ところが、またしても民主党が怪しい動きを見せているようだ。昨日トラックバックいただいた『たかしズム「ネトウヨ、バカウヨ、ネット右翼、恥さらし、売国奴、日本の恥」を語るための、たかしのブログ』は、上記サンプロに出演した郷原信郎氏の発言を引いて、下記のように書いている。
今朝(2月7日)のサンデープロジェクトがだんぜん面白かった。特に郷原信郎氏の発言が気に入った、彼はこう言ったのだ。自身の不起訴決定後に行なった記者会見での小沢氏の「不起訴は公平公正な検察当局の捜査の結果として受け止めている。」という発言は、問題である、一度は「到底容認できない。断固として信念を通し闘っていく決意だ」などと言っておきながら、自分ひとり不起訴になった途端に前言撤回するというのでは、検察と裏で「取引」したと勘ぐられても仕方がないだろう、というものであった。その直後、例によって田原総一朗が「郷原さんは小沢さんの味方だと思っていたが違うの?」などと、クダラナイ茶々を入れていたのは言うまでもない。
(『たかしズム「ネトウヨ、バカウヨ、ネット右翼、恥さらし、売国奴、日本の恥」を語るための、たかしのブログ』 2010年2月7日付エントリ「小沢問題についてもう少し」より)
実は番組を見ながらあらぬことを考えていたので、郷原氏のこの発言も聞き落としていたのだが、そんなことを言っていたとは私にも意外だった。
前回のエントリで、昨年の衆院選前に、毎日新聞のアンケート(「えらぼーと」)に対して、「取り調べの可視化」に反対する、と回答した現職衆議院議員の一覧を示したが、もちろんそこに示した面々以外は全員賛成しているのだから、「取り調べの可視化」を早く法制化せよ、というのが私の言いたいことだ。そこで、賛成すると答えた自民党、他の保守系政党(みんなの党、国民新党、新党大地、新党日本)及び自民党系無所属の賛成者を下記に示す。
自民党(53人) 武部勤(北海道12)、金田勝年(秋田2)、小野寺五典(宮城6)、遠藤利明(山形1)、加藤紘一(山形3)、吉野正芳(福島3)、額賀福志郎(茨城2)、梶山弘志(茨城4)、小渕優子(群馬5)、柴山昌彦(埼玉8)、松野博一(千葉3)、斎藤健(千葉7)、浜田靖一(千葉12)、平将明(東京4)、石原伸晃(東京8)、菅原一秀(東京9)、井上信治(東京25)、松本純(神奈川1)、菅義偉(神奈川2)、長勢甚遠(富山1)、馳浩(石川1)、塩谷立(静岡8)、野田聖子(岐阜1)、古屋圭司(岐阜5)、田村憲久(三重4)、三ツ矢憲生(三重5)、伊吹文明(京都1)、二階俊博(和歌山3)、谷畑孝(大阪14)、竹本直一(大阪15)、細田博之(島根1)、竹下亘(島根2)、逢沢一郎(岡山1)、岸田文雄(広島1)、中川秀直(広島4)、河村建夫(山口3)、山口俊一(徳島2)、大野功統(香川3)、塩崎恭久(愛媛1)、山本公一(愛媛4)、福井照(高知1)、中谷元(高知2)、山本有二(高知3)、古賀誠(福岡7)、今村雅弘(佐賀2)、谷川弥一(長崎3)、衛藤征士郎(大分2)、坂本哲志(熊本3)、江藤拓(宮崎2)、徳田毅(鹿児島2)、秋葉賢也(比例東北)、長島忠美(比例北陸・信越)、野田毅(比例九州・沖縄)
みんなの党(4人) 渡辺喜美(栃木3)、柿沢未途(東京15)、浅尾慶一郎(神奈川4)、山内康一(比例北関東)
国民新党(2人) 松下忠洋(鹿児島3)、下地幹郎(沖縄1)
新党大地(1人) 鈴木宗男(比例北海道)
新党日本(1人) 田中康夫(兵庫8)
自民党系無所属(3人) 中村喜四郎(茨城7)、小泉龍司(埼玉11)、平沼赳夫(岡山3)
無所属では、他に民主党系無所属の川口博(秋田2、「民主党・無所属クラブ」)が賛成している。
全衆院議員が賛成している共産党・社民党及び衆院議員の大部分が賛成している民主党・公明党については賛成者リストをわざわざ作成する必要はあるまい。もちろん平野博文も渡部恒三も取り調べの全面可視化に賛成している。昨年の総選挙では、有権者は彼らの主張を検討して候補者を選んだのである。「えらぼーと」で「賛成」と答えた国会議員たちには、取り調べの全面可視化を速やかに法制化するよう努力することが求められるのは当然だ。でっち上げとしか考えられない捜査によって逮捕され、二審では贈収賄額が0円と認定されたにもかかわらず有罪判決自体は覆らなかった佐藤栄佐久・福島県前知事(この裁判で佐藤氏の弁護人を務めているのが宗像紀夫氏である)が書いたブログ記事(前編・後編)を読めば、たいていの国会議員だって身につまされるだろうし、それでも取り調べの完全可視化に反対する政治家たちとはいったいどういう人たちだろうと、私は疑念を抱かずにはいられない。
ところで、『村野瀬玲奈の秘書課広報室』にも好意的にご紹介いただいたエントリ「小沢一郎を乗り越えるべきは東京地検特捜部ではなく国民だ」で書いたように、私は小沢一郎は乗り越えなければならない政治家だと考えている。いや、5月に68歳を迎える小沢一郎だって、自らが抱えている矛盾を自覚しているのではないか。だから、昨年、「西松事件」で大久保隆規秘書が逮捕され、いわゆる「小沢信者」たちが「企業献金を受け取って何が悪い」などと信じられない開き直りを見せていたさなかに、自ら「企業・団体献金の全面禁止」を言い出したのではないだろうか。これを、自分を乗り越えよと小沢一郎自身が言っていると解釈するのは、あまりに小沢一郎に好意的な見方だと言われるかもしれないが、小沢一郎の主張自体は、(たとえ「お前が言うな」と言いたくなるとは言っても)決して間違ってはいない。これまた何度も書くけれども、この不意打ちを食った町村信孝がテレビの政治番組で逆上していたさまは、今思い出しても笑える。同時に、立場を失った小沢信者たちにも笑えたのだが、彼らは全く反省の色を見せず、性懲りもなく「小沢不起訴はゆうちょ銀行の資金を米国債で運用することでアメリカとバーター取引したものではないか」などと書く始末だ。大部分が日本国際で運用されている郵貯資金の運用先を、そっくり米国債でリプレイスするといわんばかりのこんな非常識な陰謀論には、彼らの師匠・植草一秀も与しないから、この手の陰謀論は城内実ブログのコメント欄のような、反米兼反小沢一郎の右側の人たちが集まる場所でぶすぶす燻るにとどまっている。
上記リンク先の城内実ブログには、たとえばこんなコメントがある。
西郷 2010/02/5 18:59:59
■最悪!小沢、米要人との会見後、一転して不起訴!
