きまぐれな日々

 朝日新聞(8/8)の一面トップは現在行われているリオデジャネイロ五輪で水泳・男子400メートル個人メドレーで萩野公介が金メダルを獲ったニュースだった。

 4年に一度行われる五輪には、快哉を重ねる毎にというか私自身が歳をとるほどにというか、さっぱり興味がわかなくなってきている。特に、次回の東京五輪に対しては、東京というか日本でもう五輪なんかやってくれるなとずっと思ってきたから、その直前の大会である今回の五輪は見る気にもならない。

 このところ『kojitakenの日記』にはずっと都知事選に圧勝した小池百合子及び小池に異様に甘い日本の「リベラル」たちに悪態をつく記事ばかり書いてきた。

 今回は、それとは少し離れて、これまで気になっていながらまとまった書く機会がなくここまできた、稲田朋美の防衛大臣就任について書く。

 まさか安倍晋三が稲田朋美を防衛大臣にするとは思わなかった。仮に安倍晋三がどこかの国に自衛隊を派遣することになった時、ワシントンポストに「戦中日本の行いを軽視し、極右思想(far-right views)で知られる女性」と評された札付きの極右人士が防衛大臣でいて大丈夫なのか、と思う人は少なくないのではないか。

 女性の防衛大臣は第1次安倍改造内閣における小池百合子以来であって、その小池もまた極右だった。

 だが、小池の任期は長く続かなかった。第1次安倍改造内閣発足からさほど間を置かずして、安倍晋三が政権を投げ出したからだ。

 今回は独裁権力を恣にしている安倍晋三が政権を再び投げ出すことはまず考えられないが、稲田朋美が防衛大臣でいられる時期はそう長くはないかもしれない。それは安倍晋三がいつ衆議院を解散するかにかかっている。

 違憲の疑いが濃厚な「7条解散」だが、もうすっかり総理大臣の伝家の宝刀とみなす慣例が続いているから、現在の安倍晋三の最大の関心事は、いつこの「切り札」を切るかということに尽きるといえる。

 私は安倍晋三とは基本的に日本国民の生活には何の関心もなく、母方の祖父・岸信介がなしとげることのできなかった「憲法改正」を自らの手で行うことを唯一の目的とする政治家であるとみなしている。例の安倍政権の経済政策も、安倍にとっては改憲のための手段に過ぎない。

 だが、安倍は明文改憲を行う前に9条の解釈改憲をやってしまった。アメリカにせっつかれて自衛隊を海外に派遣するケースもそのうち出てくるかもしれない。

 とはいえ、アメリカも秋に大統領選挙を控えている。ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの戦いは、少し前までは勝負にならずクリントンの圧勝だろうと思われていたが、アメリカでも「クリントンが大統領になるくらいならトランプの方がマシだ」という、小池百合子に投票した日本の一部「リベラル」にも似たバーニー・サンダース支持者のような人間が少なからずいるせいもあって、クリントンとトランプのどちらが勝つかは全く予断を許さない情勢になっている。アメリカがいつ自衛隊を自らの戦争に巻き込もうとするかはわからないが、しばらくはその機会はないと安倍晋三はみているのではないか。

 つまり、安倍晋三はそう長く稲田朋美を防衛大臣にとどめておくつもりはないかもしれない。今回の防衛大臣抜擢は、安倍がお気に入りである稲田の経歴にハクをつけるための人事であるように思われる。

 いつもの安倍晋三の行動パターンからいえば、汚れ役には安倍自身の思想信条とは比較的距離のある人物にやらせることが多い。想像したくもないが、第4次安倍内閣が発足する時には、そういう人物を改めて防衛大臣に据えるのではないか。そして稲田朋美には、大臣としては比較的重んじられない防衛大臣よりも、もっとランクが上とされているポストを割り振るのではないかと私は邪推する。

 今年衆参同日選挙を見送ったのだから、しばらくは衆議院の解散はないというのが普通の味方だろうが、参院選の直後に行われた東京都知事選は、「野党共闘」に亀裂を入れる結果に終わった。野党統一候補の鳥越俊太郎の得票は、小池百合子の半分にも満たない大惨敗だった。

 「野党共闘」は今後どうなるかわからない。民進党次期代表就任確実と見られる蓮舫は、党内右派にも左派にもいい顔をしようとしているように見受けられ、その蓮舫が現実に代表になった時、「野党共闘」をどうするのかは不透明になっている。

 一部からは、民進党は何も共産党から票を流してもらわなくとも、おおさか維新の会から票を流してもらえば良いのだから、「野党共闘」を続ける理由など何もないという声もある。

