きまぐれな日々

 2017年最初の記事になる。今年もよろしくお願いします、との挨拶をするのももはや「僭越」であろう。なぜなら、昨年末にこのブログの幕引きを意識せざるを得ないと書いてしまったからだ。それでもブログを読んでやっても良いという方のために、今しばらくブログを継続したいと思う。とはいっても、幕引きは今のところ今年(2017年)か、遅くとも来年(2018年)のしかるべき時期を想定している。

 1月も今日で折り返し点とはいうものの1年の最初の記事だから、「崩壊の時代」云々は今回は止めておく。今回は、昨年ちょっと気になったことを書くことにする。

 それは、アメリカ大統領選でトランプ勝利が報じられた日及びその翌日以降の日経平均株価の動きだ。

 周知のように、アメリカや日本のマスメディアが全く予測していなかった(私は40%くらいはあり得るのではないかという悪い予感を持っていた)トランプ当選が報じられた日の日経平均株価は、前日から900円以上だったかの下げ幅で暴落し、外国為替市場も円高に振れたが、翌日になると、トランプの当選の弁が選挙選当時の暴言と比べておとなしかったというだけの理由で、トランプは意外と「現実主義者」なのではないかとの根拠のない憶測が広まって、株価は前日の暴落分を帳消しにして余りある1000円以上の上げ幅で急騰し、外国為替市場も大きく円安に振れた。その後しばらくこの流れが続いた。

 私にはこの株価の乱高下はひどく不健全なものと感じられた。まず、トランプの当選が全くの想定外だったという日米のマスメディアと、それを鵜呑みにしたとしか思えない市場の動きに、メディアも市場もともに理性的な判断力を失っているとしか思えなかった。さらに、「トランプ=現実主義者」なる根拠のない楽観論に基づく「ミニバブル」としか思えない株価急騰や円安に関しては、おいおい、大統領はまだトランプじゃなくてオバマなんだから大統領がトランプにならないうちから何も変わるはずないだろ、それなのに市場は根拠もなくトランプに期待してしまって、いったい何を考えてるんだと呆れ返ったのだ。

 案の定というべきか、2017年が開けてトランプは牙を剥いてきた。米大手自動車メーカーや日本のトヨタが、米国向け自動車の製造工場をメキシコに建設するのに噛みついたり、アメリカの対日本・中国・メキシコの貿易赤字に不快感を示して保護貿易の怪気炎を上げてみたり。トヨタの株価が一時暴落するなどしたらしいが、少なくとも日本の株価上昇をもたらしたであろう楽観論には何の根拠もないことが明らかになりつつあると私は冷ややかに見ている。

 昨年12月発売の『文藝春秋』新年号に掲載された福田康夫元首相の「安倍外交への忠告」を本屋で拾い読みして、福田氏もトランプ当選直後の株式市場の乱高下に違和感を持っていたことを知って意を強くした。少なくとも、株式市場の株価は、その時点までに知られている企業の経営状況や景気、それに政治・経済に関する出来事などが織り込まれた最適な値になっているという教科書の説明は、今の日本の株式市場には全く当てはまらないと思った。私には、日本の株式市場はもはや理性とか知性とかいったものを失っている用にしか見えない。

 うまく表現できないのだが、何らかの機能不全が起きているように思う。そしてそれは、安倍晋三という理よりも権柄ずくでメディアを制御する術を知ってしまった権力者が、4年以上も続けて日本の総理大臣を務めていることと何らかの関係があるのではないかとの仮説をこのところずっと持っている。「無理が通れば道理が引っ込む」社会では、いろんな機能不全が生じて当然なのではないかと思えてならないのだ。日本は過去にもそういう時代を経験している。いうまでもなく先の戦争中だ。

 そして、安倍晋三とそっくりの心性と手口の持ち主が、今週アメリカの大統領に就任する。それがトランプだ。『広島瀬戸内新聞ニュース』は「安倍晋三は4年早いトランプだ」と評したが、本当にその通りだと思う。質問には正面から答えず、自分の言いたいことだけ一方的にまくし立てるトランプのしゃべり方は、あまりにも安倍晋三と瓜二つだ。これからはアメリカも、2012年末以降の日本と同様、無理が通って道理が引っ込む国になる。その結果、アメリカの政治や社会の機能不全が一気に現れるかもしれないと予感する。