どうやらカラクリが明らかになりましたね。
最悪です…。
ゆうちょ銀の資金、米国債で運用も 亀井大臣が見解
http://www.asahi.com/business/update/0204/TKY201002030498.html
郵政『米』営化に戻りました。
小沢は同じ朝鮮人小泉と一緒の方向にシフトしました。
なんとも醜悪きわまりないコメントだが、ひところ、「リベラル・左派」系のブログの間で流行した「右も左もない」というトレンドの行きつく先は、こういう連中との「共闘」だったことを指摘しておかなければならない。小泉純一郎が推進した新自由主義の政治も、小沢一郎が引きずる経世会の金権体質も、ともに乗り越えなければならないと私も思うけれども、小泉批判にせよ小沢批判にせよ筋の通ったものでなければならず、「小泉は朝鮮人だ」、「小沢も朝鮮人だ」などと認定して憎悪の炎をかき立てるようなレイシストたちと共闘なんかしてはならないことは当然だ。
何かあると、すぐに「アメリカの陰謀」だとか「ユダヤの陰謀」だなどと認定する陰謀論は、ずっと反体制に慣れてきた一部トンデモ左翼の心をとらえるのだろうが、不毛だ。現在、政治権力が民主党にあることは措くにしても、権力に対峙する場合、権力が陰謀を弄しうるハンデ戦を強いられるのは当然だ。だから陰謀論に傾きたがる心理は理解できないでもないが、陰謀仮説がドグマと化して仮説への批判を受けつけない姿勢になると、それは容易に全体主義、ファシズムにつながる。かなりの数のリベラル・左派ブログが、上記のようなレイシズム剥き出しのコメントがブログに頻繁に掲載される城内実に理解を示す姿勢をとってきたことは、それらリベラル・左派ブログが容易に全体主義、ファシズムに協力する体質を持っていることのあらわれだと私は考えている。
幸い、今回「X氏」とやらが提供したガセネタに引っかかって馬脚を現した城内実から、これまで彼に理解を示していた多くのリベラル・左派のネットワーカーが去っていったが、それは単に城内がヘタを打ったからに過ぎず、ネットワーカーたちの体質は何も変わっていないのではないか。そう悲観的に思う。
そもそも陰謀論に傾きやすいのは、相手がとてつもない力を持った強大な存在だから仕方がない、という現状追認の姿勢の反映なのではないか。リアルの政治家たちは、さすがにそんな陰謀論には与しないと思うが、強大なアメリカに逆らっても仕方がない、というあきらめ思考の持ち主は多いのではないか。特に岡田克也、前原誠司、北澤俊美、平野博文といった人たちから私はあきらめの思考を感じる。石橋湛山のように、アメリカに向かって言いたいことの言える政治家は現在日本の民主党と自民党には存在せず、辛うじて小沢一郎が、かつて自民党幹事長時代にアメリカに追従ばかりしていた前歴があるとはいえ、現在は対米隷従を前提としない思考をしているように見える。私は昨年、「小沢一郎でなきゃアメリカに対抗できない」と叫ぶ小沢信者たちをさんざん批判したが、昨年来の民主党首脳の言動を見ていると、小沢が睨みを利かしていなければ、今頃普天間基地問題はとっくに辺野古への移設が決まっていたのではないかと思える。岡田克也を見よ、前原誠司を見よ、北澤俊美を見よ、平野博文を見よ。報道される彼らの言動に接すると、何をそんなに卑屈にしてるんだ、とイライラが募る。それでいて沖縄に対しては高圧的な態度をとるから余計に腹が立つ。これではまるで藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』に出てくるスネ夫ではないか。そう言いたくなるほど民主党の政治家たちはふがいない。もちろん、自民党は民主党の小心者たちが回帰しようとしている政策をとる集団だから論外だ。残念ながら、小沢一郎は日本の政治にとっていまだに必要悪なのではないかと思えるが、最初に書いたように小沢一郎を乗り越えなければ日本の政治は前進できないという基本的な認識は変わらない。リベラルの側から小沢一郎を乗り越える政治家が出てこなければならないし、そういう政治家を育てていかなければならない。ただ、その道のりがはるかなものであることを痛感する。
それでも、陰謀論や無力感に別れを告げて、前向きに進もうではありませんか皆さん。そう言いたい。
↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。

まあ、浮かれていたのは何も民主党内の反主流派だけではなく、自民党もそうだっただろうし、われらが城内実センセイにいたっては、「小沢一郎民主党幹事長の例の土地購入原資を巡る問題と関わりのあるX氏」に、「城内実のファンなので是非会って欲しい」と言われたのに舞い上がったらしく、「小沢一郎問題」にかかわる怪情報をブログに公開した。前回のエントリで紹介した通りである。
城内センセのエントリからは、血湧き肉躍るセンセの興奮が伝わってきた。上気して頬を紅潮させたセンセの顔がまざまざと思い浮かぶかのようだった。もちろん、一方でCIA陰謀論を匂わすフレーズも挿入して、左側の陰謀論者たちへのサービスも怠りないあたり、さすがは東京大学経済学部卒の学歴を誇るセンセだ。しかしその一方で、センセには愛すべき(?)「不用意さ」もある。下記のくだりが読者の多くに見咎められてしまったのである。
五、国策捜査だとか取り調べの全面可視化が必要だと叫び、検察に対する悪のイメージを流布したり、挑発するようなことを言えば言うほど、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなる。
(『城内実の「とことん信念」ブログ』 2010年1月30日付エントリ「◎ 政 治 ◎ 小沢一郎幹事長と「陸山会」の問題」コメント欄より)
これはいったい誰が誰に向かって言っていることなのか。もちろん、X氏が城内実にこう言った、と城内実は書いているのだが、小沢一郎に対する東京地検特捜部の脅しにも見えるし、取り調べ可視化を求める世論というか、ブログに書いている内容だから、ネット言論に対して、「お前ら、取り調べの可視化なんかを要求したら、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなるぞ、つまり小沢一郎は逮捕されるぞ」と恫喝しているようにも受け取れる。
