1人の公務員の人件費水準がどうかという議論はあったとしても、基礎自治体では、正規職員と同数程度いて、人件費にカウントされていない非正規職員をどうするか、という問題の壁になる。


https://twitter.com/kurokawashigeru/status/950161366534406145

立憲民主党の基本政策はおおむね穏当に賛同できるものですが、先にツィートした公務員人件費の抑制と非正規職員の問題、子どもの権利条約のめざす内容が日本政府同様限定的にしか示していなこと、地域公共交通を活性化ではなく細々と維持する路線でしかないところに強く違和感・反感を持ちました。


https://twitter.com/kurokawashigeru/status/950321014419873792

立憲民主党を批判したらふだんにないリツィートで驚いています。厳しい口調だけども建設的批判のつもりです。新しい政党には、建設的批判者に悪のりして、そもそも彼らがダメみたいな議論がされてしまうことを杞憂しています。それが新政党の行動パターンの呪いの呪文みたいになってしまいます。


 黒川氏がやったような「建設的批判」をもっと多くの人たちが行い、それで「草の根から」あるいは「ボトムアップで」新党の発展につなげていく方向でなければダメなのではなかろうか。

 上記引用した最後のツイートで、黒川氏は「新しい政党には、建設的批判者に悪のりして、そもそも彼らがダメみたいな議論がされてしまうことを杞憂しています」と呟いているが、その反対方向の動きも私には気になる。

 それは、「枝野信者」とでもいうべき人たちであって、枝野幸男あるいは立憲民主党に対する批判を何が何でも許さない、という人たちだ。そう、おなじみの「小沢信者」(あるいは「安倍信者」すなわちネトウヨ、それにかつて非常に多く存在した「小泉信者」など)と同じ心理規制に動かされる人たち。これが立憲支持層の中でも目立ってきたように思われる。

 彼らの多くは、昨年秋まで私が「民進党信者」と呼んでいた人たちだ。彼らは民進党に対する批判を許さず、「代表選で前原が勝っても枝野が勝っても同じだ」と叫んでいた。前原誠司を強く批判していた私などは、彼らに「市民様」と呼ばれて痛罵されたものだ。しかし、その審判はあっさり下された。前原誠司が小池百合子の「希望の党」との合流に走ろうとした時、彼らは自らの負けを認めざるを得なくなったのだった。

 「小沢信者」にしても同じなのだが、彼らは基本的に「リベラル」であって、(小沢一郎だの)前原誠司だのとは思想信条(心情)が基本的に異なるはずだ。それが無理に小沢一郎だの民進党だのに自分を同一化して(=「信者」と化して)徒党を組む。

 そうした旧弊から脱却しようとする動きが、ようやく国政政党の選挙結果に表れたのが昨年の衆院選における立憲民主党の躍進ではなかったか。

 立憲民主党の支持者ではない私が言うのも何なのだが、同党の支持者ないしシンパの方には、前記の黒川滋氏を見習って、「建設的批判」を同党にぶつけて行って、政党を育てようとしていただきたいものだ。

 それをしないばかりか、立憲民主党を批判する人に喧嘩を売りに行っているばかりでは、やっていることが「小沢信者」と何も変わらないとしか言いようがない。それでは閉塞感の打破などとうていおぼつかない。