 安倍晋三のような、本人の能力は低いが祖父のA級戦犯容疑者・岸信介の孫という血筋と、魚住昭の指摘するところの岸の「民族主義」と「選民思想」を受け継ぐが故に右翼に担ぎ上げられた男が好き勝手に独裁権力を振るえる現状は、日本の政治の制度に大きなほころびが生じていることを意味すると思う。もともと世襲政治家に不当なアドバンテージを持っていた日本の政治制度に、やはり世襲政治家である小沢一郎が中心となって「政治改革」と称しつつ衆議院選挙に小選挙区制を力ずくで導入した。その結果制度の欠陥はさらに拡大され、現在の安倍晋三の独裁政治を招いてしまった。これが私の見立てだ。アメリカの場合はまた違った制度の問題があるのだろう。

 最近の『広島瀬戸内新聞ニュース』の指摘するところによれば、

安倍政権が歴代自民党政権や民主党の特に野田政権と比べて取り立てて「対米従属度」が高いとは思えません。

とのことだ。私もそう思う。同ブログは

安保法も、左派・リベラル派の懸念は「アメリカに従属して海外派兵」でした。

しかし、ここにきて、アメリカのいうことさえ無視して、南スーダンへの武器禁輸に対して棄権するなどしています。

と指摘している。

 さらに同じブログによると、安倍はフィリピンのドゥテルテ大統領にミサイル供与を持ち掛け、断られたとのことだ。ドゥテルテは安倍に「第三次世界大戦を見たくない」と言って安倍の商談を断った。フィリピン・スター紙が報じた(下記URL)。
https://sg.news.yahoo.com/duterte-rejected-japan-missile-offer-000000071.html

President Duterte has declined an offer by Japanese Prime Minister Shinzo Abe to provide missiles to the Philippines, saying he does not want to see a Third World War.


 安倍晋三の現状がかくのごとしだというのに、「戦争をさせない1000人委員会」は、呆れたことにあの孫崎享を講師に招いて「『安倍政治を終らせよう』1.19院内集会」を開くという。馬鹿じゃないか。

 なぜなら孫崎とは政治家を「自主独立派」と「対米従属派」に分類し、岸信介や佐藤栄作を前者に分類した人間だからだ。上記『広島瀬戸内新聞ニュース』の指摘する通り、少なくとも安倍晋三は小泉純一郎や野田佳彦と比較すると「対米従属派」より「自主独立派」に近い。そしてより危険だ。現状がそうなのに、5年前に孫崎が叫んだ図式で「アメリカに付き従った戦争反対」を訴えるピンぼけぶりでは、日本の平和運動が低迷する理由もよくわかる。

 平和勢力のピンぼけぶりはさておき、安倍晋三の暴走をこれ以上許さないために、この政権は可能な限り早く終わらせなければならない。この一点においては、私も「ピンぼけ平和勢力」と意見が一致するだろう。

 反安倍晋三・反小池百合子・反トランプは残り少ないかもしれないこのブログの中心テーマであり続ける。
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 2016年を振り返ると、政治関係だけでも嫌なことばかりが思い出される。キーワードを挙げていくと、小池百合子、蓮舫・野田佳彦、トランプ、共産党の右傾化。

 「官邸が仕掛けた」との観測もあった「舛添降ろし」に狂奔したのはテレビのワイドショーだった。しかし、前東京都知事・舛添要一が辞任に追い込まれたあと行われた東京都知事選に小池百合子が出馬したのは官邸の想定外だっただろう。極右でもあるが本質的には新自由主義者としてとらえるべき小池という政治家は、テレビ(特に在京キー局。在阪準キー局はさらに後述の傾向が強い)がもっとも好むタイプの人気取り政治家であって、テレビの後押しも得て都知事選に圧勝したが、私がもっとも呆れたことは、「リベラル・左派」に小池を応援する人間が続出したことだ。

 「リベラル・左派」とはいっても、主に都市部に住み、戦争反対には熱心であっても、格差や貧困の問題には比較的関心の薄い人たちが小池応援の旗を振った。どこだったか忘れたけれども、どこかのメディアが行った(おそらく東京都民を対象とした)世論調査によると、小池を積極的あるいは消極的に評価する人たちは実に9割に達するらしい。私はそれには属さないから、小池、あるいは小池を持ち上げるテレビを批判する記事をしばしば書くが、それらの記事は他の記事よりアクセス数が決まって少ない。やれやれ、と思いながら蟷螂の斧を振るっている。