ネット言論というのは、世論とずいぶん違った傾向があって、どういうわけか城内実は「左」側にも多くの熱心なファンを持っていたのだが、上記のブログ記事に彼らは一斉に反発し、城内実から離れていった。城内が国籍法改正に反対した際に差別記事を書いた時や、眞鍋かをりさんをポスターに無断使用したことが発覚したのに真鍋さんになかなか謝罪しなかった時にも城内支持を止めなかった人たちが、今回は一斉に「城内離れ」を起こした。それは、取り調べの可視化反対論者であることが知られている城内実の本音がはしなくも露呈して、ようやく熱心な「左」側のシンパの人たちも城内実の正体を悟ったためだろう。
犯罪の容疑者に対する取り調べの全過程を録音・録画(可視化)する「取り調べの可視化」は、何も石川知裕や小沢一郎のためにあるのではない。無実の罪で14年もの長きにわたって菅谷利和さんが投獄された足利事件のような、違法な取り調べやでっち上げが招いた冤罪を起こさせないために必要不可欠なのである。もちろん、国会議員の大部分もこのことを理解している。その一方で、警察や検察は取り調べの可視化の動きに反対している。権力を振りかざして、自らに都合の良い(容疑者にとって不都合な)自白を容疑者に強要するなどの従来のやり方ができなくなるためだろう。
そんな警察や検察の言い分を認めて、取り調べの可視化に反対している国会議員もいる。昨年、毎日新聞が衆院選候補者にアンケート(「えらぼーと」)を行ったが、その「問10」は取り調べの可視化への賛否を問うている。「犯罪の容疑者に対する取り調べの全過程を録音・録画(可視化)することに賛成ですか、反対ですか」という問である。
大部分の国会議員が取り調べの可視化に賛成している、と書いたが、反対者もいる。アンケートに回答した当選者のうち、反対と回答した者は57人で、「非該当」すなわち賛成、反対以外の回答をした者が10人、設問に答えなかった者が19人、アンケート自体に回答を出さなかった者が3人である。以上を合計しても89人にしかならないことをまず知ってほしい。
取り調べの可視化に反対した衆院議員は下記の通りである。現在の第一党は民主党だが、反対者は自民党に圧倒的に多いので、順番は自民党を最初に書く。括弧内は選挙区で、選挙区で落選して比例で復活した者も、立候補した選挙区で表記する。
自民党(45人) 町村信孝(北海道5)、伊東良孝(北海道7)、江渡聡徳(青森2)、大島理森(青森3)、木村太郎(青森4)、永岡桂子(茨城7)、茂木敏充(栃木5)、新藤義孝(埼玉2)、林幹雄(千葉10)、森英介(千葉11)、小池百合子(東京10)、下村博文(東京11)、鴨下一郎(東京13)、平沢勝栄(東京17)、田中和徳(神奈川10)、小泉進次郎(神奈川11)、宮腰光寛(富山2)、稲田朋美(福井1)、高木毅(福井3)、棚橋泰文(岐阜2)、高市早苗(奈良2)、田野瀬良太郎(奈良4)、松浪健太(大阪10)、西野陽(大阪13)、西村康稔(兵庫9)、石破茂(鳥取1)、赤沢亮正(鳥取2)、阿部俊子(岡山3)、加藤勝信(岡山5)、安倍晋三(山口4)、後藤田正純(徳島3)、平井卓也(香川1)、鳩山邦夫(福岡6)、麻生太郎(福岡8)、武田良太(福岡11)、園田博之(熊本4)、金子恭之(熊本5)、古川禎久(宮崎3)、小里泰弘(鹿児島4)、佐田玄一郎(比例北関東)、近藤三津枝(比例近畿)、柳本卓治(比例近畿)、村田吉隆(比例中国)、河井克行(比例中国)、山本幸三(比例九州・沖縄)
民主党(9人) 石原洋三郎(福島1)、大泉博子(茨城6)、松崎公昭(千葉8)、後藤祐一(神奈川16)、萩原仁(大阪2)、山口壮(兵庫12)、松野頼久(熊本1)、山口和之(比例東北)、金森正(比例東海)
公明党(1人) 漆原良夫(比例北陸・信越)
国民新党(1人) 亀井静香(広島6)
無所属(1人) 城内実(静岡7)
賛成でも反対でもない回答(「非該当」)をしたのは、下記の10人。自民党で賛成しそうな大物が何人か混じっているが、おそらく党内世論を慮ったものだろう(笑)。
自民党(6人) 福田康夫(群馬4)、河野太郎(神奈川15)、谷垣禎一(京都5)、谷公一(兵庫5)、村上誠一郎(愛媛2)、保利耕輔(佐賀3)
民主党(3人) 松本剛明(兵庫11)、山口和之(比例東北)、笠原多見子(比例東海)
みんなの党(1人) 江田憲司(神奈川8)
この設問に答えなかったのは下記の19人。このうち森喜朗と山本拓は全設問に対して答えていない。また、無所属の川村秀三郎は、院内会派「民主党・無所属クラブ」に属している。
自民党(15人) 佐藤勉(栃木4)、与謝野馨(東京1)、甘利明(神奈川13)、金子一義(岐阜4)、橘慶一郎(富山3)、森喜朗(石川2)、北村茂男(石川3)、山本拓(福井2)、大村秀章(愛知13)、川崎二郎(三重1)、石田真敏(和歌山2)、高村正彦(山口1)、岩屋毅(大分3)、北村誠吾(長崎4)、森山裕(鹿児島5)
民主党(2人) 木村剛司(東京14)、糸川正晃(福井2)
公明党(1人) 東順治(比例九州・沖縄)
無所属(1人) 川村秀三郎(宮崎1)
最後に、毎日新聞のアンケート自体に回答しなかった者は下記の3人。
民主党(3人) 田中真紀子(新潟5)、藤井裕久(比例南関東)、沓掛哲男(比例北陸・信越)
「取り調べの可視化」に反対している面々を見ると、3つのことに気づく。まず、亀井静香や平沢勝栄のような元警察官僚や、城内実のような元警察官僚の息子や、後藤田正純のように元警察官僚の大叔父を持つ者が反対していること。次に、元首相で賛成している者が一人もいないこと。小泉純一郎のドラ息子・小泉進次郎までもが反対している(もっとも、落選した海部俊樹は賛成している)。そして、「国士様」に反対者が多いこと。もっとも、何度も書くように、平沼赳夫は元検事総長の養子であり「国士様」であるにもかかわらず賛成しているから、いちがいには言えない。
反対者の顔ぶれ以上に注目すべきは、ここに名前を挙げた89人以外の衆院議員は、すべて取り調べの全面可視化に賛成する、とする回答を毎日新聞に寄せたことだ。あの人もこの人もみな「賛成」と答えているのである。
朝日新聞と毎日新聞は、「取り調べの可視化」に賛成の立場を社論にしているにもかかわらず、民主党が検察に対抗するために「取り調べの可視化」を持ち出すのはおかしい、と書いた。違う。民主党が小沢一郎の首と引き替えに「取り調べの可視化」を延期することで検察と手打ちなどしてはならないと書くべきだったのだ。