 確かに民進党にとってはその通りかもしれないが、お維にとっては違う。お維は、主に大阪や兵庫において、一時は民主党(当時)に流れながら、民主党に飽き足らなくなったり民主党政権に失望した人たちの心をつかんで成長した政党だ。民主党を叩くことによって大阪の人たちの拍手喝采を受けるというのがお維の行動パターンになっている。

 そんなお維にとって、民進党に票を流す行為は、それまでのお維の行動に矛盾するものであり、そんなことをしたら支持者が怒り狂って票を大量に失ってしまう。民進党に票を流すことはお維にとって自殺行為に当たるから、そんなことは絶対にできないのだ。

 だから民進党はお維とは組めない。しかし民進党自身、単独では議席の獲得が難しくなっている、だから共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの3党と組んで「野党共闘」を続けるしか選択肢はない。特に民進党代表なんかになった日には、そういう政治の現実に制約されて、代表のとり得る選択肢はごく限られてしまう。

 もちろんこの状態には、民進右派はフラストレーションを溜め込んでいる。私は、「野党共闘」の解消よりも民進党の分裂の方が起きる確率が高いと考えている。これは、自らも野田佳彦という右派政治家の派閥に属していながら今後民進党をまとめていかなければならない立場の蓮舫にとっては不都合な事態だ。右派グループに出て行かれてしまっては、「民進党を分裂させた政治家」という負の実績が残るだけになってしまう。

 蓮舫が民進党内のあらゆるグループにいい顔をしようとするのは、上記の党内事情によるものであろう。仮に私が蓮舫の立場にいたとしても、同じ行動をとるのではないかと思われる。だからといって蓮舫が私の好まない政治家であることには変わりはないが、ここで言いたいのは、蓮舫の行動には合理性があるということだ。

 いずれにせよ、安倍晋三は蓮舫が代表になったあと、民進党が「野党共闘」をどうするかを見極めつつ、仮に「野党共闘」の継続の方向が固まった場合は、野党統一候補の選定などの準備が整い切らないうちに早めに解散カードを切るものと思われる。

 これが普通の政治家であれば、衆参同日選挙を見送ったなら年内解散はないと考えられるが、あいにく安倍晋三は全く普通ではない異常な政治家である。だから、いついかなる時に解散カードを切ってくるかは全くわからない。常に警戒を怠ってはならないだろう。
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 昨日(7/31)投開票の東京都知事選は、「有力3候補の激戦」どころか、極右・新自由主義者である小池百合子の圧勝に終わった。小池は300万票近い票を得て、得票率でも44.5%のぶっちぎりだった。自公の推薦を受けた増田寛也は小池の6割強の180万票弱と大きく引き離され、民進・共産・社民・生活の野党4党の推薦を受けた鳥越俊太郎に至っては、小池の半分にも満たない130万台半ばの票しか得られず惨敗した。

 東京都知事選は、大阪府知事選や大阪市長選、名古屋市長選などともに、毎回ろくでもない結果に終わる「鬼門」ともいうべき選挙だが、今回は特に反自公の野党陣営に大きな課題を残した。

 その課題は、第一に野党共闘」の候補である鳥越俊太郎が政策と「絶対に勝つ」という執念の両面で物足りない候補だったこと。第二に鳥越氏を連合が推さず、民進党右派も応援に消極的だったこと。第三に、当初立候補を予定していた宇都宮健児を下りてもらって鳥越俊太郎を「野党共闘」の統一候補として一本化する際に大きなしこりを残したこと。

 第一の点に関して、鳥越氏は安保法案反対のアピールなどは別として、毎日新聞やサンデー毎日の記者・サンデー毎日編集長時代を通じて、あまり印象に残る仕事が思い浮かばないことが当初からずっと気になっていた。「文春砲」とやらがブチ上げたスキャンダルよりも、それをもっとも懸念した。印象の乏しい鳥越氏の仕事の中でまず思い浮かぶのが、サンデー毎日編集長時代の1989年に同誌が取り上げた宇野宗佑首相(当時)の女性問題のスキャンダルだったことは何とも皮肉だ。

 1989年当時、消費税導入をもくろんだ自民党は参院選を控えてたいへんな逆風を受けていたが、宇野首相のスキャンダルは自民の劣勢に追い討ちをかけたものだった。逆に、安倍晋三という極右政治家を総理総裁に戴く今の自民党は強い順風を背に受けていて、「野党共闘」がやっと統一候補を出してきても、今回のように文春砲で簡単に蹴散らせることができる。

 正直言って、私は鳥越氏が宇野宗佑のスキャンダルを大々的に書き立てた1989年当時から、ああいうことを問題にし過ぎるのはどうかと思っていた。今だったら、最近再評価が進んでいる(私はその再評価はやや過剰だと思う)田中角栄なんか総理大臣になれはしないだろう。金脈人脈の問題以前に女性スキャンダルで潰されるに決まっている。