 その小池百合子を応援する人たちと、東京都知事選の3週間前に行われた参議院選挙で東京選挙区から立候補した蓮舫に投票した人たちとは支持層がもろに被るだろう。私は民進党は支持しないが、小川敏夫が当落線上にあり、かつ小川が落選した場合おおさか維新の会公認候補の田中康夫が当選する可能性が高いとのマスメディアの情勢調査報道を知って、田中康夫を追い落とすために小川敏夫に投票した(比例区では社民党に党首の吉田忠智の名前を書いて投票したが落選した)。やっとこさ小川敏夫が当選、田中康夫が落選して胸をなで下ろしていたら、都知事選に小池百合子がしゃしゃり出てきたのだった。小川敏夫の得票の少なさは、今や新自由主義者と右翼で議員の多くが占められるようになった民進党の都市部の支持者もまた、格差や貧困への関心の薄い、人によっては「リベサヨ」と呼ばれる人たちが中心であることを示している。

 その蓮舫が民進党の代表になり、幹事長に財政再建原理主義者の野田佳彦を選んだ。これは、参議院選挙の1人区で、事前のマスメディアの予想との比較において辛うじて成果のかけらを見せることができた「野党共闘」にとって大きな打撃だった。野党第一党のネオリベ(新自由主義)化は、自民党への支持をさらに盤石にする以外の何の効果も持たないからだ。

 経済右派政策を掲げる民進党をそれでも熱心に応援する支持者たちは、私の目にはもはや「民進党信者」としか映らない。支持者が少なくなると原理主義化する点において、後述の「小沢信者」と酷似している。彼らは、なぜ自分たちが支持する政党なり政治勢力なりが支持を減らし続けているのかを理解しようとする姿勢が最初からないように見受けられる。この日記にも一時期「タブクリア」と名乗るコメント投稿者からの批判のコメントをいただいたが、最近になってこのコメンテーターが対話を行うつもりがないらしいことを自らのコメントに明記したので、このコメンテーターのコメント禁止処分を行った。

 以上は主に都市部の「リベサヨ」に絡む話だったが、11月に投開票が行われたアメリカ大統領選で、アメリカのメディアの予想と願望を覆したトランプの当選に、アメリカの保守や右翼や差別主義者と一緒になって大喜びしたのは、植草一秀や、植草に心酔するこの日記のかつてのコメント常連投稿者・「風太」を代表格とする「小沢信者」たちだった。彼らへの批判はこれまでさんざん書いてきたので繰り返さない。

 最後に「野党共闘」について。私は「野党共闘」自体は止むを得ない選択肢だと思う。もともとは野党共闘は相乗効果どころかもともとの支持者が離反する副作用の方が大きいとして批判的に見ていたのだが、前述の参院選の一人区で、マスメディアに激戦が予想された10〜12の選挙区において、愛媛選挙区を除いて全勝した結果を受けて意見を変えた。これらの選挙区において相乗効果は確かに認められたからだ。

 とはいえ、「野党共闘」の旗の下、妥協してはならない部分まで妥協する共産党の姿勢には強い疑問を感じる。先週来首を突っ込んだ、ニセ科学者にして右翼である阿部宣男による「ナノ純銀除染」を批判し続けた東京都板橋区の共産党区議を共産党が除籍処分に付した一件は、板橋の共産党に「ナノ純銀除染」に加担した人間がいるらしい理由のほか、共産党がニセ科学を信奉する自由党の元国会議員にして小沢一郎の側近である平野貞夫に迎合したという要因もあるのではないかと私は疑っている(むろん根拠はない。いわば「陰謀仮説」である)。昨夜(12/25)に『kojitakenの日記』にいただいたコメントによると、25日日曜日の「しんぶん赤旗」8面右下に、4段横半分の『野党協力の深層』(平野貞夫。詩想社発行、星雲社発売。小沢一郎との対談も収録)の広告が掲載されたという。この新書本は、私が三連休初日の23日に本屋で見かけたのと同じ本だと思うが、目次をペラペラとめくってみると、平野貞夫が共産党の志位委員長を絶賛している文章が載っているらしいことがわかった(民進党はこき下ろされていた。但し本文は立ち読みしていない。そこまで私は酔狂ではないので)。

 昨日(25日)、図書館で辺見庸(これも「しんぶん赤旗」的にはタブーの名前だろう)が2013年に書いた小説『青い花』(角川書店)を読み始めた(4割ほど読んだ)。当時の日経の書評(文芸評論家・井口時男氏執筆)によると、「近未来、大地震や大津波に繰り返し襲われた後の三陸を思わせる地域」が舞台で、「どうやら原発事故も繰り返されたらしく、そのうえ近隣国との戦争もつづいている」状態が設定されている。書評は辺見庸を「現代の『無頼派』」と形容しているが、たまたま坂口安吾や太宰治と共に「無頼派」の一人とされた石川淳の「無尽灯」(1946)を含む短篇集を並行して読んでいるところで、2人の小説の印象は確かに被ったので、「現代の『無頼派』」とは確かにその通りだな、と思った。その辺見の『青い花』に、こんな一説が出てくる。