取り調べの可視化法案は是非とも成立させなければならない。
↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。

党大会で発表された自民党の運動方針案は、事前に産経新聞がデフォルメして要約したほど極端なものではなかったけれども、いわゆる「保守」を前面に打ち出したものだった。
この党大会では、新綱領も採択された。河野洋平総裁時代の1995年から綱領に盛り込まれた「小さな政府」の項目が、格差社会を生んだ市場原理主義の負のイメージを招くとの観点から(共同通信による)「すべての人に平等な政策を実行する政府」と改められた点が注目される。但し、自民党HPを見ると、なぜか小泉純一郎総裁時代の2005年11月22日に採択された旧綱領が、新綱領の下に掲載されている。「小さな政府」の項目の記載は下記の通り。
- 小さな政府を
私たちは、国、地方を通じて行財政改革を政治の責任で徹底的に進め、簡省を旨とし、行政の肥大化を防ぎ、効率的な、透明性の高い、信頼される行政をめざします。また、国、地方の適切な責任分担のもとで、地方の特色を活かす地方分権を推進します。
この項目が削除されたのは良いが、「保守色」を強めるようではこの党の前途は暗い。これでは、小泉純一郎路線から安倍晋三路線への転換でしかなく、それでは2006年に総理総裁が小泉から安倍に代わった時から何の進歩もない、いや、「小さな政府」の看板を取り下げただけが変化だとすると、自民党は「国家社会主義」路線へと舵を切ろうとしているといえるかもしれない。
さすがに、「靖国参拝」は綱領には出てこず、運動方針案でも1箇所に書かれているだけではある。しかし、谷垣禎一が総裁をやっていながらこんな運動方針案が出てくるところに、私は失望する。とは書いたものの、実際にはもう谷垣には何の期待もしていないのだけれど。
そもそも、「歴史と伝統、文化を尊び、道徳の高揚に努めます」と言ったあとに、「靖国神社参拝を受け継ぎ」という文章が続くことがおかしい。靖国神社にいったいどんな歴史があるというのか。梅原猛は、「日本古来の神道では、えらい人を神に祀るということはあり得ない」と言っている(『梅原猛の授業 仏教』(朝日文庫、2006年)251頁)。神に祀る人はみな、世の中を恨んで死んだ人、高い位につきながら流されたり殺されたりして世の中を恨んでいる人が神さまに祀られていると言う。国のために死んだ人だけ靖国神社に祀り、戦犯の東条英機まで祀るのは日本の神道の精神ではない、中国や韓国の被害を受けた人を祀るのが日本の神道の精神だと梅原は主張する(前掲書251-252頁)。当ブログ2006年10月4日付エントリ「梅原猛さんの新刊『神殺しの日本−反時代的密語』」で、梅原猛が教育勅語を「伝統精神の上ではなくむしろ伝統の破壊の上に立っている」と批判していることを紹介しているが、自民党の運動方針案にはさすがに「教育勅語」までは登場しない。しかし、靖国神社に参拝することを「歴史と伝統、文化の尊重」だとか「道徳の高揚」だ、などと勘違いしている自民党運動方針案の行きつく先が「大日本帝国憲法」や「教育勅語」の復活であることは当然だ。梅原猛は、『梅原猛の授業 仏教』で、「教育勅語の本当の思想は儒教でも神道でもなく、実は西欧から取りいれた十九世紀の国家主義思想で、それを儒教と神道で少し色をつけたに過ぎないのです」と指摘している。こんな方向性を持つ政党が「小さな政府」を捨てたら、それこそ「国家社会主義」の再来だ。自民党の目指す方向が、産経新聞が書くような「保守」ではなく、明治時代から先の戦争に敗戦した時代へ時計の針を戻そうとする反動的な国家主義に過ぎないことは明らかである。自民党は民主党政府の政策を「国家社会主義だ」と批判するが、実は下野した自民党こそ「国家社会主義政党」なのである。
よく指摘されるように、自民党が今なお「小泉構造改革」を総括できていないのも一面の真実なのだが、新自由主義政党としては既に「みんなの党」があり、民主党にも自民党にも飽き足らず、かつ「小泉構造改革」に今なお幻想を持つ層の支持を集めて、昨年の総選挙でも善戦したし、現在の電波芸者の中でも三宅久之などは「みんなの党」を持ち上げる発言をしている。河野太郎なども、しばしば心はもはや自民党にはあらず、と思われる発言をしているが、私は自民党は早く新自由主義勢力と国家主義勢力の2つに分裂すればよいと思う。安倍晋三、森喜朗、稲田朋美らは後者に属するし、分裂した自民党の国家主義勢力側には、平沼赳夫や城内実も参加して、この2人と安倍晋三によるトロイカ体制で、華々しく「真正保守」たちの新党を立ち上げればよいのではないだろうか。きっと、「確かな野党」として一定の勢力を国会で確保することができるに違いない。何しろ、彼らにはネット右翼という強い味方がついている(笑)。
ところで、小沢一郎の政治資金問題についてだが、城内実は下記のように「憶測」している。
一、検察側は水谷建設などから関係者の供述だけではなくかなりの物的証拠を握っている。
二、先般の東京地検特捜部による小沢一郎幹事長に対する事情聴取はあくまで形式的なもので、「最後にいいわけの機会を与えてあげよう。実際にどういういいわけをするか聞いてみようではないか。」という程度のもの。
三、2月4日に逮捕された石川知裕代議士の拘留期限が切れるが、再逮捕されると思われる。その際、政治資金規正法事件からより刑罰の重いあっせん利得罪、贈収賄事件に切り替わる可能性が高い。小沢一郎幹事長までいくかで現在水面下で最後のせめぎあいをしているところであるが、世間一般の予想に反して相当厳しい状況である。
(『城内実の「とことん信念」ブログ』 2010年1月30日付エントリ「◎ 政 治 ◎ 小沢一郎幹事長と「陸山会」の問題」より)
どうやら政界の一部では、小沢一郎と検察の対決は、今週いよいよおおごとになりそうだと見られているようだ。それを見越してか、自民党の右派議員と無所属、それに「改革クラブ」などの連中が、田母神俊雄を担いで、全国規模の大衆組織だという「頑張れ日本! 全国行動委員会」を結成し、明日(2日)にその結成大会を東京都内で開催するそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100131/stt1001310946001-n1.htm