 今回、私が鳥越氏のスキャンダルに関心が至って薄かったことは上記の理由による。週刊文春は立ち読みもしなかったものだから、前回の記事では鳥越氏のスキャンダルが「半世紀前」のものだという一部ネットの風評を鵜呑みにしてしまい、誤りを書いてしまった。これについては、鍵コメを含めてお二方から指摘があったが、感謝したい。お礼を申し上げる。

 「野党共闘」の側からすれば、参院選で1人区11勝21敗という、大手マスメディアの世論調査に即していえば「上限」の議席数を獲得し、得票も民進と共産がそれぞれ単独候補を立てた直近の選挙における両党の得票合計を上回る票を統一候補が得たから、そのことによってやっとこさ都知事選でも統一候補を立てる目処が立ったが、そこから都知事選の告示まではほとんど日がなかった。そんな状況で、民進党と共産党がともに推せる候補としてなんとか選んだのが鳥越俊太郎だったというのが実情だろう。

 鳥越俊太郎の側からすると、「火中の栗を拾う」意識でもあったのかもしれない。いずれにせよ、今回は統一候補を立てるだけで精いっぱいだったという印象だ。もちろん、今回の候補者の選定には問題があるし、今回のようなやり方では勝ち目がないことは選挙結果に示された通りだ。次からは入念な準備が必要であることは間違いない。だが、「入念な準備」も何も、民進党右派にして民進党東京都連会長の松原仁が、参院選の選挙戦中に都知事選で増田寛也を推す可能性を言及するなどのありさまだった。参院選の一人区が11勝21敗ではなく例えば7勝25敗だったなら、民進党代表の岡田克也や幹事長の枝野幸男は、自公と相乗りして増田寛也を推したい松原仁ら右派の声を抑えることができなかった可能性が高い。

 事実、松原は都知事選の結果を受けて直ちに岡田克也を批判するコメントを出している。産経が報じる松原のコメントを見ると、「4党の結集が実現されれば、当初から勝利することができるだろうと思っていた。十分結集できなかったことが大変残念だ」などと、自らは自公に相乗りしようとしたことを棚に上げて白々しいことを言うその舌の根も乾かぬうちに

敗北の責任は(略)「岡田氏にあるとは明快には申し上げないが、少なくとも都連とは違う流れで(野党統一候補が)決まった」と述べ、岡田氏に責任の一端があることを示唆した。

などという恥ずべきコメントを発した。

 この松原のコメントを見ると、ああ、だから岡田克也は都知事選投開票日の前日に、9月の代表選に出馬しないと言明したのだな、と納得できる。民進党中間派の岡田克也は、松原仁・長島昭久・細野豪志・馬淵澄夫ら右派の推す候補を代表にしたくないのだ。だからフライングして都知事選の投開票日前日に先手を打った。鳥越俊太郎はそれ以前に決定的なダメージを受けていたので、岡田克也の辞意表明が選挙結果に与えた影響は無視できるほど小さいだろう。それよりも、連合が自主投票するなど、「野党共闘」の「右側」が機能しなかった影響が大きかった。

 以上、いつの間にか「第二の問題点」に話が移っていたが、以上を「野党共闘」の「右側」の問題とすると、宇都宮健児支持層の投票行動の問題は「野党共闘」の「左側」の問題ということになる。より深刻だと私が思うのはこちらだ。

 今秋大統領選挙を迎えるアメリカで、民主党のバーニー・サンダースの支持者の中に「ヒラリー・クリントンなんかには投票しない。ヒラリーとトランプとの二者択一ならトランプを選ぶ」と公言する人たちが少なくないことが話題になっている。おかげで少し前まではクリントンの楽勝とみられていた大統領選挙の行方は全くわからなくなっており、トランプが大統領に選ばれる可能性は無視できないほど大きくなってきた。日本でもこの件に関して、クリントンよりもトランプを待望する声が一部「リベラル」の間からも上がっている。

 「鳥越に投票するくらいなら小池に投票する」とネットで公言していた者については、私も鳥越俊太郎の野党統一候補擁立決定及び宇都宮健児の立候補取り下げの直後から、実例をいくつも目にしてきた。

 一口で「宇都宮支持層」といっても内訳は実に多様で、2012年と14年の都知事選で熱心に宇都宮市を支援してきた人たちもいるけれども、14年の都知事選では細川護煕を応援していた「小沢信者」もおり(その代表格が天木直人)、かと思えばTwitterで反小沢一郎に血道を上げる人たちの存在も確認している。