祖国防衛戦争の位置づけをめぐって共産党がやはり分裂したという。主流派は救国統一戦線形成を呼びかけている。事実上の祖国防衛戦争支持である。どのみちこうなるとおもっていた。
(辺見庸『青い花』(角川書店,2013)69頁)


 この小説は民主党政権末期の2012年に書かれたと思われる。当時、共産党が戦争支持なんてまさか、と誰もが思ったに違いない。私がこの小説の雑誌掲載(『すばる』2013年2月号)当時に読んだとしてもそう思っただろう。しかし、それから4年経った今読むと、「今の共産党ならやりかねない」と思わせるものがある。但し共産党は分裂などしないだろう。一枚岩で「祖国防衛戦争」を支持するに違いない。

 4年前に今を見通していたといえば、2012年に「崩壊の時代」の到来を予言した坂野潤治を思い出す。2012年12月が1937年7月に相当するなら、今はもう1941年7月ということになる。もちろん歴史が正確に繰り返すはずもないからあまり意味のない対比かもしれないが、大変なことが次々と起こるのはこれからではないか、との暗い予感をせずにはいられない。そんな気分のうちに2016年が過ぎて行こうとしている。

 今年も、「皆さま、良いお年を」との締めくくりの挨拶を書く気にはなれない。
 予想通り何の成果もなかった日露首脳会談のあと、安倍晋三はNHKとテレビ朝日とTBSのそれぞれのニュース番組に出演して成果をアピールしたらしい。私はテレビ朝日の『報道ステーション』を見ようとしてテレビをつけたら安倍晋三が破顔一笑しているシーンだったのでテレビを消したため見ていない。その後の『NEWS23』も、そもそも毎週金曜日はほとんど見ないので、安倍晋三の不愉快な姿を見ずに済んだ。

 その日露首脳会談について、おそらく読売新聞や産経新聞は「成果」を大々的にアピールしているだろうが、朝日新聞は比較的冷淡な報道だったように思うし、毎日新聞や東京新聞はそれなりに「酷評」しているようだ。たとえば毎日の社説は「首脳同士では異例の頻度で会談を重ね、領土問題を解決しようとしてきた安倍首相の努力は評価したい」としながらも、

だが、むしろ領土交渉の土台は、1回目の「4島」から、2回目は「2島」へ、そして今回は事実上「0島」からの出発へと大きく後退してしまった印象を受ける。

と論評している。

 一方ネトウヨは、どうやら「北方領土などどうでも良い。中国に対抗するためならロシアへの譲歩は止むを得ない」などと言っているようだ。90年代くらいから、反中・反韓に凝り固まるネトウヨの行き着いた姿だが、1980年前後の右翼を覚えている私としては隔世の感がある。

 今を去ること36年、1980年12月の朝日新聞1面左上に掲載された連載記事は、「ソ連脅威論」への懐疑を示した「ソ連は脅威か」だった。この連載記事は右翼の猛反発を受け、同じ朝日新聞社が出していた(現在は朝日新聞出版から刊行)『週刊朝日』で巻末のコラムを書いていた朝日新聞編集委員にして右翼として知られた百目鬼恭三郎が自社の連載記事を批判していたことを覚えている。当時の『週刊朝日』は東の百目鬼、西の谷沢(たにざわ)永一(ともに故人)という東西の右翼言論人に「おきゃがれ あほかいな」と題したコラムを書かせていた。新左翼に迎合する『朝日ジャーナル』と保守層に迎合する『週刊朝日』で、朝日新聞本紙の論調に不満を持つ読者層をなだめるという「朝日商法」といえた。それは今も健在で、部数が昔より相当減った『週刊朝日』は「小沢信者」的な体制批判層を読者のターゲットにしている。だから、私の大嫌いな室井佑月がコラムを持っているのである。

 朝日をめぐる昔話にそれてしまったが、昔の右翼と言えば「反ソ」と相場が決まっていた。いや、ソ連は左翼からも敵視されていて、同じ朝日新聞の本多勝一は昔も今も大のソ連(ロシア)嫌いであって、日本共産党の「全千島返還論」を熱烈に支持している。今回の日露首脳会談についての共産党の志位委員長の談話(『しんぶん赤旗』)も、