この組織は代表が田母神俊雄、幹事長が水島総(さとる)で、結成大会には安倍晋三や平沼赳夫が来賓として出席すると産経新聞は報じているが、「チャンネル桜」には、登壇予定者のリストが掲載されており、下記の人たちが登壇する予定だ。
安倍晋三、平沼赳夫、下村博文、高市早苗、山谷えり子、衛藤晟一、西田昌司、稲田朋美、大江康弘、城内実、中山成彬、西村眞悟、赤池誠章、萩生田光一、馬渡龍治、林潤、田母神俊雄、小田村四郎、日下公人、加瀬英明、西尾幹二、田久保忠衛、井尻千男、小林 正、福地 惇、西岡力、すぎやまこういち、増元照明、富岡幸一郎、藤井厳喜、潮 匡人、西村幸祐、井上和彦、大高未貴、高清水有子、三橋貴明、石平、小山和伸、土屋たかゆき、三宅 博、松浦芳子、三輪和雄、村田春樹、坂東忠信、英霊来世、saya、各地方議員 ほか多数
なんとも香ばしいメンバーである。上記には政治家のほか産経文化人らも大勢いるが、だいたいこういった人たちが現在「極右」に分類される政治家とその応援団である。たとえば麻生太郎あたりは、これらの人々からは若干距離を置いている。政治家でいえば、なんといっても安倍晋三と平沼赳夫が両巨頭だ。
ところで、『kojitakenの日記』にいただいたコメントには、下記のような指摘もあった。
rebma129 2010/01/31 20:19
田母神をトップに担いでるけど、実質的な主催者は水島と松浦芳子。
産経の報道を一見すると、大規模な政治運動の始まりと錯覚しそうだが
これまでチャンネル桜がやってきた運動の名前を変えただけ。
水島はトランスデジタルの捜査の進捗と石垣島の件で告訴されて焦ってると思われ、
ずらっと並ぶ政治家も、彼らを看板=盾にした警察・検察への牽制球だろうね。
「トランスデジタル」についてはよく知らなかったのだが、下記記事が検索で引っかかった。
http://outlaws.air-nifty.com/news/2009/01/post-3b5d.html
以下引用する。
【注目記事】週刊金曜日1月9日号「破綻したIT企業トランスデジタルの怪」
先週(注:2009年1月)発売された「週刊金曜日」(=左写真)に、トランスデジタルをめぐるレポートが掲載された。
周知のように、トランス社には山口組系2代目古川組の企業舎弟・永本壹桂ら反社会勢力が増資に関与し、破綻前には小切手、手形が乱発されていた。この事件には捜査当局も重大な関心を寄せているが、同レポートはトランス社と「日本文化チャンネル桜」(水島総代表)との疑惑に迫っている。
昨年8月7日、防衛省市ヶ谷本部に隣接する「ホテルグランドヒル市ヶ谷」で400人を超える参加者を集めた盛大なパーティーが催された。歴代の防衛大臣3人や田母神前空幕長らを呼んだパーティーは、トランス社の子会社「メディア241」が主催した。当時、チャンネル桜は、メディア241が運営するCSチャンネルの放送枠を借りており、同パーティーで発表された「ガンバレ自衛隊!・安全保障アワー」なる新番組も実質上、チャンネル桜が制作するという関係にあった。すでに、防衛省が全面的にバックアップするこの新番組は数本の収録も終え、9月からの放送開始を待つばかりであったが、その直前にトランス社が破綻し、番組自体も立ち消えになってしまった。
そして、注目されるのは、トランス社がこうした一連の「防衛省プロジェクト」を名目に2億円もの資金を使っていた、と同レポートが指摘している点だ。トランス社には後藤幸英社長のほか防衛大卒の役員も顔を揃えていたわけで、一体この資金はどこにどのように消えたのか。詳しくは同レポートをご覧いただきたい。
(東京アウトローズWEB速報版 2009年1月15日付)
なるほどねえ、それで政治家たちを集めてデモンストレーションってわけなのかねえ。そういえば、「頑張れ日本! 全国行動委員会」に参加する政治家たちは、安倍晋三、城内実、稲田朋美、高市早苗(以下略)ら、「取り調べの全面可視化」に反対する議員がずらり並んでいる。但し、平沼赳夫はなぜか取り調べの可視化に賛成している(以上、毎日新聞「えらぼーと」への回答より)
そういえば、先に引用した城内実のブログには、書き手の意図を測りかねる文章が含まれている。
四、検察側や特定の政党に大変詳細な情報を提供をしている個人ないし団体関係者がいる。某国情報機関か。いずれにせよ、その存在は不明。事実だとすると田中角栄が逮捕されたロッキード事件に似ている。
五、国策捜査だとか取り調べの全面可視化が必要だと叫び、検察に対する悪のイメージを流布したり、挑発するようなことを言えば言うほど、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなる。
小沢一郎と検察の対決の激化を期待しているような文章の中にあって、この「四、」はCIAが小沢一郎を陥れるために検察や自民党に情報を提供しているといわんばかりの書き方をしており、なぜか城内実を批判しないことでも知られる植草一秀の「悪徳ペンタゴン」を思わせる陰謀論になっている。一方、「五、」は「取り調べの可視化」を要求して検察を刺激したら、「検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるを得なくなる」とのことで、このくだりは城内が何を言いたいのかさっぱりわからない。淡々と法と正義にのっとって処理するって、それこそ検察のあるべき姿じゃん。
さすがに城内実のブログにも突っ込みのコメントが入っている。
ゲスト 2010/01/31 16:15:56
感じたことというか、推測を述べているんですね。
少し質問をさせてください。
五、国策捜査だとか取り調べの全面可視化が必要だと叫び、検察に対する悪のイメージを流布したり、挑発するようなことを言えば言うほど、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなる。・・・について
→国策捜査と言っている方は少ないと思います。同種の事件・案件と比較して、法の適用や捜査方法がバランスを欠いたものであるから、恣意的な検察権力の行使ではないかという指摘をしているのだと思います。先生はこの指摘に対してどういうご見解を持っていますか?
→全面可視化は過去の冤罪事件への反省から言われてきたことです。これを検察への挑発とらえるとすれば、検察の傲慢以外の何物でもないと思います。先生は全面可視化についてどういう見解を持っていますか?