 小沢一郎が実権を握る「生活の党と山本太郎となかまたち」が鳥越俊太郎を推しているのに宇都宮氏の支持層に小池百合子への投票を焚きつけた天木直人らの行動は、「大嫌いな共産党と小沢氏を追い落とした岡田・枝野の民進党が『野合』した野党統一候補の鳥越なんか我慢ならない」というルサンチマンにもとづく醜悪この上ないものだったし、一部の「反小沢」が宇都宮氏に肩入れしたのは、単純に小沢一郎や山本太郎らが鳥越陣営にいたからだろう。

 そして、「鳥越ではなく小池」に投票した宇都宮支持層の多くは、テレビのワイドショーの煽動に乗る人たちだったと思う。それでなくても日本には、都市部・地方を問わず「バスに取り残されるな」式の思考様式、昔本多勝一が「メダカ民族」と評した行動様式をとる人たちが実に多い。田舎では地縁が強いからそれは有力者の意見に付き従う行動様式として表れる。参院選の1人区で、特に東北で自民党が苦戦した理由は、安倍政権の政策、特に農業関係の政策が、地域の有力者たちの心を離反させたことに原因があると見るべきだろう。

 一方、地縁の弱い都市部では、マスメディア、とりわけテレビの影響力が圧倒的に大きい。舛添要一が都知事の座を追われたのも、ワイドショーにこれでもかこれでもかと叩かれたせいだし、鳥越俊太郎が惨敗したのも同じ理由による。今回の小池百合子の得票が、得票数だけを見れば2003年の東京都知事選で石原慎太郎が得た300万強の票に迫るものだった(但し、投票率が全然違うので得票率では2003年の石原の方がずっと多かった)ことは、テレビのワイドショーがもたらすバンドワゴン効果がいかに強烈かを示すものだろう。

 しかしそんなのはわかり切ったことだ。私が本当に問題だと思うのは、自陣の支持者にそのような行動に走らせてしまった宇都宮選対の責任だ。この宇都宮選対は、2014年の都知事選で澤藤統一郎弁護士の告発と強い批判を受けた。それに理があると考えた私は、前回の都知事選では白票を投じたのだった。政策面等からいえば前回は候補者の名前を書くなら宇都宮健児しかなかったが、その選対の体質(及びそれに易々と乗っかってしまう宇都宮氏自身の問題)を忌避して白票を投じた。

 今回、宇都宮氏支持層の一部を小池支持に走らせた原因に、宇都宮陣営内に民主主義が欠落していたからではないかと思われる。だから陣営や支持者たちの間でろくろく議論が行われることもなく、支持層の一部が天木直人のような悪質な煽動者の煽動に易々と乗ってしまった。そして、陣営の指導者たちもそのような動きの危険性を察知するのが著しく遅れた。その動きは、告示前からすでに見られたというのに。つまり、宇都宮選対の指導者たちの資質こそ、今回の都知事選においてもっとも厳しく批判される必要がある、というのが私の結論だ。

 こうして問題ずくめの東京都知事選は、最悪の結果を迎えてしまったのだった。
 予想通り、東京都知事選は「野党共闘」の鳥越俊太郎が勢いを落とす一方で、自公が推す増田寛也も先行する小池百合子を射程圏内に捉えるには至らず、小池優勢のまま終盤を迎えることになった。

 週末に行われた朝日新聞と共同通信(ともし独自調査であれば毎日新聞)の世論結果は、先刻公開した『kojitakenの日記』の記事「東京都知事選、小池優勢、増田追う。鳥越は苦戦(朝日、毎日、共同)」に記録しておいた。

 今回、鳥越俊太郎の半世紀十数年前のスキャンダルを暴いた「文春砲」が話題になっているが、同じ週刊文春が少し前に小池百合子の疑惑を書き立てていたことを忘れてはならないだろう。
http://news.livedoor.com/article/detail/11730452/

都知事候補、小池百合子氏に新たな政治資金疑惑
2016年7月6日 16時3分 週刊文春WEB

 7月31日投開票の東京都知事選への出馬を表明している小池百合子元防衛相(63)に「政治とカネ」をめぐる疑惑が浮上した。自民党関係者が声を潜める。

「舛添要一前都知事の辞任が囁かれ出した頃、自民党では出馬の予想される小池さんの“身体検査”を行った。結果は『真っ黒』。舛添さんどころじゃない

 そこで小誌が取材したところ、小池氏の政治資金パーティの一部が政治資金収支報告書に記載されていないことがわかった。問題となったのは、2012年3月12日と6月25日に小池氏の選挙区内にある都内のホテルで開かれた「Y'sフォーラム」と称される政治資金パーティだ。

「政治資金パーティを開催した場合は、収入額と会場代などの支出額を、それぞれ政治資金収支報告書に記載しなければなりません」(総務省政治資金課)