 第一に、ロシア側は、これは「ロシアの主権の下で行われる」とくりかえし表明している。「共同経済活動」の具体化の過程で、日本の領土に対する主権が損なわれることが懸念される。

 第二に、ロシアによるクリミア併合に対して、G7、EUなど国際社会が経済制裁を行うもとで、日本がロシアとの経済協力を進めることは、対ロシアの国際的な取り組みを崩すことになりかねない。

としてロシアとそれに迎合する安倍政権を強く批判している。

 共産党の立場は1980年と今とで全くブレていないが、ネトウヨ(1980年当時の右翼)の態度は180度変わった。もちろんその間には冷戦の終結があったわけだが、この事例から類推して、今から36年後の2052年には(私自身はそれを目にすることができない可能性が高いが)、右翼の言うことは今とは全然違うんだろうなと想像する。

 なお、私自身は日本には日本独自の外交があっても良く、必ずしもいつもいつもアメリカやヨーロッパと共同歩調を取る必要もないと思うが、安倍晋三のような「中国に対抗するため」という下心に基づいたロシアへの接近など愚の骨頂だという認識だ。

 たとえばシリアの内戦について、在日シリア人たちが「プーチン出て行け」と抗議デモを行うことは理解するが、日本のリベラル・左派が「プーチンを逮捕せよ」とデモを行ったらしいことについては、それよりも小泉純一郎のイラク戦争加担の責任を不問に付したまま、小泉が「脱原発」派に転向したくらいで仲間扱いする「リベラル」仲間たちをどうにかしろよ、と思ってしまうのだ。小泉を不問に付すことは、今後相当に高い確率で予想される、あの極右にして新自由主義者である小池百合子を担いだ新自由主義勢力の再台頭を許すことに直結することを強く危惧するからだ。

 その兆候は、都議会公明が自民党との連立を解消すると表明したことで、ついに表面化した。また国政でも、カジノ法案で公明党が自主投票を行い、山口代表が法案への反対票を投じた。都議会公明の動きが国政に波及する可能性があり、今後自公の間で水面下で活発な駆け引きが行われるだろう。民進党代表の蓮舫は、先週の記事で批判した通り、早々と来年夏の都議選での小池百合子への協力の意向を表明した。

 今夏の東京都知事選の頃から、私は「反小池」の論陣をずっと張っているが、その評判は全くはかばかしくなく、『kojitakenの日記』でも、小池を取り上げた記事は他の記事と比べてアクセス数が減る。同日記の読者であっても、私の「反小池」論を快く思わないか、または反発する読者は少なくないのだろうと想像している。

 さとうしゅういちさんの『広島瀬戸内新聞ニュース』は、「都会保守」が「小池百合子東京都知事を担ぐ形で、公明党と大都市インテリを支持基盤とした新『新進党』」を結成し、政権奪取を狙っていると看破する。そして、「都会の新自由主義者+公明党」とは「22年前に結成された新進党そのもの」で、経済政策においては今の安倍晋三や自民党と比べてもさらに緊縮指向(「サービスの小さな政府」指向)で新自由主義的であり、日中関係改善は狙うものの、自衛隊の海外派兵を行う点では現在の自民党の狙いと同じ、と分析している。

 そして、「今の安倍政治でも、大型ハコモノや海外ばらまきの一方で、社会保障切り捨てなど問題だらけ」だが、「新・新進党」の小池政権ができたとしたら、それは安倍政権以上に「弱者や地方切り捨て」を行う冷酷非情な政権になるだろうと予想する。

 何より危惧されるのは、「安倍批判が、小池持ち上げ、新自由主義の新『新進党』に回収される危険がある。言い換えれば大都市のインテリを中心に、安倍総理の田舎自民的な要素にくしの勢い余ってクリントン(の悪い部分を特に凝縮した)的な小池に回帰する危険がある」ことだとする。その傾向は既に表れていて、私は例によって行儀悪く『kojitakenの日記』でブログ名を名指しで批判した。「小池百合子は安倍晋三と同じ」と強く主張される方もおられるし、2人はともに極右の要素と新自由主義の要素を併せ持っていることは事実だが、思想信条の基本が国家主義であるのが安倍晋三で、新自由主義であるのが小池百合子だという違いがあると私は考える。そしてそのことは、安倍晋三には強く反発するのに、小池百合子を軸とする「小公民」の動きには「ワクワクすると共に」「期待する」と正直に表明した都会保守(本人はリベラルのつもりだろうが)のブロガー氏の存在によって証明されていると思うのだ。同様に、その昔日本新党だの新進党だのに期待した人たちには、「安倍は嫌いだけど小池には期待する」人たちが少なくなかろうと私は見ている。