→検察側の法と正義とは何ですか?先程の指摘(法の適用や捜査方法がバランスを欠いたもの)に対して検察側の見解が全く述べられていない今の段階で、検察に法と正義があると言えると思いますか?
八、・・・事実上の違法な「個人献金」・・・
→「事実上の違法な」という概念は成り立たないと思います。
(『城内実の「とことん信念」ブログ』 2010年1月30日付エントリ「◎ 政 治 ◎ 小沢一郎幹事長と「陸山会」の問題」コメント欄より)
このコメントにはウケた。おそらくコメント主は城内実が取り調べの全面可視化に反対していることを承知の上で、嫌味のコメントを寄せたものだと思う。
それにしても、城内実が民主党の大混乱を期待してwktkしていることだけは十分伝わってくる。こんな城内実を力強く応援したリベラル・左派ブロガー諸賢のご見解を是非とも伺いたい今日この頃である。
↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。

などと書いていた。そんな状況下で、民主党沖縄県連は推薦したとはいえ、民主党中央は名護市長選にはいたって消極的だった。普天間飛行場の返還を確実にするためには、県外への移設を確定する時間的余裕はないと考えられる。嘉手納基地への統合かキャンプシュワブへの移設を軸に着地点を見出す必要があると考えられる。
似た例としては一昨年2月の岩国市長選があって、その時にも民主党執行部は不熱心だった。前年の参院選で安倍晋三率いる自民党を圧倒した民主党が本腰を入れれば簡単に勝てそうに思われたのだが、民主党中央の支援の鈍さもあってそうはならず、井原勝介は福田良彦に敗れた。この岩国市長選における苦戦は、市長選に立候補した福田良彦の辞職に伴って行われた同年4月の衆院山口2区の補選にまで尾を引き、この補選の序盤戦では、なんと自民党の山本繁太郎(ノーパンしゃぶしゃぶの常連だった元国交省官僚)が、比例区から鞍替えして議員辞職してまで立候補した民主党の平岡秀夫をリードしているとも報じられた。そのタイミングで後期高齢者医療制度が実施されて自民党に突如逆風が吹き始め、終わってみれば平岡秀夫の圧勝だったのだが、あれは後期高齢者医療制度が「神風」になったんだよなあと思ったものだ。小泉純一郎の時限爆弾によって山本繁太郎がやられ、そのおかげで平岡秀夫は助かったように見えた。いや、選挙戦序盤に流れた山本有利という情報が怪しかっただけなのかもしれないけれど、岩国市長選の後遺症がなかったとはいえないのではないだろうか。その意味からいうと、民主党執行部や岡田克也は本音では歓迎していないかもしれないけれど、稲嶺進の勝利は大きかった。
以上のように、民主党というのは自らの党勢を弱めたいのかと思われる動きをすることがよくあるのだが、それにしても一連の平野博文官房長官の発言は度を過ぎている。普天間基地移設問題に関して、名護市長選で示された民意を「斟酌する必要はない」とか、移設先の地元自治体の合意が得られない場合は、法的決着を図ることもあり得る」などと言いたい放題だ。
平野博文は、旧民社党系の松下労組出身議員で、鳩山由紀夫首相が平野を官房長官に任命した時、直ちにこれを批判する声が、左派ネットワーカーの間から起きた。以前から民主党を批判していた人たちに加えて、総選挙の前には民主党を熱心に応援していた人たちの間からも批判の声が上がったのだが、こうした批判の声を、「どんな政府が出来たら満足なのだろう?」などと冷笑したブログがあった。これを見てみると、政権発足早々、記者クラブ問題で早くも見切りをつけたかのように、平野博文や鳩山由紀夫を叩く者たちが出てきた、あいつらは自ら少数派の道を選んだのだ、などと得意げに書いて、当時80%あった内閣支持率をバックに多数派気分を満喫していた全体主義者の愚かしいコメントが確認できる。私は最近よく思うのだが、「政権交代」の旗を振っていた者の何割かは、このような全体主義者たちではなかっただろうか。上記のおバカなコメンテーターは、自らブログも運営していて、現在そこでは数か月前に平野博文をマンセーしていたことなどほおかむりして平野を非難しているのだが、おあいにくさま、私は当該ブロガーが過去に書いたことをしっかり覚えている。馬齢を重ねたくはないものだ。
ネット全盛の時代になって、良くなったことと悪くなったことの両方があると思うが、私見では良くなったことの最たるものは検索機能の充実と過去の情報の蓄積だと思う。たとえば、最近東京地検特捜部を擁護している元東京地検特捜部長の宗像紀夫が、昨年4月1日の朝日新聞に掲載されたインタビューでは東京地検を批判していたことは、ネットで調べればすぐにわかることだし、私のようにブログを運営していれば、アクセス解析によって、どのような検索語でブログを訪問してくださる方が多いかがわかり、おかげで過去の宗像紀夫の発言を容易に見つけることができた。つまり、簡単に「過去を水に流す」ことはできなくなってきている。城内実や平沼赳夫がレイシスト発言を発するたびに、彼らの過去の言動を蒸し返すブロガーだっているわけである。こんな時代に、うっかり平野博文なんかを支持してしまった人間が、そのことについてあとから批判されるのは当然だろう。
ところで、この平野だが、誰かに似ているなあという気が前々からしてたのに、誰に似ているのか思い当たらなかった。しかし、ついに昨日、それがわかった。田母神である。田母神俊雄と平野博文は似ている。なるほど、卑しい人間は同じような風貌になっていくんだなと、妙に感心した。
ただ、あんな発言を連発すれば国民の多くから嫌われることは、平野だって百も承知のはずなのに、なぜあえて嫌われ役を買って出るのかというと、やはり鳩山政権が国民や連立のパートナーの不興を買う政策をとる時、少しでも鳩山首相を矢面に立たすまいとしている面は、必ずやあるだろう。これも多くの人が指摘していることだ。事態が現在のように推移すると、米軍基地の県外移設を民主党が曲がりなりにも捨てていないのは、小沢一郎の意向が反映されているのではないかと想像せざるを得ない。
谷垣禎一総裁ら自民党の面々が、民主党内では言いたいこともいえない、自由にものが言える自民党とは大違いだと言っている。郵政総選挙のあと、自民党では言いたいことも言えなくなってしまって、自民党議員がみな小泉の顔色をうかがっていたことをよーく覚えている私は、谷垣らの妄言を鼻で笑うだけなのだが、自民党が自分たちのことを棚に上げているのはみっともないとはいえ、かつて百花斉放の党風だった民主党で小沢一郎への批判の声を上げづらい空気ができていることは確かだ。それはそれで問題ではあるが、仮に小沢一郎がにらみをきかしていなかったら民主党政権がどういう方向に走るかは見えているように思うのである。平野博文のはね上がりぶりは問題だが、そもそも平野を任命したのは鳩山由紀夫である。平野の暴言問題は鳩山由紀夫自身の問題だととらえなければならない。