 だが、同年の小池氏の収支報告書の収入欄に、2つのパーティの記載はなく、なぜか支出欄に「会議費」として、パーティの会場代にほぼ合致する金額が記載されていた。

 政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授はこう指摘する。

「政治資金パーティであれば、政治資金規正法違反の不記載となります。支出だけ計上していれば、収支が合わないことに気付くはず。収入分は裏金と見られても仕方なく、小池氏は説明すべきです。一方、出席者から会費を取らずにパーティを開いたとしても問題です。選挙区内の人が出席していれば、選挙区民への寄付を禁じた公職選挙法違反となります」

 小池氏の事務所は「当然のことながら選挙区民への供応をすることはありえません」と回答した。だが政治資金収支報告書に2つのパーティの記載がない理由については、期限までに回答しなかった。

(週刊文春WEBより)


 舛添要一が「公私混同」(「政治と金」)の問題で東京都知事辞任に追い込まれたのであれば、本来なら政治と金の問題にクリーンな人物が後任であるべきだろう。たとえば1974年に田中角栄が「金脈問題」(これを追及したのはやはり文春だった。週刊文春ではなく月刊誌の方だったが)で辞任したあと、「椎名裁定」によって三木武夫が後任の総理大臣になったように。

 ところが、舛添の後任は「舛添どころではなく真っ黒」な人間になりそうだというのだ。対抗馬の増田とて金銭疑惑が書き立てられている。これなら、東京都知事選挙などやる必要がなかった、舛添より金に汚い人間が都知事になるくらいなら舛添のままで良かったということになりかねない。

 私は今年5月14日付の『kojitakenの日記』に、「もう東京都知事選なんてうんざりだよ。やってくれるなそんなもの。舛添は好きではないが、都知事選やってももっとひどいのが出てくるだけだ」という長ったらしいタイトルの記事を書いた。この記事で私は「踏ん張れ舛添」などと書いて批判を浴びたが、「舛添どころではなく真っ黒」で、しかも極右で新自由主義者でもある、明らかに舛添よりも「もっとひどいの」が出てくることが確実な情勢だというのだから、「ほれ見ろ、言わんこっちゃない」と言いたくもなる。

 こう書くと、「鳥越にはたいした政策がなく、老齢で健康不安もある」というお決まりの反応が返ってくる。だが、ネットで観察していてつくづく思ったのだが、そんな人間に限って具体的な政策については何も書いていない。「たいした政策がなく、老齢で健康不安もある」というのは、さんざん舛添の「公私混同」を言い立てたと同じ、テレビのワイドショーが形成した紋切り型(ステロタイプ)に過ぎないのである。実際には、たいした政策がないことに関しては小池も増田も鳥越と大差ない。

 かくいう私自身も都知事選に関して政策に触れた記事など一本も書いていない。2006年にブログを始めて以降、もっとも力を入れた東京都知事選は、私自身が東京都民でなかった頃の2007年の知事選だが、この時には各テレビ局が候補者を呼んでの討論会を欠かさず見た。政策論議はそれなりに活発で、特に選挙戦の後半に行われたフジテレビの討論会では、吉田万三氏と黒川紀章氏に加え、最初あまりエンジンのかからなかった対抗馬の浅野史郎氏も調子を上げてきて、この三氏が政策論議において石原慎太郎を圧倒した。石原は他の主要3候補の猛攻を受けて撃沈したというのが論戦を見た私の感想だった。しかし、選挙の結果は選政策論争とは裏腹に、石原の圧勝だった。

 つまり、東京都知事選の結果を左右するのは政策などではない。それは大阪府や大阪市の首長選でも同じことだろう。

 東京都(や大阪府市)の首長選は、事実上テレビのワイドショーが勝者を決めるようなものだ。そのワイドショーは、つい先日まで政治と金の問題で前知事を追及して辞任に追い込みながら、今回知事選の元対抗馬(現穴馬)にも一役買ったと思われる「なんとか砲」が「自民党の身体検査の結果は『真っ黒』。舛添さんどころじゃない」と認定した人物を、「しがらみのない何とやら」として天にも届かんばかりに持ち上げる。何たるダブルスタンダード。そしてワイドショーの言うことをを鵜呑みにしているだけの人間が、ネットで「□□さんは政策ガー」などとしたり顔が目に浮かぶような文章を書く。こんな不愉快なことはそうそうあるものではない。

 安倍晋三としては万々歳の結果に終わりそうだ。ここで指摘すべきポイントは、仮に今後小池百合子が「政治と金」の問題で「文春砲」などの攻撃を受けることがあっても、自民党は小池百合子を推薦しなかったという言い訳が成り立つことだ。仮に小池が辞任に追い込まれれば、その時は改めて増田寛也でも擁立すれば良い。その時は、今回そうなるであろう惨敗によって民進党代表の座を追われそうな岡田克也に代わる民進党右派の代表が自民党に相乗りしてくれるだろう。小池が攻撃を受けないなら受けないで、極右にして新自由主義者という小池百合子の立ち位置は、もともと安倍晋三とは相性抜群なのである。どちらに転んでも安倍晋三にとって利益こそあれ不利益など全くない。今頃安倍晋三は笑いが止まらないのではないか。