 『広島瀬戸内新聞ニュース』は「安倍総理の社会保障切り捨てや歴代自民党同様の教育への冷淡さは批判しつつも、欧州左翼に倣った反緊縮をきちんと野党や市民連合は打ち出すべき」で、「間違っても小池持ち上げに走ってはいけない」と主張する。もちろん私も全面的に賛成だ。

 特に、蓮舫がわけのわからないことを口走った民進党について、 『広島瀬戸内新聞ニュース』は「25年前の都知事選挙後に新自由主義のチャンピオンだった鈴木俊一にすり寄って滅亡した東京の社会党の二の舞は避けなければいけない」と強く警告する。これまた本当にその通りだ。

 現在の欧米は、グローバリズムの弊害を受けて排外主義に走る極右政治勢力の台頭に揺れているが、日本ではいち早く2012年に安倍政権が再成立して、欧米を先取りしているというのが私の認識だ。そして、欧米では極右に取って代わられようとしているグローバリズム指向の新自由主義勢力のさらなる巻き返しが起きようとしているのが現在の小池一派の台頭だと見るべきだろう。

 残念ながら、日本では欧州左翼的な勢力が育たずに今に至ってしまった。今のままだと、来年、テレビの熱狂的な後押しを受けた「オルトオルトライト」(その実態は新自由主義の反動でしかないから、確かに「リライト」なのかもしれないが)とでもいうべき政治勢力の巻き返しがさらに激化することが予想される。衆院選が都議選の前になるのかあとになるのかさえ不透明だと私は思っているが、その新たな戦局において、リベラル(あえて括弧はつけない)が「オルトオルトライト」または「リライト」である新自由主義勢力に回収されてしまうようでは、日本の未来には絶望しかなくなるとの強い危機感を私は持っている。

 他方で、ようやく900万アクセスに到達したものの、このブログの幕引きを考えざるを得ない状態になったと自覚する今日この頃ではあるが、どのような形であれ、元気な間は意見発信を続けていこうと考えている。
 韓国の国会で朴槿恵大統領への弾劾訴追案が可決されたが、日本では安倍晋三の独裁が強まる一方だ。

 もちろん、これは「民族性の違い」などではない。韓国と同じ民族から構成される北朝鮮を思い出せば明らかだろう。そして、日本が韓国と北朝鮮のどちらに近いかも明らかだ。もちろん北朝鮮である。ただ、北朝鮮よりさらに悪いことに、日本国民は自発的に安倍晋三の独裁を受け入れ、これを支持している。

 安倍自民党の独裁政治をよしとしない人間も、大阪では大阪維新の会への支持に多くが走り、東京では小池百合子を熱心に応援する人間が多数いる。呆れたことにその中には「平和志向」のはずの「リベラル」や、果ては共産党支持者までもが含まれる。そんな小池に連日援護射撃を繰り出しているのがテレビや『夕刊フジ』、『日刊ゲンダイ』といった「左右」の二大夕刊紙であり、さらに東京新聞までもが小池に対する期待をにじませた好意的な記事を載せるようになっているらしい。

 そんな小池は、来年の都議選に向けて新党を結成する構想を持っていると伝えられる。仮にそんな新党ができて自民党と候補をぶつけ合った場合、煽りを食って議席を激減させるのは間違いなく民進党であろう。なぜなら、これまで民進党に流れていた反自民票の相当部分が小池新党へ流れるであろうことは火を見るよりも明らかだからだ。

 それを承知しているからかどうかはわからないが、蓮舫が昨日(11日)、小池百合子に都議選での協力を呼びかけたと各メディアが伝えている。
http://www.asahi.com/articles/ASJDC53VDJDCUTFK11D.html

蓮舫氏「小池都知事の姿に共鳴、協力の道探りたい」
2016年12月11日17時50分

■蓮舫・民進党代表

 小池百合子都知事の頑張っている姿、私は最大限評価している。ある意味の古い政治と向き合って戦っておられる姿、共鳴もする。その中で、自分の思いを実現するために(来年の都議選に)候補者擁立するのであれば、私たちも何か一緒に、相互的に協力ができるものがないか、そういう道も探ってみたい。都議選は、私たちの民進党の現職もいる。新人も含めて公認作業を進めている。その中で、国政の与党以外の方たちと、協力できることがあれば、それは否定するものではないと思っている。(新潟市内で記者団に)