小沢一郎がにらみをきかしていれば、普天間基地移設問題でアメリカや右派勢力などの圧力に屈せず解決に至ることができるのかといわれれば、これまた疑問ではあるのだが、少なくとも小沢が手を離せば鳩山由紀夫たちは右派勢力の喜ぶ方向へと簡単になびくとともに、政権の支持率は急落し、夏の参議院選挙では民主党の惨敗が待っているだろう。それでなくとも、鳩山政権からはスピード感が全く感じられず、何もできない政権なのではないかという前々から鳩山内閣に対して持っていた疑問は、確信に変わりつつある。
月曜日のテレビ朝日『報道ステーション』で古舘伊知郎が沖縄から中継していたが、立派なハコモノとは対照的な名護の商店街の様子が映され、基地問題について住民にインタビューしても答えづらい空気があることを伝えていた。それにもかかわらず稲嶺進が勝ったことは本当に大きいと思う。『報ステ』には感心しないことの方が多いのだが、それでも名護市長選のタイミングでキャスターが沖縄に飛ぶだけまだましかもしれないと思った。あの映像を見ていると、沖縄に米軍基地があることは、もちろんアメリカにとっても日本政府が多額の金を出してくれるメリットがあるのだろうが、それ以上に「基地利権」にかかわる者たちが大勢いて、彼らが既得権益に固執していることが問題の本質ではないかと思える。日米同盟がどうのというのは見え透いた口実に過ぎない。そもそも、「日米同盟」という言葉を、リベラル・左派までが無批判に用いる現状はどう考えてもおかしい。
本当に「事業仕分け」をするのであれば、こういうところから削減していかなければならないと思うのだが、それができないのが鳩山政権なのか。革命的な政権だなどと書いて政権支持を煽る者自身が、かつて早く嘉手納基地への統合かキャンプシュワブへの移設を決めろと平然と書いていたことには呆れるほかないけれど、教祖さまの教えには逆らえない、というか逆らったが最後、村八分が待っているブログ村の住民たちにはそんな勇気はなく、勇気のない人間には何も変えられないのである。こう書いても、「またあいつは教祖さまだの信者だのと書いてやがる」などと陰口を叩くのがせいぜいなのだろうが、たとえば平沼赳夫や城内実の動き一つとっても、事実は彼らの妄想に基づく願望とは全く異なる方向に向かって動いている。そういえば、城内実が「9条護憲派」だ、などというたわごとはいつの間にか聞かれなくなった。誤りを犯した者はそのことについて総括すべきなのではないか。「右も左もない」と言っていた「下翼」もまた、日本の戦争責任を総括できなかった右翼や、社会主義者を総括できなかった左翼と同じ穴の狢ではないかと思える今日この頃である。
↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。

さて、「小沢一郎vs.検察」との構図で語られる現在だが、昨年の事件には「西松事件」という呼び名がついたのに、今回は事件の名前さえついていない。まさか「石川議員逮捕事件」というわけでもないだろう。このこと自体が事態のわけのわからなさを象徴している。「水谷(建設)事件」でもあるまいし、「小沢事件」と呼ぶわけにもいかないから、せいぜい「小沢問題」などと呼ばれることがあるようだ。
で、この「小沢問題」が現在の政治権力である民主党を支配しているとされる小沢一郎と、検察のバトルであることは疑いがないと私は考えている。権力対権力のぶつかり合いであるが、昨年の西松事件の捜査で結果を出せなかった東京地検特捜部が、しゃかりきになって無理筋の捜査をしている現状であるように見える。
予告に反して何度もこの件を取り上げたのは、それだけ今回の検察のやり方に強引さが目立ったからだ。それと同時にマスコミの「検察リーク報道」も一段とひどくなっていた。これに対して、民主党の枝野幸男が「捜査途中の供述が起訴、公判の前に報道されるのはおかしい。検察官には守秘義務があり、リークだとしたら国家公務員法違反だ」と言った。この法律に違反すると、最高で懲役1年の刑が課せられる。
江川紹子が、リクルート事件におけるリーク報道について触れているが、江川はリクルート事件が発覚する前年の1987年まで神奈川新聞の記者だった。だからこそ、リクルート事件の報道を思い出して、それに対する違和感を表明しているのだろう。
私は最近、ロッキード事件当時の報道はどうだったかと思い返している。なにしろ古い話であって、おぼろげな記憶しかないのだが、現在ほどひどいリーク報道ではなかったような気がする。しかし、元日経記者で「FACTA」編集長の阿部重夫氏は、ロッキード事件について下記のように語っている(下記URL)。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081009/316554/
この事件では文芸春秋に掲載された立花隆氏の記事が全国紙の記事を圧倒しました。当時の首相で後にロッキード事件絡みで逮捕される田中角栄氏の金脈を膨大な取材データから暴き,田中退陣のきっかけを作ったとされる内容だったためです。警察などからのリークが多い新聞報道とは全く異なる徹底した調査報道を見せ付けられたことは,大きな衝撃でした。
(『日経コミュニケーション IT Pro』〜「時代錯誤の舞台装置はもういらない---続々・「マスゴミ」と呼ばれ続けて」より)
やはりロッキード事件でもリーク報道はあったようだ。しかし、フリーの立花隆は独自の調査によって田中角栄の犯罪を暴いた。最近気になるのは、ロッキード事件はアメリカの陰謀だったなどとする説が、反権力を気取る人たちの間でまことしやかに語られていることだが、昔はこんな陰謀論は渡部昇一のような極右が唱えていたことだ。これに対する反論は、たとえば『Apes! Not Monkers!』に掲載された「金大中事件関連外交文書公開とロッキード事件」を参照されたい。
ただ、報道の側からしても、検察リークに依存していたのでは、ろくな事件報道ができないことは確かにいえると思う。そして、マスコミの問題点だが、現在の東京の大新聞やテレビ局の記者たちとは、いったいどんな人たちだろうかと最近よく思う。