 東京都知事選は、今回もまたろくでもない経緯をたどったあげくに最悪の結果を迎えることになりそうだ。
 参院選はなんとも微妙な結果となった。

 まず、1人区の「野党共闘」は、朝日新聞(7/7)の終盤の予想で、野党リードまたは接戦とされた12選挙区で「野党共闘」は愛媛選挙区を落としただけの11勝だった。全32選挙区の合計は11勝21敗であって、改選分の1人区だけを切り取ると、ギリギリ3分の1強を確保した。しかし、その他の選挙区や比例代表、それに3年前に自民党が圧勝した非改選の分を合わせると、今回「野党共闘」の1人区がそれなりに成果を出したくらいでは、選挙の勝利に結びつけるにはほど遠い結果だった。

 野党各党についていえば、民進党は1人区の「野党共闘」にも助けられて、改選分の議席は約3分の2に減らしたものの、前回の17議席よりは多い32議席(比例代表11議席)を獲得した。また共産党は改選の3議席を倍の6議席(比例代表5議席)に増やしたが、3年前の8議席には及ばなかった。社民党はまたしても議席を減らして、当選者は比例代表における前党首の福島瑞穂だけの1議席で、党首の吉田忠智は落選した。生活の党は比例代表で最後の最後にしぶとく1議席を獲得し、選挙区の「野党共闘」で生活の党籍を持つ2人(岩手の木戸口英司と新潟の森裕子)が当選したことと合わせて、実質的には改選2議席(選挙区1,比例1)を上回った。

 問題の「3分の2」だが、これはメディアによって不統一で混乱が見られる。たとえば毎日新聞のサイトに載っているグラフを見ると、改憲勢力は非改選88議席、改選77議席の計165議席で、3分の2を超えたと報じている。一方、朝日新聞のグラフを見ると「改憲勢力 自民+公明+お維新+こころ 161議席」としていて、記事の見出しも「参院『3分の2』に迫る」となっている(朝日の記事を追記欄に示す)。朝日の方も、改選では改憲勢力が77議席とされているから、非改選の議員についての数え方に両紙で違いがあるのだろう(NHKは朝日と同じ数え方)。冒頭に書いた「なんとも微妙な結果」というのは、一つにはこういうことを指している。

 毎日と朝日の違いは、「改憲勢力」と「改憲政党」の違いだった。毎日は、非改選の無所属議員4人が改憲派であることを理由に、「改憲勢力が3分の2超え」としたのだった。朝日も、11日付夕刊1面トップに「4党に非改選無所属含め 改憲勢力 3分の2」との見出しを打った。なお、「改憲勢力」ではなく「改憲4党」では、3分の2超え(162議席)に1議席及ばない161議席だった(=7/12追記)。

 今の「非改憲」4党(民進党と生活の党は護憲政党とはいえないから「非改憲政党」」と表記する)の力ではこれが精一杯だろうし、これで「野党共闘」ができなかったならもっと悲惨な結果になっていたであろうことは目に見えている。つまり、「野党共闘」はかろうじて及第というか、なんとか「不合格」にはならない程度の成果を挙げたとはいえるが、選挙全体としてみた場合、明らかに野党の敗北である。それもまた「微妙な結果」と評する理由だ。

  なお改憲勢力は、自民党が56議席(比例19)、公明党が14議席(比例7)、おおさか維新の会が7議席(比例4)、日本のこころを大切にする党は0議席だった。朝日新聞(7/7)の予想は恐ろしいくらい正確だったが、わずかにお維の比例の議席は朝日の5議席との予想を1議席下回った。選挙戦でお維が失速したことは、私の知る限り国政選挙では初めてであって、かすかながら希望を感じさせる。

 お維が全国進出を賭けた東京選挙区でも、田中康夫が敗れた、私は、お維を追い落とす(お維落とす)ために、事前に決めていた共産党の山添拓への投票を、民進党2人目の小川敏夫に切り替えたから、この結果にだけは大いに溜飲を下げた。結果が出たのは深夜だったから祝杯を挙げる時間ではなかったが、「ざまあみろ、田中康夫、ざまあみろ、お維!」と心の中で叫んだ(近所迷惑になるので発声はしなかったが)。