(朝日新聞デジタルより)


 この報道で思い出した人間が2人いる。小沢一郎と鳩山由紀夫だ。小沢については、4年前に「私の考えは橋下市長と同じだ」と口癖のように繰り返して橋下徹と衆院選で共闘することを模索していた件だが、鳩山由紀夫は、15年前の2001年秋、国会の質問で「抵抗勢力と戦う小泉総理」に「共闘」を申し入れたことがあった。

 4年前には、小沢一派なんかにくっつかれたら票が逃げていくとばかり、橋下徹は石原慎太郎と組んで日本維新の会を結成し、衆院選で野党第2党に躍進した一方、小沢一郎は嘉田由紀子を担いで日本未来の党を結成させ、それに一派が大挙して加わったものの。衆院選では10議席にも届かず惨敗した。

 しかし、鳩山由紀夫の時は、民主党は選挙の度に議席を増やしていた。但し、鳩山が小泉に共闘を申し入れる直前の2001年7月の参院選では「純ちゃんフィーバー」とやらの煽りを受けて議席が伸び悩んでいた。そこで小泉にすり寄ったわけだ。

 もちろん小泉は「民主党と組んで抵抗勢力と戦う」ことなどしなかった。ましてや、民主党政権時代のネガティブなイメージが国民に刷り込まれている現在、小池百合子が都議選で民進党と組んで自民党と戦うことなどあり得ない。せっかくの議席獲得のチャンスを自らドブに捨てる自殺行為に他ならないからだ。そんなことをするほど小池百合子は馬鹿ではなかろう。逆に、悪知恵が長けているからこそテレビから東京新聞までを味方につけて高支持率を得ている。

 しかし、この小池百合子の正体は悪質な極右にして新自由主義者である。そんな小池への「協力」を口にした蓮舫は、小池への協力と「野党共闘」が両立するとでも思っているのだろうか。

 蓮舫の発言を報じた共同通信の記事に、

 これに関し、野田佳彦幹事長は滋賀県草津市で「連携できるかどうかはこれからの展開次第だ。動向を注視したい」と語った。

とある。一方、『kojitakenの日記』にコメントしてきた「タブクリア」氏に教えてもらったしんぶん赤旗の記事によると、野田佳彦は野党4党(民進、共産、自由、社民)と「市民連合」との意見交換会で、市民連合の「立憲主義を破壊し、個人の尊厳をないがしろにする安倍政権への対抗軸を国民に示すための、共通の政策に向けた考え方」の提案に、「すべて共感できる」と発言し、「市民と野党との連携を加速度的に深めていかなければいけないと思っている」と語ったという。

 野田佳彦は、後者と小池百合子への協力が両立できるとでも思っているのだろうか。

 「野党共闘」を応援する一方で、「都議会自民や森喜朗と戦う小池百合子」にもエールを送っている市井の「リベラル」ブロガーにも同じことを訊きたい。

 民進党は、明らかに二股をかけている。蓮舫や野田は、本心では小池百合子と組みたいに違いないが、それが不可能であることを悟っているであろうから、「野党共闘」に軸足を残しているに過ぎないのであろう。実にふざけた話だ。

 なお、「アンシャン・レジーム」とやらと戦っているという小池を応援する「リベラル」や蓮舫の視野からすっぽり抜け落ちているのは、(階級)格差の問題だ。「階級」と書くと左翼色を敬遠したがる人が多いと思うが、もはや「階級格差」とはっきり認識しなければならない段階にきている。

 しかし、都市部(私がいつもイメージするのは東京の中央線沿線、横浜の田園都市線沿線、それに阪神間など)の「リベラル」は。っとえb2006年の小泉政権終了前後から一気に噴出した「ワーキングプア」が話題になった時には新自由主義批判をそれなりにするが、ほとぼりが冷めると、かつて「抵抗勢力と戦う」小泉純一郎を応援していた(であろう)のと同じように、「アンシャン・レジームと戦う」小池百合子にエールを送る。おそらく2001年当時も、日刊ゲンダイの批判の矢は小泉純一郎にではなく「抵抗勢力」に向いていて、夕刊フジやテレビや東京新聞と一緒になって小泉を応援していたのではないかと私は想像しているのだが、その悪夢が甦った。