昔だったら、新聞記者というとベトナム戦争で命がけで取材した特派員の印象が強かった。特に有名なのは朝日新聞の本多勝一だが、ポル・ポトのカンボジア大虐殺を早くから報じていた井川一久や、カメラマン石川文洋の印象も強い。石川文洋は一昨年、『カラー版 四国八十八ヵ所―わたしの遍路旅』という本を岩波新書から出したが、ベトナム戦争取材で亡くなったジャーナリストたちを悼む文章がところどころに挿入されていて、印象に残る。戦場の特派員ではない政治記者であっても、毎日新聞の西山太吉記者のように、沖縄返還をめぐる日米政府の密約を暴いたところ、権力にはめられて逮捕され、有罪判決を受けた記者もいる。
そんな印象があったものだから、私は比較的最近までジャーナリストというか新聞記者たちに畏敬の念を持っていたのだが、ここ数年でその幻想が音を立てて崩れていった。先々週だったかのテレビ朝日『サンデープロジェクト』で、朝日新聞の星浩が、最近の若い記者は地方の支局の勤務を嫌がるとか政治家とメールのやりとりをしているなどと言っていたのだが、そんな彼らに果たしてどの程度の仕事ができるかと思ってしまうのである。
政治家の世界でも世襲議員が幅を利かせているが、大新聞や在京テレビキー局も似たようなものであって、よく誰それの息子や娘がどっかのテレビ局に入社したなどという話を聞く。昔はブン屋というとやくざな商売だったはずが、今や超エリートで世襲が幅を利かせている。そんな人たちが検察からリークを受ける。そんな報道が、権力をチェックするものなどにはなり得ないことは、あまりにも自明だ。記者時代、自民党の政治家や読売新聞の渡邉恒雄(ナベツネ)と親しかった西山太吉は、決して左翼ではなかったはずだが、ジャーナリストの使命を自覚しており、だから沖縄密約を暴いた。今の新聞記者にそんな職業精神があるだろうか。権力と一体となっているのではないだろうか。そういえば、「権力と一体となったジャーナリズム」はナベツネの理想だった。
こう書くと、民主党政権だって権力じゃないかと反論されると思う。確かにそうなのだが、ここで考えるべきは司法、行政、立法、マスコミ、それに経済界などから形成される権力の間の力学である。検察は実は司法ではなく行政にカテゴライズされる組織であるが、内閣からある程度の独立性を有することが要請されていて、実質的に司法に属する面も持つ。だからややこしくて、行政に属するからこそ法務大臣が検事総長に対してのみ指揮権を有する。しかし、それよりも何よりも、上記の互いに独立性が求められる権力が結託しないかどうかチェックする必要がある。本来、三権に対するチェック機能がジャーナリズムには求められたのだが、それが全く機能していない現在、第三者が三権とマスコミをチェックするしかない。そしてその機能は、ネットにも求められると思う。「検察リーク報道」への批判は、国家公務員法違反の問題もあるが、検察権力とマスコミの癒着を許してはならないという観点からも、絶対に欠かせないのである。
もちろん、金権政治への批判も欠かせないし、検察や警察の捜査官が取り調べの際に違法行為を働いて人権を侵害することも防止しなければならない。この2点に関しては、民主党が昨年夏の総選挙に向けて企業・団体献金の全面禁止と取り調べの全面可視化(取り調べの録音・録画など)を公約していたのだから、まず何よりも民主党がその公約を守るかどうかをチェックすることがメディアには求められる。もしメディアがこれを怠るようであれば、実質的に民主党政権と癒着していることになる。
後者の取り調べの可視化は、何も石川知裕や小沢一郎の人権を守るためにあるのではない。足利事件などの冤罪事件を起こさせないために必要不可欠であり、先進国では当たり前の制度だ。法案が自公政権当時の野党によって提案され、参議院で可決されたこともある。毎日新聞のアンケート(「えらぼーと」)でも、取り調べの可視化に関する設問があるが、民主党衆院議員の95%、社民党、共産党の全員、公明党の90%、国民新党の亀井静香を除く全員が賛成している。平沼一派でさえ、城内実は反対しているものの、平沼赳夫と小泉龍司は賛成している。自民党だけは反対の方が多いが、それでも賛成者が45%を占める。反対意見を表明している顔ぶれを見ると、安倍晋三、麻生太郎、町村信孝、鳩山邦夫、石破茂、平沢勝栄、小池百合子、稲田朋美、下村博文、高市早苗、小泉進次郎らの名前が並んでいる。取り調べの全面可視化は、警察や検察が強く反対しているのだが、同様に反対する政治家は、筋金入りのタカ派か極右に限られているし、極右の中にも平沼赳夫のような賛成派もいる。
足利事件の再審について論じた1月23日付の朝日新聞社説は、取り調べ可視化を求める論調ではあるが、
などと書いている。だが、上記のように全面可視化は実施されて当然なのであり、朝日社説の書き方はおかしい。正しくは、全面可視化を公約としてきた民主党内には、ここにきて可視化法案の国会への早期提出、成立をいう動きがある。だが、もしこれを小沢一郎幹事長の資金問題をめぐる検察への圧力に利用しようとするなら、まったくの筋違いである。
と書くべきなのである。こんなところからも、新聞が権力へのチェック機能を果たせていないことが露呈している。政府と検察の取引は、絶対に許してはならない。もしこれを小沢一郎幹事長の資金問題をめぐる検察との取引材料に利用しようとするなら、まったくの筋違いである
だが、それでも朝日新聞は取り調べ可視化を求めているだけまだマシで、日経新聞は朝日同様明確に取り調べ可視化を求めているが(日経は財界の主張に沿った主張をするが、こういう件は財界との利害関係はないから正論が書ける)、これが毎日新聞になると歯切れが悪くなるし、読売新聞になると消極的になる。そして、産経新聞に至っては「可視化法案 許されない検察への圧力」と題したトンデモ社説を書く始末だ。産経新聞がジャーナリズムとはいえない理由がよくわかる。
地方紙では保守的といわれる新聞を含めて、大部分が取り調べの全面可視化を求めている。四国新聞のオーナー一族の平井卓也(自民党)は取り調べ可視化に反対しているが、幸か不幸か四国新聞には社説はない(笑)。
今日も長くなりすぎたので以下はしょるが、昨年の西松事件のさなかに小沢一郎自身が言い出した、企業・団体献金の全面禁止も法制化すべきだ。最近鳩山由紀夫首相が、取り調べ全面可視化と企業・団体献金全面禁止の両方について、今国会の提出に消極的な発言をしたが、こんな姿勢では産経新聞や自民党は喜ぶかもしれないが、国民から不信をもたれるだけである。マスコミにはこういう鳩山発言こそ厳しく批判してほしいし、それができないマスコミをネットはビシビシ叩くべきだと思う今日この頃である。
↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。