 反面最悪だったのは、私の生まれた大阪と、育った兵庫である。両選挙区の7議席は、改憲3党が独占し、うち3議席をお維が占めた。自民・公明の各2議席を上回る数字である(お維は大阪で2議席)。私はこのところずっと、大阪と兵庫を「日本最悪の極右エリア」と表現しているのだが、実際には大阪や兵庫に住んでいる人たちの大半が改憲を望んでいることなどあり得ないだろう。なのに、選挙でお維に投票するのが惰性になってしまっている。日本最悪の極右放送局である大阪の読売テレビを筆頭とする大阪の放送局の罪は重い。

 今後、改憲勢力を突き崩していくためには、この「お維」の勢力を殺ぐことが欠かせないだろう(2014年の衆院選で「鼻をつまんで維新に投票しろ」などと抜かしていた連中には猛省を促したい)。

 また、大阪・兵庫での改憲勢力伸長と歩調を合わせている傾向は、首都圏などにも見られる。今回の参院選では共産党が伸び悩んだが、それは「野党共闘」によって党の足腰が弱って比例票が減ったという理由ではない。東京に続く議席獲得を狙った都市部の得票力が、2013年参院選当時よりも落ちていることが最大の原因だ。

 つまり、2005年の「郵政総選挙」で見られた、都市部における小泉自民党への圧倒的支持という波の再来を私は見る。一方、東北の1人区で「野党共闘」が5勝1敗だったことや、愛媛でも永江孝子が敗れたとはいえ健闘したことなどから、地方における自民党への離反という、第1次安倍内閣時代の2007年参院選で顕著に見られた波が今後再来する兆しもはっきり見えている。参院選と同日に行われた鹿児島知事選でも、自民現職が無所属新人(三反園訓)に敗れた。これらの結果をもたらしたのは、安倍政権の経済政策が都市部偏重になっている弊害だろう(他に安倍政権の原発政策への反発も考えられるが)。同経済政策には、大企業・富裕層・大都市優遇という性格がはっきり表れており、その矛盾が今後顕在化することは間違いない。

 全体として、「崩壊の時代」の闇がさらに一段と濃くなったことは間違いないが、この時代が未来永劫続くわけでもないという予感も感じさせた選挙だったといえる。

 ただ要注意は、今後の安倍晋三(自民党)の動きだ。彼らも自分たちが盤石でないことを感じているに違いないから、必ずや改憲に向けての行動を急ぐはずだ。それに対する備えは万全でなければならないと思った。
 参院選の選挙戦も半分を過ぎ、次の日曜日はもう投票日だ。

 安倍晋三は、なるべく参院選が人々の話題に上らないように腐心しているらしく、公示後の党首討論がないことや、参院選関係の報道番組が激減するらしいことなど、政権及び与党は「有権者が騙されているうちに『改憲派』で参議院の3分の2を占めよう」との悪巧みをしているようだ。そしてそれは功を奏しつつある。

 最近はメディアによって選挙の情勢調査報道を発表する日をずらすようだが、昨日(7/3)の日曜日には時事通信の調査による「中盤の情勢」が報じられた。これを見る限り、相変わらず自公が好調のようだ。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070300207&g=pol

自民、単独過半数うかがう=改憲勢力3分の2微妙-参院選終盤情勢【16参院選】

 10日投開票の参院選について、時事通信は全国の支社・総支局の取材や世論調査などの情報を基に終盤情勢を探った。自民党は改選50議席から上積みし、公明党と合わせ改選過半数(61)の勢いで、27年ぶりの単独過半数(57)もうかがう。与党におおさか維新の会と日本のこころを大切にする党を加えた「改憲勢力」で、改憲発議に必要な3分の2(162)の確保は微妙だ。改選45議席の民進党は30議席程度に低迷。共産、おおさか両党は改選議席を大幅に増やしそうだ。

 ただ、世論調査で3割程度が態度未定と答えており、投票日に向けて流動的な要素が残る。
 参院定数は242で3年ごとに半数(121)を改選する。安倍晋三首相は勝敗ラインを与党で改選過半数と設定。自公両党の改選議席は59のため、2議席上積みすればこれをクリアする。
 自民党は選挙区に48人、比例代表に25人を擁立。32の「1人区」のうち20選挙区で議席を固め、山梨、愛媛、大分でもやや優勢。また、青森、福島、新潟、長野、三重で野党を僅差で追っている。13ある改選数2~6の「複数区」は1議席ずつ確保し、千葉、東京は2議席目を視野に入れる。比例は前回2013年の18議席に迫る17議席を獲得しそうだ。
 公明党は、選挙区に擁立した7人のうち5人が議席を固め、2人もやや優勢。比例は7議席が見込まれ、改選9議席を上回る勢い。
 一方、民進党は選挙区に33人、比例に22人を擁立したが、苦戦が目立つ。1人区は青森、宮城、福島、山梨、長野、三重、大分を除き、自民党に水をあけられている。複数区では北海道、東京、愛知で2議席目をうかがう。比例は13議席程度の見込み。
 共産党は、東京、神奈川で議席を確保しそうで、比例も6議席と堅調。改選3議席を大幅に増やす見通し。おおさかも改選2議席に対し、大阪と兵庫で計3議席を固め、比例で4議席を獲得する可能性がある。社民党は改選2議席の維持は困難な情勢。生活の党、こころ、新党改革は議席確保のめどが立っていない。野党統一の無所属候補は岩手、山形、沖縄で議席を固め、新潟でも議席をうかがう。 
 世論調査は今月1~3日、全国の18歳以上の男女2000人を対象に電話で実施した。