 歴史は繰り返す。その度に劣化の度を強めながら。そう言いたくもなる。
 突然「カジノ法案」の審議が衆院内閣委員会で始まったのは11月30日だった。わずか6時間の審議を経て委員会で強行採決されたのは12月2日だった。

 右翼新聞である読売や産経の反対をものともせず、また法案に慎重な姿勢を示していた公明党に「自主投票」を強いてまで、会期末の12月14日までの法案成立を目指す安倍晋三は、極悪な独裁者以外の何者でもない。

 本屋である極右雑誌の表紙を見て笑ってしまった。日本はトランプ、プーチン、習近平、金正恩、ドゥテルテといった独裁者たちに包囲されるというのだ。今後、さらに欧州各国が続こうとしているのだという。

 笑わすなよ。トランプより4年も早く、日本は極右の独裁者を総理大臣に選んでいるじゃないか。今では独裁政権にすっかり慣れ親しんでいて、国内に反対だらけの法案を超特急で強行採決して成立させ、それは施行直後のごく短期間を除けば日本の社会と経済に害毒しかもたらさないにもかからわず、安倍晋三がそんなことをやらかしても、内閣支持率は下がるどころかこの1年半近くずっと上がり続けている。先進各国に先駆けて独裁政治権力に馴致されてしまったのが、日本国民だ。

 カジノ法案に関しては、野党も醜態を晒している。民進党では11月24日に前原誠司、長島昭久、松野頼久ら「有志議員」が「IR議連」を発足させていた。下記は産経新聞記事

民進党有志議員がIR推進議連を発足 党執行部のカジノ法案反対の姿勢を覆す勢いはなく…

 民進党の有志議員は24日、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の早期成立を目指す議員連盟を発足させた。この日の初会合には執行部と距離を置く非主流派議員が顔をそろえた。ただ、参加議員は約40人にとどまっており、IR法案の審議入りに慎重な執行部の判断を覆す勢いはない。

 議連会長の長島昭久元防衛副大臣は初会合で「一日も早く審議入りすべきだ」と強調。今後は党内議論を活性化させ、今国会中の法案成立を目指す方針を確認した。顧問は代表選に出馬した前原誠司元外相が就任し、幹事長に旧維新グループの松野頼久元官房副長官が就いた。

 IR法案をめぐっては、蓮舫代表が24日の記者会見で「射幸心や依存症の問題もあり、世の中で百パーセントの支持をいただいている法案ではない」と述べ、審議入りは時期尚早との見方を示している。24日の議連初会合の出席議員は12人のみで、党幹部は「IR法案賛成は党内ではごく少数で、審議入り反対の党の方針は変わらない」と語った。

(産経ニュース 2016.11.24 23:27更新)


 前原・長島・松野らはいつものようにみごとなまでの安倍晋三へのアシスト役を演じた格好だ。

 また、論外としか言いようがないのが自由党代表の小沢一郎だ。

 『kojitakenの日記』にも書いたが、小沢は何年も前から超党派の国会議員で作る国際観光産業振興議員連盟(IR議連 通称:カジノ議連)の最高顧問にデーンと鎮座ましましている。もっとも、この程度のことはこの男が長い政治生活の間でやらかしてきた数々の悪事の中ではほんの些末事に過ぎず、衆院選への小選挙区制導入で現在の安倍晋三独裁を招き入れた元凶も、この小沢である。その悪質度においては、安倍や小泉純一郎にも決して引けを取らない。

 もちろん日本維新の会及び地方政党の大阪維新の会は、今回のカジノ法案強行の直接の主犯だ。日本の中でも特に極右化が極端なのが大阪だが、カジノ誘致に特に熱心なのが、松井一郎が府知事を務める大阪である。安倍晋三は今回のカジノ法案の強引な成立で維新に恩を売り、その見返りに改憲に協力してもらおうという下心がミエミエだ。そして、そんな維新を応援して自らの「反骨精神」を満足させているつもりでいるのが、大阪の多くの有権者である。読売(「キョジン軍」)と何も変わるところのない金権球団となり果てたあげくに今シーズン広島に惨敗したプロ野球の阪神タイガースは、そんな大阪(及び神戸を含む阪神間)の堕落の象徴かとも思える。

 ただ、今回のあまりにも強引なカジノ法案の強行は、安倍晋三に隙が見え始めたことも感じさせる。とはいえ、その隙を突けないくらい日本の政治をめぐる言説が破壊され尽くしているなら、今後も日本はひたすら後輩への道を突っ走り続けるのかも知れない。