(時事通信 2016/07/03-19:24)


 基本的には朝日新聞などの「序盤の情勢」調査と大きく変わらないが、朝日が1519議席としていた比例代表での自民党の議席を、時事は17議席と予想している。唯一の救いは、朝日の序盤調査で「やや優位」だったかとされていた東京選挙区のお維公認候補・田中康夫が時事の調査では当選圏に入っていないらしいことだ。田中康夫の落選は是が非でも現実になってほしい。私は田中康夫を落とすために、全幅の信頼を置きがたい候補者に鼻をつまんで投票しようかと思っているくらいだ。

 時事通信の見立てで、32ある1人区で「野党共闘」有利とされているのは9つの選挙区(青森、岩手、山形、宮城、福島、新潟、長野、三重、沖縄)だ。朝日の調査では8選挙区だったからそれよりも1つだけ多い。地域別にいえば、大差がついているらしい沖縄は別格として、東北で「野党共闘」が善戦している一方、西日本(近畿・中国・四国・九州)で与党が強い。これも序盤の調査と変わらないが、長州(山口県)にルールを持つ人間である安倍晋三に対する反感が、かつて「賊軍」とされた東北で強いということなのだろうか。昔は青森などすさまじい自民党王国だったはずなのだが。

 明治維新のほかにもう一つ考えられる要因として「原発」が挙げられる。東電原発事故が起きた福島のほか、六ヶ所村を抱え、今なお新規原発の建設が進む青森で自民が苦戦していることや、東北ではなく西日本だが、四国で唯一波乱が起きる可能性があるのが伊方原発のある愛媛だということから、特に原発の立地県で自民党の苦戦が目立つと言えるかもしれない。とはいえ、福井や島根、鹿児島のような処置なしの原発立地県兼保守王国も存在するのだが。

 その他に東北が自民を忌避する要因としては、TPPもある。だがこれとて西日本や北陸や北関東の農村への影響はあまりないらしい。

 近畿地方でお維と自民が議席を山分けしそうな情勢については先週の記事でぼやいた通りだが、東京でも民進党の都連が「反党行為」「利敵行為」とでもいうべきことをやらかし始めた。

 といっても参院選ではなく、民進党東京都連会長の松原仁が7月31日投票の東京都知事選に長島昭久を担ごうとしたり、かと思えば自民党と相乗りで増田寛也を推そうとしたり、などの不審な動きをしていることだ。これは明らかに岡田克也と枝野幸男の路線に反している。もはや参院選敗北を受けての岡田克也と枝野幸男の民進党代表・幹事長退任を前提として、民進党に「右バネ」を働かせようとしているとしか思えない妄動だ。

 都知事選をめぐっては、現在、小池百合子が党執行部や自民党東京都連などの思惑を無視して勝手に立候補宣言をして執行部や都連を苦り切らせている。松原らの動きは、そんな自民党に塩を送ってやろうとするものであろう。つまり、自民党さん、小池百合子なんか見切ってうちの長島で相乗りしませんか、あるいは増田さんを立てるのならうちも乗りますよ、というノリだ。

 率直に言って、ああ、これが民進党という政党の本性なのだなと私は思うが、参院選での獲得議席が20議席台後半に終わるであろう民進党の岡田・枝野執行部に、同党東京都連の右バネの妄動を止める力があるとは私には期待できない。

 そもそも今の民意は、参院選そっちのけで舛添騒動にかまけるものだったりするし、イギリスのEU離脱やバングラデシュで起きたテロなども、自民党に投票する行動への追い風になるとしか思えない。なお、以下は蛇足だが、選挙のあと自衛隊が海外に派遣されて戦死者が出たりするなら、「愛国心」に目覚める国民が増え、マスコミもそれを煽ることによって、現在でも十分蔓延していると思われるファシズムが、さらにその勢いを強めることは確実だろう。

 明るい展望など何一つ持てない2016年の後半のスタートとなった。「崩壊の時代」はまだまだ続く。